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開口合成画像と供試体底面画像の比較

次に,開口合成画像と供試体底面のひび割れの様子を比較することで,開口 合成画像の反射源と供試体底面のひび割れとの関連がないか検証した.

図 5.3-3~図 5.3-8に開口合成画像と供試体底面画像の比較した結果を示す.

なお,供試体表面にあるひび割れ(0.2mm 幅以上)は赤色に着色されている.

各図の(b)は各図の(a)の反対側から測定した結果である.例えば,図 5.3-3(a)は塩分下両端供試体の側面1 左側での結果であるが,図 5.3-3(b)は塩 分下両端供試体の側面 1 左側での結果であり,ちょうど測定範囲を 180°回転 させて行った結果である.こうすることで,測定範囲の上下から比較でき,反 射像がひび割れや鉄筋付着切れ由来であった際に,同じ深さ,水平位置に表示 されると考えられるため,信頼度を上げることができると考えられる.

結果は概ね,供試体底面に長手方向のひび割れがある場合に,コンター図内 に累積差分値が大きい範囲が出現する傾向が見受けられる.図 5.3-4(a)の塩 分下両端供試体の側面 1 右側での結果に着目すると,ひび割れがある水平位置

x=1060mm 付近より右側で,コンター図が赤くなっていることがわかる.この

供試体では図の x=1160mm から右側が塩分供給範囲であり,供試体底面のひび 割れは鉄筋の腐食による腐食ひび割れだと考えられる.これは図 5.3-4(b)の 反対側の側面での結果でも同様である.すなわち,供試体底面に出現したひび 割れが測定断面下の鉄筋まで続いているとすれば,鉄筋周辺の腐食ひび割れ,

あるいは付着切れが可視化された可能性がある.

一方,図 5.3-3(a)の塩分下両端供試体の側面1左側や,図 7,図 5.3-8 の塩分下全体供試体などのように,鉄筋軸方向に沿わない供試体底面のひび 割れが多い場合や,測定面のコンクリート表面にひび割れが到達している場合 には,明確な反射像が得られず,傾向はつかめなかった.また,コンター図の 反射像は太い線状の形をしているか,形を成していないこともあり,加えて表 示される深さも実際の鉄筋位置よりも深い場合が多いため,今後深さ方向の解 像度を上げることでより正確な計測が可能になると考えられる.

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図 5.3-3 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下両端①)

(a)側面 1 左側 (b)側面 2 右側

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図 5.3-4 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下両端②)

(a)側面 1 右側 (b)側面 2 左側

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図 5.3-5 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下中央①)

(a)側面 1 左側 (b)側面 2 右側

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図 5.3-6 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下中央②)

(a)側面 1 右側 (b)側面 2 左側

※5CH下えぐれ

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図 5.3-7 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下全体①)

(a)側面 1 左側 (b)側面 2 右側

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図 5.3-8 開口合成画像と供試体底面画像の比較(塩分下全体②)

(a)側面 1 右側 (b)側面 2 左側

101 まとめ

本章では,内在塩分を含ませることで鉄筋腐食によるひび割れを発生させた 供試体にて,4 章で示した衝撃弾性波法と開口合成法の組合せによる,健全鉄 筋部を参照部とした鉄筋付着切れ検出手法の適用性について検討した.得られ た知見を以下に示す.

1) 4章での健全鉄筋部を参照した結果と比較してコンター図内の累積差分値の 値が全体で大きくなり,その最大値も大きくなった.これは供試体曝露に よる塩分ありの供試体内の腐食ひび割れ等の影響が累積したことに起因す ると考えられる.

2)コンター図と供試体底面の画像を照らし合わせると,供試体底面に長手方 向のひび割れがある場合に,コンター図に累積差分値が大きい範囲が出現 する傾向があった.塩分下両端供試体の側面 1 右側では塩分供給範囲に腐 食ひび割れが見られ,コンター図の同じ水平位置に反射像が見られたこと から腐食ひび割れが可視化されたと考えられる.

3)鉄筋軸方向に沿わない供試体底面のひび割れが多い場合や,測定面のコン クリート表面にひび割れが到達している場合には,コンター図の反射像は 太い線状の形をしているか,形を成していない傾向にあった.加えて表示 される深さも実際の鉄筋位置よりも深い場合が多いため,今後深さ方向の 解像度を上げることでより正確な計測が可能になると考えられる.

第 6 章 結論

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結論

沿岸部や寒冷地などの RC 構造物では,外部から塩化物イオンが供給されや すく,塩害による鉄筋腐食が主な劣化要因となる.予防保全の観点から,コン クリート表面に変状が現れる状態(加速期)に至る前の進展期までに,鉄筋腐 食に伴うコンクリートと鉄筋の付着切れを非破壊試験にて把握することが望ま しい.そこで本研究では,鉄筋腐食が要因で生じるコンクリートと鉄筋の付着 切れを検出する手法の開発を目的とし,衝撃弾性波法による RC 部材の鉄筋付 着切れ検出手法に関する基礎検討を行った.本研究の適用範囲は,鉄筋腐食に よりひび割れが生じる前までの状況下にて鉄筋付着切れが発生したことを想定 し,コンクリートは健全な状態として供試体を作製し,実験を行った.以下に,

本研究により得られた知見を示す.

第 3 章では,あらかじめ腐食させた鉄筋を配置した供試体と,ビニルテープ により鉄筋に付着切れ区間を設けた供試体を作製し,コンクリート表面にて鋼 球打撃による衝撃弾性波法を適用して,コンクリートと鉄筋の弾性波速度の差 を利用することで,鉄筋付着切れ区間推定の検討を行った.鉄筋腐食供試体に おける実験結果は,打撃-受信間距離 L が長くなるにつれすべての供試体で測 定された P 波速度が速くなる傾向が見られた.これは鉄筋の影響であると考え られ,鉄筋が腐食していても速度に影響を及ぼさないことが示された.また,

L=200mmでのP波速度をV0としてP波速度比V/V0を算出したところ,鉄筋腐 食供試体における結果では,L が長くなるときの V/V0の傾きが健全供試体と比 較して小さくなった.これは鉄筋表面の酸化層の影響を含む可能性があるが,

供試体間のV0の差が卓越していると考えられた.

次に,センサ配列を保ちながらコンクリート表面を移動させて測定する鉄筋 付着切れ供試体での実験では,打撃点および受信点下が付着切れ区間の上に差 しかかると,測定されるP波速度が低下した.これはSnellの法則により鉄筋経 由の P 波の伝搬経路が長くなることに起因すると考えられた.付着切れ区間か らP波が鉄筋に伝搬せず,Snellの法則における臨界角を超えても鉄筋とコンク リートの間を弾性波が伝搬できると仮定して計算した P 波速度は,実際の測定 値と概ね推移が一致し,必ずしもSnellの法則が成り立つとは言えないことが示 された.

第 4 章では,コンクリートと鉄筋の付着が低下した状態をビニルテープおよ びラップにより模擬した版状供試体において,衝撃弾性波法と開口合成法を組 み合わせた手法により,付着切れの位置を推定する手法を検討した.その結果,

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測定対象部での波形と参照部での波形の差分波形を,開口合成法の入力波形と して供試体断面内の各要素における累積差分値を算出し,断面画像として出力 することで,鉄筋を可視化することができた.付着切れ区間での累積差分値に は,付着切れ区間からの反射波と一緒に鉄筋からの反射波の影響も含まれるた め,健全鉄筋部を参照部とすることで付着切れ区間を検出する手法を検討した.

その結果,一部の結果において付着切れ区間の水平位置が一致する傾向があっ た.また,無筋部を参照部として付着切れ区間で測定した結果において,健全 鉄筋部での累積差分値の最大値を表示下限値に設定することで付着切れ区間を 検出する手法を検討したところ,一部の結果において,付着切れ区間の水平位 置が一致する傾向があった.よって,これらの手法により付着切れ区間を検出 できる可能性が示唆された.

第 5 章では,内在塩分を含ませることで鉄筋腐食によるひび割れを発生させ た梁状供試体にて,4 章で示した衝撃弾性波法と開口合成法の組合せによる,

健全鉄筋部を参照部とした鉄筋付着切れ検出手法の適用性について検討した.

コンター図と供試体底面の画像を照らし合わせた結果,供試体底面に長手方向 のひび割れがある場合に,コンター図に累積差分値が大きい範囲が出現する傾 向が見られた.塩分下両端供試体の側面 1 右側では塩分供給範囲に腐食ひび割 れが見られ,コンター図の同じ水平位置に反射像が見られたことから腐食ひび 割れが可視化されたと考えられる.一方,鉄筋軸方向に沿わない供試体底面の ひび割れが多い場合や,測定面のコンクリート表面にひび割れが到達している 場合には,コンター図の反射像は太い線状の形をしているか,形を成していな い傾向にあった.加えて表示される深さも実際の鉄筋位置よりも深い場合が多 いため,今後深さ方向の解像度を上げることでより正確な計測が可能になると 考えられる.

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