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2 RFID に関する動向の調査

2.6 データ活用及びコスト

2.6.2 電子タグから取得したデータの活用動向

消費財サプライチェーンにおける電子タグから取得したデータの活用のシーンとして広 範に知れ渡っているものとしては、電子タグの一括読取機能を用いた検品の正確化・高速 化 が 挙 げ ら れ る 。 ま た 、 小 売 で の 商 品 盗 難 対 策 と し て の

EAS

Electronic Article Surveillance:電子商品監視機器)の導入も挙げられる。このような活用のシーンは消費財

サプライチェーン各層のプレーヤーでは表 2.4のように整理される。

表 2.4 サプライチェーンの構成要素の RFID 利用業務とその効果

過程 場所 多用される

流通の手段

認識技術の 利活用業務等

効果等

製造 生産工場 個品、箱等 個品管理(製造条件・制約) 個品/SKU レベル情報管理環境構

個品管理(トレーサビリティ情報 管理)

個品/SKU レベル追跡環境構築(安 全管理、マーケティング)

生産量調整 販売情報に基づく生産量適性化

(食品ロス削減にも寄与)

箱等、RTI 部品入荷 ・在庫保管 生産工程管理

製品検査 検品効率化

製品出荷

卸・物流 倉庫 箱等、RTI 製品入荷 入荷伝票処理効率化、検品効率

化、品質確認

保管・在庫管理・棚卸 棚卸効率化

製品出荷 検品効率化

配送センター 配送用容器 出荷先仕分け 出荷伝票処理効率化

配送車 配送用容器 物流品質管理 位置情報把握 配送

店舗 バックヤード 個品、

配送用容器

納品管理 納品・検品効率化

在庫管理 在庫管理効率化

売場 個品 棚卸管理 棚卸効率化

販売促進 商品情報検索

レジ レジ作業時間短縮、省人化・無人

盗難防止

消費期限管理 食品ロス削減

棚出し(売場商品補充) 補充効率化

消費者 自宅等 個品 製品管理 消費期限管理、製品知識向上

保守サービス 安心・安全(トレーサビリティ)

リサイクル /廃棄

リサイクル /廃棄事業者等

個品 製品搬入 搬入伝票処理効率化、検品効率化

保有品管理 保有品位置管理 リサイクル/廃棄処理

リサイクル/廃棄材料等出荷管理

小売店舗においては、商品への電子タグ取付を活用したセルフレジや無人店舗等の試行 がなされている。国内では平成

28

年度のローソンによるレジロボ実証実験、平成

29

年度 のファミリーマートによる経済産業省店でのセルフレジ実証実験、トライアル社とパナソ

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ニックスマートファクトリーソリューション社によるウォークスルー型

RFID

会計ソリュ ーション実証実験等が挙げられる。国外では、特に中国のいわゆる「無人コンビニ」での 電子タグの活用が顕著であり、

BingoBox、 F5

未来商店、簡

24、便利蜂、 EATBOX、Well Go

等、多くの店舗が登場している(中国では現在は無人コンビニに投資資金が集まりやす い環境にあるとのこと)。

特にアパレル業界においては、電子タグ取付商品から取得したデータを効果的に活用し ている事例が増えている。例えば、I社では、衣料品工場の出荷直前に取り付けられる電子 タグ(主に下げ札内に電子タグが組み込まれる)の情報が流通過程での一括検品等に活用 されながら小売店舗まで届き、小売店舗での棚卸やレジでの商品の一括読取等でも活用さ れながら、さらに電子タグの読取情報に基づいた店舗での商品の売れ行き等の動向をリア ルタイムで店舗経営層に通知する仕組みを構築・運用している。店舗経営層はこの通知に 基づいて効果的=売上を向上させる商品陳列の対策を打つことができ、商品の販売機会損 失を未然に防いだり、さらには効果的な商品展開に基づいた販売機会創出のシーンを用意 する等が可能となる。このようなダイナミックな活用は消費財サプライチェーン各層のプ レーヤーでも有効・有用と考えられる。

物流・サプライチェーンに限らず、広範な分野における

RFID

の適用とその用途区分を に示す。分野毎で目的に応じた電子タグの使い分けが行われているが、UHF帯の利用が多 くなっている。また、流通システム開発センターは、

RFID

の適用に関する近年の様々な業 界の動きについて表 2.6のように整理している。

表 2.5 RFID の適用の分野とその用途区分(再利用、価格帯、周波数帯)

分野 用途区分

再利用 価格帯 周波数帯

1 航空 UHF

2 空港 有/無 高/安 UHF

3 書籍・図書館・保管 UHF/HF

4 金融・セキュリティ・安全 UHF/HF/NFC

5 パスポート HF

6 食品安全 有/無 高/安 UHF/NFC

7 動物・農業・偽造防止 UHF/HF/NFC 8 健康 有/無 高/安 UHF/HF/NFC

9 医療 UHF/HF/NFC

10 物流・サプライチェーン 有/無 高/安 UHF 11 レジャー・スポーツ・旅行 有/無 高/安 UHF/HF/NFC 12 製造・産業・管理 有/無 高/安 UHF/HF/NFC 13 軍事 有/無 高/安 UHF/HF/NFC

14 小売・消費財 UHF/NFC

15 交通 有/無 高/安 UHF/HF/NFC

16 自動車 UHF/HF/NFC

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表 2.6 RFID の適用に関する近年の様々な業界の動き

業界 動向 事業者等

アパレル

・ファッション

•店舗業務(在庫管理・棚卸/会計迅速化)

•入出荷検品(倉庫、店舗)、ピッキング(倉庫)

•オムニチャネル(EC、倉庫・店舗を超えた全体の在庫管理) 物流機材

・容器の管理

•クレート・オリコン、かご台車、パレット、輸送用コンテナ

•容器の所在管理/紛失防止

•トレーサビリティ、入出荷検品

•イオン

•日本パレットレンタル

•日本アクセス

•紀文フレッシュシステム 自動車

•完成品の所在管理/仕向地管理/オプション設定

•部品管理/SCM/カンバン

•輸送容器の管理

•ホンダ(アメリカ)

•自動車工業会 航空

•航空機部品(ライフジャケット、メンテ必要部品)

•専用工具管理

•航空手荷物

•エアバス、ボーイング

•デルタ航空(IATA) 医療機器 •手術用具の個品管理/員数管理

•医療機器の院内所在把握 産業ガス •法律に基づくガス容器の安全管理

•ボンベの所在管理、耐用年数把握、定期検査実施 •日本産業医療ガス協会(JIMGA)

図書館 •図書館の蔵書管理

•図書館の蔵書の識別コードの ISO での国際標準化

•ISO TC46

•(ISO28560) 社内資産管理

/個社での活用

•重要書類管理

•CD 等媒体管理

•回転寿司 等

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