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電気化学インピーダンス法

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 32-35)

1.2 従来の研究

1.2.3 電気化学インピーダンス法

(a) 供給ガス相対湿度の影響

電気化学インピーダンス法は,燃料電池内部の電気化学反応を捉える上で非常に有用 な手法である.燃料電池の高性能化のために過電圧を正しく評価することは重要であり,

インピーダンス法を用いた過電圧解析が用いられている.I.A.Schneiderらは分割電極を 用いてそれぞれの電極のインピーダンスを計測することによりセル内の水バランスの 解析を行った

(77)

.この中で彼らはサーペンタイン流路を用いて実験を行い,低加湿条件 では並行流より対向流のほうが抵抗が小さくなることを報告した.さらに低加湿運転中 のセルのインピーダンスの低周波側に見られる誘導性円弧についての検討も行ってい る

(78)

.T.Abeらは交流インピーダンス法に加え,分極測定,電流遮断法による計測及び

露点計測を行うことによりカソード相対湿度の変化が発電性能に及ぼす影響について 調査した

(79)

.S.Nakamura らは供給ガス相対湿度がインピーダンスにおよぼす影響につ

いて報告している

(80)

.供給ガス相対湿度が低い場合に電荷移動抵抗が増大する原因とし ては触媒層のイオン伝導性が低下することと触媒利用率が低下するからであると報告 している.さらに相対湿度の低い条件では拡散抵抗も増加することを明らかにした.こ れはイオノマーの乾燥によりイオノマーを通過する酸素量が低下したからであると報 告している.N.FouquetらはRandles modelと呼ばれる等価回路を用いてインピーダンス 解析を行うと共に,Warburg impedance の理論式から拡散抵抗と有効触媒面積の相関が あることを示唆した

(81)

.Randles modelを用いた解析はZ.Xieら

(82)

や,A.Parthasarathyら

(83)

によっても行われている.

(b) GDLの影響

D.Malevichらはインピーダンス法を用いてGDLのマイクロポーラス層(MPL)の有

無の影響について検証した結果,MPL付のGDLのほうがMPL無しのGDLより高い発 電性能を示すこと,さらに拡散抵抗の時定数を比較することにより拡散抵抗の要因は GDLの基材部分を拡散する酸素の輸送抵抗であることを報告した

(84)

. (c) 伝送線モデル

B.Andreausらは高電流密度におけるPEFCの損失についてインピーダンス法を用いて

解析した結果,高電流密度ではアノード側の乾きが深刻になりこれがアノードにおける 活性化抵抗の増大を引き起こし,アノード過電圧が無視できなくなると報告している

(85)

. また,高電流密度におけるインピーダンスの低周波成分はアノード側の過電圧を表して いるとしている.H.T.Kimらは無加湿空気を供給したときの発電性能についてインピー ダンス法により評価した結果,無加湿運転により全抵抗が増大すること,低加湿条件で

はCole-Cole plot の高周波部分でプロトン伝導抵抗に由来する 45°の傾きを持った直線

が観察されることを明らかにした

(86)

.さらに低加湿及び低電流密度において見られる低

第1章 序論 周波側円弧の増大,すなわち拡散抵抗の増大の要因を酸素のイオノマーへの透気度の低 下によるものであることを実験的に示した.一方でこの円弧増大の原因はプロトンの伝 導に起因するという報告や,反応ガスの拡散に起因するという報告,及びその両方が引 き起こしているという報告があるなど不明な点も多くある

(87) (88) (89)

.S.Wasterlain らは Cyclic Voltammetry,Linear sweep voltammetry及びインピーダンス法を用いて実験パラメ ータの影響を計測した

(90)

.その結果セル温度が高くなるとセル外への水の排出が促進さ れ,拡散抵抗が低下すること,高いセル電圧を取り出すための運転条件とMEAの耐久 時間を延ばすための運転条件が相反する関係にあり,燃料電池の運転条件はトレードオ フにより決定されることなどを報告している.インピーダンス計測を行う場合,等価回 路を用いたフィッティングが同時に行われる場合が多い.等価回路についてR.Makharia らは図1.11に示す伝送線モデル(Transmission line model)を用いたフィッティングやそ の等価回路の構成要素の示す物理的な意味について報告した

(91)

.伝送線モデルを用いる と高分子膜の抵抗と,触媒層のプロトンの伝導抵抗を分離できる.高加湿条件化では触 媒層中のプロトン伝導抵抗は無視できるほど小さいが,低加湿条件では無視できない.

これを正しく評価するために伝送線モデルが適用されている.M.Eikerlingらは伝送線モ デルを用いて理論解析によって燃料電池内で起こりうる現象を模擬し,伝送線モデルの 描く軌跡を示した

(92)

.H.Xu らは高温・低加湿条件におけるインピーダンスのフィッテ ィングに伝送線モデルを適用した

(93)

第1章 序論

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Fig.1.11 A transmission line model.

第1章 序論

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