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確定給付年金プランと確定拠出年金プラン

 雇用者の提供する年金プランには、大別すると確定給付年金と確定拠出年金がある。確定給 付年金では、退職後に従業員が受け取る年金額は、所定の計算に基づいて事前に算出された 額が保証される。確定拠出年金は一種の貯蓄プランであって、利益課税は資金取り崩し時に初 めて行われるが、退職後の年金額は、拠出金と、購入された証券から発生する利益に左右される。

一般的に雇用者は従業員の拠出に対して一定水準までマッチング拠出を行い、従業員は雇用者 のプランが提供する選択肢から投資方法を選択する。401(k) プランがこの確定拠出年金に該当 するほか、非営利団体向け 403(b) プランや政府職員向け 457 プランもこれに該当する。

n 2014 年、確定給付年金 の資産種別で最大のも のは株式で 43%、以下、

信用市場商品が 27%、

ミューチュアルファンド が 14%となっていた。

n 確 定 拠 出 年 金 で は、

ミューチュアルファンド が最大で 51%、株式は 2 位で 23%、3 位はそ の他資産(保証投資証 券等)で 17%であった。

退職ファンドの資産内訳:2014 年 民間確定給付年金

民間確定拠出年金

出典:連邦準備制度理事会 2015 年 6 月 11 日発表 ミューチュアル

ファンド14%

43%株式

信用市場商品 27%

その他14%

現金等2%

ミューチュアルファンド 51%

23%株式

信用市場商品 その他 7%

17%

現金等2%

個人退職口座(IRA)

退職後保障

個人退職口座(IRA)

 個人退職口座(IRA)とは個人向け貯蓄プランであり、個人が税制上の恩典を受けつつ、退 職に備えて資金を蓄えることができる。伝統的な IRA とは、当初、1974 年従業員退職所得保 障法(ERISA)に規定されたものを指す。伝統的な IRA では、一般に、口座所有者に分配され るまで利益を含む資金は課税されない。ロス(Roth)IRA は 1997 年納税者救済法に基づいて 創設された。伝統的な IRA と異なり、ロス IRA では口座所有者の拠出金が税務上控除されない。

ただし、適格分配金は非課税である。その他の類型には、雇用者が従業員のために設定した伝 統的 IRA に対して拠出を行うことができる簡易従業員退職年金(SEP)、従業員のための貯蓄イ ンセンティブマッチプラン(SIMPLE)および小企業向けの類似の制度、ならびに自営業者向け 年金キーオ(Keogh)プランがある。Investment Company Institute によれば、2014 年央時点、

米国家計の 30%以上、4,150 万世帯が IRA を少なくとも 1 種類所有している。このうち、伝統 的な IRA を所有している家計は 3,110 万世帯、ロス IRA は 1,920 万世帯、SEP、SIMPLE、ま たはその他の雇用者が提供する IRA が 740 万世帯となっている。なお、家計は複数の種類の IRA に投資することができる。

保有機関別 IRA マーケットシェア:2010 年および 2014 年

(時価、年末現在)

2010 年 2014 年

1 貯蓄銀行、商業銀行、キーオプランを含む。

2 キーオプランを含む。

3 変額年金を除く。

出典:連邦準備制度理事会の 2015 年 6 月 11 日発表 米国公認預金取扱機関1 8%

信用組合21%

生命保険会社2 9%

マネーマーケット ミューチュアル

ファンド 4%

ミューチュアルファンド3 42%

その他の自ら 投資指示を行う

口座 36%

米国公認預金取扱機関1 6%

信用組合21%

生命保険会社2 7%

マネーマーケット ミューチュアル

ファンド 3%

ミューチュアルファンド3 42%

その他の自ら 投資指示を行う

口座 41%

401(k)/ミューチュアルファンド

退職後保障

401(k)

 401(k) プランは雇用者がその従業員に提供する退職年金プランであり、従業員が退職に備え 課税繰り延べで収入を蓄えることができる確定拠出型年金プランの一種である。(132 ページを 参照)。Investment Company Institute(ICI)によれば、2014 年末現在、401(k) プランは資 産が 4 兆 6,000 億ドルと雇用者の提供する確定拠出年金中最大である。ICI によれば、雇用者 の提供する確定拠出年金の 2014 年末時点の資産は、401(k) プランとその他の確定拠出型年 金プランを含め、6 兆 8,000 億ドルと推定されている。

全 401(k) プラン残高の平均資産配分:2013 年1

1 比率は金額加重平均。

出典:Investment Company Institute、ICI Research Perspective, vol.20 no. 10

ミューチュアルファンド

 Investment Company Institute によれば、2014 年末時点で、確定拠出年金および IRA に含 まれるミューチュアルファンドは 7 兆 3,000 億ドル、米国退職年金市場 24 兆 7,000 億ドル中 29%を占めている。

保証投資契約、

その他の安定価値運用ファンド 7%

株式ファンド 44%

債券ファンド 9%

マネーファンド 4%

その他および 不明 6%

バランスファンド 23%

株式 7%

401(k)プラン

$2,868 39.5%

403(b)プラン

$4566.3%

$3,546IRA 48.8%

その他の確定拠出年金

$3995.5%

プラン別ミューチュアルファンド退職資産:2014 年1

(単位十億ドル、年末現在)

1 速報値。確定給付年金を除く。

n 2014 年 末 時 点 で、 退 職年金プランの保有する ミューチュアルファンド 7 兆 3,000 億ドル中、 株 式ファンドは 58 %、う ち米国ファンドが 45%、

外国ファンドが 13%であ る。

年金

退職後保障

定額年金と変額年金の販売

 年金は、個人が退職後に貯えを使い切る事態を防ぐ手段として、退職後の生活設計に重要な 役割を果たしている。最も一般的な意味において、年金とは、組織(一般に生命保険会社)が 他者に対し、連続した、もしくは一連の支払いを行う取り決めである。年金にはいろいろな種類 があるものの、重要な特徴として優遇税制、債権者からの保護、投資オプション、終身収入、

遺族給付等があげられる。

 年金にはいろいろな種類があるものの、最も一般的なものとしては定額年金と変額年金があ げられる。定額年金では、元本と最低利率が保証される。一般に、定額年金の予定利率や支払 額は、保険会社が公表する利率に基づいて計算され、この利率は年に一度だけ変更することが できる。他方、変額年金勘定の価値と支払額は、個別の投資ポートフォリオの実績に基づくもの であり、その価値は、日々変動し得る。

 定額年金・変額年金にはいくつかの種類がある。定額年金の一種である株価指数連動型年金 は、定額年金と変額年金の特徴をあわせ持つ。一般の定額年金と同様に最低利率が保証されて いるが、その年金額は特定の株価指数のパフォーマンスにも基づいており、株価指数が上昇す れば利回りも上昇する。2010 年ドッド・フランク法では、株価指数連動型年金を引き続き州の 規制下に置く旨の文言が含まれている。変額年金は、州保険法制および連邦証券法制の双方の 規制を受ける。定額年金は証券とはみなされず、州法の規制のみを受ける。

 年金には、据置型または即時型がある。据置年金では、一般に長期にわたって資産を積み立て、

通常、退職時に一括して受け取るか、または退職後、定期的に所定の金額を受け取る。即時年 金では、購入者は払込金を一括して支払い、直後から定期的に所定の金額を受け取ることがで きる。年金保険には、個人年金保険と団体年金保険がある。(35 ページ「生命保険業界の種 目別元受保険料」の表を参照)。

 年金は、賠償金定期払方式に用いることもできる。これは裁判において身体障害の被害者が 一時金ではなく複数回にわたって非課税の補償金を受け取るという制度である。

年金

退職後保障

個人年金保険料:2010 年~ 2014 年1

(単位十億ドル)

変額 定額

合計

保険料 前年比

増減率(%)

2010 140.5 81.9 222.4 -6.8

2011 157.9 80.5 238.4 7.2

2012 147.4 72.3 219.7 -7.8

2013 145.4 84.4 229.8 4.6

2014 140.1 95.8 235.9 2.7

1 保険料は、LIMRA による年金販売市場合計の推定値による。団体保険として購入され たものの、個人の判断によって購入されたものの対価(保険料)の一部を含む。

出典:LIMRA

据置年金資産:2005 ~ 2014 年

(単位十億ドル、年末現在)

1 2009 年以前は報告されていない。

出典:LIMRA

n 米 国 で は、 個 人 変 額 年金販売額は 2013 年 に 1.4 %、2014 年 は 3.6%減少した。定額年 金の販売額は 2013 年 に 16.7 %、2014 年 は 13.5%増加した。

変額年金

定額年金

指数連動年金1

0 400 800 1,200 1,600 2,000 2,400

$2,800

2014 2013

2012 2011

2010 2009

2008 2007

2006 2005

$1,517

$511

$1,151

$556

$1,389 $1,561

$1,593 $1,762 $2,008

$620 $474 $470 $467 $465

$185 $205 $225 $257

$1,967

$452

$295

$1,231

$520

$1,397

$519

年金

退職後保障

年金引受上位 10 グループ・会社、元受収入保険料順:2014 年1

順位 グループ名/会社名 元受収入保険料

(千ドル) マーケットシェア(%) 2 1 Jackson National Life Group 24,627,546 9.7 2 American International Group (AIG) 19,020,430 7.5 3 Lincoln National Corp. 17,891,329 7.0 4 Prudential Financial Inc. 16,897,162 6.6

5 Allianz Group 14,945,846 5.9

6 Voya Financial Inc. 11,489,654 4.5

7 TIAA-CREF 11,145,986 4.4

8 New York Life Insurance Group 10,760,885 4.2

9 MetLife Inc. 10,488,535 4.1

10 AEGON 10,231,367 4.0

1 個人年金、団体年金を含む。

2 属領を含む米国合計額に占める割合。

出典:SNL Financial 社

個人即時年金販売額:2010 年~ 2014 年1

(単位十億ドル)

1 1 億ドル未満の変額個人年金販売を含む。

2 身体障害または不法死亡訴訟における裁定賠償金として損害保険会社が購入するもので、保険料支払いは 1 回、保険金は 一括ではなく、所定の期間にわたって支払われるもの。

出典:LIMRA 0 2 4 6 8 10 12 14

$16

2014 2013

2012 2011

2010

$7.6 $9.7

$8.1 $7.7

$5.5

$5.8 $5.1 $5.0

$8.3

$5.3 定額年金賠償金定期払方式2

年金

退職後保障

個人年金引受上位 10 グループ・会社、元受保険料順:2014 年

(単位千ドル)

順位 グループ/会社名 元受保険料 マーケットシェア(%)1

1 Jackson National Life Group 21,858,690 11.1

2 Allianz Group 14,945,846 7.6

3 Lincoln National Corp. 14,063,224 7.1

4 American International Group (AIG) 11,516,654 5.8

5 New York Life Insurance Group 10,320,255 5.2

6 AEGON 10,191,777 5.2

7 Prudential Financial Inc. 10,113,735 5.1

8 AXA 7,655,601 3.9

9 Guggenheim Capital LLC 7,652,155 3.9

10 MetLife Inc. 7,265,947 3.7

1 属領を含む米国合計額に占める割合。

出典:SNL Financial 社

団体年金引受上位 10 グループ・会社、元受保険料順:2014 年

(単位千ドル)

順位 グループ/会社名 元受保険料 マーケットシェア(%)1

1 Voya Financial Inc. 9,290,148 16.3

2 American International Group (AIG) 7,503,776 13.1

3 Prudential Financial Inc. 6,783,427 11.9

4 TIAA-CREF 5,223,356 9.1

5 Great-West Insurance Group 4,311,016 7.5

6 Lincoln National Corp. 3,828,106 6.7

7 MetLife Inc. 3,222,588 5.6

8 Jackson National Life Group 2,768,856 4.8

9 OneAmerica Financial Partners 2,623,046 4.6

10 AXA 2,220,810 3.9

1 属領を含む米国合計額に占める割合。

出典:SNL Financial 社

大規模異常災害:世界

8. 損害

世界の付保損害

 Swiss Re 社によれば、自然災害および人為的災害による付保損害は、2014 年は 350 億ドル と、前年の 440 億ドルから減少した。米国、ヨーロッパ、日本の気象事象が大きな付保損害を もたらした。2014 年の世界の自然異常災害は 189 件と、Swiss Re 社の発行する sigma の記 録によれば史上最多となり、異常災害による損害は 280 億ドルであった。付保損害が最も大き かった事象は、5 月に 5 日間にわたり米国コロラド州からペンシルバニア州にかけて発生した一 連の雹を伴う激しい暴風雨であり、付保損害は 29 億ドルに達した。米国および日本の厳しい冬 も付保損害の大きな要因となった。米国における冬の嵐による付保損害は 24 億ドルと過去 10 年の平均の二倍以上となり、日本では厳しい寒気によって数十年ぶりの豪雪となり、付保損害は 25 億ドルに達している。

世界の高額付保損害上位 15:2014 年1

(単位百万ドル)

順位 発生日 発生場所 災害 付保損害額

1 5 月18日 米国 激しい雷雨、大粒の雹 2,935

2 2 月 8 日 日本 豪雪 2,502

3 6 月 8 日 フランス、ドイツ、

ベルギー 暴風と雹を伴う嵐エラ 2,190

4 9 月14日 メキシコ ハリケーン・オディール 1,700

5 1 月 5 日 米国 冬の嵐 1,669

6 6 月 3 日 米国 激しい雷雨、大粒の雹、竜巻 1,269

7 4 月27日 米国 雷雨、大粒の雹、83件の竜巻、激しい鉄砲水 1,220

8 4 月 2 日 米国 激しい嵐、大粒の雹、竜巻 1,084

9 6 月15日 ロシア 石油精油所の大規模な火災・爆発 NA

10 9 月27日 米国 最大時速67マイルの暴風を伴う雷雨、雹、鉄砲水 905

11 11月30日 オーストラリア 雹を伴う嵐 852

12 4 月12日 米国 雷雨、大粒の雹、竜巻 678

13 7 月 7 日 米国 石油化学プラント火災 NA

14 5 月10日 米国 雷雨、雹、竜巻、鉄砲水 635

15 10月12日 インド サイクロン・ハドハド 632

1 生命および賠償損害を除く財物および事業中断の損害。米国分は連邦洪水保険制度により付保された洪水損害を含む。本 表記載の損害データは、公表日、カバーされる地理的範囲等、データ収集機関が用いた基準の相違により、同一の災害に ついて他で見られる数字と異なることがある。

NA =データ入手不能。

出典:Swiss Re 社 sigma、2015 年第 2 号。米国内の自然災害による付保損害額については、Verisk Analytics 社の 1 部門 であるプロパティ・クレーム・サービス(PCS)。