RTミドルウェアなどを活用し試作開発を容易にすることで,早期に実証実験 を可能とし実用化の際の課題の共有や,実証実験を通じて開発側が意図しない 用途などを確認することができた.このようなモジュール化の考え方を適用し,
再利用性を考慮し実用化を目標とした災害対応ロボットの開発の有効性につい て,同じような車輪型の災害対応の研究開発用を目的としたロボット「FUMA」 と,FUMAをベースに商品化された研究開発用プラットフォーム「BlackShip」 の事例と比較し検証する.
FUMAは,2004年にRoboCup Rescue実機リーグに参加するために,電気通信
大学松野研究室(当時),稲見研究室(当時),日本SGI株式会社らにより開発さ れた研究開発用のロボットである.FUMAは4輪のタイヤと,1本のアームを備 Fig. 3-12: The generated map based on the sensory data obtained around
the gas turbine generators.
( o : Start position of the robot, x : camera positon and posture that the image of Fig. 3-11(b) was taken)
えたシンプルなボディに,3台のカメラと各種センサを装備し,操作はWindows ベースのPCから有線/無線LAN経由で行う構成であった.また,FUMAを元に 2005年にはロボットの研究開発用プラットフォーム「BlackShip」が日本SGI株 式会社より販売された.MATOIとFUMA,BlackShipの仕様を比較した表を
Table 3-4に示す.FUMAは,大学の研究室らが構想設計を行い,企業によって
実際の設計が実施されたが,構造設計(機械部品)やソフトウェアなどはすべて 新規設計であった.また多くのセンサ類を搭載していたが,MATOIのようなモ ジュール構造では無かった.また,センサやシステムの追加や変更を前提として おらず,ソフトウェアについても専用開発となってしまっていたために,設計の 変更が困難な構成であった.FUMAの開発には,4名程度の開発者(システム設 計1名,構造設計1名,回路設計1名,ソフトウェア開発1名)が,フル稼働で4カ 月の期間で,約16人月の工数(人数×期間(月)×稼働率)で開発を実施した.
BlackShipは,FUMAを元に日本SGIが移動ロボットの研究者以外でも,容易
に移動ロボットを用いた研究ができるように,構造のモジュール化から,センサ 類への電源供給や,台車部の制御にはローレベルなシリアル通信の他に,ソフト ウェアインターフェース(API:Application Programming Interface)を有し た構成としていた.BlackShipの開発には,3名の開発者が(構造設計1名,回路 設計1名,ソフトウェア開発1名)が,約7人月で開発を実施した.BlackShipの 場合には,FUMAを元としているが,製品化のための作業として,量産性や保守 性などにリソースが割かれた開発が行われている.
MATOIの開発には,大学の研究室のスタッフと学生の3~4名が中心となり,
開発期間は約半年間程度で,約6人月で開発を実施した.各移動ロボットの開発
工数をTable 3-5に示す.用途や目的,開発者のスキルなどの条件が同じでは無
いために,同一の比較はできないが, FUMAはMATOIと比べ約2.5倍の工数が 発生していることが分かる.これは,ソフトウェアにRTミドルウェアを用いる ことにより,他の研究開発の成果物の再利用を可能とし,ハードウェアにも市販 プラットフォームなどの市販品で構成したことにより,開発の効率化と開発期 間の短縮が実現し,提案するシステム設計の有効性が示せたと考えられる.
Table 3-4: Comparison of mobile platform robots
Table 3-5:Comparisons with other research and development mobile platform robots
MATOI FUMA BlackShip
Size
L 1120mm W 720mm H 610mm T 533mm
L 640mm W 460mm H 310~800mm
T 310mm
L 640mm W 460mm H 310mm T 310mm
Weight 109 [kg] 30 [kg] 20 [kg]
Motor Power 1.5kW × 4 DC 150W × 2 DC 90W × 2
Max Payload 100 [kg] 40 [kg] 40 [kg]
Max Spped 30 [km/h] 1 [m/s] 1 [m/s]
Max Driving
time 6~8 [h] 1~2 [h] 2~3 [h]
Mounted sensor
PC, Encorder, LRF, Camera, Acceleration
sensor, Speaker, Mic
PC, Encorder, LRF, Camera, IR sensor, Acceleration sensor, ,
Speaker, Mic
Encorder
Softwaer Linux, RT-Middleware
Windows (non-middleware) Dedicated application
non-OS non-middleware
(a) Key member
(b) Operating rate
(c) Sint (month)
man-hour ((a) * (b) * (c))
MATOI 4 25% 6 6
FUMA 4 100% 4 16
BlackShip 3 75% 3 6.75