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アメリカの大学図書館 訪問レポート

ドキュメント内 untitled (ページ 46-51)

Gelman Library スターバックス

コース」の中で、2〜3コマをライブラリアンが担当し ている。必修科目のため、1年生全員が受講している。

クラスごとにテーマが違うため、内容は若干異なるが、

文献検索の基礎を教えている。その他、教員や研究員 の求めに応じてガイダンスが企画されており、年間300

〜400のセッションが行われている。

コロンビア大学

コロンビア大学はニューヨーク州マンハッタンに本 拠地を置く私立大学である。C.V.スター東亜図書館野口 幸生氏のコーディネートで、メインライブラリーであ るButler  Libraryをご案内していただき、利用教育、電 子図書、メディアセンター、選書管理、人事と様々な 部署の方にお会いすることができた。コロンビア大学 の訪問で実感したのは、アメリカの組織が細分化、専 門化されているということである。日本人の感覚から すれば、部署間の連携や情報共有などの点で色々と不 都合が起こるのではないかと心配になる。しかし、細 分化された組織に配属された少数の担当者は、それぞ れが責任者であり、自分の業務に関係することについ ては、必要に応じて他部署と十分にコミュニケーショ ンをとり連携しながら責任をもって業務を進めている ため、問題ないそうだ。一長一短あると思うが、細分 化された中であっても一人ひとりが大きな責任を持ち、

役割が明確であることが、アメリカ社会においてはマン パワーを生かす上で重要なことであるように感じた。

ここでは、利用教育について、担当のAnice  Mills氏 から伺ったお話を報告したい。コロンビア大学では、

利用教育として、新入生全員に1枚ものの図書館ガイド を配り、簡単な説明を行っている。また、1年次必修科 目である「English Writing Course」(1クラス12名程度)

の1時間をライブラリアンが担当し、文献検索の基礎を 教えている。その他、文献検索の講習会に並行して、

WordやExcel、Endnoteなど様々な講習会が年間を通し て行われている。近頃は、Wordなどの講習会の方がよ り人気が高いため、その中に文献検索の要素を組み入 れて興味を引いた上で、文献検索講習会への道筋をつ けるという方向性も考えられている。有効な方法だと 思われる。講習会に利用する教室は、図書館内に1教室 しかないため、予約を取るのが難しい。PCは25台ほど であるが、無線LANがあるので、ノートPCを持ち込ん で参加することも可能である。

メリーランド大学

メリーランド大学図書館は、ワシントンDCの郊外メ リーランド州カレッジパークに位置する総合州立大学 である。メリーランド大学図書館はメインライブラリー のMckeldin  Libraryと7つの図書館からなる。Mckeldin Libraryの前には、スクールマスコットである亀のブロ ンズが利用者を歓迎している。入り口右手にはカフェ があり、さらにその奥がメディアセンターになってい る。州立大学であるメリーランド大学の大学図書館は、

一般に公開されており、入館時のチェックはない。館 内には、幼い子供連れの家族なども目に付き、公共図 書館のような雰囲気も感じられる。

利用教育部門Jenny  Hatleberg氏の紹介で文献検索入 門オリエンテーションを見学する機会を得た。このオ リエンテーションは「English  101」という授業の1コマ でライブラリアンにより行われる。「English  101」(論 文の書き方入門)は、学部共通の必修クラスで1年生全 員が受講する。1クラスは20名程度である。このクラス におけるオリエンテーションは年間100回以上行われ、

この授業を通じて大学図書館のサービスや基本的な文 献検索の方法、大学図書館ホームページやデータベー スの利用法について、1年生全員に伝えることができる ようになっている。

オリエンテーションはMcKeldin  Library内の演習室 で行われる。オリエンテーション担当者の画面を映す 正面スクリーンを見ながら、参加者は自分のPCを操作 する。演習形式のオリエンテーションである。クラス によって扱うテーマが異なるため、検索に使用するキー ワードやデータベースはクラスごとに異なるが、レジ メは共通のものを利用している。テーマについては、

事前に担当教員と打ち合わせをしている。レジメに加

C.Vスターコロンビア亜細亜図書館 閲覧室

えて、共通のEnglish101専用Webページが用意されて おり、そこを出発点として説明が行われる。オリエン テーションの中では、まず自分のテーマを決める、そ のテーマについて調べる、そのテーマに関する他のキー ワードを連想する、それらを組み合わせて、本、雑誌 記事、新聞記事などで事例や先行研究などについて調 べるという基本的な文献検索のステップを、40分弱で 演習・説明する。その後、20分程各自で自分の調べた いことについて検索し、わからないところがあれば質 問するという流れであった。この演習で紹介したデー タベースは、CQ  Researcher、LexisNexis、USMAI等 であった。USMAIはOPACにあたる蔵書検索システム であるが、メリーランド州にある大学等の蔵書を横断 検索できる。キャンパスを絞って検索することも可能 である。オリエンテーションの中で紹介されたデータ ベースは、日本で利用しているものと共通のものが多 く、学術研究のグローバル化の中で仕事をしていると いう実感を新たにした。オリエンテーションの内容や 手法は、関西学院大学図書館が通常行っているオリエ ンテーションに共通の部分が多い。しかし、授業のカ リキュラムに組み込まれ、1年生全員に対して行ってい るという点が非常に良いと思う。大学での学習、レポー トや論文の作成には、大学図書館が不可欠であり、早 い段階で基本的な資料の検索方法を周知させることは、

その後の学習に大きな貢献をすることだろう。

この他にも、より上級者向けや、各分野別の専門的 なオリエンテーションなど、多数のオリエンテーショ ンが教員等の要請により行われている。

Nonprint  Media  Services  Libraryへも案内していた だいた。名前のとおりビデオ・DVD・データベースな ど紙以外の媒体を扱う図書館である。ガラス張りの

広々としたスペースには視聴覚ブースやPCが並んでお り、自由に利用できる。視聴覚ブースでは、ビデオや DVDの利用、ケーブルテレビの視聴ができる。また、

授業用に利用する映像を定期的に放映するチャンネル が設けられており、学生は自分のクラスに必要な映像 が流れているチャンネルを選択して見ることができる。

ここを基点として、キャンパス学術ケーブルがつながっ ており、キャンパス内の教室や寮などからも、ケーブ ルテレビや学習用チャンネルを見ることができる。

多くの資料がオンラインで提供されており、オンデ マンド方式で学内のどこからでも見ることができるよ うになっている。今後は、ますます多くの資料をオン ライン化し、どこからでも自由にアクセスできるよう にしていきたいとのことであった。オンライン化する 資料は、著作権の問題をクリアできているものの中か ら、図書館員がピックアップしサーバーにダウンロー ドしている。また、教員の要望により行う場合は、オ ンライン化の権利を有料で購入することもある。権利 が寄付されることもあるらしい。

グループ用視聴覚室や、視聴覚機器を備えた教室も あり、授業や様々なグループに利用されている。グルー プ用視聴覚室は、それぞれ区切られてはいるが、ガラ ス張りになっており外からも映像が見られるオープン な造りになっている。

ヘッドホンや、プロジェクタ、ケーブル、スピーカー など周辺機器の貸出も行っている。倉庫には、旧式の 録音機、再生機、スピーカーなどあらゆるものを保存 している。いつか必要になることがあるかもしれない ので、古いものでも必ず保管しているそうである。

授業に必要なテレビ番組を教員に代わって録画する サービスも行っている。マネージャーのAllan C. Rough

広々としたNonprint Media Services Library フロア メリーランド大学

文献検索入門オリエンテーション

氏は元放送局のアナウンサーだったそうである。将来 は、ビデオ編集機や画像編集ソフトなども設置し、メ ディアを視聴するばかりでなく、加工・作成すること も可能なスペースにしていきたいとのことであった。

以前、神戸三田キャンパス図書メディア館では館内に ビデオ編集機や画像編集ソフトが搭載されたPCをおい ていたことがあった。コンピュータ利用相談カウンター もあり、サポート体制も充実していたため、多くの利 用があった。残念ながら現在は撤去されてしまったが、

非常に先進的な設備であったといえよう。そのことを お話すると、Rough氏もそれらの設備について大変興 味を持たれると同時に、撤去されたことについて、驚 くとともに残念がっておられた。

プリンストン大学

プリンストン大学は、ニュージャージー州に本拠地 を置く私立大学である。East  Asian  Libraryに牧野泰子 氏 を 訪 ね た 。 始 め に 、 メ イ ン ラ イ ブ ラ リ ー で あ る Firestone  Libraryをご案内いただいた。Firestone Libraryで特徴的だったのは、エントランス右手に設け られたCotsen  Children's  Library であった。絵本や児 童本が多数配架されているばかりでなく、おもちゃや 小さな家など子供のための遊び場が設けられている。

このスペースだけは近隣の親子連れが自由に出入りで きるように開放されており、大学図書館の地域貢献の 一環となっている。

Firestone  Libraryには人文・社会科学系資料を中心 に、閲覧室、ILLサービスの部門、ライブラリアン用の トレーニング室、マイクロ資料室など多くの施設があ る。書架の間に埋もれるように、ライブラリアンの個 室が配置されており、ドアには専門と名前が明記され

ている。学生は、レファレンスカウンター以外でも、

ライブラリアンの部屋を直接訪ねて、質問をするそう である。時には部屋の前に長い行列ができていること もあるそうだ。

一般的に米国でライブラリアンになるには、アメリ カ合衆国図書館協会認定の専門職大学院の課程を修了 していることが求められている。それに加えて、それ ぞれの専門分野の修士課程や博士課程を修了している 人も多い。アウトソーシングはまったく行っておらず、

分類などもすべて自前のスタッフが行っている。米国 では大学図書館でのアウトソーシングは行われていな いとのことであった。牧野氏の日常の業務は、選書、

レファレンス、利用者オリエンテーション、各委員会 関係の仕事と多岐にわたる。サービス内容は各人の裁 量に任されており、自由に決めることができるため、

ライブラリアンのサービスには終わりがないらしい。

牧野氏の場合、長年の間に自然にできた利用者名と研 究分野を書いた独自のリストを基に、ある利用者の研 究に役立ちそうな資料を見つけた場合は、個別にメー ルでお知らせしている。リストの中には、プリンスト ン大学の教員や学生以外にも、卒業生や、以前に牧野 氏が働いていた大学の研究者、プリンストンから他の 大学に移った研究者なども含まれており、現在も情報 提供を続けている。学外者への情報提供は必ずしも必 要というわけではないかもしれないが、長年の研究を サポートしてきたので、たとえその利用者が大学を離 れても気がかりで仕方がないとのことである。教員や 研究者とは深いつながりをもっており、研究活動に欠 かせないプロフェッショナルとして頼られる存在であ るという。研究者の著書の謝辞のところに、お名前が 記されることも多い。

親子連れの交流スペース Cotsen Children's Library 多くの機器が並ぶNonprint Media Services Library 事務室

ドキュメント内 untitled (ページ 46-51)

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