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リニアモータの演算子インピーダンス軌跡

第3章 リニアモータの巻線間相互インダクタンス算定法

3.3 リニアモータの演算子インピーダンス軌跡

Hzの軌跡をリアクタンス軸上まで外挿した値は,図 3.7の励磁リアクタンス X0に相当している.一段階電圧印加方式と二段階電圧方式を比較すると,滑 り周波数の大きな領域(50~5Hz)では,差異はほとんど見られないが,滑り 周波数の小さな領域(5~0.01Hz)では滑り周波数が小さくなるほど大きな差 異がみられた.また,図中の青色の×印は,半電圧印加時の無負荷試験によ り求めた X0の値である.これより,二段階電圧印加方式で求めた X0のほう が無負荷試験の値により近い値となっており,二段階電圧印加方式を用いる ことによりX0の算定精度が改善することが確認される.

(a)外観

(b)構造図

(c)概要図

図 3.9 一軸テーブル式 LIM

b a c b a c b a c

裏張り鉄板

(二次鉄心)

アルミ板

(二次導体)

#1 #2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9 #10 #11 #12 スロット番号

a 相巻線

b相巻線

c 相巻線

一次鉄心 一次側(可動部)

二次側(固定部)

0.5mm

一次側(可動部)

二次側(固定部)

表 3.1 一軸テーブル式 LIMの仕様

一次側

(可動部)

相数 3

電圧 200V

周波数 50Hz

電流 16.1A

極数 3

スロット数 12

ポールピッチ 54mm

巻線ピッチ 1~4

毎溝線数 204本(#1,2,3,10,11,12102本)

巻線構成 全節・集中・二層・Y接続

コア寸法 長さ222mm×49.5mm×厚さ50mm

エアギャップ 0.5mm

二次側

(固定部)

二次導体 種類 プレート形アルミ板(非磁性体)

寸法 長さ459.7×110mm×厚さ2.5mm

二次鉄心 種類 裏張り鉄板(塊状鉄心)

寸法 長さ459.7mm×70mm×厚さ7.5mm

図3.9(b)の供試 LIMの巻線構造より,a相,b相,c相の各相の巻線構造

が同じであることから各相の自己誘導回路が対称であるとわかる.また,a-b 間の巻線構造と c-a間の巻線構造は同じであるが,b-c間の巻線構造がこれら と異なることから,b-c間の相互誘導回路は,a-b 間および c-a 間の相互誘導 回路と非対称であり,a相は,b相および c相と非対称な相となることがわか る.供試 LIMは,極数が 3と少ないことから,この影響は顕著に現れるもの と推察される.

3.3.2 各巻線端子間の演算子インピーダンス軌跡

図 3.10は,前項の供試LIMの各巻線端子間に対して3.2.2項で述べた二段 階方式(ここでは,試験電流を 6A から1Aと下げて直流試験を実施)の直流 試験法を実施して求めた演算子インピーダンス軌跡である.図中の各プロッ トは,図 3.8 と同様に各滑り周波数における値に相当している.また,リア クタンス軸上の xanxbnxcnおよび xabxbcxcaは,0.01Hzの点を外挿して求 めた滑り周波数が零となる点のリアクタンスである.

この図より,各一相端子と中性点間の演算子インピーダンス軌跡は,Xan(js)

≈ Xbn(js) ≈ Xcn(js)となり,ほぼ一致しているが,各巻線間の演算子インピーダ

ンス軌跡は,Xbc(js) < Xca(js) ≈ Xab(js)となり,非対称であることが確認される.

また,この非対称性は,滑り周波数が小さくなる(二次側の影響が小さくな る)ほど,顕著に現れていることから,一次巻線相互の非対称性によるもの だと推察される.供試 LIMは,極数が 3と少ないことから各巻線間の相互イ ンダクタンスの差異が大きくなり,このような形で非対称性が顕著に現れた ものと考えられる.これらの事象は,前項で述べた図 3.9(b)の LIMの巻線 構造から推察される物理像と一致しており,直流試験法は巻線相互の非対称 なインピーダンス特性を正確に算出できることが確認される.

図3.10 LIMの各巻線端子間の演算子インピーダンス軌跡

−20

−10

00 10 20 30 40

リアクタンス []

抵抗 []

0.01Hz 2Hz 5Hz

12.5Hz 25Hz

50Hz

Xan(js) Xbn(js)

Xcn(js) Xab(js)

Xbc(js) Xca(js)

50Hz25Hz 12.5Hz 5Hz2Hz0.01Hz

xan xbn

xcn xbc xca xab