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鉄筋付着切れ供試体での実験結果

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(d)受信センサ下付近に 付着切れがある場合の

P 波速度の予想模式図

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm) 計算値

付着切れ影響区間

図 3.4-4 弾性波の伝搬経路のイメージおよび P 波速度の予想模式図

(c)打撃点下付近に 付着切れがある場合の

P 波速度の予想模式図

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm) 計算値

付着切れ影響区間

θc θc

θc θc

θc

θc

x

(a)打撃点下付近に 付着切れがある場合の

伝搬経路のイメージ

θc θc

θc θc

θc θc

x

(b)受信センサ下付近に 付着切れがある場合の

伝搬経路のイメージ

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測定結果を図 3.4-5に示す.図 3.4-5(a)には供試体概要およびセンサ配置 を再掲する.P 波速度は打撃-受信間距離 L ごとに示している.図中の青色斜 線部は付着切れ影響区間であり,ビニルテープによる付着切れ区間100mmの影 響を受けると予想した区間である.打撃-受信間距離によって P 波速度が途中 から切れている結果があるのは,x 軸方向に沿ってセンサ群を走査させていく と距離によっては受信センサが供試体の端部まで到達し,それ以降は測定でき ないためである.

すべての供試体での計測結果から,打撃-受信間距離が長いほど,P 波速度 が速くなっている傾向が確認できる.これは,3.2.2 の図 3.2-3 でも述べたよ うに,鉄筋の影響により打撃-受信間距離が長くなるにつれて算出される P 波 速度が速くなるからと考えられる.図 3.4-5(b)に示す健全供試体での結果で は,付着切れ区間がないものの P 波速度は多少変動しているように見える.こ れは,測定時の鋼球打撃位置の精度や,打撃強さを一定に保てないことなどの 測定上の誤差や,供試体中の骨材や空隙の影響によるものと考えられ,今後測 定精度の向上が必要である.

図 3.4-5(d)の付着切れ厚供試体での結果に注目すると,打撃点x 座標が付 着切れ影響区間に差しかかるにつれ,P 波速度が低下していることがわかる.

しかし事前の予想とは異なり,コンクリートの速度まで低下することはなかっ た.これは,ビニルテープを貼り付けた付着切れ区間からも少なからず弾性波 が鉄筋に伝搬した可能性が考えられるほか,臨界角を超えるような場合でも,

鉄筋の節の部分から弾性波が鉄筋に伝搬した可能性などが考えられる.なお,

図 3.4-5(c)の付着切れ薄供試体での結果ではP波速度が落ちる傾向は小さか った.これはビニルテープの厚さが比較して薄く,付着切れ区間からも鉄筋に 弾性波が伝搬したためであると考えられる.

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4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm L= 400mm L= 450mm L= 500mm

(b)健全

図 3.4-5 P 波速度測定結果と供試体概要およびセンサ配置

(c)付着切れ薄

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm L= 400mm L= 450mm L= 500mm

付着切れ影響区間

(d)付着切れ厚

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm L= 400mm

L= 450mm L= 500mm

付着切れ影響区間 [unit : mm]

300 50@3=150

50

100 50 25

150 150

150 50 150

x

(a)供試体概要およびセンサ配置

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P波速度の測定結果とSnellの法則を用いた計算モデルにて算出した結果を併 せて図 3.4-6~3.4-8に示す.P波速度の計算値は,(1)で述べた考え方のもと,

表 3.4-1 に示した各供試体のコンクリートおよび鉄筋の弾性波速度用いて計算 した.図 3.4-6 に示す健全供試体での結果では,P 波速度はどの打撃-受信間 距離でも概ね計算値に近い値を推移していることがわかる.一方,図 3.4-7,

図 3.4-8 に示す付着切れ薄および付着切れ厚供試体での結果では,複数ある付 着切れ区間の影響を複合的に受けることを加味したため,打撃-受信間距離に よっては計算値のグラフが複雑に推移している.しかし,付着切れ区間の影響 を加味して低下する計算値と比較して,実際の測定結果の低下は限定的なこと がわかる.このため,計算値算出時の仮定が誤っている可能性が考えられたた め,仮定を変えて計算値を算出することを試みた.

仮定条件を変えた計算値との比較

弾性波がコンクリートと鉄筋の間を臨界角以下で出入りするという仮定をや め,図 3.4-9 に示すように,何らかの影響で臨界角を上回る場合でも付着切れ 区間の反対側から弾性波が鉄筋に出入りできるという仮定のもとで計算値を算 出した.

P波速度の測定結果と新しいモデルでの計算結果を併せて図 10,図 3.4-11 に示す.新しい仮定のもとでの計算値は,速度の推移が小さく,付着切れ薄 および付着切れ厚供試体のどの打撃-受信間距離においても,計算値と実際の 測定結果の推移が概ね一致しているように見える.このことから,実験前の予 想とは異なり,必ずしもSnellの法則が成り立つとは言えないと考えられ,さら なる検討が必要である.また,健全部と付着切れ区間での P 波速度の差が小さ く,測定上の変動が大きいことから,この手法により付着切れ区間の推定を行 うことは困難であると考えられる.

40

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm 計算値

(a)L=350mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 400mm 計算値

(b)L=400mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 450mm 計算値

(c)L=450mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 500mm 計算値

(d)L=500mm 図 3.4-6 P 波速度測定結果と計算値(健全)

41

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm 計算値

(a)L=350mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 400mm 計算値

(b)L=400mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 450mm 計算値

(c)L=450mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 500mm 計算値

(d)L=500mm 図 3.4-7 P 波速度測定結果と計算値(付着切れ小)

42

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm 計算値

(a)L=350mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 400mm 計算値

(b)L=400mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 450mm 計算値

(c)L=450mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 500mm 計算値

(d)L=500mm 図 3.4-8 P 波速度測定結果と計算値(付着切れ大)

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θc θc

θc

θc

θc θc

x

(a)打撃点下付近に 付着切れがある場合の

伝搬経路のイメージ

θc θc

θc θc

θc θc

x

(b)受信センサ下付近に 付着切れがある場合の

伝搬経路のイメージ 図 3.4-9 新しい計算値算出時の仮定における

弾性波の伝搬経路のイメージ

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図 3.4-10 P 波速度測定結果と新しい計算値(付着切れ小)

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm 計算値

(a)L=350mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 400mm 計算値

(b)L=400mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 450mm 計算値

(c)L=450mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 500mm 計算値

(d)L=500mm

45

図 3.4-11 P 波速度測定結果と新しい計算値(付着切れ大)

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 350mm 計算値

(a)L=350mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 400mm 計算値

(b)L=400mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 450mm 計算値

(c)L=450mm

4000 4100 4200 4300 4400 4500 4600 4700

0 50 100 150 200 250

P波速度V(m/s)

打撃点x座標(mm)

L= 500mm 計算値

(d)L=500mm

46 まとめ

本章では,あらかじめ腐食させた鉄筋を配置した供試体,および意図的に鉄 筋に付着切れ区間を設けた供試体を作製し,コンクリート表面にて鋼球打撃に よる衝撃弾性波法を適用して,コンクリート中を伝搬する弾性波速度により鉄 筋の付着切れ区間の推定手法を検討した.得られた知見を以下に示す.

1)鉄筋腐食供試体における実験結果は,打撃-受信間距離 L が長くなるにつ れすべての供試体で測定された P 波速度が速くなる傾向が見られた.これ は鉄筋の影響であると考えられ,鉄筋の腐食の有無は P 波速度に影響を及 ぼさないことが示された.

2) L=200mm での P波速度を V0としてP 波速度比 V/V0を算出したところ,腐

食小および腐食大供試体における結果では健全供試体と比較して,Lが延び たときの V/V0 の傾きが小さくなった.これは鉄筋表面の酸化層の影響を含 む可能性があるが,健全供試体の V0が他 2 体のものより小さいことの影響 が卓越していると考えられる.

3)鉄筋付着切れ供試体の実験において,付着切れ区間がない健全供試体での 結果でも P 波速度が多少変動した.これは測定時の測定誤差や,供試体中 の骨材や空隙の影響を含むと考えられ,今後測定精度の向上が必要である.

4)付着切れ厚供試体では,打撃点 x 座標が付着切れ影響区間に差しかかるに つれ P 波速度が低下したが,コンクリートの弾性波速度までは低下しなか った.これにはテープのある付着切れ区間から弾性波が鉄筋に伝搬した可 能性や,臨界角を超えるような場合でも弾性波が鉄筋に伝搬した可能性が 考えられる.

5)臨界角を超えても鉄筋に弾性波が伝搬できると仮定して P 波速度の計算値 を算出したところ,計算値と測定値の推移が概ね一致した.このことから,

必ずしもSnellの法則が成り立つとは言えないことが示された.

6)本検討の範囲内では,健全部と付着切れ区間で測定される P 波速度の差が 小さく,測定上の変動が大きいことから,この手法により付着切れ区間の 推定を行うことは困難であると考えられる.

47 参考文献

1)大野健太郎,下薗晋一郎,沢田陽佑,大津政康:AE 波初動部の自動読み取 りの開発による SiGMA 解析の改良,非破壊検査,第 57 巻,第 11 号,pp.

531-536, 2008

第 4 章 差分波形を用いた開口合成法による鉄筋付着切れ検

出手法の検討

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差分波形を用いた開口合成法による鉄筋付着切れ検

出手法の検討

はじめに

本章では,鉄筋付着切れを模擬した供試体において衝撃弾性波法と開口合成 法と組み合わせた手法により,付着切れの位置を推定する手法を検討した結果 を示す.実験で用いた供試体は,鉄筋腐食が要因で生じるコンクリートと鉄筋 の付着切れ検出の基礎検討を行うため,コンクリート表面にて腐食ひび割れが 確認される前の段階の潜伏期あるいは進展期を想定し,コンクリートは健全な 状態とした.また,コンクリートと鉄筋の付着が腐食生成物の形成により低下 した状態をビニルテープおよびラップにより模擬し,供試体を作製した.

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