第5章 重点プロジェクト
1 .重 点 プ ロ ジ ェ ク ト を 推 進 す る 背 景 と 目 的
足立区が抱える多岐にわたる住宅政策の課題の解決のためには、施策を幅広く展開するこ とは当然です。しかし、すべての課題を一度に展開しようとしても、十分な効果を得るには 多くの時間と財源を要することとなります。足立区の基本構想で「選択と集中」が大きくと りあげられていることからも、実効性や効率性の高い施策に絞り込むことが求められます。
そのため、社会情勢の転換や区が抱える問題、緊急性などから以下の背景を踏まえて、効果 の高いものから重点的に展開していく戦略的なプロジェクトを推進します。
(1 )人 口 減 少 社 会 の 到 来 に よ る 区 の 活 力 低 下 へ の 危 惧
人口減少社会に突入し、足立区においても、若年ファミリー層の減少が始まっています。
また、地方分権化の潮流の中で、各区も さらなる自立が求められる ため、このままでは区 の活力の低下に繋がるおそれがあります 。一方、従来から足立区は 荒川や舎人公園に代表 される水と緑の良好な環境に恵まれてき ましたが、鉄道新線の開通 による交通利便性の飛 躍的向上で、都市としての魅力が一層際 立ち、人口の流入が期待で きる大きな転換期を迎 えています。区外からの人口の流入と定着、すなわち、「定住の促進」が将来の活力ある足 立区をつくるために、緊急かつ重要な課題となっています。
(2 )公 共 住 宅 の 諸 問 題 を 解 決 す る 好 機 と な る 更 新 時 期 の 到 来
公営住宅が 23 区の中で極端に多く存在することで、たくさんの低所得者や高齢者などを 受け入れてきた足立区にとって、福祉需 要の財政への圧迫と税収不 足、コミュニティの活 力低下は大きな問題となっています。一 方で、足立区内の非常に大 規模な公共住宅団地の 老朽化が進んでいることから、建替えは周辺のまちづくりと切り離せない関係にあります。
そのため、建替えを契機に「公共住宅の 再編とストックの有効活用 」を図ることが重要な 課題となっています。
(3 )鉄 道 新 線 開 通 を 契 機 と し た 足 立 区 の 住 宅 市 場 の 変 化
全国的に住宅総数が世帯総数を上回る 現状の中で、住宅の新設だ けでなく既存の住宅ス トックが市場の中で適正に供給されるこ とを目標とする住宅政策が 求められています。一 方、足立区の住宅市場を見ると、安価な 土地に質を抑えた安価な住 宅が供給されるという 構造となっています。また、防災上危険 な木造住宅密集地を抱えて いることもあり、住宅 の質や安全性に対する要求が大きくなっ ています。こうした状況の 中、鉄道新線の開通に よる住宅市場の構造転換が予想されます 。これを契機に多様なニー ズに応じた良質な住宅 ストックが流通し、その価値が適正に評 価されることによって不良 な住宅ストックが淘汰 されるような、健全な市場の形成が望ま れます。そのため、民間事 業者は利益を優先する だけでなく、区の住宅政策の実現の一部を担うことが求められており、「民間住宅市場の適 切な誘導」は重要な課題となっています。
第 5 章
重 点 プ ロ ジ ェ ク ト
2 .重 点 プ ロ ジ ェ ク ト の 構 築
足立区においては、「定住の促進」、「公共住宅の再編とストックの有効活用」、「民間住宅市 場の適切な誘導」に係る施策について、複数の制度や事業を組み合わせることによって相乗 効果を高めるための枠組みとして重点プロジェクトを構築します。また、具体的な事業など の展開に際しては、必要な推進体制づくり、財政的な裏付けなどのために、庁内の協力体制 を強化していきます。
人 口 減 少 社 会 の 到 来 に よ る 区 の活力低下への危惧
「 定 住 の 促 進 」
公 共 住 宅 の 諸 問 題 を 解 決 す る 好機となる更新時期の到来
「 公 共 住 宅 の 再 編 と ス ト ッ ク の 有 効 活 用 」
新 線 開 通 を 契 機 と し た 足 立 区 の住宅市場の変化
「民間住宅市場の適切な誘導」
( 3 ) 民間住宅市場による安全・安心な住宅ストックの形成
・民間事業者による良質な住宅供給の促進
・良質な中古住宅の流動化促進
・高齢者の安心居住
・防災上危険な地区における防災性の向上
・住宅ストックの耐震・不燃化促進
( 2 ) 公 共 住 宅 の 再 編 に よ る ま ち づ く り の 推 進
・公共住宅団地用地の活用
・公共住宅団地の再生
・民間によるファミリー向け住宅の供給の促進 ( 1 ) 足 立 区 の 魅 力 を 活 か し た 住 宅 供 給 の 促 進
・新たな居住ニーズに対応した住宅供給の促進
・多様な情報が容易・即座に利用できる仕組みづくり
・容易に住宅を取得・賃借できる仕組みづくり
第 5 章
重 点 プ ロ ジ ェ ク ト
(1 )足 立 区 の 魅 力 を 活 か し た 住 宅 供 給 の 促 進
「定住の促進」にあたっては、「新たな居住ニーズに対応した住宅供給の促進」を核とし て、「多様な情報が容易・即座に利用できる仕組みづくり」、「容易に住宅を取得・賃借でき る仕組みづくり」を同時に展開します。 足立区の特性に応じた住宅 供給により、居住地と しての魅力を向上させ、その住宅を必要 とするすべての人に的確に 情報を提供し、容易に 取得できるようにします。
具体的には、人口減少社会にあっても 足立区の人口減少を抑制す ることを目標として、
他区市では実現できない足立区で暮らすことの価値観を高めるため、住宅供給にあっては、
足立区の魅力である水と緑の環境や下町 風情、鉄道新線の開通を契 機とした交通利便性の 飛躍的向上、住居費の安さなどの、各地区の持つ個性を活かします。
■ 重点プロジェクトのイメージ
■ 重点プロジェクトに係る事業
事業名 概要
住宅登録制度
自然環境を活かした環境共生住宅、下町風情を活かしたコレクテ ィブ住宅などの足立区の魅力を活かした住宅や防災性に優れた住 宅など、足立区の住宅政策に適合する住宅の登録制度
NPO・事業者登録制度
区民が安心して住宅を取得できるように足立区の住宅政策に適合 する住宅供給を行うNPOや事業者の登録制度
住宅総合相談窓口
住宅に関する情報や相談などの業務を統合し、区民のニーズに対 応できるワンストップサービスとして提供する総合的な窓口
N P O・事業者登録制度
N P O 住 宅 登 録 制 度
水と緑が豊かな地域
○ 環境共生住宅 環境負荷の軽減 下町風情の残る地域
交通利便性の高い地域
○ コレクティブ住宅
○ コーポラティブ住宅
新たなライフスタイルへの対応
住 宅 総 合 相 談 窓 口
情報提供 媒介
コーディネート 供給
住み替え相談・斡旋 紹介
区民・区内転入希望者 登録
民間事業者
登録
持ち家資産の活用相談
利用 足立区の魅力を活かした住宅
第 5 章
重 点 プ ロ ジ ェ ク ト
(2 )公 共 住 宅 の 再 編 に よ る ま ち づ く り の 推 進
「公共住宅の再編とストックの有効活用」にあたっては、「公共住宅団地用地の活用」を 核として、「公共住宅団地の再生」、「民間によるファミリー向け住宅の供給の促進」を同時 に展開します。 制度・基準 などの見直し や敷地の有 効利用など により効率 的な公営住 宅供 給を図ります。 その上で、 管理戸数の調 整や建替え にあわせた 住宅の集約 により、生 み出 された余剰地に おいて、民 間住宅などの 供給による 居住者層の 偏らない良 好なコミュ ニテ ィの形成や地域 の活性化に 寄与する施設 の整備など によりまち づくりに繋 げることで 公営 住宅の再編とストックの有効活用を図ります。
具体的には、将来的には 23 区で各区が抱える公営住宅戸数が平準化されることを目標と して、入居者管 理の見直し などによって 効率的な公 営住宅供給 を図ること が必要です 。こ れにより、建替 え時期を迎 えている公営 住宅団地に おいては、 土地の高度 利用によっ て生 み出される余剰 地を有効活 用することが 可能となり ます。また 、区内には 、UR賃貸 住宅 や公社住宅が数 多く存在す ることから、 これらの建 替えや再生 を促進する ことによっ て、
まちづくりの資源として活用します。
■ 重点プロジェクトのイメージ
・定期借地
・売却
・PFI
53
等
■ 重点プロジェクトに係る事業
事業名 概要
公共住宅再編モデル検討
公共住宅団地の建替えの基本設計、民間事業者の活力の導入可能 性調査、まちづくり施設の需要調査などのスキーム検討
公共住宅への若年ファミリ ー層の入居に係る検討
期限付き入居や抽選倍率の優遇など、若年ファミリー層の入居を 促進する制度の検討
公共住宅団地の建替えに伴 う余剰地活用の働きかけ
公共住宅団地の建替えに伴う余剰地活用について、区がコーディ ネーターとなり、都や都市再生機構と民間事業者、地域住民など との調整や建替え事業に関する積極的な提案を行う
53 PFI:Priv ate F inance Initiativ e の略で、公共施設の整備・運営に民間の資金及び経営・技術ノウハウを導入して 効率化を図る手法
公共住宅
民間事業者による活用 ファミリー向け住宅供給 施設供給
ミックストコミュニティ 建設費への充当
老朽化した大規模団地の建替え 公共住宅建設 余剰地
子育て・教育(保育施設など)
文化(集会施設など)
福祉(グループホームなど) 等 足立区
コーディネート
公共住宅団地の再生