7.4 結果と考察
7.4.2 アノード流路形状の影響
カソード側にサーペンタインハイブリッド流路を用い,アノード側にサーペンタイン ハイブリッド流路,サーペンタイン流路,並びに対向櫛形流路を用いた各場合で発電性 能を検討した結果を図7.2~7 に示す.いずれの場合も7.4.1 節と同様,試験開始から約 2000 秒経過後に定常状態となった.電圧が一定になるまでの時間には±10%程度の変 動が認められ,その波形にも多少のばらつきはあるが,電圧経時変化の再現性は十分に 確認できた.アノードにサーペンタイン流路を用いた場合,図7.4に示すように出力電
圧が 0.61V,IR 過電圧が 0.07V となりアノード側流路にサーペンタインハイブリッド
流路を用いた場合よりも高い発電性能を示している.図7.4の電圧波形にうねりが認め られる.これはセル内部の水分が周期的に蓄積・排出することによりMEAの湿潤状態 が変化して,IR過電圧が増減したためと推察できる.図7.5に両極出口湿度を示す.ア ノード流路をサーペンタイン流路とするとアノード出口湿度が 35%と,アノード流路 にサーペンタインハイブリッド流路を使用した時の約2倍となっている.カソード出口 湿度は 47%と,アノードにサーペンタインハイブリッド流路を用いた時よりも小さな 値となった.対向櫛形流路をアノード流路に用いた場合の出力電圧は図7.6に示すよう
に 0.53V,IR 過電圧は 0.12V であり,サーペンタイン流路の場合と比較して発電性能
が低下している.定常状態に到達後の1時間あたりの出力電圧変化は,アノード流路に サーペンタイン流路を用いた場合で+0.02%であるのに対し,対向櫛形流路を用いた場 合は-2%であり出力電圧が単調に減少する結果となった.図 7.7 に両極出口湿度を示 す.アノード出口湿度は 12%であり,アノード側にサーペンタインハイブリッド流路 を用いた時よりも小さな値となった.一方でカソード出口湿度は 50%であり,アノー ド側にサーペンタインハイブリッド流路を用いた時よりも大きな値となった.
図 7.8に流路の組み合わせの違いによる出力電圧と IR 過電圧の変化を各々示す.ま た図7.9に出口ガス相対湿度,水バランス計算により求めた見かけの電気浸透係数λを 示す.アノード側流路にサーペンタイン形流路を用いた場合ではアノード出口湿度が高
くなり,λ の値が-0.098 と小さな値となった.一方,アノード側流路に対向櫛形流路
並びにサーペンタインハイブリッド流路を用いた場合はアノード出口湿度が小さくな り,λの値はアノード側にサーペンタイン流路を用いた場合よりも大きくなった.アノ ード流路にサーペンタインハイブリッド流路を用いた場合のλ の値は-0.006と負の値 となっているものの,対向櫛形流路を用いた場合は 0.0003 と正の値となった.これは アノード側に水分が見かけ上,移動していないことを示しており,時間と共にMEAの 乾燥が進んでいくものと考えられる.
以上の結果からアノード流路にサーペンタイン流路を用いた場合,カソード側からア ノード側へ水移動量が増大し,アノード流路を流れる水分量が増加したと考えられる.
その結果,MEA の面全体に生成水が拡散され,ドライアップが抑制されたことで,IR 過電圧の増大を防いで発電性能を向上させることができたものと推察できる.
第7章 両極無加湿運転における発電性能 一方でアノード流路にサーペンタインハイブリッド流路及び対向櫛形流路を用いた 場合,カソードからアノードへの水分移動量はアノード側にサーペンタイン流路を用い た場合よりも小さく,アノード側にハイブリッド流路を用いた場合と対向櫛形流路を用 いた場合の間には性能差や水分移動量の差はあまりない.しかしながらアノード流路に 対向櫛形流路を用いた場合,出力電圧の時間変化が-2%であることやλ の値が正とな ることから,MEAが徐々に乾燥しているものと考えられる.
第7章 両極無加湿運転における発電性能
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Output Voltage IR Overpotential
Cathode Outlet Humidity Anode Outlet Humidity
Fig.7.4 PEFC performance obtained with the serpentine flow channel at anode.
.
Fig.7.5 Outlet relative humidities of anode and cathode outlet gases obtained with the serpentine flow channel at anode.
.
第7章 両極無加湿運転における発電性能
Output Voltage IR Overpotential
Cathode Outlet Humidity Anode Outlet Humidity
Fig.7.6 PEFC performance obtained with the interdigitated flow channel at anode.
.
Fig.7.7 Outlet relative humidities of anode and cathode outlet gases obtained with the interdigitated flow channel at anode.
.
第7章 両極無加湿運転における発電性能
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Fig.7.8 Influence of the anode flow channels on the output voltage and IR overpotential.
.
0 0.2 0.4 0.6 0.8
Inter digitated Serpentine Serpentine
hybrid
Output voltage [V]
0 0.05 0.1 0.15 0.2
Inter digitated Serpentine Serpentine
hybrid
IR overpotential [V]
(a) Output voltage
(b) IR overpotential
第7章 両極無加湿運転における発電性能
-0.12 -0.1 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02
Inter digitated Serpentine Serpentine
hybrid
Net water transport coefficient λ
Fig.7.9 Influence of the anode flow channels on the relative humidity of the outlet gases and the net water transport coefficient.
(a) Output relative humidity
(b) Net water transport coefficient
0 20 40 60 80
Inter digitated Serpentine Serpentine
hybrid
Output relative humidity [%]
Anode Cathode
第7章 両極無加湿運転における発電性能
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