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4. 実証結果の検証

4.1. 概要

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・ 二次医療圏を超えた連携

医療資源が不足する能登北部医療圏を能登中部医療圏が支援することにより、医師

(特に専門医)の偏在対策に繋がることが期待される。

上記のような効果が期待されることを、医学管理面、情報技術面、社会的効果の観 点で検証した。

131 4.1.2. 検証の観点

 医学管理面、情報技術面、社会的効果の観点から評価項目を設定し、電子版疾病管理 手帳(患者参加型の連携)に関する評価と、地域医療連携(医療従事者間の連携)に 関する評価を行った。

 電子版疾病管理手帳が重症化予防に寄与したかどうかについては、「IT化により、治療 中断の抑制や、適切なタイミングでの指導が実施できたことをもって、重症化予防に 寄与すると考えられる」と想定し、評価を行った。

 地域医療連携については、「ITを用いた地域内・地域間で医療従事者同士での情報共有 が、医療提供体制の強化に寄与すると考えられる」と想定し、評価を行った。

 医学管理面、情報技術面、社会的効果のそれぞれの観点に対する評価の考え方を以下 に示す。

表 4.1-1 評価観点と考え方

観点 考え方

医学管理面 有効性(ITを活用した情報連携が、重症化予防・医療の質の向上に寄与し たかどうか)

安全性(ITを活用した情報連携が医療安全に寄与したかどうか)

効率性(情報連携によって診療業務が変化したかどうか)

情報技術面 利用頻度(システムがどの程度利用されたか)

利便性(利用者にとって使いやすいシステムかどうか)

相互運用性(システム構成、データ形式)

安全性(医療情報を扱う上で安全性を担保しているかどうか)

可用性(求められるサービスレベルにて、可用性を担保しているかどうか)

社会的効果 本事業の仕組みを能登北部・中部地域全体で活用した場合の、自治体・医 療従事者・患者に想定される社会的効果

 また、費用面での検証として、本事業にて構築した仕組みを運営するための費用負担 がどの程度許容できるかの把握と、標準的な技術の活用による、システム開発費用の 適正化に繋がるか、という考察を行った。

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4.1.3. 検証で利用するデータの取得方法

 評価に必要なデータについては、アンケート・ヒアリングによる取得、システムからの 取得を行った。

 アンケート・ヒアリングでは、医療従事者、患者それぞれについて、本事業の仕組みを 実際にどのように利用したか、利用してどのように感じたかを回答してもらった。

電子版疾病管理手帳については、紙の手帳との比較を行うため、実証前、実証後それぞ れでアンケート・ヒアリングを実施した。

アンケート・ヒアリングの考え方を以下に示す。

表 4.1-2 アンケート・ヒアリングの考え方

取得方法 考え方

アンケート・ヒア リングによる取得

アンケートは、患者、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士・看護師・

補助作業者、患者に対して実施する。

ヒアリングは、自治体(保険者)・本事業の参加機関以外の医療従事 者の中からヒアリングする候補を選出し実施する。

 システムからの取得では、医療従事者、患者それぞれについて使用状況等の定量データ を取得した。

システムからデータを取得する際の考え方を以下に示す。

表 4.1-3 システムからデータを取得する際の考え方

考え方 説明

評価のために取得するデータ 確認したい事項を、「直接的」に確認することが可能な データ

評価の参考として、代替的に取得 するデータ

確認したい事項を直接的に確認することはできないが、

参考となりうるデータ 今後運用を続けることで

中長期的な効果を確認するため のデータ

短期間の実証実験では優位性を確認することは難しい

(特に医学管理面)が、継続的に取得することで評価に 使用できるデータ

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