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2. 実証実験の概要

2.3. 運用方法

2.3.1. 実施体制

実証実験においては、患者の個人情報を取り扱うため、個人情報保護責任者となる運営 主体を設置する必要があり、石川県医師会を中心とした協議会体制とした。事業全体の運 営主体として、電子版疾病管理手帳の運営管理も担う。

本事業では二次医療圏を超えた連携がテーマになっており、能登北部における地域連携 を能登北部医師会、能登中部における地域連携を社会医療法人財団董仙会を運営主体とし た。

表 2.3-1 運営主体について

運営主体 範囲 備考

石川県医師会を中心とした 協議会

事業全体 電子版疾病管理手帳を含む

能登北部医師会 能登北部における地域連携 社会医療法人財団董仙会 能登中部における地域連携

また、能登北部・中部それぞれにシステムサポートを行うためのサポートセンターを設 置し、実証期間中、利用者からの問い合わせ窓口として、質問等に対応することとした。

具体的には、実証開始前に、実証実験に参加する医療従事者向けの説明会を能登中部(平 成26年6月3日)と能登北部(6月13日)にそれぞれ実施し、実証内容の詳細をご理解 頂くとともに、システムの利用方法を習得頂いた。また、実証の準備として、認証用カー ドの申請や、接続端末へのモジュールインストール、システムの利用方法の説明、患者へ の広報資料の配布・同意書の取得手続きなどを、個々の機関を訪問し、随時、実施した。

実証期間中には、操作方法や、ネットワークやアプリケーションのエラー、操作のサポー ト依頼等の問い合わせに対し、随時サポートセンターにて対応を実施した。

2.3.2. 実証スケジュール

石川県医師会より運用管理規程等ポリシー関連文書の承認を受け、平成26年8月より順 次実証実験を開始した。実証期間については、当初は平成26年12月までの予定であった が2ヶ月延伸し、平成27年2月までとした。実証期間を延伸した理由は以下の通りである。

まず、検査センターと本事業システムとの検査情報連携部分にて、仕様調整と結合試験 に時間がかかったため、平成26年9月末に検査情報の取込みが可能となった。

検査結果の表示は本事業の主要な機能であり、十分な実証期間を確保する必要がある。

そのため、本機能の利用が可能となった平成26年10月より当初予定の5ヶ月間を確保す るため平成27年2月までを実証期間とした。

実証期間を延伸することについては、参加機関への説明を行い了承を得た上で実施した。

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図 2.3-1 実証実験スケジュール

2.3.3. 参加機関

参加機関の選定にあたっては、(1) 検証に十分な参加患者数やデータ量を確保することが できなかったこと、(2)利用者にとって負担が大きい仕組みであったこと、という平成24年 度事業の2つの課題を踏まえ、以下の3点を要件とした。

① 対象疾患の患者について診療を行っており、高齢者に限らず同意取得の見込みが高 いこと

② インターネット回線(有線)が敷設済みであること

③ システム利用の制約が少ない環境であること(他の医療機関等との情報連携を許容 するセキュリティポリシーである、端末が複数にならない、検査会社からデータを 取得するため入力の手間が無い等)

実証参加機関は以下の通りである。

表 2.3-2 実証参加機関 能登北部

医療圏

(15施設)

病院 ・ 市立輪島病院 診療所 ・ あいずみクリニック

・ 伊藤医院

・ 桶本眼科

・ 北川内科クリニック

・ 小西医院

・ 舩木クリニック

・ 大和医院

・ 升谷医院

・ 輪島診療所

項目

平成26年度

7 8 9 10 11 12 1 2 3

当初

システム開発 実証実験

見直 し後

システム開発 システム開発

(検査センターとの連携)

実証実験 実証実験

運用試験

仕様調整 運用試験

実証実験

結合

試験 5ヶ月間を確保

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歯科診療所 ・ 矢間デンタルクリニック 薬局 ・ 河合薬局

・ 日本調剤輪島薬局

・ 日本調剤門前町薬局

・ 橋本薬局 能登中部

医療圏

(15施設)

病院 ・ 恵寿総合病院

・ 北村病院

診療所 ・ えんやま健康クリニック

・ けいじゅファミリークリニック

・ さはらファミリークリニック

・ 鳥屋診療所

・ 安田医院

・ 中村ペインクリニック 歯科診療所 ・ かぶと歯科医院

・ 恵寿歯科 薬局 ・ あさひ薬局

・ コトブキ薬局七尾店

・ 中島薬局

・ 阪神調剤薬局さくら店

・ みそぎ薬局

参加機関には、実証実験の前後で図 2.3-2に示す事項についてご協力頂いた。

図 2.3-2 参加機関の実施事項

時期 お願いしたい事項 内容

実証実験前 平成26年 2~3月 患者選定 患者の選定基準にしたがって、実証に参加いただく患者さんを選定 していただく。

平成26年 5~7月

(随時)

患者の同意取得 上記の選定いただいた患者さんに対し、実証事業に関する説明を 実施いただき、参加の同意を取得いただく。

平成26年 5~7月 説明会への参加 システムを利用いただく方に説明会に参加いただき、実証の内容詳 細をご理解いただき、システムの利用方法を習得いただく。

平成26年 7月 環境構築の立会 実証に際し、端末のセットアップ等に事業者が伺うので、立会をい ただく。

平成26年 6~8月 事前アンケート およびヒアリング

実証実験に関するアンケート(事前)を記載いただく。

平成26年 7月 HPKIカード申請手続き システムを利用いただく際に必要となる、HPKIカードの申請手続きを していただく。

実証期間中 平成26年 8月~

平成27年 2月

(随時)

情報の参照・登録 実証実験にご参加いただいている患者さんの場合、システムを利用 して情報参照・登録いただく。

平成26年 8月~

平成27年 2月

(随時)

改善要望、ご意見等 をいただく

システムをご利用いただいての感想、ご意見等をいただく。

実証実験 終了後

平成27年 2月 事後アンケート およびヒアリング

実証実験に関するアンケート(事後)を記載いただく。システムを利 用しての感想等のご意見をいただく。

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参加機関に所属する医療従事者のうち、本実証に参加した医療従事者の人数は以下の通 りである。

表 2.3-3 医療従事者参加人数

参加人数

医療従事者合計 57

医師 23

歯科医師 3

薬剤師 9

看護師 7

管理栄養士 4

補助作業者 11

2.3.4. 参加患者

実証に参加する患者として、4疾病すべてに罹患している患者を選定することが理想的で あるものの、それを前提とすると患者数の確保が困難になると想定される。そこで、以下 の基準を目安に参加機関に患者を選定して頂いた。

 糖尿病(軽症)に加えて高血圧症、脂質異常症、CKDのいずれか、または複数を患っ ている

 参加機関間で紹介が行われている(紹介予定含む)

 月1回程度通院しており実証実験期間中に定期受診が見込まれる

 電子版疾病管理手帳を利用していただけそうであれば、年齢、性別は問わない

その上で、患者向けに実証事業の説明文書等(添付資料3(2) 患者さんの同意・契約手続 き文書)やポスター、パンフレットを作成し、実証事業に関する説明を実証参加機関から 行った上で実証実験への参加について同意書を取得して頂いた。

なお、電子版疾病管理手帳は利用者向けに「私の健康note」というサービス名とした。

参加患者数は、能登北部医療圏で20人、能登中部医療圏で44人の計64人であった。

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表 2.3-4 患者参加人数

参加患者数 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 合計

全体 合計 2 8 10 14 21 9 64

割合 3% 13% 16% 22% 33% 14% 100%

男性 1 5 6 10 15 4 41

女性 1 3 4 4 6 5 23

能登北部 合計 0 2 3 4 8 3 20

割合 0% 10% 15% 20% 40% 15% 100%

男性 0 1 3 3 6 2 15

女性 0 1 0 1 2 1 5 能登中部 合計 2 6 7 10 13 6 44

割合 5% 14% 16% 23% 30% 14% 100%

男性 1 4 3 7 9 2 26

女性 1 2 4 3 4 4 18

図 2.3-3 患者さん向けポスターと実証参加の流れ

71 2.3.5. 規程文書・申請文書等

実証実験においては患者の個人情報を取り扱うこと、個人情報の利用者は多岐にわたっ ていることから、利用者の役割と責務を明確化し、安全な管理体制のもとに運用される必 要があるため、個人情報の取扱いに関わる各種の文書等を策定した。

本事業においては、二次医療圏を超えた連携が実証テーマの一つであり、そのためには それぞれの実証フィールドの医療情報連携にあたってのセキュリティポリシーやプライバ シーポリシーをすり合わせる必要がある。

そこで、実証フィールドに存在している主なポリシーを確認し、比較整理した上で、能 登北部の文書をベースにすり合わせを行った。確認したポリシーは、能登北部、公立病院 のポリシーとして市立輪島病院、民間病院のポリシーとして恵寿総合病院である。また、

将来的な連携を想定して県事業のポリシーも確認した。

患者の同意・契約手続き文書については、「医療・介護関係事業者における個人情報の適 切な取扱いのためのガイドライン」26によると、個人データを特定の者との間で共同して利 用するとして、あらかじめ本人に通知等している場合は第三者提供(個人情報保護法第23 条)に該当せず、本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができるとされている。しか し、特定の医療情報連携ネットワークの参加機関を受療する場合と非参加機関を受療する 場合とで本人のデータの取扱いが異なることになる。国民皆保険であることを考慮すると、

医療情報連携ネットワークという手法によって共同で診療することについての同意は必要 と考え、実証事業参加同意書を作成した。

情報共有範囲については、同意書(患者さんの実証事業参加同意書兼情報共有先登録書)

に参加機関を列挙した上で、参加機関間での情報共有に対する包括同意を頂くことを前提 にしつつ、情報共有を希望しない特定の参加機関がある場合には患者が選択できるように した。また、同意書を提出した後であっても情報共有先を変更できるよう、変更申請書は 情報共有先変更書を兼ねる形式とした(患者さんの同意書内容変更申請書兼情報共有先変 更書)。

最終的に、図 2.3-4 に示す文書等を作成した。これらの文書等は運営委員会で内容を確 認した上で、事業管理者として個人情報保護責任者である石川県医師会の理事会にて承認 を受けた。各文書については添付資料を参照。

26 III 5. 個人データの第三者提供(法23条)(4)「第三者」に該当しない場合