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第2章 災害予防

第7節 避難行動要支援者への支援対策の充実

【主な実施機関:市町村,県(危機管理部,次世代育成・青少年課,広域医療政策課,健康増進課,地 域福祉課,長寿いきがい課,障がい福祉課,国際企画課,農業生産基盤課,森林整備 課,河川整備課,砂防防災課),社会福祉施設等の管理者】

※社会福祉施設等とは,社会福祉施設,介護老人保健施設及び病院をいう。

第1 方針

災害発生時には,高齢者,傷病者,障がい者,妊産婦,乳幼児,外国人など災害対応能力の弱い要配 慮者への十分な支援が必要となる。

要配慮者は,自力による避難が困難であったり,災害情報の伝達に配慮すべき点があることなどから,

浸水や土砂災害等の情報伝達や避難対策などが重要となる。

このため,次により各種対策を実施し,災害時における要配慮者に対する安全確保を図るものとする。

その際,災害時における要配慮者の特性に十分配慮するとともに,男女のニーズの違いなど男女双方の 視点に十分配慮するよう努めるものとする。

注)これまで使われていた「災害時要援護者」のかわりに,平成25年6月の災害対策基本法の改正に より,高齢者・障がい者・乳幼児その他の特に配慮を要する人を「要配慮者」といい,そのう ち,災害が発生し,又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者で,

その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため,特に支援を要するものを「避難行動要支援者」と いう。

第2 内容

1 避難行動要支援者への支援体制の確保

(1) 避難行動要支援者支援(災害時要援護者支援対策)マニュアルの作成

県は, 避難行動要支援者支援(災害時要援護者支援対策)マニュアルを作成するとともに,市 町村におけるマニュアル整備の促進を進める。

(2) 避難行動要支援者に関する情報の把握・共有

市町村は,福祉担当部局と連携のもと,避難行動要支援者を適切に避難誘導し,安否確認を行 うため,民生委員・児童委員,自主防災組織等の協力を得ながら,平常時より避難行動要支援者 に関する情報の把握・共有し,避難行動要支援者名簿を作成する。

また,庁舎の被災等の事態が生じた場合においても名簿の活用に支障が生じないよう,名簿情 報の適切な管理に努めるものとする。

(3) 支援体制の整備

市町村は,事前に把握した避難行動要支援者の情報をもとに,安否確認や避難誘導,避難所で の支援などを円滑に実施するため,自治会や自主防災組織,民生委員・児童委員,社会福祉施設 等と連携を図り,必要な支援体制の整備に努める。

(4) 福祉避難所

ア 福祉避難所の指定

市町村は,社会福祉施設等の管理者との協議により,避難行動要支援者が相談や介助・医療 的ケアなどの必要な生活支援が受けられるなど,安心して生活ができる体制を整備した,福祉

避難所(二次的な避難施設)の事前の指定に努める。

なお,指定にあたっては,民間の福祉施設のほか,市町村施設等の活用を図り,福祉避難所 の確保に努める。

イ 福祉避難所のマンパワー,設備・器具等の確保

市町村は,関係機関等の協力を得て,福祉避難所での介助員等の確保に努めるとともに,設 備・器具等についても不足に備えた調達・確保に努める。

ウ 福祉避難所の周知

市町村は,福祉避難所に関する情報を広く県民に周知するよう努める。特に,要配慮者及び その家族,自主防災組織,支援団体等に対する周知に努める。

エ 福祉避難所の運営

本編第3章第9節「6 避難所の運営」に定めるところによる。

2 社会福祉施設等対策

(1) 社会福祉施設の安全確保等

ア 社会福祉施設等の利用者の大半は,ねたきり高齢者や障がい者,傷病者等の要配慮者である ことから,施設管理者は,施設自体の災害に対する安全性を高めるとともに,浸水想定区域,

土砂災害危険箇所,土砂災害警戒区域等の立地条件を踏まえた対策を講じるものとする。

イ また,スプリンクラーについては,義務設置でない施設についても必要に応じ設置に努める ものとする。

さらに,災害時において消防機関等への早期通報が可能な非常通報装置等の設置についても,

促進を図るものとする。

ウ また,県及び市町村等は,浸水想定区域,土砂災害危険箇所,土砂災害警戒区域等に存在す る社会福祉施設等の保全のため,治水,治山,砂防,地すべり,急傾斜,地震,津波の各事業 を強力に実施するとともに,施設管理者への周知,講習会の推進などに配慮する。

(2) 避難計画の整備

市町村地域防災計画に名称及び所在地を定められた,主として要配慮者が利用する社会福祉施 設等の管理者は,施設利用者の円滑かつ迅速な避難を確保するため,防災体制に関する事項,避 難訓練及び防災教育に関する事項を定めた避難計画を作成・公表するとともに,市町村に報告を 行うものとする。

(23) 防災組織の整備

社会福祉施設等の管理者は,各種調査結果や浸水想定区域,土砂災害危険箇所,土砂災害警戒 区域等の立地条件などを踏まえて,災害の防止や災害時における迅速かつ的確な対応を行うため,

あらかじめ自衛防災組織を整え,施設職員の任務分担,動員計画,緊急連絡体制を明確化するも のとする。

また,必要に応じ,関係機関との連携のもとに,施設相互間並びに地域住民,自主防災組織等 との平常時からの連携が密なものとなり,利用者の実態に応じた協力が得られるような体制作り に努めるものとする。

(34) 防災教育・防災訓練の充実

社会福祉施設等の管理者は,施設の職員等が,防災に関する基礎的な知識や災害時に取るべき 行動等についての理解・関心を高めるための防災教育を実施するとともに,災害時の切迫した状

況下においても,適切な行動が取れるよう,あらかじめ災害時における避難計画を策定し,各々 の施設の構造や利用者の実態に応じた防災訓練を定期的に実施するものとする。

特に,自力避難が困難な者等が利用している施設にあっては,居室の配置に配慮するとともに,

夜間を想定した防災訓練や浸水想定区域,土砂災害危険箇所など地域の特性に配慮した防災訓練 などについても実施するものとする。

(45) 防災備品の整備

社会福祉施設等の管理者は,災害に備え,食料,生活必需品,防災資機材等の備蓄に努めるも のとする。

3 在宅者対策

(1) 防災知識の普及・啓発

県及び市町村は,避難行動要支援者及びその関係者に対して,災害時における的確な対応能力 を高めるため,地域の防災訓練等への積極的参加を呼びかけるなど,防災知識の普及・啓発に努 めるものとする。

なお,防災訓練等の実施に当たっては,避難行動要支援者の特性に配慮し,地域において避難 行動要支援者を支援する体制の整備に努めるものとする。

(2) 避難誘導・救出・救護体制の確立

市町村は,避難行動要支援者を適切に避難誘導・救出・救護するため,県が作成した「避難行 動要支援者支援(災害時要援護者支援対策)マニュアル」により,平常時より自主防災組織や民 生委員等と連携して避難行動要支援者の状況を把握し,その名簿を整備するなど,実態把握に努 める。

なお,把握した情報については,個人情報等の保護に十分配慮しつつ,関係機関において共有 するとともに,支援の必要性の高い者から優先的,重点的に,各避難行動要支援者の個別避難支 援プラン策定に努める。

また,県及び市町村は,より一層の防災知識の普及・啓発を図り,住民全体で防災に取り組む 土壌の育成に努めるとともに,市町村においては,町内会,自治会等を中心とした自主防災組織 の育成について促進を図るものとする。

また,災害時におけるひとり暮らし高齢者等の安全確保のため,必要に応じ緊急通報システム 等の整備に努めるものとする。

(3) 的確な情報伝達活動

県及び市町村は,避難行動要支援者等に対し正確かつ迅速に情報提供を行うため,個々の避難 行動要支援者にとって適切な伝達手段を検討し,民生委員・児童委員や地域住民等の連携による 伝達など,多様な伝達手段の整備に努めるものとする。

4 外国人等に対する防災対策

県及び市町村は,言語,生活習慣,防災意識の異なる外国人や旅行者等が,災害時に迅速かつ的確 な行動がとれるよう防災知識の普及啓発,防災教育や防災訓練への参加の促進に努めることともに,

地域全体で外国人等への支援システムや救助体制の整備などに努めるものとする。

(1) 防災知識の普及啓発

ア 県及び市町村は,外国人向けの外国語による防災に関するパンフレットを作成・配布すると