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−大学図書館が把握しておくべきこと−

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和図書・洋雑誌・和雑誌を平均 して常用し、和図書をもっとも 利用。洋雑誌の利用は他に比べ 少ない。 

和図書・和雑誌をよく利用。洋 図書・洋雑誌の常用も他に比べ 少なくない。調査報告書・デー タ類の常用が他に比べ多い。 

洋図書・洋雑誌の利用が多く、

和雑誌も使う。和図書の常用度 が低い。他分野に比べ、プレプ リントの常用が多い。 

  人文科学系 

一般      社会科学系 

一般      自然科学系 

一般 

情報媒体の利用度・重要度  分 野  全体的利用傾向 

洋書の常用度が和雑誌より高い が、非利用率も高い。古典・作 品・記録の利用は社会科学より も多い。 

研究文献の常用度が高い。研究 資料は、古典・作品・記録以外 はいずれも常用度が高い。 

1次資料(特記事項) 

目録の常用度が高いが、全体的 に利用度が低い。 

   

索引・目録の常用度が高い。目 次集の利用は人文科学系より多 い。 

 

抄録の常用度が高い。理学系は 総説・展望、工学はハンドブッ ク、医学は索引誌をよく使う。 

2次資料  表1 文部省調査にみる情報利用傾向

大学専任教員対象アンケート調査

文・社会・自然科学系ごとの情報利用傾向を表1にまと めた。

なお、この文部省調査では、資料を研究資料(=研究 素材:以下研究素材と記述)と研究文献(=研究成果:以 下研究成果と記述)の2種類に分けて考えている。前者は 調査報告書や古典・作品・記録などで、後者が図書、雑 誌、プレプリント・レター類などとしている。それぞれ に当たる資料を特定してしまうことの是非は別として、

資料を「研究素材」と「研究成果」の2種類に分けて考える ことは、研究素材であっても研究成果であっても、資 料の形態が「図書」であれば同じ「図書」として認識する 図書館業務の中にはない視点であり、示唆を受けるも のである。

ただ、文部省の調査は30年以上も前のものであり、

現在の図書館の状況とは大きな違いがある。特に、イ ンターネットやWebデータベースは21世紀になってか ら急激に充実してきたものであるため、この変化を捉 えることは現在の図書館にとっては不可欠の課題である。

3.今回の調査にみる

各分野の学術情報利用

以上のことを踏まえ、今回の調査では、本学の先生 方の研究情報利用を把握するため、各研究分野で利用 される資料の「資料形態」「資料鮮度」「情報探索法」につ いての質問を行った。また、あわせて「資料形態ごと の充実度」について図書館置きの資料と学部研究室・資 料室の資料とに分けて質問した。

これらの項目から得られる結果を理解するためには、

分野でのクロス集計による分析が必要である。しかし、

今回の調査では各先生の専攻分野を図書館の「分類」に 合わせて質問したため31もの分野にわたったうえ、一 分野一回答というものもあり、現実的には客観的な分 析は困難であった。そのため、ここでは、今回の調査 結果を研究分野ごとに利用状況と資料の充実度に絞っ て概観し、先の文部省調査の結果と比較してみたい。

(1)利用資料形態

全般的には「図書」「雑誌」「インターネット」がよく利 用されている。それ以外の資料形態のものは、分野や

テーマによってよく使われるものにばらつきがあると いえるだろう。

●分野ごとの利用資料形態

個別の分野ごとの傾向は、先の文部省調査でも、「平 均的人文科学系」とか「やや人文科学的な社会科学系」な どと傾向がまとめられている。つまり、各分野の属す る系の一般と合う部分と分野固有の例外があり、この 点は今回の調査も同様だった。

例えば、「心理」は人文科学系でも利用資料形態は自 然科学系に近いとされ、今回の調査でも電子ジャーナ ルや洋雑誌のニーズが高かった。「数学」は自然科学系 としては珍しく「洋」の「紀要」に高いニーズが見られた。

また、研究対象地域も利用資料に影響があり、当然 ながら、日本やアジアの歴史や文学ではあまり洋資料 は使わない傾向が見られる。

資料ごとに各分野の傾向をまとめると表2のとおりで ある。

この表に見られるWebデータベースや参考図書が人 文・社会科学系でより重視される傾向は、分野でよく採 られる研究手法やよく使われるツールの影響が考えら れる。また、インターネットが自然科学系でより重視 されるのは、有料のもののみならず、Web上に無料の 検索ツールやオープンアクセスの論文などが他の分野 より充実して存在するためではないかと考えられる。

分野ごとの特性は、図書館の収書に既に反映されてい ることも多いが、反映されていないものについては、

資料鮮度ともあわせて踏まえていく必要があるだろう。

(2)利用資料の鮮度

全体的にみれば、図書も雑誌も和洋共に新しいもの の重要度が高いようであるが、決して古いものの重要 度が低いわけではない。このことは大学図書館の資料 が公共図書館等とは違い、永年保存が原則であること からも、容易に推測されることではある。しかし、ま た、特に分野による違いが見られる部分でもある。

●分野ごとの利用資料の鮮度

今回の調査の結果の範囲で見れば、新しいものも古 いものも資料種別を問わず重要度が高いのは、宗教、

傾   向  資料形態 

特に、人文科学系(宗教、哲学、教育、日本文学、外国・比較文学、日本史、アジア史、地理)

で重視され、社会学は洋書を重視。その他、統計、環境などでも重視。 

人文・社会・自然科学系のいずれでも重視。 

自然科学系と心理、社会学が目立っている。 

人文科学系(日本文学、日本史、地理等)でのニーズがかなり高く、社会科学系でもニーズは ある。自然科学系は数学ではニーズがみられる。 

日本史、地理で強いニーズがあり、その他人文・社会科学系で過去や現在の事象を対象とするよ うな分野でニーズがある。 

人文・社会科学系で重視。特に多くの人文科学系と政治・行政、社会学、また、数学や環境など でも比較的重視。 

自然科学系より人文・社会科学系(哲学、教育以外)で重視。日本史、地理は和のデータベースを 重視。 

特に自然科学系で重視され、人文・社会科学系でもよく使われている。ニーズが少ないのは法律、

経済で、哲学、天文学、地学ではあまり使われていない。 

図 書  

 

冊 子 体   電子ジャーナル 

紀 要  

 

新 聞  

 

参 考 図 書    

Webデータベース   

イ ン タ ー ネ ッ ト   雑

    誌 

表2 アンケート調査にみる資料形態別各分野の利用傾向

地理、技術である。哲学、外国・比較文学、法学、経済 もそれに近いが、哲学は古いもの、外国・比較文学は資 料の鮮度を問わず図書を、法学は新しいものが、やや 重視されており、経済については、新しい資料を重視 しているものの個人差がある。他と比べて古い資料の 重要度が高いのは美学である。

また、心理、語学、政治・行政、商学、化学などでは 図書・雑誌共に新しいものの方が重視されている。生物 や天文学・地学では、資料の鮮度にかかわらず図書より 雑誌が重視されている。新しい雑誌は、心理、教育、

社会学、福祉、物理、化学、情報などで重視されてい る。また、日本文学、日本史、統計では資料鮮度を問 わず、対象地域の影響からか和資料が重視されている。

なお、これらは分野の平均を見たときの結果であり、

研究テーマの時代によって必要とする資料の鮮度に違 いが出ることも推測され、一概に分野だけで結論づけ られるものではない。

(3)情報探索法

従来に比べ、最近では情報探索の手段としてWebデー タベースやインターネットは非常によく使われ、不可 欠なツールとなってきていることがわかる。しかし、

全体的にみれば芋づる式探索で論文の参考文献をたど って行く方法は、冊子体の検索ツール使用よりもよく 利用されるものであり、重要な手段であるようだ。こ の芋づる式探索はより和資料の方が利用頻度が高いと いうことから、この方法が有効な方法であることと共 に、和資料の電子ジャーナルや引用データベースがまだ まだ充実していないことが原因の可能性がある。

●分野ごとの情報探索法

分野を問わずWebデータベースやインターネットは よく使われており、検索ツールについては、各分野で も冊子体から電子媒体にシフトしてきていることがわ かる。ただ、哲学や統計や技術・工学で参考文献等の芋 づる式が、アジア史では冊子体の検索ツールがより重 視されている。これはその分野のメインとなる検索ツー ルがどのような形態や媒体で提供されているかという ことと大きな関連があると思われる。

和洋については、当然利用するための資料を検索す ることから、各分野で利用資料形態と同じような傾向 がみられる。つまり、自然科学系などの洋資料をよく 使う分野は当然のことながら洋のツールをよく使い、

対象地域が日本やアジアのものはあまり洋のツールを 使わない。

新刊雑誌の目次はほとんどの分野でそれなりには使 われているが、非常によく使われているといえるのは 一部の分野だけである。これは、参照すべき論文の掲 載される雑誌数が多い分野とかなり限定される分野と で違いがあるのかもしれない。さらに、冊子だけの時 代とは違い、電子ジャーナル等ではあらかじめ登録し ておいたキーワード等に関連する新着論文がE-mailなど で通知されるアラート機能などもあるため、新着雑誌 の目次の重要性があまり高くなくなってきていること も推測される。

(4)資料の充実度

ほとんどの資料について「充実していない」よりは「充 実している」という回答の方が多く、西宮上ケ原キャン パスのみにある学部研究室・資料室よりも、図書館の方

が資料の充実度が高いという結果が得られた。しかし、

Webデータベース、電子ジャーナル、図書、雑誌、辞 書・事典では、「充実していない」という回答も見られた。

また、各分野で研究用資料と教育用資料を比較する と、必ずしも同じではないことから、研究に使われる 資料と教育に使われる資料は内容的には相違があると いうことが分かる。

●分野ごとの研究用資料の充実度

基本的な資料である図書や雑誌については、充実度 が低いとする分野はなかった。ただ、研究室・資料室の 方が図書館より研究用資料が充実しているとする分野 もあり、研究に使われる資料は手元に置かれることも 多いことが分かる。

それ以外の資料については、分野によって利用に違 いがあるため、各分野でよく使われる資料の充実度を 見る必要がある。特に使われる分野が少ないのは、和 古書・古文書で、日本やアジアを対象地域とする文学・

史学で使われている。また、西洋古典資料等は心理を 除く人文科学系と福祉、政治・行政以外の社会科学系で 使われている。これらは資料の特性上、不足ではない ものの非常に充実しているとはいえない。

判例・法令は、福祉以外の社会科学系と教育や歴史、

美学、外国・比較語学で使われ、よく使う分野では充 実度を比較的高く捉えている。

統計は全社会科学系と人文科学系の教育、語学、歴 史、地理で、自然科学系では化学、生物、環境で使わ れている。これらの中で、特に環境では充実度が高い と回答されている。

大学紀要は、数学以外の自然科学系ではあまり使わ れないが、使うとしている分野では充実がみられる。

電子ジャーナルは哲学などではあまり使われないよ うであり、日本語学や情報などでは比較的充実度が高 いと捉えられている。

●分野ごとの教育用資料の充実度

教育用においてはいずれの分野でも学部研究室・資 料室よりも図書館の方が充実しているとなっており、

両者の違いがはっきり分かる結果となっている。教育 用の資料については、いうまでもなく、今後も図書館 での充実が重要であろう。

4.世代ごとの学術情報利用の違い

今回の調査では、回答者の年齢層についても質問し、

先に見た項目とのクロス集計を実施した。その結果、

世代別では、細かい部分での違いは見られるものの、

情報利用に分野ほど大きな違いはなかった。

●資料形態

いずれの世代も図書・雑誌を重視し、紀要、電子ジャー ナル、インターネットもよく使うという結果が見られ たが、電子ジャーナルについては、特に20〜40歳代で 重視されており、より若い世代の方が利用度が高いと いう結果となっている。また、60歳代では他の世代に 比べて、インターネットやWebデータベースの利用が 低かった。このことから、インターネットやWebデー タベースといった新しい媒体の資料については、若い 世代の方により使われるという結果になっている。

ドキュメント内 untitled (ページ 42-46)

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