11. 軸受の取扱い
NTN図11.2 内輪の圧入 取付け治工具と
内輪の間に段差 をつける
エア抜き
図11.3 圧入方法
良い例 悪い例
(3)焼ばめによる方法
焼ばめは内輪を清浄な油中などで熱して内径を膨張させ 軸に取付ける方法で,この方法も広く用いられる。その際の 油は腐食性の少ない純鉱物油などを適用する。この場合,内 輪をはめ込んだ後に自然冷却させるが,そのときアキシアル 方向にも収縮するので,内輪と軸の肩との間にすきまができ ないように十分冷えるまで肩に押し付ける。図11.4に内輪 内 径 の 膨 張 量 と 加 熱 温 度 の 関 係 を 示 す 。し か し 内 輪 は 120℃以上に加熱してはならない。この方法はグリースを 封入した軸受,シールド又はシール付き軸受には使用しては ならない。
280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20
50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 r6
内輪内径の膨張量 μm
j5
30℃
k5
m6 n6 p6
40℃ 50℃
60 70 ℃ 80℃ ℃
上昇温度 90℃
軸受内径 mm 上昇温度=加熱温度−室温
図11.4 内輪の焼ばめに必要な上昇温度
11.4 回転検査
軸受の取付け後に,正しく軸受が取付けられたことを確 認するため回転検査を行う。いきなり回転速度を定格まで上 げることは,取付け不良がある場合に軸受の損傷を起こした り,潤滑が正常に行われていない場合に軸受の焼付きを起こ したりすることがあるので避けなければならない。手動で軸 またはハウジングを回転し,異常がなければ動力で無負荷,
低速回転し,回転状態を確認しながら次第に回転速度及び負 荷を上げてゆく。
回転中の騒音,振動及び温度上昇を調べ,何らかの異常 動体を介して力を加えてはならない。
外輪を叩いて内輪を軸にはめ込んだり,内輪を叩いて取 付ける方法は軌道面と転動体に傷や圧痕が生じるので,絶対 に避けること。また,はめあい面に粘度の高い油を塗布する と,はめあい面の摩擦を減少させることができる。
11. 軸受の取扱い
NTN図11.5 プレスによる取外し 図11.6 抜取り工具による取外し
て軸受を取り外して調査する。軸受の回転音は,聴音器をハ ウジングにあてて音の大きさと音質を調べ,澄んだ音であれ ば正常である。高い金属音または不規則な音が発生する場合 には何らかの異常があることを示す。振動測定器を用いて発 生する振動の振幅,周波数特性を定量的に測定することによ り異常原因の推定も可能である。
軸受の温度は,ハウジングの外周温度から推定するのが 一般的であるが,油穴などを利用して直接外輪温度が測定で きれば,より正確な判断ができる。
軸受温度は回転時間とともに上昇し,ある一定時間後に 定常状態に達する。温度上昇が急激であるとき,温度がいつ までも上昇するとき,又は著しく高温となる時は異常な状態 であり点検する必要がある。
点検項目を表11.1に示す。
11.5 軸受の取外し
軸受は機械の定期的分解又は故障などにより取外しを行 うが,取外し後その軸受を再使用する場合や状況を調査する 場合には,取付け時と同様に入念に行う必要がある。軸受の
はめあいがきつい場合は,取外しも困難を伴うので軸受の固 定方法を設計する時に軸受まわりの構造について十分に考慮 する必要がある。
取外しの方法は,軸受の形式やはめあい条件によって異 なるが一般的な内輪の取外しにはプレスによる方法(図 11.5)と抜取り工具による方法(図11.6)がある。
なお,引抜荷重は内輪又は外輪だけにかけて取り外し,
転動体を介して軌道輪を引き抜いてはならない。
11.6 圧入・引抜きに要する力
軸に内輪を圧入したり,又は引抜いたりする場合に要す る力は式(11.1)から求められる。
Ka=fKfE――――Δd dF………(11.1)
d+3 ここで,
Ka:圧入又は引抜きに要する力 N(kgf)
fK:軸と内輪との摩擦係数によって決まる抵抗係数 圧入の場合……40{4}
引抜きの場合…60{6}
fE:内輪の寸法により異なる係数 fE=B〔1−(――)d 2〕
F1
B :内輪幅 mm d :内輪内径 mm F1 :内輪平均外径 mm ΔdF:見掛けのしめしろ μm
実際の圧入力や引抜き力は,取付け誤差などにより計算 で求めた値より大きくなることがある。取外し用具を設計す る場合,5倍以上の荷重に耐えられる強度(剛性)を推奨する。
表11.1
手動運転
トルクのむら トルク過大 ひっかかり 異常音
動力運転
取付け不良
すきま過小,シール摩擦大など 軌道面の圧痕・傷
ごみなどの異物の侵入 異常音,振動
異常温度
ごみなどの異物の侵入,軌道面の圧痕,
すきまの過大,潤滑不良 潤滑剤の不適,取付け不良,
すきまの過小