︱ 品
3 遺 構
検 出 した主 要 遺 構 は建 物
2棟
、 溝11条、 溜 ま り状 遺構 、土 坑 、 東 面 大垣 と東 西 雨落 溝 、木 樋 暗渠 、大 垣 犬 走 り上 の柱 穴群 で あ る。以下 、時期 ごとに概要 を述べ る。SD SK ︲
SD 072
日
│ │ │ │
図22 第245‑2次調査遺構図 1,400
なお大垣築造以後 の時期 区分 は第110次調 査成 果 に準 拠 す る。
A〜 Gの 8期
に 区 分 され、A期
は大垣築造 期 にあた り、A〜 D期
まで が下層整地、E期
が中層整地、F・
G期
が上層 整地 に対応 す る。 また、下層 園池SG5800AはB期
に造 られ、E期
に上 層 園池SG5800Bに改修 され る。
(1)大
垣築 造以前SD16300
木樋 西 側 の断 ち割 リ トレンチで一 部 を確認 した。 東 肩 を大 垣 西 雨 落 溝―‑ 52 ‑―
に切 られ る。 第110次調 査 で一 部 が確 認 され た斜 行 溝 SD9041に 続 く可 能 性 が あ る。
その場合、 トレンチで は西 肩 を確認 して いな いの で、 推 定 位 置 は第110次調 査 で の検討 よ り西 にず れ、方 向 もよ り南北 に近 くな る。 木 簡 出土。
SD16301
南 北 溝 の西 側肩 部 を検 出 した。 大 垣 西 雨 落 溝 底 石 の下 層 に な り、 そ れ 以前 の時期 と考 え られ る。大垣 に ほぼ平行 す る位 置 に あた る。SD 16302 断 ち割 リ トレンチで確 認 した、 幅約
lmの
南 北 溝 。 SD16301に つ な が る可能1性 もあ る。(2)大
垣 関連 遺構SA5900
東 面 大 垣 。 特 に調 査 区北 側 で 遺 存 状 態 が 良 い。 大 垣 の築 造 手 順 は以 下 の よ うにな る。 まず、地 山 を幅5.7mの 溝 状 に掘 り込 む。 掘 り込 み の深 さ は調 査 区北 端 で はlm近
くにな るが、南側 で は50cm前 後 とな る。 掘 り上 げ た地 山 の灰 黒 色 粘土 と灰 色 砂 を互 層 に積 み、掘 り込 み地 業 とす る。 北 側 で は、 地 業 の中 に径30 cm程の礫 を混 入 して い る。次 に築地本体部 分 を黄 褐 色 を帯 びた上 の版築 によ り積 み上 げ る。犬 走 り部分 は別 に上 を版築 して い く。築 地 本 体 と犬走 り部分 の積 み土 の差 は平面・ 断面 の両方 で観察 で き、 これ によ り築 地 本 体 の幅 は基底部 で9尺
と 確 定 で き る。 犬 走 り部分 は東 西 と も4尺
とな る。SD8436
大 垣 を横 切 る木 樋 暗渠 。 掘 り込 み地 業 を 終 え た段 階 で 幅 約1.2m、 深 さ 約40cmの 掘 形 を設 け、 そ こに長 さ7m前
後 の底 板3枚
と、 長 さ約5。7mの
両 側 板 各1枚
を組 み合 わせ た木樋 を、西側 を高 くして置 く。 掘形東端 は地 業 の外側 にで る。 板 の結 合 は底板・ 側板 と も各面3箇
所 ず つ の雇 柄 に よ る。木 樋 は内法 で 幅約50cm、 深 さ約40cmと な る。掘形 の幅 か ら見 て、外 で組 み合 わせ た後、掘 形 内 に置 い た と考 え られ る。 木樋 を設 置 した後、凝 灰岩 の切 り石 で蓋 を して、上 に版築 を かぶ せ て い く。 木樋 の東 に は素掘 りの溝 を続 け る。 第99次調 査 の成 果 で は この溝 は宮外 濠SD5780に つ なが る。東雨落 溝 との交 差 部 分 で は、 木 樋 両 側 板 の端 を水 流 を妨 げな い よ うに粗 く斜 め に落 と して い る。 北 側 板 の西 端 は長 さが足 りず、 外 側 に小 木 板 を置 いて補 って い る。木 樋 に は作 り替 え の痕 跡 は認 め られ な い。
SD9040
大 垣 西 雨 落 溝 。 側 石 に径30〜40cm程 度 の礫 、底 石 に平 た い小礫 を用 い た幅約50cmの 石 組 の溝 。 同 じ場所 に作 り替 えが認 め られ る。新 旧の溝 と も破壊 が著 しい。 旧溝
SD9040Aは
調 査 区北 側 で側石 と底石 が若 干残 るにす ぎな い。 掘 形 は大 垣 の犬走 り部 分 の積 み土 を切 って お り、大垣 を積 み終 え た後 に設 置 して い る。木 樋 との交 差 部 分 で は、底 が若干低 くな り、木樋 西 端 に直接底石 をのせ て い る。第 110次調 査 の成 果 で は下 層整地 と一連 で あ る ことが確認 されて い る。新溝SD9040Bは調 査 区 の北 端 で一 部 を、 南側 で痕跡 を検 出 した に とどま る。北端 で は旧溝 の側 石 を抜 い た後 に側石 を積 み直 して い る。 作 り替 え の時期 は中層整地 と同時期。
なお、北 端 で検 出 した溝 をそ の まま南 に伸 ばす と、 建 物SB9072の 東端 にかか る ことにな るので、 そ れ よ り北 で溝 を東 へ寄 せ て いた と考 え られ る。 そ の た め に、
南 側 で検 出 した溝 の東西位 置 は北端 よ りも40cm程 東 へず れ て い る。
SD5815
大 垣 東 雨落清 。 幅1.3〜 1.5m、 深 さ約40cm。 埋 土 は砂 質 土 が主 体 で、 底 付 近 に は丸・ 平 瓦 が敷 かれて い る。SS16303
大 垣 犬 走 り部分 の柱穴列。大垣築地 の両 側 に位 置 し、 今 回 調 査 部 分 の 各 所 で検 出で きた。 配 置 は不規則 で あ る。築地 の寄 柱 、 あ るい は屋 根施工 の際 の 足 場穴 で あ ろ う。(3)大
垣 築 造以 後SD9050。
SD9053
と もに幅約40cmの石 組 の東 西 溝。 第110次調 査 の見 解 で は、 当 初 東 西溝SD9050に 「T」 字 状 に南 北 溝 SD8456が 取 り付 き、 SD9050を SD9053に 作 り替 え る ときにそれ をSD9056に 付 け替 え、SD9053も そ こで止 め ると され て い る。今 回、 再 発 掘 した と ころで は当初 の導 水 溝 SD8456の 西 側 で はSD9053へ の作 り替 え は認 め られず、両 南北溝 の間 の部分 のみ に作 り替 え が認 め られ た。 第110次調 査 で も、SD8456よ り西 で の作 り替 え の跡 は検 出 して い な い。 新 しい南 北 溝 の東 にSD9053が 伸 び ない点 は同様 で あ る。 こ こで は、
B期
に作 られ たSD9050を 、D
期 に東 端 を縮 めてSD9053に 作 り替 え た と見 てお く。
SD8456 SD9050に
取 り付 く石 組 南北 溝。 南 北 端 の底 石 を検 出。 中央 部 はE期
の建 物SB9075の 柱 穴掘形 に切 られ る。南 は下層 園池SG5800Aに つ なが り、 導 水 溝 と 考 え られ る。
B〜
C tt。―‑ 54 ‑―
SD9056 SD9053東
端 に取 り付 く石 組 南 北 溝 。 幅 約40om。 北 端 部 を検 出 。 や は り 建 物 SB9075の 柱 穴 掘 形 に切 られ る。 南 端 部 は検 出 されて お らず、 導 水 溝 にな るかは不 明。
D期
。SD16304
石 組 東 西溝 。 幅約20cm。 西 側 をE期
のSB 9075の 柱 穴 に、東 側 をE期
以 降 のSX16305に 切 られ る。 検 出面・ 側 石 標 高 と もにB〜 C期
のSD9050よ り1段
高 く、D期
と考 え られ る。SD9056に取 り付 く可 能 性 が高 く、 南 北 棟 SB9072を 建 て る と きにSD9050西 側部分 を南 に移 し変 え た もの と思 われ る。SB9072
東面 大 垣 に近接 して 建 て られ た9間
×2間
の南北 棟。 柱 間 は、桁行8尺
等 間、梁 間
7尺
等 間。 今 回 の調 査 で は東 側 柱 の柱 穴 を全 て検 出 した。D期
。SB9075
桁 行3間
、 梁 間5間
の二 面庇 付南北棟。 柱間 は、桁 行 が両 端12尺、 中央 の間17尺、梁 間 が10尺等 間。 南 端 部 を検 出 した。 東 西両 端 で は、 柱 穴 掘 形 は側 柱 と入側柱 が一 連 の布掘状 にな り、底 に礎石 と根 が らみの横木 が残 る。E期
。SX16305
後 期 園池SG5800Bの 導 水 路 SD8455に つ な が る溜 ま り状 遺 構 。 地 山 の灰 色 砂 まで掘 り込 む。 内部 に径40cm程度 の礫 が多 数 堆 積 し、 本 来 は護 岸 され て い た可能性 が あ る。東西 か らSD16306と SD16307が 取 り付 く。濁 りな どを 除 くた め、こ こで い ったん水 が溜 め られ た後 に、池 へ流 れ こんだ と考 え られ る。 埋 土 か ら9 世 紀 中頃 の須恵 器 片 が 出上 して お り、 そ の ころ まで存続 した ら しい。
E期
以 降。SD 16306 宇奈多理神社側 か ら東 へ伸 びSX16305に 取 り付 く石組東西清。幅約40cm。
西 は調 査 区外 に伸 び る。 SX16305へ の導 水 路。
E期
以 降。SD16307
新大 垣 西 雨 落溝 SD9040 Bか らSX16305へ 伸 び る石組 東 西 溝 。 幅 約40cm。SD16306の 真東 に位 置す る。 SX16305へ の導水路。
E期
以 降。SA9064
園池 北 方 を南 北 に区 画 す る東 西 塀 。 東端 の柱穴 を検 出。F〜 G期
。(4)奈
良 時代以 後SK 16308 西雨落溝側石 の抜 取 穴。 木簡 出土。
SD 16309 大垣築地残存部 西側 の南北溝。途 中か ら玉石敷 とな る。 築 地 跡 を利 用 した里道 の脇 に、西雨落溝跡 の窪 み を利用 して作 られた ら しい。埋 土 中 に瓦 が大 量 に堆 積 す る。 時期 は不詳。
SG5800B
東 端 を検 出 した。 ただ し、大垣 積 み土 を切 ってお り、奈 良 時 代 の もの で はな い。埋土 中 よ り平安 時代 の上 器 片 が 出土 してお り、 そ の頃 に池 の水 面 が上 が り、築地部分 まで池 が広 が った もの と思 われ る。4
遺物
現 在 、削 り屑 を含 め
5点
の木 簡 が確認 されて い る。判読可 能 な2点
を報 告 して お く。SD16300出 土木簡
(表
)
他 田国足綾 □ □ 狩
□部 忍人
穴 太 □
□ □万 呂 (裏
)
□ □錦 部 馬 養
験
右匠 三ニヨ 坂 上 馬 養
丈 新 恵 廻 述
SK16308出 土木簡
(表
)召
壬生 直得足朱 雀 門 □ □ □ □ □ □
武 □ □宏 □
│ │
(裏
)□
秦川 辺 □□ □匠正 三コロ ロ ロロ ロロロ 片野 連 嶋村 子 身 陵比 事
白
□
□
なお、SK16308は 位 置 か ら見 て 、 SD16300埋 土 内 に掘 られ て お り、 両 者 と もに SD16300に 関連 す る可能性 が あ る。
瓦・ 増 の出土数量 は表 3の とお り。 軒 瓦 はSK16309か らの出土 が 多 い。 ま た、
緑 釉 増 の出上 が注 目され る。 上 器 は整 理箱26箱分 が 出土 した。 円面 硯 、 墨 書 土 器 が存在 す る。
木 製 品 と して、SX16305か ら独 楽 状木 製 品、SD16300。 SK16308か らへ ら、 加 工 木 、 部 材 片 な どが 出土 して い る。
一‑ 56 ‑―
表
3
第245‑2次調査出土瓦集計表5
ま と め今 回 の調 査 成 果 は以 下 の よ うに ま と め られ る。
1)大
垣 築 造 以 前 に大 垣 位 置 に近 接 して 、 数 状 の 南 北 溝 が 掘 られ て い る こ と が判 明 した。 今 回 の断 ち割 り調 査 の結 果 で は、 南 面 大 垣 と異 な り、 東 面 大 垣 で は 同 位 置 に先 行 す る一 本 柱 塀 が 建 て られ て い な い。 一 部 を検 出 した の み で平 面 上 の 位 置 が いず れ も曖 味 で あ るが 、 これ らの溝 が 大 垣 築 造 前 の宮 域 の 区 画 に関 連 す る施 設 で あ る可 含ヒ性 が あ る。2)東
面 大 垣 部 分 の築 造 過 程・ 位 置・ 規 模 が判 明 した。 大 垣 幅 は基 底 部 で9尺
、 東 西 犬 走 り幅 は各4尺
、 西 雨 落 溝 幅 は2尺
、 東 雨 落 溝 幅 は5尺
に復 元 で き る。3)後
期 園 池SG5800Bの 導 水 施 設 が 確 認 で き、 一 部 は大 垣 西 雨 落 溝 か ら給 水 さ れ て い る こ とが判 明 した。4)園
池 と北 方 の宅 地 部 分 との高 低 差 は、 と くに段 差 や施 設 を設 けず 、 徐 々 に傾 斜 させ て処 理 して い る こ とが判 明 した。 大 垣 につ いて も同様 の処 理 を行 って い る と考 え られ る。(臼
杵勲)
軒 丸 瓦 軒
平
瓦 道 具 瓦
型式
種 点 数 型式
種 点 数 型式
種 点数 種
類 I点数 A
C D M R
? A B A A
?
? B E F
? A B
? A B B
Aa
,
6313 6314
型式不明 平
安 中
世
6663
6664
1 9 1 4 6 1 明 世 8 8 9 9 1 2 不 6 6 6 6 7 7 式 6 6 6 6 6 6 型 中
b
A B C
? D
? A B C E
? C A A A C G H
?
鬼 瓦
新 3 文
字
瓦 種
類 1点数
刻印丸瓦「理」 1
緑
釉
埓
点 数 1
埓
重 量 i 37 1kg 点 数
1 33
丸 瓦
重 量 506 8kg
点 数 3,663
平 瓦
重 量 1,248 1kg
軒 丸 瓦 計 軒 平 瓦 計 点 数 8,962