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遠くから眺めるのではなく 何事にも飛び込む勇気を

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現場マネージャー物語 55

avengers in sci-fi担当

宮下智史さん

楽曲はメロディ、リズム、ハーモニー の3要素から成り立っているといわれま す。歌詞付き楽曲の場合は、イントロな ど歌詞のない部分にも、メロディ、リズ ム、ハーモニーは存在します。そして、歌 詞付き楽曲のイントロの部分だけを使っ ても、その部分に創作性があれば、その 楽曲の著作権が働きます。

ところが、歌詞付き楽曲の場合、作曲 家はメロディの部分だけ、しかも歌詞の 部分に対応するメロディだけを作る場合 が少なくありません。いわゆる「メロディ メーカー」といわれている作曲者はその ようです。もちろん、イントロのメロディ やコード進行やリズムパターンなども考 える作曲者もいると思いますが、その場 合でもスコア譜まで書くことは稀なので

はないでしょうか。

楽曲を構成する要素のうち作曲家が やらない部分の作業は、編曲家が担当 することになり、編曲がないと楽曲が完 成しません。編曲が魅力的だったのでヒ ットしたという例もあると思います。この ように、公表時編曲は非常に重要な作 業なのです。

にもかかわらず、音楽業界では、楽曲 の著作者はあくまでも作曲者であり、編 曲者は著作者ではないと考えられてい るようです。作曲者が楽曲の著作者で あることに異論はないとしても、編曲者 は著作者とはいえないのでしょうか。

著作権法では、著作者を「著作物を 創作する者をいう。」と定義しています。

そして、著作物たる楽曲を構成する要素

「 アーティストの権利 」 実用ガイド

前回はカバーレコーディングと編曲の関係を取り上げましたが、今回は、楽曲がレコード

(CDなどの録音物)として最初に発売されたときに付された編曲(これをJASRACでは

「公表時編曲」と呼んでいる)について考えます。公表時編曲はカバーレコーディングの ための編曲よりもずっと重みのある、作曲者と同等の創作行為である場合も多いと思 いますが、音楽業界における編曲家の存在は必ずしも恵まれたものではありません。

text:秀間修一(リアルライツ)

著作者の権利その4

(公表時編曲の重要性)

プロダクションが知っておくべき

9

は、先ほど述べたように、メロディ、リズ ム、ハーモニーだといわれています。し たがって、この3要素を創作した者が楽 曲の著作者ということになるのだと思い ます。

楽曲が最初にレコーディングされると きの編曲である「公表時編曲」は、この3 要素の一部を創作する行為なのですか ら、それを行った編曲者は、作曲者とと もに「著作物を創作する者」として著作 者になりうると、筆者は考えます。

もっとも、作曲者が歌詞部分のメロデ ィだけでなく、イントロや間奏、エンディ ングなどについても和声を含め具体的 に編曲者に指示し、編曲者は単にそれ を譜面化しただけというような場合は、

編曲者の行為には創作性がないとされ、

著作者とは認められないかもしれませ ん。しかし、実際には、レコーディング時 に編曲者が介在する場合のほとんどは、

編曲者も創作的な行為を行っているの ではないでしょうか(筆者は、公表時編 曲者も楽曲の著作者ではないかという 意見を以前から持っていましたが、広く 定着した考え方ではないので、本稿で はこれまで、音楽の著作物の著作者は、

楽曲部分は作曲者、歌詞部分は作詞者

と説明してきました。今後もそうします)。 このように、公表時編曲者は、作曲者 と同様その楽曲の創作に大きく寄与して いるのですが、その待遇は作曲者ほど 恵まれてはいません。

まず、著作者が持っている氏名表示権 の関連でいえば、楽曲がレコードなどの 複製物として利用されるときには、その ジャケットやブックレットなどに、作詞作 曲者名とともに公表時編曲者の氏名が 表示されるのが普通ですが、それは、あ くまでも公表時編曲がそのまま使われて いるレコードの場合であって、カバーレ コードのときは、カバーの編曲者名は表 示されても、公表時編曲者名まで表示さ れることはありません。また、テレビやラ ジオでの放送など複製以外の方法で利 用されるときにも、公表時編曲者名が表 示されることはほとんどありません。

著作権使用料の面でも、公表時編曲 者は冷遇されています。

JASRACの分配規程では、編曲者は、

その編曲が使われた場合は、その楽曲

(歌詞付き楽曲の場合は歌詞を含めた もの)の著作権使用料の一部(1/12から 2/12)の分配を受けることができますが、

そのためには、作曲者・作詞者・音楽出

曲者と同等の待遇を与えるのは適切で ないのかもしれません。しかし、公表時 編曲の重要性を考えると、今よりは優遇 されるべきではないでしょうか。

公表時編曲者の優遇策のもっとも手 っ取り早い方法が、公表時編曲者も作 曲者に加えてもらう(共同作曲の扱いと する)ことですが、そうなると、著作権使 用料の一人当たりの取りぶんが減って しまうので、相手作曲者の同意を取り付 けるのは難しいかもしれません。

バンドの場合に、メンバーの誰かがメ ロディ部を創った曲をレコーディングす るにあたって、メンバー全員でその曲を 完成させるようなケースでは、メンバー 全員が作曲あるいは公表時編曲を行っ たと解釈することもできるので、メンバー 全員を作曲者として表示することも可能 かと思います。ただし、その場合は、メ ロディ部を創ったメンバーに対して著作 権使用料の取りぶんを多くするなどの配 慮が必要になるでしょう。

いずれにしても、公表時編曲を行う者 は、自分の権利を確保するためにも、ま ずは、現在行われている公表時編曲届 などの制度を最大限に活用すべきでし ょう。

版社など権利者全員の文書による承認 を得たうえで編曲届をJASRACに提出 し、編曲審査委員会による審査にパス しなければなりません。この場合の編曲 は公表時編曲にかぎりません。

公表時編曲については、カラオケ歌 唱による演奏使用料の1/12が公表時編 曲者に分配されます。この場合、権利者 の承認や編曲審査委員会の審査は必要 ありません。作品届の公表時編曲欄に チェックをしてJASRACに届けるだけで 済みます。しかし、対象となる公表時編 曲は、この制度がスタートした1998年4 月1日以降に初めてレコードとして発売さ れた作品にかぎられます。

このように、公表時編曲者にも著作 権使用料の一部が分配される仕組みが できてはいるものの、作詞者や作曲者 にくらべると分配対象となる使用料の範 囲がせまく、使用料の配分も少ないのが 現状です。

確かに、楽曲を創作する場合、作曲 者がゼロからの創作であるのに対し、公 表時編曲者はメロディという材料が与え られているわけで、作曲者の行為のほう が創作性の度合いが高いともいえます。

そういう意味では、公表時編曲者に作

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