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長寿命化のための維持管理による効果

ドキュメント内 第1章 計画の背景と目的 (ページ 62-107)

1.ライフサイクルコストの改善効果

(1)効果計測の考え方

長寿命化のための改善を実施する住棟について、本計画に基づく改善事業を実施する場 合と実施しない場合のそれぞれについて、建設時点から次回の建替えまでに要するコスト

(LCC:ライフサイクルコスト※)をモデル化して算出し、戸当たり単位で年当たりの コスト比較を行います。

※LCC:ライフサイクルコスト。建設時点から次の建替えまでに要する建替え費、改善 修繕費の合計額

(2)試算の手順

「公営住宅等長寿命化計画策定指針(H21.3)」の算定方法に基づき、算出を行います。

<計画前モデル>

①使用年数

中層耐火住宅の耐用年限期間(70年)をもとに、それよりも短く50年と設定します。

②累積修繕費

修繕費=建替工事費×修繕費乗率

※国が示す公営住宅等長寿命化計画策定指針における修繕項目・修繕費乗率・修繕周期 に基づき、建設時点から上記使用年数経過時点までの修繕費を累積した費用とします。

※修繕費乗率及び修繕周期 修繕

項目 小修繕 EV

保守 量水器 給水

ポンプ 給湯器 外壁 屋上 防水

排水 ポンプ

共聴

アンテナ 給水管 流し台 排水管 洗浄 修繕費

乗率

(%)

0.278 0.177 0.232 0.046 1.296 4.882 2.472 0.074 0.037 2.778 1.296 0.093

修繕 周期

(年)

1 1 8 10 13 15 15 15 15 20 20 20

※上表の修繕項目は全て長寿命化型改善に該当しない(従前の仕様と比して性能が向上 しない)と設定

③建替工事費

既存事例等を参考に、1,500万円/戸と設定します。

④計画前 LCC

計画前LCC=(③建替工事費+②累積修繕費)÷使用年数[単位:円/戸・年]

<計画後モデル>

⑤使用年数

耐用年限まで活用するものとし、70年と設定します。

⑥累積修繕費(長寿命化のための改善工事費を含む)

②に準じ、建設時点から上記⑤「使用年数」経過時点までの修繕費を累積した費用とし ます。

また、改善工事費については、各団地毎にP55の改善事業一覧表に掲載している事業 の概算工事費を合計して以下のとおりとなります。

改善事業概算工事費

団地名 団地別概算

工事費計(千円)

戸当たり 改善事業費(円)

郡本 275,000 5,700,000

若葉 1,065,000 4,100,000

出津 108,000 3,000,000

平田 226,000 3,100,000

正美 192,000 3,200,000

姉崎 126,000 3,000,000

磯ヶ谷 74,000 3,100,000

萩ノ台 84,000 3,500,000

並木 72,000 3,000,000

磯ヶ谷第2 24,000 1,000,000

山木(中耐) 3,000 30,000

⑦建替工事費

③と同様とします。

⑧計画後 LCC

計画後LCC=(⑦建替工事費+⑥累積修繕費(長寿命化のための改善工事費を含む))÷

⑤使用年数[単位:円/戸・年]

<LCC 改善効果>

⑨年平均改善額

上記④、⑧より、年平均改善額=④計画前LCC-⑧計画後LCC

⑩累積改善費

上記⑨年平均改善額について、策定指針の算出例より将来コストを社会的割引率4%/年 により現在価値化し、上記⑤使用年数期間の累積改善額を算出します。

現在価値化のための算出式は、以下の通りとします。

築後経過年数a年における年平均改善額bの現在価値=b×c

・a:築後経過年数

・b:上記⑨年平均改善額

・c:現在価値化係数c=1÷(1+d)a

・d:社会的割引率0.04(4%)

⑪年平均改善額(現在価値化)

上記⑤、⑩より、年平均改善額(現在価値化)=⑩累積改善額÷⑤使用年数[単位:円/

戸・年]

以上より、求めた戸当たり年平均改善額(現在価値化)を、当該住棟の住戸数分を積算 して、住棟当たりの年平均改善額を算出します。

2.ライフサイクルコストの算出

算出結果によると、長寿命化型改善を実施する住棟については、いずれも年平均改善額 がプラスであり、ライフサイクルコスト(LCC)縮減効果があると判断され、従来の対 処療法型の維持管理から、定期的な点検を実施してストックの状況を把握した上で、適切 な時期に予防保全的な修繕及び耐久性の向上等の改善を実施することで、長寿命化が図ら れコスト縮減につながります。

対象団地全体のLCC改善効果

現在価値化後の改善額 = 688,965 千円 現在価値化後の年平均改善額 = 9,838 千円

■住棟別LCC改善効果 単位:千円

使

L C C

使

寿

L C C

(②+③)/① (⑥+⑦)/⑤ ④-⑧ ⑩/⑤

郡本 1 24 S43 50 166,458 360,000 10,529 70 371,800 360,000 10,454 75 1,752 25

郡本 2 24 S43 50 166,458 360,000 10,529 70 371,800 360,000 10,454 75 1,752 25

若葉 1 50 S47 50 345,120 750,000 21,902 70 692,360 750,000 20,605 1,297 30,349 434 若葉 2 40 S48 50 276,096 600,000 17,522 70 553,888 600,000 16,484 1,038 24,279 347 若葉 3 40 S48 50 276,096 600,000 17,522 70 553,888 600,000 16,484 1,038 24,279 347 若葉 4 40 S49 50 276,096 600,000 17,522 70 553,888 600,000 16,484 1,038 24,279 347 若葉 5 40 S49 50 276,096 600,000 17,522 70 553,888 600,000 16,484 1,038 24,279 347

若葉 6 20 S50 50 138,048 300,000 8,761 70 276,944 300,000 8,242 519 12,140 173

若葉 7 30 S51 50 207,072 450,000 13,141 70 415,416 450,000 12,363 778 18,209 260

出津 1 12 S52 50 83,229 180,000 5,265 70 153,500 180,000 4,764 500 11,704 167

出津 2 12 S53 50 83,229 180,000 5,265 70 153,500 180,000 4,764 500 11,704 167

出津 3 12 S53 50 83,229 180,000 5,265 70 153,500 180,000 4,764 500 11,704 167

平田 1 18 S54 50 124,843 270,000 7,897 70 232,050 270,000 7,172 725 16,955 242

平田 2 12 S54 50 83,229 180,000 5,265 70 154,700 180,000 4,781 483 11,303 161

平田 3 18 S55 50 124,843 270,000 7,897 70 232,050 270,000 7,172 725 16,955 242

平田 4 12 S55 50 83,229 180,000 5,265 70 154,700 180,000 4,781 483 11,303 161

平田 5 12 S56 50 83,229 180,000 5,265 70 154,700 180,000 4,781 483 11,303 161

正美 1 24 S57 50 166,458 360,000 10,529 70 311,800 360,000 9,597 932 21,804 311

正美 2 18 S58 50 124,843 270,000 7,897 70 233,850 270,000 7,198 699 16,353 234

正美 3 18 S59 50 124,843 270,000 7,897 70 233,850 270,000 7,198 699 16,353 234

姉崎 1 18 S60 50 124,243 270,000 7,885 70 229,450 270,000 7,135 750 17,543 251

姉崎 2 12 S61 50 82,829 180,000 5,257 70 152,966 180,000 4,757 500 11,695 167

姉崎 3 12 S61 50 82,829 180,000 5,257 70 152,966 180,000 4,757 500 11,695 167

磯ヶ谷 1 12 H1 50 83,229 180,000 5,265 70 154,700 180,000 4,781 483 11,303 161

磯ヶ谷 2 12 H1 50 83,229 180,000 5,265 70 154,700 180,000 4,781 483 11,303 161

萩ノ台 1 24 H4 50 166,458 360,000 10,529 70 319,000 360,000 9,700 829 19,398 277

並木 1 12 H6 50 82,829 180,000 5,257 70 152,966 180,000 4,757 500 11,695 167

並木 2 12 H6 50 82,829 180,000 5,257 70 152,966 180,000 4,757 500 11,695 167

磯ヶ谷第2 1 12 H8 50 90,229 180,000 5,405 70 138,833 180,000 4,555 850 19,881 284

磯ヶ谷第2 2 12 H8 50 90,229 180,000 5,405 70 138,833 180,000 4,555 850 19,881 284

山木(中耐) 1 49 H17 50 433,519 735,000 23,370 70 610,490 735,000 19,221 4,149 97,066 1,387 山木(中耐) 2 64 H18 50 566,229 960,000 30,525 70 797,375 960,000 25,105 5,419 126,780 1,811 合計 - 727 - 5,261,425 10,905,000 323,329 - 9,667,314 10,905,000 293,890 29,438 688,695 9,838

団地 計画前モデル 計画後モデル LCC改善効果

■住宅別LCC改善効果 単位:千円

使

L C C

使

寿

L C C

(②+③)/① (⑥+⑦)/⑤ ④-⑧ ⑩/⑤

郡本 2 48 50 332,916 720,000 21,058 70 743,599 720,000 20,909 150 3,503 50 若葉 7 260 50 1,794,624 3,900,000 113,892 70 3,600,271 3,900,000 107,147 6,746 157,814 2,254 出津 3 36 50 249,687 540,000 15,794 70 460,500 540,000 14,293 1,501 35,112 502 平田 5 72 50 499,374 1,080,000 31,587 70 928,199 1,080,000 28,689 2,899 67,819 969 正美 3 60 50 416,145 900,000 26,323 70 779,499 900,000 23,993 2,330 54,510 779 姉崎 3 42 50 289,901 630,000 18,398 70 535,382 630,000 16,648 1,750 40,933 585 磯ヶ谷 2 24 50 166,458 360,000 10,529 70 309,400 360,000 9,563 966 22,606 323 萩ノ台 1 24 50 166,458 360,000 10,529 70 319,000 360,000 9,700 829 19,398 277 並木 2 24 50 165,658 360,000 10,513 70 305,933 360,000 9,513 1,000 23,390 334 磯ヶ谷第2 2 24 50 180,458 360,000 10,809 70 277,666 360,000 9,110 1,700 39,762 568 山木(中耐) 2 113 50 999,748 1,695,000 53,895 70 1,407,865 1,695,000 44,327 9,568 223,846 3,198 合計 - 727 - 5,261,425 10,905,000 323,329 - 9,667,314 10,905,000 293,890 29,438 688,695 9,838

団地 計画前モデル 計画後モデル LCC改善効果

資料編1(各団地調査シート)

団地調査シート(1)

名 称 山木住宅(簡耐)

■基礎的状況

所在地 山木 52-1 敷地面積 14,964.67 ㎡(全体)

用途地域

(建ぺい率/容積率) 市街化調整区域(60/100) 土地・建物

所有 市有/市有

■建物状況

棟 数 6 棟 戸 数 40 戸

構造・階数 簡平,簡 2 建設年度 S43 年 住戸タイプ 2K

特目住宅 - 専用面積 31.29 ㎡~42.74 ㎡

給 水 井戸 ガ ス プロパン 雑排水 側溝 - - 便 所 汲取 浴 室 有 浴 槽 無 3 点給湯 無 エレベーター 無 耐震性 有 2方向避

難 -

ハ ゙リ アフリ ー 対応

(共用部)

配 置 図 外 観 写 真

間 取 り

主な修繕・

改善履歴

団地調査シート(2)

名 称 山木住宅(簡耐)

■外部状況 屋 根

・簡平については金属葺きで、問題なし

・簡2についてはシート防水の劣化あり。状況により修繕が必要。

躯 体

・PC 板は問題なし。

・目地部のシールなどについては定期的な補修が必要。

外壁仕上

・塗装は現状問題なし。

・玄関たたき等は、部分的な補修が必要。

基 礎

・1階、2階建て共、安定した支持を継続しており、特に問題カ所は見あた らない。

金 属

・雨樋などの受け金物や換気ガラリなどの劣化は見られるが、通常劣化の範 囲内で、取り替えまでには及ばない。

建 具

・玄関ドアの経年劣化はあるが、用途廃止まで使用可能。

給排水設備

・縦樋などのバンド金物の錆が目立つ。

外 構

・すでに用途廃止された用地の維持管理(草刈等)が必要。

・住棟前の通路などの自主管理部は問題なし。

■内部状況 床

・沈み込みが大きい箇所がある。

壁・天井

・劣化が進んでいる箇所がある。状況により修繕が必要。

建 具

・劣化が進んでいる箇所がある。状況により修繕が必要。

給排水設備

・劣化が進んでいる箇所がある。状況により修繕が必要。

電灯・コンセント

・劣化が進んでいる箇所がある。状況により修繕が必要。

■備考

団地調査シート(1)

名 称 山木住宅(中耐)

■基礎的状況

所在地 山木 52-1 敷地面積 14,964.67 ㎡(全体)

用途地域

(建ぺい率/容積率) 市街化調整区域(60/100) 土地・建物

所有 市有/市有

■建物状況

棟 数 2 棟 戸 数 113 戸

構造・階数 中耐 5 建設年度 H17,18 年

住戸タイプ 1K(50 戸),2DK(35 戸),

3DK(26 戸),2LDK(2 戸) 特目住宅 単身用、車椅子 専用面積 32.04 ㎡~64.40 ㎡

給 水 県 ガ ス 都市 雑排水 公共 - - 便 所 水洗 浴 室 有 浴 槽 有 3 点給湯 有 エレベーター 有 耐震性 有 2 方 向 避

難 可

ハ ゙ リ ア フ リ ー 対応

(共用部)

配 置 図 外 観 写 真

間 取 り

主な修繕・

改善履歴

(反転プランは省略)

団地調査シート(2)

名 称 山木住宅(中耐)

■外部状況

屋 根 ・現状問題なし。

躯 体 ・現状問題なし。

外壁仕上 ・現状問題なし。

床 ・現状問題なし。

基 礎 ・現状問題なし。

金 属 ・現状問題なし。

建 具 ・集合ポストのデジタル錠の故障が出てきている。

給排水設備 ・現状問題なし。

外 構 ・現状問題なし。

■内部状況

床 ・現状問題なし。

壁・天井 ・現状問題なし。

建 具 ・現状問題なし。

給排水設備

・給湯器の故障が出てきている。将来的には修理部品が無く交換になる可能 性が高い。

・浴室・トイレ用換気扇の故障が出てきている。集中換気扇のため交換費用 が割高になる。

電灯・コンセント ・現状問題なし

■備考

団地調査シート(1)

名 称 郡本住宅

■基礎的状況

所在地 藤井 3 丁目 210 敷地面積 6,309.55 ㎡ 用途地域

(建ぺい率/容積率)

第 一 種 低 層 住 居 専 用 地 域

(50/100)

第二種住居地域(60/200)

土地・建物

所有 市有/市有

■建物状況

棟 数 2 棟 戸 数 48 戸

構造・階数 中耐 3 建設年度 S43,44 年 住戸タイプ 3K

特目住宅 - 専用面積 43.29 ㎡

給 水 県 ガ ス 都市 雑排水 合併 - - 便 所 水洗 浴 室 有 浴 槽 無 3 点給湯 無 エレベーター 無 耐震性 有 2 方 向 避

難 不可

ハ ゙ リ ア フ リ ー 対応

(共用部)

配 置 図 外 観 写 真

間 取 り

主な修繕・

改善履歴

建具取替(S58,59)、給排水(S59)、外壁(S60,62)、屋上防水(H8,10)

(反転プランは省略)

団地調査シート(2)

名 称 郡本住宅

■外部状況 屋 根

・2棟は、前回の屋根防水改修時に、水勾配がおかしく水溜りが出来るため、

鋼板にて屋根を設置した。

・一部雨漏りが見られるが補修で対応可能。

躯 体

・モルタル補修部の亀裂及び袖壁部分での地震動等での亀裂が散見される。

・外断熱改修などにより全面的に保護することで、亀裂及び水漏れを防止す ることが可能となる。

外壁仕上

・大規模修繕での外部塗装については、定期的に進めることが必要。

・外断熱改修を実施すれば、外壁の長命化と外壁修繕サイクルの長期化を図 ることが可能となる。

・階段のノンスリップが無くないっている箇所がある。

基 礎 ・長期活用問題なし。

金 属

・一部、ベランダ等の手摺りについて、劣化が進んでおり、アルミなどへの 取り替えが必要な時期に入っている。

建 具 ・玄関ドアの劣化がある。状況により修繕が必要。

・外断熱改修などを行う場合には、真空硝子などへ取り替える必要がある。

給排水設備

・地下式受水槽のため、既存不適格となっている。

外 構 ・浄化槽周りに一部沈込みがある。

■内部状況 床

・床の沈込みがある。

・浴室の防水が劣化している。状況により修繕が必要。

壁・天井 ・浴室のモルタルの剥がれあり。

建 具 ・劣化している為、ひずみがある箇所がある。

給排水設備

・給排水管の劣化が進んでおり、漏水がある。

・排気専用タイプの風呂釜しか設置できない。

・洗濯機パンが無い。

電灯・コンセント ・コンセントの劣化が進んでいる。状況により交換が必要。

・ブレーカーがヒューズタイプの箇所あり。漏電遮断機無し

■備考

・規模的には単身世帯の居住規模であり、間取りなどの変更により長期活用可能なストックと なる。

ドキュメント内 第1章 計画の背景と目的 (ページ 62-107)

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