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4.3. ガンマ線照射実験

4.3.4 実験結果からの考察

化させる耐放射線対策設計(RHBD:Radiation Hardness By Design) が必要である.しかし,既存の製品(COTS)では,大幅な設計変更が必 要であり,コスト面や製品サイズ,動作スピード,消費電力などに影響を 与えるため,困難である.このため,EPROMなどの半導体デバイスの周 囲に鉛などの重金属で,簡易的に覆うなどの対策が有効と考えられる.

2. 症状:

光学系の受光素子部品の劣化が確認されるが,出荷可能品質の許容内で あった.

考察:

受光素子の破損であることから,はじき出し損傷効果による影響と考え られる.

対策案:

光学系の受光素子部品は,放射線に対して暴露する必要がある場合が多 い.このため,放射線の照射方向を減らす目的に,Fig. 4-15のようなフー ドを追加することで,放射線の放射量を減らすことが期待できると思わ

れる.Fig. 4-15は,LRSを屋外に設置した際に,センサに対して直射日光

が入ることを防ぐための,屋外用の日除け板である.

3. 症状:

レーザーモジュールの破損があり,モジュールの交換により正常動作を 確認した.

考察:

モジュールの破損部位が不明であるが,ハードエラーであり,トータルド ーズ効果かはじき出し損傷効果によると考えられる.また,対策案は第2 項目目の症状の場合と同様な対策が有効であると考えられる.

Fig. 4-15:Sunshade and Weather protection [117]

Sensor Protection

なお,測定結果の精度を向上させるためには,センサの台数を増やして実験を 実施する必要がある.さらに,原子力災害などで想定される線量率の調査が不足 したため,今回は過大とも思える線量率での実験を実施した.今後は想定される 線量率を明確にするための調査・検討と,適切なカテゴリ分けについて詳細な検 討を行う必要がある.

また,民生品機器の開発メーカーにとって,放射線耐性を備えた特殊仕様の機 器の開発は,メーカー単独では負担であり,専用機器の開発はロボットの設計開 発の選択肢を狭めることになる.そこで,既存の製品を活用した放射線耐性を向 上させる手法が必要となる.さらに,電子部品が仕様上で放射線耐性を有するこ とをメーカーが証明すると,輸出の際に手続きが煩雑になる可能性があり,すで に流通する民生品に影響を与える可能性もある.今後はこれらを考慮した,移動 ロボット向けの設計も考慮した,光学系センサ類の放射線遮蔽方法について検 討を行っていく必要がある.

実験手法について,センサの固定の不良という課題が有った.Fig. 4-10にあ る,(b) SICK LMS100の積算線量30~45[Gy]付近でノイズ率が約1.5%まで上昇 している箇所と,(c) SICK LD-MRSの積算線量170~210[Gy]付近でノイズ率が 80%まで上昇している箇所は,検証の結果どちらもセンサの固定が不十分であ る可能性があった.今回実験に使用したLRSは,計測用のレーザーをモータで回 転させている.このモータの回転により,センサ全体が微小な振動をしていた.

Fig. 4-16に示した,2つのセンサの設置事例では,積み重ねた木の板や,紙管の

上など不安定な場所にセンサを設置したために,センサ本体の微小な揺れによ り,センサが徐々に移動したと考えられる.LMS100の場合では(Fig. 4-16 (A)), 配置の関係からセンサを置く台に,揺れやすい木片を使用したため,振動がノイ ズ率に影響を与えたと考えられる.さらに,LD-MRSでは(Fig. 4-16 (B)),ノ イズ率は緩やかに上昇しており,開始時と終了時の背景データが若干回転して いたことから,固定が不十分であったことが原因の一つと考えられる.追加の実 験では適切な対策を講じる必要がある.

Fig. 4-16:Experimental setting of the sensors