第 5 章 原位置試験
5.2 斜面表層からの浸透実験
(0.0275m)と式(5.1)により現場飽和透水係数を求めた.その結果,表 5-1 に示す通り 斜面法肩部の現場飽和透水係数は6.79×10-4 cm/sec,斜面法尻部の現場飽和透水係数は5.48
×10-4 cm/secであった.
飽和透水係数が求まる.
別途,室内試験により Soil (A)の透水係数を求めることにより,斜面表層部(Soil (B))
の飽和透水係数を求めることができる.
5.2.2 定水位透水試験
本浸透実験では,図 5-9 に示すように当該斜面法尻部の集水領域外にある表層土を Soil
(A)として用いた.このSoil (A)の透水係数を求めるために,別途室内試験において定水位
透水試験を行った.図 5-10に室内試験の模式図を示す.同図に示す通り,動水勾配 iは
17 . ) 4 ( 4 . 2
) (
10
cm
i cm
と求まり,この動水勾配における Soil (A)の透水係数は以下のように算出される.
) / ( 01514 . 0 ) 2 (
) 15 ( 10
) / ( 149 . 11 ) ( 4 . 2
2 2
3
s cm cm
cm
s cm
k cm
これより,飽和透水係数 k=1.51×10-2 cm/sec となる.また,本室内試験において求めた
Soil (A)の自然含水比は0.204であった.
5.2.3 浸透実験結果
本実験は当該斜面において法肩部,中腹部,法尻部の計3箇所において実施し,中腹部 においては位置を少しずらして2回実施した.アクリルパイプ内の水位低下と経過時間に より,Soil (A)とSoil (B)を合わせた各地点の表層部の飽和透水係数を求めた.図5-11にそ
図5-10 定水位透水試験の概要
の実験結果を示す.
また,この結果と,5.2.2で算出したSoil (A)の透水係数1.51×10-2cm/secより,斜面法肩 部,中腹部,法尻部の各表層地盤の飽和透水係数を求めた.それぞれの結果の詳細を表 5-1 に,ナコンナヨックとプーケットの各力学特性の比較を表 5-2に示す.
ま ず , ナコ ン ナ ヨ ッ ク の モ ニ タリ ン グ サ イ ト に お け る表 層 部 の 飽 和 透 水 係 数は 10-5~
10-6cm/sec であり,プーケットにおける飽和透水係数の方がかなり高い値となっている.
表5-1 原位置試験結果一覧
表5-2 プーケットとナコンナヨックの比較
-6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
経過時間 (分)
水位(cm)
法肩部 中腹部1
中腹部2 法尻部 8.75×10-3(cm/sec)
9.78×10-3(cm/sec)
1.62×10-2(cm/sec) 1.31×10-2(cm/sec) -6
-4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
経過時間 (分)
水位(cm)
-6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
経過時間 (分)
水位(cm)
法肩部 中腹部1
中腹部2 法尻部 8.75×10-3(cm/sec)
9.78×10-3(cm/sec)
1.62×10-2(cm/sec) 1.31×10-2(cm/sec) 法肩部
中腹部1
中腹部2 法尻部 8.75×10-3(cm/sec)
9.78×10-3(cm/sec)
1.62×10-2(cm/sec) 1.31×10-2(cm/sec)
図5-11 表層からの浸透実験結果
この表層部からの透水性の高さはプーケットの地質である風化花崗岩の特色であると考え られる.地質の相違は表 5-2 に示すように間隙比の違いにも表れており,これが透水性の 違いの要因となっていると推察される.また,地盤内の飽和透水係数に比べて表層地盤の 飽和透水係数が 10-1~10-2程度大きいことから,図 3-21 に示すように深部にいくにつれて 透水性が低下することを示した.