• 検索結果がありません。

長寿命化を図るべき市営住宅

ドキュメント内 第1章 計画の背景と目的 (ページ 46-55)

長寿命化を図るべき市営住宅を選定するに当たっては、第4章で整理された課題及び基 本方針を踏まえることとします。具体的な選定作業については、団地及び住棟単位で判定 を進め、総合的な判断により長寿命化を含めた活用手法の最終判定を行い、計画期間中の 事業対象住宅を絞り込みます。

1.活用手法の選定

(1)選定フロー

各団地、住棟の整備手法は、次ページに示す3段階の選定フローに従い選定します。

1 次判定では、団地及び住棟単位の社会的特性による判定を行うため、建物の経過年数、

需要、用途地域等の敷地条件を主な判定項目とします。

2次判定では、住棟単位での物理的特性による判定を行うため、躯体並びに避難の安全性、

居住性、長寿命化型改善の可能性を主な判定項目とします。

3次判定では、団地及び地域単位での状況を検討しながら、総合的な判定を行い計画期間 内の活用手法を決めます。

(2)活用手法の選定基準

【1次判定】(団地および住棟単位の社会的特性による判定)

団地及び住棟単位で、以下の視点から、「用途廃止」、「維持管理」、「継続判定」に判定 します。

・住棟の経過年数

・需要の状況

・高度利用の必要性、可能性

・住棟の改善履歴の状況

【2次判定】(住棟単位の物理的特性による判定)

1次判定の結果、「継続判定」とした住棟を対象に、以下の視点による判定を行い、事 業内容を検討します。さらに、1次判定で「維持管理」としたものを加え、長寿命化型改 善の必要性を検討します。

・躯体の安全性

・避難の安全性

・居住性

【3次判定】(団地単位の総合的検討)

1次判定および2次判定の結果を踏まえ、団地単位及び団地の一部を対象に次の項目に

ついて総合的検討を行い、住棟別の活用手法を定めます。

・団地単位又は地域単位での効率的な整備

・まちづくりの観点から見た地域整備への貢献

・地域単位での効率的ストック活用

・財政状況等を勘案した判断

■選定フロー

ア.

経過年数

(構造別)

ウ.

高度利用の 必要性、可

能性

エ.

改善履歴の 状況

維持管理 建 替 用途廃止 継続判定

躯 体 の 安 全 性 の 判 定

避 難 の 安 全 性 の 判 定

居 住 性 の 判 定 改 善 の 可 能 性

の 判 定

改 修 の 可 能 性 の 判 定

問題あり

問題あり 可能性あり

個別改善による対応 の可能性の判定 全面改善による対応

の可能性の判定

問題あり 可能性なし

建 替

可能性なし

可能性なし

可能性なし

全面的改善 個別改善 維持管理

1次 判定

2次 判定

3次 判定

団 地 単 位 の 総 合 的 検 討

以 上 の 判 定 経 過 及 び 結 果 を 踏 ま え 、 団 地 単 位 で の 総 合 的 な 検 討 を 行 う 。

ア . 団 地 単 位 又 は 地 域 単 位 で の 効 率 的 な 整 備 の あ り 方 を 考 慮 し て 、 住 棟 別 の 活 用 方 針 を 検 討 イ . ま ち づ く り の 観 点 か ら 見 た 地 域 整 備 へ の 貢 献 の 必 要 性 を 考 慮 し 、 整 備 内 容 を 検 討 ウ . 他 の 事 業 主 体 と の 連 携 の 可 能 性 を 検 討 し 、 効 率 的 な 手 法 の 適 用 を 検 討

エ . 財 政 状 況 等 を 勘 案 し 、 そ の 時 期 を 延 伸 さ せ 、 当 面 は 活 用 す る こ と も 検 討 住 棟 単 位 の 物 理 的 特 性 に よ る 判 定

団 地 及 び 住 棟 単 位 の 社 会 的 特 性 に よ る 判 定

イ.

需要の 状況

問題なし

可能性あり 問題なし

可能性あり 可能性あり

問題なし

長寿命化型改善 必要性の判定

長寿命化型改善 必要性の判定

修繕対応

居 住 性 確 保 型 福 祉 対 応 型 安 全 性 確 保 型

長 寿 命 化 型 居 住 性 確 保 型

福 祉 対 応 型 安 全 性 確 保 型

長 寿 命 化 型 必要なし

必要あり

必要あり 必要なし

個別改善

※1 安全性の判 定において問題あ り、かつ、改修の 可能性ありと判定 された住棟

※2 1次判定にお ける維持管理のう ち改善予定と判定 された住棟

※3 1次判定にお ける維持管理のう ち改善予定と判定 されなかった住棟

(※1)

(※2)

(※3)

ア .

イ .

ウ .

エ .

2.活用手法の選定結果

(1)1次判定(団地及び住棟単位の社会的特性による判定)

・ 1 次判定は、「経過年数」、「需要」、「高度利用の必要性と可能性」及び「改善履歴」に よる評価を行い、「維持管理」、「建替」、「用途廃止」の対象とする住棟を判定します。

・ また、「維持管理」、「建替」、「用途廃止」の判定ができなかった住棟は「継続判定」と し、2次判定を行います。

① 1次判定項目と選定基準

判定項目 選定基準

ア.経過年数 ・ 建設後の経過年数によって判定を行います。

建替 ・ 昭和 40 年代までに建設されたストックのうち、需要が見 込め、かつ高度利用の必要性、可能性が高い住棟を基本 的に対象とします。

用途廃止 ・ 昭和 30 年代後半及び昭和 40 年代前半に建設された簡 平・簡二ストックで、需要が見込めず、高度利用の必要 性、可能性が低い住棟。

維持管理 ・ 昭和 30 年代後半及び昭和 40 年代前半に建設された簡 平・簡二ストックで、需要が見込める住棟。または改善 事業の実施後、標準管理期間を経過していない住棟や建 設後 10 年以内の築年数の浅い住棟。

継続判定 ・ 「建替」、「用途廃止」、「維持管理」との判定ができなか った住棟。

イ.需要 ・ 近年の応募倍率及び空家の状況により需要を評価しま す。

ウ.高度利用の可能性・必 要性

・ 高度利用の必要性・可能性については、敷地規模、用途 地域、立地条件等により判断します。

敷地規模 ・ 1,000 ㎡以下については効率的な建替が困難とします。

用途地域 ・ 周辺住宅地との環境の調和を考慮し、住居専用地域以外 の用途地域において高度利用の可能性が高いものとしま す。

立地条件 ・ 市街化調整区域に立地しているもの、敷地形状が悪いも のについては建替不適とします。

エ.改善履歴の状況 ・ 耐震改修等の状況が対象となり、改修事業実施後 10 年間 が標準管理期間となります。

② 1次判定の結果

用途廃止 山木(簡平・簡二)

維持管理 山木(中耐)、川岸(※A1~3棟は募集停止)、白塚、五井 継続判定 郡本、若葉、出津、平田、正美、姉崎、磯ヶ谷、富士見、萩ノ台、

並木、磯ヶ谷第2

山木(簡平・簡二)は、現在募集停止しており、全ての入居者が退去してから「用途廃 止」とします。

川岸、白塚は昭和40年代に建設された簡二住棟ですが、平成21~23年度の応募倍 率が10倍以上あり、需要が高い為、計画期間は基本的に維持管理とします。ただし川岸 住宅A1~3棟、16戸については、地盤が低く大雨時に浸水する可能性がある為、募集 停止とします。

山木(中耐)及び五井については築年数が浅く、「維持管理」とします。

その他の住棟については「継続判定」とします。

(2)2次判定(住棟単位の物理的特性による判定)

・ 2次判定は、1次判定から「継続判定」とされた住棟を対象に、「躯体の安全性」、「避難 の安全性」、「居住性」の評価を行い、住棟別に事業内容の検討を行います。

・ 1次判定において「維持管理」とされた住棟についても、個別改善又は長寿命化改善の 検討を加えます。

・ さらに、1次、2次判定を通じて「維持管理」、「個別改善」とした住棟を対象に、長寿 命化改善の必要性について検討します。

①2次判定項目と選定基準

判定項目 選定基準

ア.躯体の安全性の評価 ・ 昭和 56 年の建築基準法施行令(新耐震基準)に基づき 設計・施工された住棟及び既に耐震診断がなされ、耐震 性が確認されているものについては一定の耐震性を有す るものとします。またそれと同等の住棟についても同様 に扱います。

イ.避難の安全性の評価 ・ 避難の安全性については、階段や廊下及びバルコニー等 の二方向の避難を含む避難経路や防火区画の確保、敷地 内の通路の確保が対象となりますが、防火区画について は建築時に対応できていることから、避難経路等の確保 がされているか否かを判断指標とします。

ウ.居住性の評価 ・ 居住性の評価指標として、最低居住水準、住戸設備、住 棟共用部のバリアフリーの確保について判定します。

・ 下記の居住性の判断指標のいずれかに問題ありとされた 住棟については「個別改善」の必要性が高いものと判断 します。

最低居住水準 単身者用の住戸を除き、3 人世帯の最低居住水準である 40

㎡未満の住戸で構成される住棟を居住水準に問題があるも のとします。

住宅設備 建設年度の古い住宅には浴槽がないものがあります。また、

三点給湯システムの設置されていない住戸があり、社会経済 的背景や居住性の向上を踏まえ、整備の必要性があります。

バリアフリー 階段室型住棟など、住棟の玄関周りやアプローチ部の段差な ど、共用部のバリアフリーが確保されていないものを問題あ りとします。

エ.長寿命化の必要性の評 価

・ 一定の居住性や安全性等が確保されている住棟が長寿命 化の対象となります。

・ 中長期的な修繕計画及び定期点検などに基づいて、耐久 性の向上、躯体への影響の低減、維持管理の容易性など の向上に関する改善の必要性を判断します。

・ 予防保全的な改善の必要性が認められる場合は、他の修 繕・改善工事と合わせて合理的・効率的に行うことが適 当と認められる場合は、長寿命化型改善を行うものとし ます。

・ 木造住棟については耐用年数が短い事から長寿命化の効 果が薄く、その必要性は低いと判断し、「個別改善」の対 象とします。

② 2次判定の結果

個別改善 山木(中耐)郡本、若葉、出津、平田、正美、姉崎、磯ヶ谷、萩ノ 台、並木、磯ヶ谷第2

修繕対応 川岸(※A1~3棟を除く)、白塚、富士見、五井

1次判定で「継続判定」となった住棟については、いずれも住宅設備やバリアフリーと いった居住性の面で問題があり、木造の富士見住宅を除く全てを「個別改善(長寿命化型)」 の対象とします。

また、1次判定で「維持管理」となった住棟については、計画期間内は基本的に「修繕 対応」とします。但し、山木住宅(中耐)については、エレベーター(EV)の改修を実 施する為、「個別改善」とします。なお、計画期間内に耐用年数が満了となる、川岸及び 白塚住宅については、耐震診断がなされ、耐震性が確認されており、また富士見住宅につ いても、昭和56年以降の新耐震基準の建築物のため、耐震性が認められます。また、今 回の現地調査においても構造躯体等の継続使用に問題はありません。現時点での建替につ いては、まちなか居住の促進に係わる政策が不確定であるため、耐火構造の建物に建替え た場合の標準管理期間となる70年間に渡っての継続使用に懸念が予想されるので慎重な 判断が必要となります。これらを踏まえて、川岸住宅、白塚住宅及び富士見住宅について は、「修繕対応」により当面の活用を行い、本計画の見直し時に改めて建替を含めた活用 方針の再検討を行います。

(3)3次判定(団地単位の総合的検討)

・ 3次判定は、これまでの判定による各住棟別の適用手法の候補の判定過程と結果を踏ま え、団地単位での総合的な検討を行い、計画期間内に実施するな事業内容を判断します。

ドキュメント内 第1章 計画の背景と目的 (ページ 46-55)

関連したドキュメント