大学専任教員対象アンケート調査
(4)オリエンテーション・講習会について
<全体をとおして>
「新入生対象オリエンテーション」および「文献の 探し方講習会」ともに、利用経験がある教員のほぼ全 員が「満足」と回答しており、満足度は高い。
一方、「申し込んだことがない」、「行っていることを 知らない」と回答した教員も約半数近くいるが、この 多くは神戸三田キャンパスの教員やゼミを担当しない 教員からであった。
そのため、オリエンテーション・講習会の認知度を西 宮上ケ原キャンパスの6学部の教員からの回答だけを取 り上げて調べてみると、「行っていることを知らない」
と答えた教員は1名のみで、認知度は高いといえる。各 学部のゼミ担当教員全員に実施案内と申込書を送付し たり、大学図書館のホームページに申込書を掲載して 電子メールでの受付を行うなど、広報に力を入れると ともに、申し込み方法の工夫を行ったことの効果が現 れているといえる。
しかし、認知度が高い反面、「申し込んだことがない」
という回答が「新入生対象オリエンテーション」では 41%、「文献の探し方講習会」では47%ある。その理由 については今後調査を行い、より効果的な広報や実施 形態、実施内容の改善につなげていく必要がある。
ただ、注意しなければならないのは、それらの回答 の中には、ゼミを担当していない教員の回答も含まれ ていることが考えられ、その場合には「申し込みをす る必要がない」ために「申し込んだことがない」という 回答になったということが予想される。
今後、こういった調査をする場合、より明確な回答 を得るためには、ゼミ担当の有無やキャンパス別の実 施形態や呼称の違いを反映させた質問設定を行うべき である。
<実施内容について>
「文献の探し方講習会」では、「データベースの使い 方」や「分野に即した文献検索法」に関する要望が高 く、卒業論文・レポート作成等に直接役立つ有効な情 報収集の方法・ツールを学ばせたいという教員の強い 要望があることがうかがえる。
「レポート等のまとめ方」に関する要望は少なく、
現在の「情報探索方法の指導」を中心とした実施内容 が大学図書館の守備範囲であるというスタンスは正し いと言える。
今後は、教員からのニーズに十分に応えられるよう に、回答に記された意見を参考にして、「文献の探し方 講習会」のカリキュラムの見直しを行っていく必要が ある。例えば、OPAC基本検索講習会と文献検索講習 会といったように内容のバリエーションを検討し、実 施することも考えられる。
OPACについては、利用者にとって操作性がよいも のになっており、また利用者自身のパソコンスキルも 向上しているため、講習会の際には簡潔に要領よく行 うことがアンケート結果では求められている。しかし、
実際には学生がOPACを十分に使いこなせているとは 言い難く、教員の認識および講習会へのニーズと学生 の実状とには開きがある。
(5)OPAC各機能の利用経験・認知度について OPACの機能については、「蔵書検索」の利用が中心 であり、その他の機能についても知られてはいるが、
利用経験は多くない。特に、2006年4月から開始した
「貸出期間更新」や利用開始後数年が経過している「他 大学等への文献複写依頼」については、相対的に認知 度が低い。
全体的に「蔵書検索」以外の機能が十分に認知され ていないため、今後の広報をあらためて検討する必要 がある。「貸出期間更新」の開始にあたっては、大学図 書館運営委員会やホームページでの案内だけでなく、
事前に全専任教員に対して文書で通知したにもかかわ らず認知度が低く、教員に対する広報の有効な方法や 手段について検討しなければならない。例えば、教員 対象の利用ガイドやハンドブック類を作成して配布す るなど、新たな広報手段を講じ、OPAC機能の有効性 やメリットを訴えていく方法が考えられる。
(6)Webデータベース・電子ジャーナルの利用経験・
認知度と学外からの利用希望について
Webデータベース・電子ジャーナルとも認知度は高 いが、利用頻度がそれほど高いとは言えない。ここ数 年のWebデータベース数、電子ジャーナル数の急激な 増加にもかかわらず、それぞれが十分に活用されてい ない状況がある。レファレンスカウンターでの複写依 頼の際に、電子媒体で本文を入手することができるこ とを知り驚かれることが多いことからも、図書館が提 供しているWebデータベースと電子ジャーナルの内容 について周知されていないことが推察できる。
OPAC機能の広報だけでなく、教員が利用できる図 書館サービスをまとめた利用ハンドブック(マニュア ル付き)を作成するなどして、サービス内容の周知を はかるための広報活動の充実が必要である。また、ニー ズに合った契約内容となっているかどうかの検討も必 要である。
なお、Webデータベース・電子ジャーナルともに学 外からの利用希望の割合が高い。このニーズに応える ためには、VPN接続の早期実現に向けて、予算確保、
学内調整等の努力を引き続き行う必要がある。
(7)オンラインサービス利用にあたって希望する サポート内容について
Webデータベース、電子ジャーナル、OPACのいず れも「新規・更新情報の提供」の希望は多く、特に Webデータベースと電子ジャーナルについては「操作 マニュアルの配布」を希望している教員が多い。
「講習会」の実施や「個人指導」を希望する割合が 低いのは、事前予約制を採っているために時間的制約 を受けることが理由として考えられ、必要なときに、
必要とする情報のみがわかればよいという姿勢、ニー ズが見受けられる。
今後は、各Webデータベースの利用マニュアルの作 成を検討する必要がある。しかし、これらのマニュア ル作成および配布にあたっては、Webデータベースの 内容も利用方法も変化が激しいため、紙媒体が望まし いのか、あるいはWeb上でのものが望ましいのか、媒 体の選択についても検討する必要がある。
(8)教育指導時の図書館資料の利用指示について 教員による学生への図書館資料の利用指示について は、講義の中で行われる場合が多い。日本の大学教育 では、欧米に比べて、図書館資料を使って学習するよ うに、学生に直接指示をしたり、指導する傾向は強く ないと一般的に言われている。アンケートの回答も
「特に指示しない」の割合が3割を超えており、本学で も同様の傾向があることがわかる。
大学図書館では、教育・研究を支援するという役割 を果たすべく蔵書の充実を図っている。しかし、学生 への利用指示が徹底されていない現状を見据えて、大 学図書館の蔵書がより有効に活用されるよう教員と図 書館との機能的な連携を図る方策を考える必要がある。
(9)指定図書制度の利用経験について
指定図書制度を「利用しなかった」の割合が70%近 くもある。その理由として、授業担当教員の教育ポリ シーによるところもあるが、制度の目的や活用方法が うまく教員に伝わっていないということが考えられる。
教員の教育ポリシーに関わる点については如何とも しがたいところがあるが、手続きや購入冊数などの運 用方法について改善を求める意見も出されており、利 用実態からの分析などを行い、制度の主旨の伝達方法 と併せて、運用面での改善をあらためて検討する必要 がある。
(10)図書・資料の利用および充実度について
全般的に、和資料については図書と雑誌、洋資料に ついては電子ジャーナルも含めた雑誌の重要度が高い。
また、自由記述欄に「大学紀要の充実」が大学図書 館への希望として記されているように、大学紀要を研
究用資料として重視している教員がいることは明らか である。現在、各大学図書館とも大学紀要のデジタル 化が進んでおり、国立情報学研究所のCiNiiなどで本文 を閲覧できるようになってきている。本学図書館でも 大学紀要の紙媒体での収集保存や今後の紙媒体の取り 扱いについては慎重に検討しなければならないが、併 せてCiNii等の電子媒体での閲覧機能を広報し、周知し ていく必要がある。
教育・研究分野における所蔵資料の充実度について は、回答率が高い。しかし、学部研究室・資料室がない 神戸三田キャンパスに所属する教員からの回答では、
当然のことであるが「②学部研究室・資料室」につい て「無回答」の率が高い。今後、同様の調査を行う場 合には、「学部研究室・資料室」に関する質問について は、西宮上ケ原キャンパス所属の教員に限定してみて いくことが必要である。
全体的に見て、資料の充実度については、比較的満 足度が高いといえる。
(11)大学図書館からの情報収集について
教員の大学図書館に関する情報収集は、「大学図書館 ホームページ」を利用した割合が圧倒的に高い。また、
電子メールで図書館の情報を知らせてほしいという要 望も複数件あげられている。今後は、希望者に対する メールマガジンでの情報発信など電子媒体による情報 提供を一層推進していく必要がある。
一方、来館時には館内掲示を利用している割合も比 較的高いため、いかにインパクトのある掲示を行って いくか、掲示の見せ方の工夫が求められる。しかし、
教員専用の掲示板はないため、教員に限定されたサー ビスの案内については、今まで通り個別に文書で行わ ざるをえない。
時代の流れからすれば、今後の大学図書館からの情 報発信の手段としては、MyLibrary(図書館ポータル サイト)の機能やメールマガジンを利用する傾向が強 くなるであろう。しかし、現状ではまだまだすべての 教員がE-mailやホームページを利用しているとは言えな い状況が見受けられるため、電子的な情報発信と併せ て館内や各学部・研究科内での掲示による情報提供、個 人宛文書送付も並行して行なっていかざるをえない。
3.今後に向けて【課題】
今回実施したアンケートの回収率は全体の24.1%、回 答数は117名と、期待していた数字よりも低いものであっ た。したがって、寄せられた回答をクロス集計するこ とが困難であり、教員の利用実態およびニーズを把握 し、今後の大学図書館運営に活かしていくほどの結果 を十分に得ることはできなかった。