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隠岐諸島新産の植物 (3)

ドキュメント内 隠岐の文化財-横書.indd (ページ 63-66)

海士町  丹後 亜興     

トウササクサ  Lophatherum sinense Rendle

唐笹草。「唐」は中国で発見されたことに因む。笹(タケ亜科)のように見える 草(イネ亜科)の意である。実は,笹や竹に葉が似ているのは見かけだけではない。

「平行に走る縦の葉脈が,横の葉脈で結ばれ方眼を作る。」という,葉脈の構造も タケ亜科のものである。葉の形が多少とも笹や竹を思わせるものは他にもあるが,

ここまでそっくりでかつ葉脈までササ・タケ的というのは例がない。

隠岐の島町西郷の平(へい)地区,妙顕寺の前の谷川の奧(杉林内)に点々と 見られる。決して少ない量ではない。草丈は

80cm

前後でかなり大きく,しかも しばしば固まって生えるので,ササ似の幅の広い葉(

3

4cm

)と相まって大変

目につきやすい。これほど目立つものが,何故今まで植物関係者に知られずに来 たのか。誰一人この辺りを調べた人がいなかったのであろう。ただ,平地区の人 達はこの植物をちゃんと知っているのではないかと思う。

分布は,中国の長江(中・下流流域の一部),朝鮮半島南部,九州,四国,本州

(北陸・近畿以西),である。最新のデータによると愛知県と栃木県(関東で唯一)

でも発見されている。個体数の非常に少ない種ということで,各地の府県で絶滅 危惧種に指定され,島根県も例外ではない。県東部に

2

3

の生育地(伯太出雲)

があるらしい。中国地方の状況を調べたら,山口・岡山でもレッドデータ,広島 県は「植物誌」によると標本

1

点のみ,鳥取県は不明だった。

今回(

2009.9.25

)写真を撮るために再び現地を訪れ歩き回ってみたが,この谷 筋(林道平線沿い)の外へ はほとんど広がっていない ことが分った。種子をよく つけ,しかも簡単に衣服に くっ付くことを考えると,

広が ら な い の が む し ろ変 だ。ひょっとしたら,何か 理由があって隠岐ではここ にしかないのだろうか。

なお,近縁種のササクサ

L. gracile Brongn.

所で見付けた。これも隠岐 では初めての種で,いよい よ貴重な場所だと思う。

「竹島雑誌」について

「隠岐の文化財」26号(21年3月発行)に発表した「竹島雑誌」については、

字句の校正も不十分であった上、さらに大きな構成上の不手際をしてしまいました。

それは、3ページ目、冒頭の二重枠の中の「竹島雑誌」というタイトルの左下に、

「西ノ島町古文書教室」という九文字が脱落していた事です。そのためうっかりす ると、杉原先生が「序文」に引き続いて書かれた解説文か?と受け取られかねな い形になってしまいました。(杉原先生の序文を読んでいただければ、そうでない ことはお分かりになりますが)いずれにせよ、執筆の責を負うべき「西ノ島町古 文書教室」という名前が、どこにもはいってなかったのが原因で、読者に疑問や 誤解を与えてしまったことを深くお詫びいたします。

西ノ島町古文書教室  真野享男

《執筆者》

吉谷昭彦 元鳥取大学名誉教授

幸塚久典 東京大学大学院理学系研究科付属臨海実験所 隠岐ジオパーク推進協議会

岡崎秀紀 島根県立松江工業高等学校 丹後亜興 海士町文化財保護審議委員 西ノ島町古文書教室

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