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金属マイクロカプセル膜の物質組成評価

ドキュメント内 博士論文 (ページ 90-101)

第 4 章 粒子安定化液滴表面における無電解めっき反応を利用した金属マイクロカ

3.5. 金属マイクロカプセル膜の物質組成評価

得られた金属マイクロカプセルについて, EDX を用いて金属膜の元素組成の定量 を行なった(Figure 4.6)。この結果から, 形成された金属カプセルは主に Cu と Pd から形成されていること, その元素比は Cu : Pd = 99.76: 0.24(in atomic percent)程度 であることがわかった。また, 金属薄膜について, XRDを用いてその結晶性を評価し た(Figure 4.7)。XRD測定から,金属膜中の Cuは, Cu および Cu2O という形で金属 薄膜中に多く存在していることがわかった。このうち,酸化銅(I)は, 金属カプセ ル形成後の水中および大気中での酸化に加えて, 無電解銅めっき反応の一部の並行 反応により生成されたものであると考えられる(Scheme 4.2)。

Figure 4.6 EDX spectrum of obtained metal microcapsules which has the peaks for Cu Lα, Cu Kα, Cu Kβ and Pd Lα at 0.934, 8.04, 8.90 and 2.83 keV respectively for AlKα. The amounts of elemental contents were calculated in atomic percentile; 99.76 and 0.24 At% for palladium and copper. The EDX spectra were obtained by adding 20 kV for 5 min with Al Kα X-ray gun.

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𝐶𝑢2++ 2𝐻𝐶𝐻𝑂 + 4𝑂𝐻 → 𝐶𝑢 + 2𝐻𝐶𝑂𝑂+ 𝐻2+ 2𝐻2𝑂 ∙∙∙ (i) 2𝐶𝑢2++ 𝐻𝐶𝐻𝑂 + 5𝑂𝐻 → 𝐶𝑢2𝑂 + 𝐻𝐶𝑂𝑂+ 3𝐻2𝑂 ∙∙∙ (ii)

2𝐻𝐶𝐻𝑂 + 𝑂𝐻 → 𝐶𝐻3𝑂𝐻 + 𝐻𝐶𝑂𝑂 ∙∙∙ (iii) 𝐶𝑢2𝑂 + 𝐻2𝑂 → 𝐶𝑢 + 𝐶𝑢2++ 2𝑂𝐻 ∙∙∙ (iv)

Scheme 4.2 Reaction mechanism of electroless copper plating.[9]

Figure 4.7 XRD pattern of metal microcapsules, confirming the existence of copper oxide (Cu2O) and pure copper (Cu) in the metal shell.

92 4. 結言

本章では, 触媒ナノ粒子により安定化されたPickeringエマルション界面における無 電解めっき反応を利用した金属マイクロカプセルの開発について検討した。本手法で は, 触媒ナノ粒子がエマルションの安定化粒子および無電解めっき反応の触媒として の働きを同時に果たすことで,金属マイクロカプセルの合成に成功した。調製された 金属マイクロカプセルは, 連続的な金属薄膜で液滴界面を被覆し,金属光沢を示した。

この金属カプセル膜について, その表面特性を調べると, 内側の面のみに PdNPs の吸着 が見られた。このことから, 我々がはじめに想定した, PdNPs 吸着界面における自発的 金属析出によりカプセルが形成されるメカニズムが支持された。また, 形成された金 属薄膜の物質組成を調べると99%以上が金属膜の主成分である銅によって構成されて おり, それらはCuやCu2Oといった化学組成で金属膜中に含まれることがわかった。

93 5. 引用文献

[1] Pieranski, P., Two-Dimensional Interfacial Colloidal Crystals. Phys. Rev. Lett. 1980, 45 (7), 569-572.

[2] Glogowski, E.; Tangirala, R.; He, J.; Russell, T. P.; Emrick, T., Microcapsules of PEGylated Gold Nanoparticles Prepared by Fluid−Fluid Interfacial Assembly. Nano Letters 2007, 7 (2), 389-393.

[3] Glogowski, E.; He, J.; Russell, T. P.; Emrick, T., Mixed monolayer coverage on gold nanoparticles for interfacial stabilization of immiscible fluids. Chem. Commun. 2005, (32), 4050-4052.

[4] Binks, B. P., Colloidal Particles at a Range of Fluid-Fluid Interfaces. Langmuir 2017, 33 (28), 6947-6963.

[5] Flatté, M. E.; Kornyshev, A. A.; Urbakh, M., Understanding voltage-induced localization of nanoparticles at a liquid–liquid interface. J. Phys. Condens. Matter 2008, 20 (7), 073102.

[6] Smirnov, E.; Peljo, P.; Girault, H. H., Self-assembly and redox induced phase transfer of gold nanoparticles at a water-propylene carbonate interface. Chem. Commun. 2017, 53 (29), 4108-4111.

[7] Flatte, M. E.; Kornyshev, A. A.; Urbakh, M., Electrovariable Nanoplasmonics and Self-Assembling Smart Mirrors. J. Phys. Chem. C 2010, 114 (4), 1735-1747.

[8] Schwenke, K.; Isa, L.; Del Gado, E., Assembly of nanoparticles at liquid interfaces: crowding and ordering. Langmuir 2014, 30 (11), 3069-74.

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[9] Schlesinger, M.; Paunovic, M.; Snyder, D. D.; Dini, W. J. et al., Modern Electroplating, Fifth Edition, Schlesinger, M.; Paunovic, M., Ed.; John Wiley & Sons, Inc., 2011.

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第 5 章 結論

本博士論文では, 無電解めっき反応を用いた多様な材料・物質界面における金属薄 膜形成による, 新しい金属材料および材料調製プロセスの開発について報告した。無電 解めっき反応による金属薄膜形成メカニズムの理解と制御, および反応触媒の目的界面 への付与過程に注目することにより, 第 2 章から第 4 章までの各章でそれぞれ報告した, 金属複合化マイクロカプセルの調製, 液 - 液界面を鋳型とした金属薄膜の調製手法の開 発, 液滴界面を鋳型とした金属マイクロカプセルの調製手法の開発に成功した。

第 2 章では, Melamine-Formaldehyde 樹脂マイクロカプセルに無電解 Ni-P めっき処理 を行うことにより, 平面的に連続性のある Ni-P 合金膜をカプセル表面に均一に被覆し, 金属薄膜によって被覆された複合マイクロカプセルを調製した。得られたマイクロカ プセルは金属特有の光沢, 機械的強度とともに磁気応答性を示した。また, 無電解 Ni-P めっきの反応時のめっき液の pH を変化させることで, 得られるマイクロカプセルの磁 気応答性を制御した。調製マイクロカプセルの物性解析により, 得られたカプセルの物 性の違いは, 形成された合金膜中のニッケルの含有量および Ni(111) 単結晶の結晶粒径 の大きさに依存することが示された。

第 3 章では, 水相と有機相との間に形成される界面において, 無電解めっき反応を利 用することで, 金属薄膜の調製を行った。実験により, 反応場である液-液界面に吸着さ せる触媒ナノ粒子の有機溶媒相への親和性および, 各相の物理的な上下関係が, 最終的 に得られる金属膜の形状に大きく影響を及ぼすことが明らかになった。また, 金属膜の 表面形状およびその導電性を, 調製時にもちいる触媒ナノ粒子分散液の粒子濃度により

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制御した。界面に吸着させる触媒量が大きくなるほど, 金属膜のマクロな表面構造とし ては滑らかな構造となる一方で, 導電性については触媒量の増大により減少する傾向が 見られた。これらの傾向については, 触媒量の増大により, 析出する金属の結晶ドメイ ンサイズが減少したことに起因したと考えられる。

第 4 章では, 触媒ナノ粒子により安定化された Pickering エマルション界面に無電解め

っき反応を金属マイクロカプセルの調製を行った。本手法においては, 適度な表面濡れ 性を有する触媒ナノ粒子がエマルションの安定化粒子および無電解めっき反応の触媒 としての働きを同時に果たすことで, 「触媒ナノ粒子を含む有機溶媒をめっき液と混合 する」という極めて簡便な手法で金属マイクロカプセルの合成に成功した。得られた 金属マイクロカプセルは, 連続的で比較的なめらかな表面を有し金属光沢を示した。こ の金属カプセル膜について, その表面特性を調べると, 内側の面のみに PdNPs の吸着が 見られ, 我々がはじめに想定した PdNPs 吸着界面における自発的金属析出によりカプセ ルが形成されるメカニズムが支持された。形成された金属膜は, 99% 以上が金属膜の主 成分である銅によって構成され, それらは Cu や Cu2O といった状態で金属膜中に含まれ ることが分かった。

今後, 界面への触媒付与状態の制御, 金属膜成長過程の制御といった視点で研究を 展開させることにより, さらに精密な材料設計が可能となると考えられる。本研究に おいて開発された材料調製プロセスは, いずれも簡便かつ低コストで金属材料を調製 することを可能とし, 産業にも直接応用できる有用な手法に貢献できるものである。

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謝辞

本博士論文は, 岡山大学大学院 自然科学研究科 応用化学専攻 界面プロセス工学研究 室において, 大学院生として従事してきた研究の成果をまとめたものです。本研究を進 めるにあたり, 数多くの方々のご支援を賜りました。ここに深く感謝の意を表します。

平成 24 年 4 月に学部 4 回生として岡山大学 環境理工学部 環境プロセス工学研究室に 配属されてからの 1 年間, そして翌年, 界面プロセス工学研究室に配属されてからの 6 年 間の計 7 年間, 終始格別なる御指導を賜りました岡山大学大学院 自然科学研究科 応用 化学専攻 小野努 教授に心より御礼申し上げます。大学卒業後, 小野先生の自然科学研 究科へのご栄転に伴い, 環境を変えて研究を継続したことは, その後の苦労もありながら も学ぶことの多い研究生活を顧みても, 私の人生において最良の決断の一つであったと 思っています。

岡山大学大学院 自然科学研究科 応用化学専攻 渡邉貴一 助教には, 界面プロセス工学 研究室の教員としてだけではなく, 同じ研究室出身の尊敬すべき先輩として, 研究生活 のあらゆる面でサポートして頂きました。心より御礼申し上げます。特に, 本博士論文 の執筆においては, 多くの労力を割いてご指導頂きましたことは, ここに明記しておか なくてはなりません。また何よりも, 私が博士後期課程へ進学することを決断したのは, 渡邉先生をはじめとする環境プロセス工学研究室博士後期課程出身の魅力的な諸先輩 方の存在があったからでした。

界面プロセス工学研究室においては, 数多くの良き先輩, 同期, 後輩たちとの出会いに

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恵まれ, 充実した研究生活を送ることが出来ました。特に, 学部 4 回生の私に研究のい ろはを教えてくださった谷昌彦氏, ただ 1 人の界面プロセス工学研究室所属の先輩とし て研究生活の多方面に渡りサポートして頂いた田中勇気氏, 大学院生として共に研究生 活を送った同期の稲田智大氏, 渡部光氏, そして私の未熟な研究指導にも忍耐強く付き 合ってくれた後輩の清家吉貴氏, 山本絵美氏, 田原晃樹氏, 與羽瀬佑氏, 崔雲龍氏に感謝 申し上げます。なかでも, 私の 3 学年下の後輩でありながら本研究を飛躍的に進展させ てくれた與羽瀬佑氏には, 格別の感謝を持って厚く御礼申し上げます。彼の貢献が無け れば本博士論文の完成はありませんでした。

また, 本研究室秘書の大谷友佳子氏には, 事務処理手続きでお世話になるだけでなく, 研究の合間に様々な貴重なお話を頂きました。深く感謝いたします。その他多くの界 面プロセス工学研究室所属の学生, スタッフの方々にお世話になりました。

研究室外においても, 多くの方々のご支援を頂きました。本博士論文副査を担当し て頂いた, 岡山大学大学院 自然科学研究科 応用化学専攻 岸本昭 教授, 後藤 邦彰 教授に は, 博士後期課程に所属した 4 年間, 終始格段のお心遣いを頂きました。また, 岡山大学 大学院 環境生命科学研究科 資源循環学専攻 木村幸敬 教授には, 学部 4 回生として所属 した環境プロセス工学研究室で 1 年間, 熱心に指導して頂きました。岡山大学大学院 自 然科学研究科 応用化学専攻 押木俊之 講師には, 研究生活を送る上で多くのご協力, ご助 言を頂きました。この場をお借りして, 厚く御礼申し上げます。

学外においては, Erasmus-EASED Program により派遣された英国 Imperial College London のValeria Garbin 博士, Maria Charalambides 博士, Yannis Hardalupas 教授らに大変 お世話になりました。特に, Garbin 博士には液体界面への粒子吸着に関わる研究につい て多くの知見を授けて頂きました。また, 私が所属する化学工学会 材料・界面部会所属

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