第2章 遺伝子関連検査における検体品質管理マニュアル
Ⅲ. 遺伝学的検査受託における遵守事項
7.
衛生検査所は、遺伝学的検査の実施前に医師が被検者に対して、検査の目的、方 法、精度、限界、結果の開示方法等について十分な説明をし、被検者の自由意思によ る同意(インフォームド・コンセント)を得ることを医療機関に要請する。
また、遺伝学的検査実施前後に遺伝カウンセリングが特に必要と考えられる検査の
受託に際しては、関連学会等で示された指針・ガイドラインに従い、十分な遺伝医学的 知識・経験を有する臨床遺伝専門医等が適切に遺伝カウンセリングを行う体制がある ことを医療機関に確認する[注3 注10]。8.衛生検査所は、遺伝学的検査を受託するに当たり、医療機関において各種安全管 理措置(組織的、人的、物理的、技術的安全管理措置)が講じられ、被検者の個 人名等を、符号又は番号によって匿名化するなど、個人情報の保護が適切に行われる よう医療機関に要請する。
また、衛生検査所では、匿名化された検体の安全管理ができる体制を整備し、
特に単一遺伝子疾患の診断を目的とした遺伝学的検査の結果の報告に際しては、
担当医師に対して親展扱いで報告する等、個人遺伝情報の保護に努める。
但し、薬剤応答性診断に関する遺伝子検査(生殖細胞系列のファーマコゲノミ クス検査)の取扱いに関しては、これまでに示された指針・ガイドラインに従い、
単一遺伝子疾患が考えられる場合でも、原則として、健康障害をもたらさない場 合は、匿名化や親展報告の取扱いについてはその限りでなく、医療機関と協議の 上で適切な運用方法を決めることができる[注3 注10]。
第6回 日本衛生検査所協会 アンケート調査の対象範囲
1.対象期間;
2010 年4月 1 日から 2011 年 3 月 31 日
2.対象施設数;
2011 年 7 月 1 日に、社団法人日本衛生検査所 協会に加盟する 132 社を対象
3.回収施設数(回収率): 99 社 75 . 0%
「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」
平成13年4月10日 策定 平成16年9月16日改正 平成19年4月1日改正 平成23年10月1日 改正
社団法人 日本衛生検査所協会 遺伝子検査受託倫理審査委員会
(1) 単一遺伝子疾患の診断に関する遺伝子検査
(2) 家族性腫瘍の診断に関する遺伝子検査[改定により(1)に統合]
(3) 薬剤応答性診断に関する遺伝子検査
(4) 生活習慣病等の疾患感受性(易罹患性)診断に関する遺伝子検査
(5)
その他、個人の体質診断に関する遺伝子検査等
<本指針の対象から除かれる遺伝子検査等に関する細則>
以下の検査については本指針の対象から除く。
(1) 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に規定されたヒトゲノム・遺伝子解析 を目的とした研究
(2) 薬事法に従い実施される遺伝子検査・染色体検査
(3) 感染症診断に関する病原体の遺伝子検査
(4) ヒト体細胞遺伝子解析に関する遺伝子検査(白血病/リンパ腫及び固形腫瘍の診断に 関する遺伝子検査、及びファーマコゲノミクス検査のうち腫瘍組織を用いる遺伝子検査)
(5) 骨髄移植骨髄移植等における適合性やドナー/レシピエントを識別する遺伝子検査 (HLA検査及びキメリズム解析検査等)
(6) 親子鑑定(DNA鑑定)に関する遺伝子検査
(7) 白血病/リンパ腫及び固形腫瘍等の診断に関する染色体検査
(8) 先天異常・生殖障害等の診断に関する染色体検査
(9) 先天性疾患等の診断に関する生化学検査
0 5000 10000 15000 20000 25000
遺伝性疾患 家族性腫瘍 生活習慣 薬剤応答 体質
第1次合計
(1999年)
第2次合計
(2001年)
第3次合計
(2004年)
第4次合計 (2006年)
第5次合計
(2008年)
第6次合計
(2010年)
1.日衛協倫理指針対象の遺伝学的検査実施数
遺伝性疾患
2006年:筋ジス保険収載 2008年:遺伝学的検査13疾患 2010年:2疾患追加(合計15疾患)
DMD/BMD:約640件 福山;70件
薬剤応答遺伝子検査
2008年11月:UGT1A1保険収載
2009年4月:UGT1A1検査開始PGx検査の運用指針公表 2010年:6月;IL28B検査開始
*実績:保険適用;UGT1A1:11627件 保険適用外:10605件
2.日衛協倫理指針対象外の遺伝子検査実施数
0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000
白血病 固形癌 臓器移植 親子鑑定
第1次合計
(1999年)
第2次合計 (2001年) 第3次合計
(2004年)
第4次合計
(2006年)
第5次合計 (2008年) 第6次合計
(2010年)
固形癌遺伝子検査 2007年6月:悪性腫瘍遺伝子検査(肺癌:K-ras,EGFR遺伝子検査)
(2008年実績は肺癌におけるEGFR遺伝子検査が主体)
2010年4月:(肺癌:K-ras,EGFR遺伝子検査)→大腸癌追加 2010年度実績: EGFR:46,543件 K-ras:35,223件
3.染色体検査実施数
0 2 0 0 0 0 4 0 0 0 0 6 0 0 0 0 8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 2 0 0 0 0 1 4 0 0 0 0 1 6 0 0 0 0
遺伝性疾患 白血病・リンパ腫
第3 次合計( FI S H) ( 2 0 0 4 年)
第4 次合計( FI S H) (2 0 0 6 年)
第5 次合計( FI S H) ( 2 0 0 8 年)
第6 次合計( FI S H) ( 2 0 1 0 年)
第2 次合計( Gバ ンド ) ( 2 0 0 1 年)
第3 次合計( Gバ ンド )( 2 0 0 4 年)
第4 次合計( Gバ ンド ) ( 2 0 0 6 年)
第5 次合計( Gバ ンド ) ( 2 0 0 8 年)
第6 次合計( Gバ ンド ) ( 2 0 1 0 年)
FISH FISH
Gバンド Gバンド
倫理指針対象
倫理指針対象外
0 500000 1000000 1500000 2000000 2500000 3000000 3500000 4000000 4500000 5000000
感染症
第1次合計(1999年)
第2次合計(2001年)
第3次合計(2004年)
第4次合計(2006年)
第5次合計(2008年)
第6次合計(2010年)
4.感染症の遺伝子検査実施数
0 500000 1000000 1500000 2000000 2500000 3000000 3500000 4000000 4500000 5000000
感染症
第1次合計(1999年)
第2次合計(2001年)
第3次合計(2004年)
第4次合計(2006年)
第5次合計(2008年)
第6次合計(2010年)
倫理指針対象外