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第3章 リニアモータの巻線間相互インダクタンス算定法

3.4 巻線間相互インダクタンス算定法

3.4.3 提案法の実施例と検証実験

本項では,提案法の実施例を示すとともに,その妥当性を文献[5]の方法に よる算定結果との比較から明らかにする.

まず,3.3.2項の図3.10から,a-n間,b-n間,c-n間およびa-b間,b-c間,

c-a間の滑り周波数sf0=0となる点のリアクタンスxanxbnxcnおよびxabxbcxcaを2f0で除すことによって,各相の自己インダクタンス L1aL1bL1cおよ び各巻線間の自己インダクタンス L1ab,L1bc,L1caを算定した.表 3.2 は,そ の結果である.次に,表3.2 の結果を用いて(3.14)~(3.16)式により,各巻線間 の相互インダクタンス M1ab,M1bc,M1caを算定した.その結果を表 3.3 に示 す.この結果より,各巻線間の相互インダクタンスはM1bc < M1ca ≈ M1abとな り,非対称であることが確認される.比率としては約 1:2:2(M1bc:M1caM1ab)であった.3.3.1項で述べたように,供試LIMにおいては,極数が3と 少ないため,このような比率で非対称性が顕著に表れたものと考えられる.

表 3.2 各巻線端子間の自己インダクタンス算定結果

項目 記号 値 単位

a-n間の自己インダクタンス L1a 37.5 mH b-n間の自己インダクタンス L1b 38.1 mH c-n間の自己インダクタンス L1c 37.0 mH a-b間の自己インダクタンス L1ab 101 mH b-c間の自己インダクタンス L1bc 87.0 mH c-a間の自己インダクタンス L1ca 100 mH

表3.3 各巻線間の相互インダクタンス算定結果(提案法)

項目 記号 値 単位

a-b間の相互インダクタンス M1ab 12.7 mH b-c間の相互インダクタンス M1bc 5.95 mH c-a間の相互インダクタンス M1ca 12.7 mH

さらに,提案法の妥当性を検証するために,文献[5]で提案されている各巻 線間の相互インダクタンスを算定する方法(便宜上,従来法とする)を実施 した.この方法は,二次側の非磁性導体を取り除いた等価無負荷状態におい て,一相端子と中性点間に単相交流を印加し,他の二相に生じる誘導起電力 から各巻線間の相互インダクタンスを求める方法である.例えば,a-n間に単 相交流を印加して電流 I を流したときの b 相,c 相に生じる誘導起電力 VbnVcnから,a-b 間および c-a 間の相互インダクタンスは次式によって算定する ことができる.

I f M ab Vbn

0

1 2 ··· (3.17)

I f Mca Vcn

0

1 2 ··· (3.18)

ここでは,a-n 間の例について示したが,b-n 間,c-n 間についても同様で ある.なお,この方法は二次側の非磁性導体板を取り除いた等価無負荷状態 が前提となっているが,実際には,二次側の非磁性導体板は磁性体の裏張り 鉄板と接着されて取り除けない場合が多く,この場合には,等価無負荷試験 の実施は困難である.供試 LIMの非磁性導体板(アルミ板)も裏張り鉄板に 接着されており,取り除くことはできなかった.そこで,同一の寸法および 同一材料の裏張り鉄板を製作(図3.13参照)し,従来法を実施した.

(a)二次側表面(アルミ板)

(b)二次側裏面(裏張り鉄板)

(c)製作した裏張り鉄板

図 3.13 供試LIMの二次側のアルミ板と裏張り鉄板

表 3.4 は従来法による各巻線間の相互インダクタンスの算定結果である.

表 3.3 の提案法による算定結果と比較すると,ほぼ同様の算定結果(従来法 を基準として M1abが 5.0%,M1bcが 0.17%,M1caが 5.8%の誤差)となってお り,提案法の妥当性が確認される.

表3.4 各巻線間の相互インダクタンス算定結果(従来法)

項目 記号 値 単位

a-b間の相互インダクタンス M1ab 12.1 mH b-c間の相互インダクタンス M1bc 5.94 mH c-a間の相互インダクタンス M1ca 12.0 mH