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関西学院大学リポジトリの可能性

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関西学院大学リポジトリの可能性

に対する価格交渉力の向上を目指したが、これにも限 界があった。

機関リポジトリの現状

こ う し た い わ ゆ る 「 シ リ ア ル ズ ・ ク ラ イ シ ス

(Serials  Crisis)」、すなわち「雑誌の危機」と呼ばれる 状況の中で、機関リポジトリは生まれた。機関リポジ トリという用語や考え方は、ほぼ2000年前後に生まれ た と 考 え ら れ る が 、 具 体 的 に は2 0 0 2年 にS P A R C

(Scholarly  Publishing  and  Academic  Resources

Coalition)が、「機関リポジトリ擁護論」という声明書

を公表して以降、学術機関や図書館関係者の間に広く 知られるようになった。SPARCは、もともと学術雑誌 市場に競争原理を導入して価格低下を実現することを 目的としていたが、これには失敗し、そこで新たな戦 略として出版社に頼らない、市場に左右されない学術 情報の発信手段として機関リポジトリという発想に至っ たのである。つまり機関リポジトリとは、研究者が自 分たちの研究成果の発表の場を市場から自分たちの手 に取り戻すための装置であり、学術コミュニケーショ ンにおける圧倒的なパラダイムの転換を実現してくれ るものとして位置づけることができよう。

現在、世界各国において機関リポジトリの構築が進 んでいる。英国ノッティンガム大学のDirectory  of Open  Access  Repositoryによれば、2007年8月で世界の 機関リポジトリの総数は926に達し、その内訳は、ヨー ロッパ457、アフリカ10、北アメリカ290、中央・南ア メリカ43、オセアニア65、アジア61(日本31)となっ ている。2005年9月の段階では、世界で468のリポジト リが登録されていたということであるから、2年間で倍 増という勢いで急速な成長を示している。なお日本で は、その後2008年1月現在、試験公開中のものも含めて 72の大学、研究機関でリポジトリが構築されている。

おわりに

−関西学院大学リポジトリへの期待−

以上のような世界的状況を踏まえて、本学において も 「 関 西 学 院 大 学 リ ポ ジ ト リ (K G U R:K w a n s e i Gakuin  University  Repository)」が、昨年10月からス タートした。残念ながら日本の大学の中にあって必ず しも先駆的ではなく、本学の規模等からすればむしろ 出遅れ気味である。しかしながらその分、構築にあたっ ては後発者利得を活かし、できるだけ「使いやすい仕 組み」となるように工夫したつもりである。KGURに 登録することによって、本学の研究者は研究成果を広 範に発信でき、被引用率も向上する。また個人のホー ムページ等で公開するのとは異なり、大学が責任を持っ て管理、保存するので、安定的かつ永続的な公開が実 現する。その結果、大学にとっても、研究成果を一元 的に公開することで大学の研究機関としての競争力の 向上、ひいては大学のブランド力の向上が実現する。

ま さ にK G U Rは 、「 宝 の 山 」 で あ る と い え よ う 。 KGURについては、わかりやすくコンパクトにまとめ られた案内冊子がある。あるいは、大学のホームペー ジ内に専用のサイトもある。「宝の山」への登山口とし て紹介しておきたい。

[参考文献]

・尾城孝一(2005)「機関リポジトリ」、逸村裕・竹内比呂也編

『変わりゆく大学図書館』勁草書房、第8章。

・倉田敬子(2006)「機関リポジトリとは何か」『Media  Net』

No.13、慶應義塾大学メディアセンター。

・栗山正光(2005)「機関リポジトリ−大学図書館の新しい挑 戦−」『図書館雑誌』99巻11号、日本図書館協会。

・土屋俊(2004)「学術情報流通の最近の動向」『現代の図書館』

42巻1号、日本図書館協会。

・国立情報学研究所・学術機関リポジトリ構築連支援事業HP

(http://www.nii.ac.jp/irp/index.html)

・Directory of Open Access Repositories

(http://www.opendoar.org/index.html).

はじめに

図書館間相互協力(ILL:Interlibrary  Loan)(以下、

相互協力)とは、図書館協力の一形態で、利用者が必 要とする資料を自館で所蔵していない場合に、その資 料を所蔵している図書館へ図書貸借を依頼したり、論 文記事等の複写物を提供してもらうことである。また、

所定の手続きを事前に行い、所属館へ直接出向いて利 用させてもらう閲覧利用もその利用形態の一つである。

相 互 協 力 は 、 学 術 研 究 の 多 様 化 に 加 え て 、 近 年 は Webcat等で全国の大学図書館等の図書・雑誌の所蔵状 況を容易に検索できるようになったことで利用が増え、

学術研究に不可欠なものとなっている。

また、インターネットの普及や通信技術の発達によ り、従来の来館型中心のサービスから、非来館型でサー ビスを受けることも可能となってきている。相互協力 の申込手続きに関しても図書館に来館する申込方法以 外に、オンラインで学外への文献複写依頼もできるよ うになってきている1)

本稿では、関西学院大学図書館の相互協力の利用傾 向に焦点を当て、相互協力や図書館を取り巻く状況に ついて述べたい。

1.文献複写

(1)「文献複写」を取り巻く状況

文部科学省が実施した『平成17年度学術情報基盤実 態調査結果報告』によると、大学図書館での相互協力 の利用件数は文献複写が約9割を占め、図書貸借が残り の約1割であった2)。本学の文献複写件数は表1のとおり である。2006年度の処理件数の合計は9,123件で、相互 協力の合計処理件数(文献複写依頼、文献複写受付、

図書貸借依頼、図書貸借受付)10,005件の91.2%を文献 複写が占めており、全国平均とほぼ同じ割合である。

本学から他大学への文献複写の依頼件数は、年々増 加傾向にあったが、2002年度をピークに減少に転じて いる。全国の相互協力件数を見ても同じ傾向が見られ る。この一番大きな要因として考えられるのが電子 ジャーナルの導入である。国立大学では2000年以降に 国立大学図書館協議会内に電子ジャーナル・タスク・

フォースを設置し、電子ジャーナル契約を行っている。

本学でも、電子ジャーナル導入のための価格、提供、

利用などの統一的な交渉を行うことを目的とした公私 立大学図書館コンソーシアム(PULC:  Private  and Public University Libraries Consortium)に加盟してい る。今後も各大学図書館において資料の電子化や電子 大学図書館利用サービス課業務主担当 

高島 祐子

図書館間相互協力を取り巻く状況と

利用統計から見えるもの

ジャーナル導入の拡大が予想され、従来、学外へ複写 依頼をしていた洋雑誌のなかに、電子ジャーナルから 入手可能な文献が増加することが予測される。今後、

このような電子ジャーナル化の加速によって、文献複 写件数はますます減少傾向を辿る可能性がある。また、

国内では各大学での機関リポジトリへ登録される学術 論文の増加によって、電子化された大学紀要類のダウ ンロードが可能になり、文献複写の依頼が減少すると 思われる。

一方、他大学から本学へ文献複写を依頼された受付 件数は年々増加していたが、2005年度をピークに減少 傾向にある。2004年度に国立情報学研究所のILL文献複 写料金相殺制度がスタートしたことにより、国立大学 間で行われていた料金相殺制度に私立大学も加わった。

これにより、国立大学から私立大学への依頼が急増し、

本学への文献複写依頼が急増した。2004年度以降は電 子ジャーナルの普及の影響もあり、件数は減少している。

(2)利用傾向

2006年度の学外文献複写の利用者区分別の申込件数 をみてみると、大学院生の申込は2,457件で合計依頼件 数5,234件の46.9%を占め、教員が1,075件(20.5%)、学部 生が1,006件(19.2%)、研究員244件(4.7%)、その他452 件(8.6%)であった。

また、所属別の申込件数は、表2「文献複写申込件数」

のとおりである。学部生は文学部、社会学部の依頼が 大半を占めている。大学院生は文学研究科が1,007件で 突出しており、社会学研究科343件、理工学研究科282 件、法学研究科282件、言語コミュニケーション文化研 究科209件であった。学部生、院生ともに商学、経済学 分野の学外文献複写の依頼件数が少ない点が特徴的で ある。また、表2の「その他」の利用者には、職員、卒

業生等が含まれている。

2.図書貸借

(1)「図書貸借」を取り巻く状況

一方、図書を所蔵館より借り受ける図書貸借は文献 複写に比べると過去10年間、件数の顕著な増減は見ら れない。このような傾向は全国的にも同様である3。 2003年度から2004年度にかけて受付件数が増加した原 因は、文献複写で前述したように、2004年度にILL文献 複写等料金相殺制度がスタートして、国立大学から私 立大学へ相互協力の依頼が増加したためと考えられる。

また、貸借図書の利用方法は、ここ数年で状況が変 化した。貸借図書は従来は著作権法の規定により、借 受館内での閲覧に限られ、貸借図書の一部分の複写を 希望する場合は、図書を貸出館に返却後に改めて文献 複写の依頼をしなければならなかった。しかし、2006 年1月に『図書館間協力における現物貸借で借り受けた 図書の複製に関するガイドライン』が承認されたこと により、図書貸借で借り受けた図書の一部分の複写が 可能になったため、大いに利用の便がはかられること となった。

本学でもレファレンスカウンターで利用者に複写が 可能であることを案内した結果、図書貸借の申込件数 は、2005年度の5割増の442件となった。2007年5月以降 は、国立国会図書館からの貸借図書も一部分の複写が 可能になった。1996年から2006年までの図書貸借の処 理件数の推移は、表3「図書貸借件数」に示している。

(2)利用傾向

2006年度の図書貸借の利用者区分別依頼件数をみる と、(表4「図書貸借申込件数」参照)依頼件数が最も

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