第 5 章 原位置試験
5.5 降雨の直接計測
転倒ます型雨量計とドップラーレーダー式雨量計のリファレンス用に設置した雨量計 A の計測精度を検証するために,実際の降雨をメスシリンダーにて直接計測し,他の 3つの 雨量計の計測値との比較・検証を行った.図 5-17に示すように,アクリルパイプとろうと を用いて累積雨量を直接計測できる簡易的な装置を製作した.
この装置を用いて2011年9月4日の5:40~9:30に降った降雨を計測した.計測結果は,
直接計測の累積雨量が 24.3mm,雨量計 A での計測結果が 25.4mm であった.両雨量計は 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 5 10 15 20
経過時間(分)
表面流出量(L/min)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 人工降雨強度(mm/min)
表面流出量 人工降雨強度 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 5 10 15 20
経過時間(分)
表面流出量(L/min)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 人工降雨強度(mm/min)
表面流出量 人工降雨強度
図 5-14 人工降雨時の表面流出量
10 15 20 25 30
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
体積含水率(%)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 10
15 20 25 30
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
体積含水率(%)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
(a) 体積含水率
-6 -5 -4 -3 -2 -1 0
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
間隙圧(kPa)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
-6 -5 -4 -3 -2 -1 0
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
間隙圧(kPa)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
(b) 間隙圧
図5-15 人工降雨時の体積含水率・間隙圧の変動(中腹部)
10 15 20 25 30 35 40
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
体積含水率(%)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 10
15 20 25 30 35 40
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
体積含水率(%)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 人工降雨強度 GL-0.1m GL-0.2m GL-0.3m GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
(a) 体積含水率
-7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
間隙圧(kPa)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
-7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0
0 5 10 15 20
経過時間 (分)
間隙圧(kPa)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
人工降雨強度(mm/min)
人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m 人工降雨強度 GL-0.4m GL-0.6m GL-1.0m
(b) 間隙圧
図5-16 人工降雨時の体積含水率・間隙圧の変動(法尻部)
ともに雨量を直接計測しているが,雨量計 A では貯留された雨量を水位計によって計測し ている.すなわち,両雨量計の計測結果の差は水位計の計測精度であると考えられる.そ して,その差異は極めて小さく,雨量計 A をリファレンス用の雨量計として用いることの 妥当性が示された.
また,本降雨における転倒ます型雨量計,ドップラーレーダー式雨量計の計測結果はそ
れぞれ22mm,17.6mmであり,ともに直接計測の結果よりも小さい値であった.すなわち,
両雨量計とも雨量を過小評価しているといえる.雨量計の誤差発生要因を含めた検討は 6.1 にて,実際の雨量計測結果を踏まえて後述する.
20cm 20cm
図 5-17 降雨の直接計測の様子