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3. システム仕様

3.1. システム構成

実現したシステムのシステム構成を、図3.1-1に記載する。大きくは、情報を登録するた めの仕組み、情報を閲覧するための仕組み(能登北部地域連携システム、能登中部地域連 携システム、電子版疾病管理手帳)及び地域間で情報連携する仕組みがあり、それぞれが 連動している。以降、それぞれの構成について記載する。

図 3.1-1 システム構成

能登北部データセンター

能登北部地域連携システム(PrimeArch)

電子版疾病管理手帳

病院 病院 リポジトリ

診療所

歯科診療所

調剤薬局

検査会社

診療所 リポジトリ

歯科診療所 リポジトリ

調剤薬局 リポジトリ

電子版疾病管理手帳GW

手帳DB

電子版疾病管理手帳アプリ MPI

能登中部データセンター

能登中部地域連携システム(HARMONYsuite)

病院 病院 リポジトリ

診療所

歯科診療所

調剤薬局

検査会社

地域医療連携アプリ

診療所 リポジトリ

歯科診療所 リポジトリ

調剤薬局 リポジトリ

MPI

PIXManager PIXManager XDS Document Registry

XDS Document Registry

地域医療連携アプリ

PIX Consumer XDS Document Consumer XDS Document Consumer PIX Consumer

PIX Consumer

XDS Document Consumer

PIX Consumer 地域間連携機能

Initiating Gateway Responding

Gateway

Initiating Gateway Responding

Gateway

ATNA Audit Repository

ATNA Audit Repository

74 (1) 情報を登録するための仕組み

図 3.1-2 参加医療機関等からの情報登録

参加医療機関や検査センターから、参加医療機関毎のリポジトリに、本実証に参加 する同意を得た患者の処方情報や検査情報といった文書を登録するための仕組みであ る。リポジトリに登録された文書の索引情報はレジストリにて管理され、能登中部地 域連携システム、能登中部地域連携システム、電子版疾病管理手帳からの検索要求に 対し、検索にあった文書を応答する。

リポジトリに登録する文書は、SS-MIX227標準化ストレージ仕様書に準拠した形式

(歯科情報など一部は本事業にて定義した独自仕様)となっている必要がある。参加 医療機関等のシステムから、標準的な形式で情報の出力が可能な場合はそのまま連携 が可能だが、そうでない場合には、標準的な形式へのデータ変換が必要である。

リポジトリの構成は、各地域に用意したデータセンター内に参加医療機関毎に分け て預託する集中型の方式とした。本来は、個人情報保護の観点から、提供される患者

27 SS-MIX:厚生労働省電子的診療情報交換推進事業(Standardized Structured Medical

record Information eXchange)で策定された『電子的診療情報を他システムとの交換や 地域医療連携で利用するために、診療情報を標準的な形式で蓄積・管理するデータとして 保存できる領域』の仕様。

SS-MIX2標準化ストレージ:2012年にSS-MIXで策定された新標準化ストレージ仕様。

能登北部データセンター

能登北部地域連携システム(PrimeArch)

電子版疾病管理手帳

病院 病院 リポジトリ

診療所

歯科診療所

調剤薬局

検査会社

診療所 リポジトリ

歯科診療所 リポジトリ

調剤薬局 リポジトリ

電子版疾病管理手帳GW

手帳DB

電子版疾病管理手帳アプリ MPI

能登中部データセンター

能登中部地域連携システム(HARMONYsuite)

病院 病院 リポジトリ

診療所

歯科診療所

調剤薬局

検査会社

地域医療連携アプリ

診療所 リポジトリ

歯科診療所 リポジトリ

調剤薬局 リポジトリ

MPI

PIXManager PIXManager XDS Document Registry

XDS Document Registry

地域医療連携アプリ

PIX Consumer XDS Document Consumer XDS Document Consumer PIX Consumer

PIX Consumer

XDS Document Consumer

PIX Consumer 地域間連携機能

Initiating Gateway Responding

Gateway

Initiating Gateway Responding

Gateway

ATNA Audit Repository

ATNA Audit Repository

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のデータ管理は、個々の機関内に準備した公開用のリポジトリにて保存・管理し、地 域連携システムからネットワーク経由でデータを参照する分散型の方式が望ましいが、

機関ごとでリポジトリの準備・維持管理には、運用面や費用面で課題があるため、本 実証では、前述の集中型の方式とした。

また、各地域の参加機関(病院、診療所、歯科診療所、薬局、検査会社)とのデー タ連携は、各機関のシステムから自動でリポジトリに格納されるのが望ましいが、参 加機関によっては、システム化されていなかったり、自動連携するためには参加機関 側のシステム改修が発生し現行業務に影響がでたり、参加機関のポリシーによりシス テムを地域連携ネットワークに接続できなったり、といった課題がある。本実証では、

そのような参加医療機関等の環境を調査し、必要なツールを開発した。施設の種類と 開発したツールについて、以下表にまとめる。

表 3.1-1 参加医療機関等からの情報登録に必要なツール

病院※1 病院・診療所

※2

歯科診療所 保険薬局 検査センター

HL7変換ツール △ △ - - -

診療GW ○ - - - -

診療EXP - ○ - - -

歯科EXP - - ○ - -

調剤EXP - - - ○ -

検査データ変換プログラム - - - - △

検査データ送信プログラム - - - - ○

検査アップローダー - - - - ○

データ連携ASP ○ ○ ○ ○ ○

XDS Document Registry ○ ○ ○ ○ ○

○:利用、△:場合により利用、-:利用しない

※1:常時接続VPNで接続している病院、※2:※1以外の病院・診療所 以降、各ツールについて詳細を記載する。

(ア) HL7変換ツール

HL7変換ツールは、参加医療機関内のシステムから出力された連携用データを、

SS-MIX2標準化ストレージ仕様書に準拠した形式に変換するツールである。参加

医療機関内のサーバまたはクライアント端末上で動作する。

2.2.1基本方針で述べたように、標準的な形式での診療情報作成に対応していな

い医療機関では「JAHIS IHE-ITI を用いた医療情報連携基盤実装ガイドレセコン

編 Ver.1.0」に準拠した形での地域医療連携用データの出力機能を各ベンダーにて

導入してもらった。HL7 変換ツールは、その機能で出力された地域医療連携用デ

ータをHL7v2.5形式に変換する。

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また、市立輪島病院では、平成24年度の能登北部での実証事業の仕組みを活用 し、院内のHISから独自CSV形式で出力された連携用データをHL7変換ツール

でHL7v2.5形式に変換する。

図 3.1-3 HL7変換ツール

(イ) 診療GW

診療GWは、閉域網の常時接続VPNで接続している市立輪島病院・恵寿総合病 院から出力された診療情報(HL7v2.5形式)を、データ連携ASPへ送信するツー ルである。市立輪島病院からの情報登録においては、市立輪島病院内に設置した 連携サーバ上で動作する。恵寿総合病院からの情報登録では、能登中部のデータ センターが恵寿総合病院内にあるため、能登中部のデータセンター内のサーバ上 で動作する。

(ウ) 診療EXP

診療EXP は、閉域網ではなくインターネット網をつかったオンデマンド VPN で接続する病院・診療所から、診療情報(HL7v2.5形式)を、データ連携ASPへ 送信するツールである。参加医療機関内のクライアント端末上で動作し、起動時 に送信者の識別と認証のため、HPKIカードを利用する。

診療EXPは、所定のフォルダに保存された診療情報から、当該病院・診療所で の情報連携に対して同意済みの患者の情報のみを抽出し、データセンターに送信 する。また、当該病院・診療所が院内処方を扱う場合、処方情報からお薬手帳情 報を作成し、合わせて送信する。

地域医療連携用

データ HL7変換ツール HL7v2.5形式 データ

入力 出力

輪島病院 独自CSV

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図 3.1-4 診療EXP画面

(エ) 歯科EXP

歯科EXPは、歯科診療所専用の仕組みであり、歯科医師が歯科情報や処方情報 を入力し、データ連携ASPへ送信するツールである。参加医療機関内のクライア ント端末上で動作し、起動時に送信者の識別と認証のため、HPKIカードを利用す る。

当該歯科診療所が院内処方を扱う場合、処方情報からお薬手帳情報を作成し、

合わせて送信する。

歯科情報の入力については、日本歯科医師会、石川県歯科医師会にて検討した データ項目および判定要件に従って入力できるフォーマットとした。また、処方 情報の入力については、処方オーダーセットから選択後、数量や日数を必要に応 じて変更する形で、手入力による負荷を軽減した。処方オーダーセットについて は、歯科診療所ごとに利用しやすい形に変更が可能である。

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図 3.1-5 歯科EXP画面(歯科情報登録)

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図 3.1-6 歯科EXP画面(処方情報登録)

(オ) 調剤EXP

歯科EXP は、保険薬局専用の仕組みであり、調剤実績 CDA(処方情報とそれ に紐づく調剤結果から構成される情報)とお薬手帳情報を、データ連携ASPへ送 信するツールである。参加医療機関内のクライアント端末上で動作し、起動時に 送信者の識別と認証のため、HPKIカードを利用する。

保険薬局で情報を作成するためには3つの方法がある。1つ目は、保険薬局内の 調剤レセコンにて、処方 2 次元コードを読み取り、管理している調剤結果と合わ せて調剤実績CDAとお薬手帳情報を作成する方法である。調剤EXPではデータ 連携ASPへの送信のみ行う。この方法では、調剤EXP上で薬剤師が入力操作を 実施することなく、情報連携が可能である。

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図 3.1-7 調剤EXP画面(調剤レセコンにてデータ生成)

2つ目は、保険薬局内の調剤レセコンから調剤結果を出力し、調剤EXPにて処 方2次元コードを読み込み、調剤結果と紐づける方法である。

まず、保険薬局内の調剤レセコンからは、調剤した結果をNSIPSの形式で出力 する。次に、調剤EXPにて、処方箋に記載されている処方2次元コードから処方 情報を読み込み、調剤レセコンから出力された調剤結果のデータと紐づけて調剤 実績CDAとお薬手帳情報を作成する。薬剤師は作成された情報に対して、医療機 関向けのコメントや患者さん向けのコメントを追加登録することができる。

この方法では、調剤EXP上にて処方2次元コードの読み込みなど画面上の入力 操作が必要となる。