• 検索結果がありません。

雨掛かりの有無がコンクリート中の含水率に及ぶす影響に関する調査

56

3.7 雨掛かりの有無がコンクリート中の含水率に及ぶす影響に関する調査

57

3.7.2 調査結果および考察

図3.24にD高架橋における柱と梁およびスラブでのコンクリート表面からの距離と含水率の関 係を示す。なお,対象構造物における含水率の計測方法は電気抵抗式の計測器で測定したものであ る。含水率の測定には,質量法によるものがあるが測定方法が異なるため両者を定量的な比較をす る際には留意が必要である。ここでは,対象構造物での各部位や深さ方向における含水率の違いを 相対的な比較により評価とすることとした。柱と梁およびスラブのそれぞれにおいて,コンクリー トの内部と表層では,表層のほうが乾燥の影響を受けるため,含水率は小さくなった。また,コン クリート内部と表層の含水率の差は,柱と梁では内部と表層で 2%以内の差で収まっているのに対 して,スラブでは 2%以上の差が確認された。これは,雨掛かりがある柱と梁よりも雨掛かりのな いスラブのほうが乾燥によりコンクリート表層の含水率が低下し易いことが示されている。

雨掛かりがある柱および梁において,雨掛かり直後や表面が湿潤状態にある際のコンクリート内 部の含水率の把握は行っていないが,湿潤状態にある場合,コンクリート表面は,測定結果である コンクリート内部の3~5%の含水率よりも大きいと推測される。雨掛かりがある場合,水分供給に 伴いコンクリート内部の含水率が大きくなり,雨掛かりがない場合よりも鉄筋が腐食しやすい環境 になることが示されている。

図3.24 コンクリート表面からの深さ方向の含水率 0

1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80

含水率(%)

床版

0 1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80

含水率(%)

床版(張出部)

0 1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80

含水率(%)

表面からの距離(mm)

0 1 2 3 4 5 6

0 20 40 60 80

含水率(%)

表面からの距離(mm

スラブ スラブ(張出部)

測点① 測点② 測点③

58

図3.25にA高架橋およびB高架橋のスラブ試験体におけるコンクリート表面からの深さ方向 の含水率の分布を示す。A高架橋およびC高架橋のコンクリートの乾燥状態の表層と内部では,

表層のほうが乾燥の影響を受けるため,含水率は1~2%程度小さくなった。また,雨掛かりのあ るA高架橋では,コンクリート表面から10~50mmの範囲の含水率は3~5%であるのに対して,

C高架橋では含水率が2~4%と雨掛かりのないほうが,全体的に含水率が小さくなる傾向を示し た。また,A高架橋において,湿潤状態を1日間保つことで,コンクリート表面から10~20mm の範囲の含水率が大きくなり,コンクリート内部と同程度の含水率となった。さらに,3日間湿 潤状態を保つとコンクリート表面から10~20mmの範囲の含水率は,コンクリート内部の含水率 よりも大きくなった。ただし,3日間湿潤状態を保つことで含水率が変動する範囲はコンクリー ト表面から10~30mmの範囲であり,コンクリート表面から40~60mmの範囲における含水率の 変動は小さかった。

以上のことから,雨掛かりのある構造物では,ない場合よりもコンクリート中の含水率が大き くなる傾向を示し,特に,コンクリート表面からの30mm程度の範囲において乾湿繰り返しによ る影響を受け,含水率の変動が内部よりも大きくなるものと推測される。このことにより,雨掛 かりがある場合,水分供給に伴いコンクリート中の含水率が大きくなり,中性化による鉄筋腐食 において,かぶり側が腐食しやすい環境となるものと考える。

図3.25 コンクリート表面からの深さ方向の含水率 0.0

1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 10 20 30 40 50 60

含水率(%)

コンクリート表面からの距離(mm)

A高架橋 湿潤3日間 A高架橋 湿潤1日間 A高架橋 乾燥 C高架橋 乾燥

59