ⅰ 新サービスの事業化において、以上の全体設計により、人・資金等を調達して、特定の場所 で、開業準備を行い、実際の事業運営を開始する。
ⅱ 開業準備として、必要な源泉を調達し、要員の指導・研修を行い、上記の全体設計を実体化。
ⅲ 実際の事業運営を開始して、市場で人、IT等のインターフェースを通じて顧客に対し、差別 化されて競争力のあるサービス供給の提案(ソリューション提案)を行う。この際、顧客の 期待する以上のサービス品質と予想する価格以下のサービス価格を提示して顧客からみたサ ービス価値を高める必要がある。
⑤ 市場での成果
ⅰ 顧客は、自らの不満解決、課題解決のため、市場でのサービス提案に対し、対価を払ってサ ービスを購入。
ⅱ 提供サービスで顧客の満足が得られれば、市場での新規顧客獲得・顧客ロイヤリティー獲得
に成功して、経営上の成果を上げる。
このようにサービス経営におけるサービスの事業化については、物の事業化が在庫を介して、
時系列的な加工により製品を完成させて空間的に散在する顧客の下へ製品を届けるのに対し、
特定の場所で、一貫したサービスのソリューション提供を行う事業化である所に特色がある。
< 産業化段階 >
⑥ 産業化に向けて
新サービスの産業化に当たっては、企業の経営理念、新サービスの社会での必要性、意義を さらに明確化して、以下の対応を取る。
ⅰ 組織的サービス供給能力・イノベーション能力の構築
事業化の際に導入した新業務の業務ルーティーンの効果性、効率性のレベルをPDCAサイ クル的に上げて、業務オペレーション上の組織的サービス供給能力を向上させる。また、こ の新サービス内容の改善、拡充のための取組に着手して、新サービス開発に関する組織的サ ービスイノベーション能力を構築する。
ⅱ 新しい経営方式(業務展開手法)と他地域展開
以上の全体的な仕組み、組織的サービス供給能力、等をベースに、経営方式のイノベーショ ン(業務展開手法の開発)を行って、他地域へ、また、グローバルにサービス展開を行う。
ⅲ サービス内容の改善・拡充、新サービスの検討
また、組織的サービスイノベーション能力をベースに、追加的なサービス内容の改善・拡充、
更なる新サービスの検討を行う。
これらにより、日本全体で、さらにはグローバルに新たなサービス需要の創出、効率的なサ ービス供給システムの構築が実現する。
⑦ 組織経営の改革、人材育成
以上の経営展開に必要な組織経営の改革、人材育成を継続的に実施する。
(3)サービスにおけるイノベーション内容の整理
①イノベーションの内容について、シュンペーターの定義に遡ってみると、イノベーションは物 や力を従来とは異なった形で新しい結合を行うことであって、これらにより、市場での経済・経 営上の成果を得ることである。この新結合には、ⅰ新商品・新品質、ⅱ新しい生産方法、ⅲ新市 場の開拓、ⅳ原料・半製品の新しい供給源の確保、ⅴ新組織の実現の5種類がある。
②物とは異なるサービスについて、上記のサービスイノベーションの概念と経路での説明をこの 分類で整理してみると、以下の整理となる。
ⅰプロダクトイノベーション
顧客のニーズに対応したサービス提供機能レベルでの機能の創造、統合、絞込み、拡大・減少、
付加、等を実現することである。これが実施されるとサービスモデル、供給システム、経営方 式も連動して革新される。
ⅱプロセスイノベーション
サービス供給システム・供給組織のレベルで各業務チェーンの効率化を実現する、又は、業務
チェーン全体に係る仕組を構築して、全体最適な効率化を実現することである。
ⅲ経営方式のイノベーション
サービス供給に関する事業上の固有の制約(事業の担保価値設定の困難性等)を克服して、単 体での経営の効率化、新しい仕組により事業の地域的な展開・拡大を実現する。
ⅳサービスモデル革新
このサービスモデルの革新は、上記のプロダクトイノベーションに相当し、提供機能レベルで の革新により、サービスモデル、供給システム、経営方式も連動して革新される。
(4)簡単なケース事例の紹介
以下において上記のようなフレームワーク的な対応が必要で、サービスモデルの革新につなが る、また、既存モデル内での事業改善につながる仕組、事例を説明しよう。
① 病院経営の事例
病院経営においては、一般に受付、医師、看護、検査、投薬管理、セキュリティー、医薬・物 品調達と配備、代金支払い、等の顧客・患者接点のプロセスに対応した業務チェーンが形成され ているが、各機能部分は、それぞれの分担の部分最適を志向しがちで顧客・患者志向のサービス 最大化、全体業務の効率化へのモティベーションを失いがちである。最近の先端病院の事例では、
ITによる顧客接点のプロセスの自動化、カルテ・レセプト作成の電子化、等により、顧客満足拡 大と業務処理の効率化の両立を実践している。
また、具体的に IT を駆使した大型の電子カルテ・オーダーリングシステムの内容を見れば、
電子診療録システム(診療科)、画像診断システム(放射線部)、物流システム(用度部)、薬剤シ ステム(薬剤部)医事・会計システム(医事会計課)、レセプト電算処理システムを連携し、患者 接点の管理、機能別の業務チェーンの全体最適な仕組構築による患者の不満解消と経費節減の両 立を実現しようとしている。最近では、電子診療システム、医事・会計システム及びレセプト電 算処理システムを一体化した中小型のパッケージソフトが市販されており、それをカスタマイズ して利用するケースが多い。
② フランチャイズシステム
サービスの経営方式のイノベーションの実現の仕組であるフランチャイズシステムについて、
そのシステム概要を内川昭比古(2005)で紹介しよう。
本システムは、ⅰ本部が加盟店との間でフランチャイズ契約を締結して、ⅱ本部が加盟店に対し、
自らが開発したフランチャイズパッケージを提供し、ⅲ各加盟店は対価としての加盟金、ロイヤ リティー等を支払うとともに資金投入等必要な開業のための負担を行い、ⅳ全国的に統一の取れ た同質のビジネスコンセプトで事業運営し、市場で成功を収める仕組み。
フランチャイズパッケージは、本部が加盟店に与える一連の統合的な経営上の仕組み・システ ムの束で、単純化、標準化、専門化を宗とし、主に以下の5点内容で、有機的連携の取れたもの。
ⅰ商標、サービスマークの提供、ⅱ加盟店の経営・運営をサポートする各種システム(マネジメ ント、マーケティング)を体系的に開発し提供、ⅲ加盟店の効率的運営に向けたシステム運営上 のノウハウの提供、ⅳこれらを体系的に整理した各種マニュアルの提供、ⅴ事業成功に向けての
継続的な経営指導・援助
本部としてのフランチャイズチェーンシステム上の機能構築のステージ別態様は以下の通り。
フェーズ1 フランチャイズ店舗の業態開発・設計
事業の差別化等、事業モデルの確立、店舗デザインの整備、加盟オーナー用の投資・損益モデ ル、チェーンオペレーション、直営・プロトタイプ店でのモデル検証とそのブラッシュアップ フェーズ2 本部機構の構築
フランチャイズシステム体系の構築、システム内の本部と加盟店の契約形態・加盟条件の設定、
本部の事業計画策定、本部スタッフの教育訓練 フェーズ3 加盟店のオーナー開発
加盟店の拡大に向けての出店計画策定、事業開発