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遺    構

ドキュメント内 I 平城宮の調査 (ページ 48-57)

︱ 品

3  遺    構

検 出 した主 要 遺 構 は建 物

2棟

、 溝11条、 溜 ま り状 遺構 、土 坑 、 東 面 大垣 と東 西 雨落 溝 、木 樋 暗渠 、大 垣 犬 走 り上 の柱 穴群 で あ る。以下 、時期 ごとに概要 を述べ る。

SD SK ︲

SD 072

│       │       │       │

図22 第245‑2次調査遺構図 1,400

なお大垣築造以後 の時期 区分 は第110次調 査成 果 に準 拠 す る。

A〜 Gの 8期

に 区 分 され、

A期

は大垣築造 期 にあた り、

A〜 D期

まで が下層整地、

E期

が中層整地、

F・

G期

が上層 整地 に対応 す る。 また、下層 園池SG5800Aは

B期

に造 られ、

E期

に上 層 園池SG5800Bに改修 され る。

(1)大

垣築 造以前

SD16300 

木樋 西 側 の断 ち割 リ トレンチで一 部 を確認 した。 東 肩 を大 垣 西 雨 落 溝

―‑ 52 ‑―

に切 られ る。 第110次調 査 で一 部 が確 認 され た斜 行 溝 SD9041に 続 く可 能 性 が あ る。

その場合、 トレンチで は西 肩 を確認 して いな いの で、 推 定 位 置 は第110次調 査 で の検討 よ り西 にず れ、方 向 もよ り南北 に近 くな る。 木 簡 出土。

SD16301 

南 北 溝 の西 側肩 部 を検 出 した。 大 垣 西 雨 落 溝 底 石 の下 層 に な り、 そ れ 以前 の時期 と考 え られ る。大垣 に ほぼ平行 す る位 置 に あた る。

SD 16302  断 ち割 リ トレンチで確 認 した、 幅約

lmの

南 北 溝 。 SD16301に つ な が る可能1性 もあ る。

(2)大

垣 関連 遺構

SA5900 

東 面 大 垣 。 特 に調 査 区北 側 で 遺 存 状 態 が 良 い。 大 垣 の築 造 手 順 は以 下 の よ うにな る。 まず、地 山 を幅5.7mの 溝 状 に掘 り込 む。 掘 り込 み の深 さ は調 査 区北 端 で は

lm近

くにな るが、南側 で は50cm前 後 とな る。 掘 り上 げ た地 山 の灰 黒 色 粘土 と灰 色 砂 を互 層 に積 み、掘 り込 み地 業 とす る。 北 側 で は、 地 業 の中 に径30 cm程の礫 を混 入 して い る。次 に築地本体部 分 を黄 褐 色 を帯 びた上 の版築 によ り積 み上 げ る。犬 走 り部分 は別 に上 を版築 して い く。築 地 本 体 と犬走 り部分 の積 み土 の差 は平面・ 断面 の両方 で観察 で き、 これ によ り築 地 本 体 の幅 は基底部 で

9尺

と 確 定 で き る。 犬 走 り部分 は東 西 と も

4尺

とな る。

SD8436 

大 垣 を横 切 る木 樋 暗渠 。 掘 り込 み地 業 を 終 え た段 階 で 幅 約1.2m、 深 さ 約40cmの 掘 形 を設 け、 そ こに長 さ

7m前

後 の底 板

3枚

と、 長 さ約5。

7mの

両 側 板 各

1枚

を組 み合 わせ た木樋 を、西側 を高 くして置 く。 掘形東端 は地 業 の外側 にで る。 板 の結 合 は底板・ 側板 と も各面

3箇

所 ず つ の雇 柄 に よ る。木 樋 は内法 で 幅約

50cm、 深 さ約40cmと な る。掘形 の幅 か ら見 て、外 で組 み合 わせ た後、掘 形 内 に置 い た と考 え られ る。 木樋 を設 置 した後、凝 灰岩 の切 り石 で蓋 を して、上 に版築 を かぶ せ て い く。 木樋 の東 に は素掘 りの溝 を続 け る。 第99次調 査 の成 果 で は この溝 は宮外 濠SD5780に つ なが る。東雨落 溝 との交 差 部 分 で は、 木 樋 両 側 板 の端 を水 流 を妨 げな い よ うに粗 く斜 め に落 と して い る。 北 側 板 の西 端 は長 さが足 りず、 外 側 に小 木 板 を置 いて補 って い る。木 樋 に は作 り替 え の痕 跡 は認 め られ な い。

SD9040 

大 垣 西 雨 落 溝 。 側 石 に径30〜40cm程 度 の礫 、底 石 に平 た い小礫 を用 い た

幅約50cmの 石 組 の溝 。 同 じ場所 に作 り替 えが認 め られ る。新 旧の溝 と も破壊 が著 しい。 旧溝

SD9040Aは

調 査 区北 側 で側石 と底石 が若 干残 るにす ぎな い。 掘 形 は大 垣 の犬走 り部 分 の積 み土 を切 って お り、大垣 を積 み終 え た後 に設 置 して い る。木 樋 との交 差 部 分 で は、底 が若干低 くな り、木樋 西 端 に直接底石 をのせ て い る。第 110次調 査 の成 果 で は下 層整地 と一連 で あ る ことが確認 されて い る。新溝SD9040B

は調 査 区 の北 端 で一 部 を、 南側 で痕跡 を検 出 した に とどま る。北端 で は旧溝 の側 石 を抜 い た後 に側石 を積 み直 して い る。 作 り替 え の時期 は中層整地 と同時期。

なお、北 端 で検 出 した溝 をそ の まま南 に伸 ばす と、 建 物SB9072の 東端 にかか る ことにな るので、 そ れ よ り北 で溝 を東 へ寄 せ て いた と考 え られ る。 そ の た め に、

南 側 で検 出 した溝 の東西位 置 は北端 よ りも40cm程 東 へず れ て い る。

SD5815 

大 垣 東 雨落清 。 幅1.3〜 1.5m、 深 さ約40cm。 埋 土 は砂 質 土 が主 体 で、 底 付 近 に は丸・ 平 瓦 が敷 かれて い る。

SS16303 

大 垣 犬 走 り部分 の柱穴列。大垣築地 の両 側 に位 置 し、 今 回 調 査 部 分 の 各 所 で検 出で きた。 配 置 は不規則 で あ る。築地 の寄 柱 、 あ るい は屋 根施工 の際 の 足 場穴 で あ ろ う。

(3)大

垣 築 造以 後

SD9050。

SD9053 

と もに幅約40cmの石 組 の東 西 溝。 第110次調 査 の見 解 で は、 当 初 東 西溝SD9050に 「T」 字 状 に南 北 溝 SD8456が 取 り付 き、 SD9050を SD9053に 作 り替 え る ときにそれ をSD9056に 付 け替 え、SD9053も そ こで止 め ると され て い る。

今 回、 再 発 掘 した と ころで は当初 の導 水 溝 SD8456の 西 側 で はSD9053へ の作 り替 え は認 め られず、両 南北溝 の間 の部分 のみ に作 り替 え が認 め られ た。 第110次調 査 で も、SD8456よ り西 で の作 り替 え の跡 は検 出 して い な い。 新 しい南 北 溝 の東 にSD9053が 伸 び ない点 は同様 で あ る。 こ こで は、

B期

に作 られ たSD9050を 、

D

期 に東 端 を縮 めてSD9053に 作 り替 え た と見 てお く。

SD8456 SD9050に

取 り付 く石 組 南北 溝。 南 北 端 の底 石 を検 出。 中央 部 は

E期

建 物SB9075の 柱 穴掘形 に切 られ る。南 は下層 園池SG5800Aに つ なが り、 導 水 溝 と 考 え られ る。

B〜

C tt。

―‑ 54 ‑―

SD9056 SD9053東

端 に取 り付 く石 組 南 北 溝 。 幅 約40om。 北 端 部 を検 出 。 や は り 建 物 SB9075の 柱 穴 掘 形 に切 られ る。 南 端 部 は検 出 されて お らず、 導 水 溝 にな るか

は不 明。

D期

SD16304 

石 組 東 西溝 。 幅約20cm。 西 側 を

E期

のSB 9075の 柱 穴 に、東 側 を

E期

以 降 のSX16305に 切 られ る。 検 出面・ 側 石 標 高 と もに

B〜 C期

SD9050よ り

1段

高 く、

D期

と考 え られ る。SD9056に取 り付 く可 能 性 が高 く、 南 北 棟 SB9072を 建 て る と きにSD9050西 側部分 を南 に移 し変 え た もの と思 われ る。

SB9072 

東面 大 垣 に近接 して 建 て られ た

9間

×

2間

の南北 棟。 柱 間 は、桁行

8尺

等 間、梁 間

7尺

等 間。 今 回 の調 査 で は東 側 柱 の柱 穴 を全 て検 出 した。

D期

SB9075 

桁 行

3間

、 梁 間

5間

の二 面庇 付南北棟。 柱間 は、桁 行 が両 端12尺、 中央 の間17尺、梁 間 が10尺等 間。 南 端 部 を検 出 した。 東 西両 端 で は、 柱 穴 掘 形 は側 柱 と入側柱 が一 連 の布掘状 にな り、底 に礎石 と根 が らみの横木 が残 る。

E期

SX16305 

後 期 園池SG5800Bの 導 水 路 SD8455に つ な が る溜 ま り状 遺 構 。 地 山 の灰 色 砂 まで掘 り込 む。 内部 に径40cm程度 の礫 が多 数 堆 積 し、 本 来 は護 岸 され て い た可能性 が あ る。東西 か らSD16306と SD16307が 取 り付 く。濁 りな どを 除 くた め、

こ こで い ったん水 が溜 め られ た後 に、池 へ流 れ こんだ と考 え られ る。 埋 土 か ら9 世 紀 中頃 の須恵 器 片 が 出上 して お り、 そ の ころ まで存続 した ら しい。

E期

以 降。

SD 16306  宇奈多理神社側 か ら東 へ伸 びSX16305に 取 り付 く石組東西清。幅約40cm。

西 は調 査 区外 に伸 び る。 SX16305へ の導 水 路。

E期

以 降。

SD16307 

新大 垣 西 雨 落溝 SD9040 Bか らSX16305へ 伸 び る石組 東 西 溝 。 幅 約40cm。

SD16306の 真東 に位 置す る。 SX16305へ の導水路。

E期

以 降。

SA9064 

園池 北 方 を南 北 に区 画 す る東 西 塀 。 東端 の柱穴 を検 出。

F〜 G期

(4)奈

良 時代以 後

SK 16308  西雨落溝側石 の抜 取 穴。 木簡 出土。

SD 16309  大垣築地残存部 西側 の南北溝。途 中か ら玉石敷 とな る。 築 地 跡 を利 用 した里道 の脇 に、西雨落溝跡 の窪 み を利用 して作 られた ら しい。埋 土 中 に瓦 が大 量 に堆 積 す る。 時期 は不詳。

SG5800B 

東 端 を検 出 した。 ただ し、大垣 積 み土 を切 ってお り、奈 良 時 代 の もの で はな い。埋土 中 よ り平安 時代 の上 器 片 が 出土 してお り、 そ の頃 に池 の水 面 が上 が り、築地部分 まで池 が広 が った もの と思 われ る。

  

現 在 、削 り屑 を含 め

5点

の木 簡 が確認 されて い る。判読可 能 な

2点

を報 告 して お く。

SD16300出 土木簡

(表

)  

他 田国足

  

綾 □ □ 狩

 

□部 忍人

  

穴 太 □

□ □万 呂 (裏

)  

□ □

錦 部 馬 養

    

   

右匠 三ニヨ 坂 上 馬 養

       

丈 新 恵 廻 述

SK16308出 土木簡

(表

)召  

壬生 直得足

  

朱 雀 門 □ □ □ □ □ □

武 □ □宏 □

│       │

(裏

)□  

秦川 辺 □□ □匠正 三コ

    

ロ ロ ロロ ロロロ 片野 連 嶋村 子 身 陵比 事

     

 

なお、SK16308は 位 置 か ら見 て 、 SD16300埋 土 内 に掘 られ て お り、 両 者 と もに SD16300に 関連 す る可能性 が あ る。

瓦・ 増 の出土数量 は表 3の とお り。 軒 瓦 はSK16309か らの出土 が 多 い。 ま た、

緑 釉 増 の出上 が注 目され る。 上 器 は整 理箱26箱分 が 出土 した。 円面 硯 、 墨 書 土 器 が存在 す る。

木 製 品 と して、SX16305か ら独 楽 状木 製 品、SD16300。 SK16308か らへ ら、 加 工 木 、 部 材 片 な どが 出土 して い る。

一‑ 56 ‑―

第245‑2次調査出土瓦集計表

ま と め

今 回 の調 査 成 果 は以 下 の よ うに ま と め られ る。

1)大

垣 築 造 以 前 に大 垣 位 置 に近 接 して 、 数 状 の 南 北 溝 が 掘 られ て い る こ と が判 明 した。 今 回 の断 ち割 り調 査 の結 果 で は、 南 面 大 垣 と異 な り、 東 面 大 垣 で は 同 位 置 に先 行 す る一 本 柱 塀 が 建 て られ て い な い。 一 部 を検 出 した の み で平 面 上 の 位 置 が いず れ も曖 味 で あ るが 、 これ らの溝 が 大 垣 築 造 前 の宮 域 の 区 画 に関 連 す る施 設 で あ る可 含ヒ性 が あ る。

2)東

面 大 垣 部 分 の築 造 過 程・ 位 置・ 規 模 が判 明 した。 大 垣 幅 は基 底 部 で

9尺

、 東 西 犬 走 り幅 は各

4尺

、 西 雨 落 溝 幅 は

2尺

、 東 雨 落 溝 幅 は

5尺

に復 元 で き る。

3)後

期 園 池SG5800Bの 導 水 施 設 が 確 認 で き、 一 部 は大 垣 西 雨 落 溝 か ら給 水 さ れ て い る こ とが判 明 した。

4)園

池 と北 方 の宅 地 部 分 との高 低 差 は、 と くに段 差 や施 設 を設 けず 、 徐 々 に傾 斜 させ て処 理 して い る こ とが判 明 した。 大 垣 につ いて も同様 の処 理 を行 って い る と考 え られ る。

      (臼

 

)

 

 

型式

  

点 数 型式

  

点 数 型式

  

点数

  

類  I点数

Aa

,

6313 6314

型式不明 平

 

安 中

 

6663

6664

1         9 1 4 6 1       明 世 8         8 9 9 1 2       不 6         6 6 6 7 7       式 6         6 6 6 6 6       型 中

鬼 瓦

 

3

 

 

瓦 種

  

類  1点数

刻印丸瓦「理」 1

 

 

1

  i 37 1kg 点 数

1  33

506 8kg

3,663

1,248 1kg

軒 丸 瓦 計 軒 平 瓦 計 8,962

ドキュメント内 I 平城宮の調査 (ページ 48-57)

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