CLASS 4 CLASS 2 CLASS 3 CLASS 0 CLASS 00
14 軸 受 の 取 扱 い
図14. 3 加熱温度と内輪の膨張量 図14. 1 内輪の圧入
図14. 2 内輪・外輪の同時押込み
内径の膨張量
軸 受 内 径 240
220 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20
80 120 180 250 315 400 500
mm Mm
k5 j5 m5 n6 p6 r6
加熱温度差 T=80°C
70°C 60°C
50°C 40°C
30°C 20°C
軸受の取扱い
大形の機械では,手回しができないので,無負荷で始 動し,直ちに動力を切って だ走運転を行なう.振動,音,
回転部品の接触の有無などについて異常がないことを確 認してから動力運転に入る.
動力運転は,無負荷,低速で始動し,徐々に所定の条 件に上げて定格運転に入る.試運転中の調査事項は,異 常音の有無,軸受温度の推移,潤滑剤の漏れや変色など である.試運転で異常を発見したら,直ちに運転を中止 して,機械を点検し,必要があれば軸受を取外して点検 14. 2. 2 テーパ穴軸受の取付け
テーパ穴軸受では,内輪を直接テーパ軸に固定するか,
アダプタ又は取外しスリーブを使って円筒軸に取付ける
(図14.4及び図14.5).
大形の自動調心ころ軸受では,油圧を利用して取付作 業を行なうことが多い.図14.6は油圧ナットを用いてス リーブを押し込み取付ける例であり,図14.7はスリーブ に油穴を設け,加圧した油を はめあい面に送り込みな がら,ボルトでスリーブを押し込む方法である.
自動調心ころ軸受では,表14.1の押込み量を基準と し,ラジアルすきま の減少量を調べながら取付ける.
すきま の測定には すきまゲージを用いるが,その際,
図14.8に示すように両列の すきま を同時に測り,ほぼ 等しい測定値が得られるよう注意することが必要であ る.
軸受の寸法が大きくなると,軸に取付けたとき,外輪 が自重などにより,だ円状に変形する.変形している軸 受の最下部で,すきま を測ると,真のすきま より大き く測定される.この誤ったラジアル(内部)すきま を
用い,表14.1を目安に取り付けると,しめしろ が過大 となり,本当の残留すきま が過小となることがあるの で,注意しなければならない.このような場合,図14.9 のように,水平方向の横の位置における2か所の すきま
a
,b
と最下部の すきまc
との総和の半分を残留すきま としてよい.自動調心玉軸受をアダプタを用いて軸に取付けるとき には,残留すきま が過小にならないよう,外輪が容易に 調心できる程度の すきま を確保しなければならない.
14. 3
運転検査軸受の取付けが終ったら,その取付けが正常であるか どうかを確認するため,運転検査を行う.小形の機械で は,手回しで円滑に回転するか否かを確かめる.調査項 目は,異物や きず,圧こん などによる ひっかかり,取 付不良,取付座の加工不良などによる回転トルクのむら,
すきま過小,取付誤差,シールの摩擦などに起因するト ルク過大などである.異常がなければ動力運転を行なう.
図14. 4 アダプタによる取付け
図14. 6
油圧ナットを用いた取付け
図14. 7
特殊スリーブを用いた油圧による取付け
図14. 8
自動調心ころ軸受のすきま測定 油
図14. 5 取外しスリーブによる取付け
C C
a b
c c c
図14. 9 大形自動調心ころ軸受のすきま測定
備 考 上表のラジアル(内部)すきま の減少量は,CN すきま の軸受のときの値である.
C3 すきま の軸受の場合,ラジアルすきま の減少量として,この最大値を目安とする.
表14. 1 テーパ穴自動調心ころ軸受の取付け
単位 mm 呼び軸受内径
d を超え 以下
ラジアル(内部)
すきまの減少量 最小 最大
アキシアル方向の押込み量 テーパ 1:12 テーパ 1:30
最小 最大 最小 最大
最小残留すきま CN C3 すきま すきま
30 40 0.025 0.030 0.40 0.45 ̶ ̶ 0.010 0.025
40 50 0.030 0.035 0.45 0.55 ̶ ̶ 0.015 0.030
50 65 0.030 0.035 0.45 0.55 ̶ ̶ 0.025 0.035
65 80 0.040 0.045 0.60 0.70 ̶ ̶ 0.030 0.040
80 100 0.045 0.055 0.70 0.85 1.75 2.15 0.035 0.050 100 120 0.050 0.060 0.75 0.90 1.9 2.25 0.045 0.065 120 140 0.060 0.070 0.90 1.1 2.25 2.75 0.055 0.080 140 160 0.065 0.080 1.0 1.3 2.5 3.25 0.060 0.100 160 180 0.070 0.090 1.1 1.4 2.75 3.5 0.070 0.110 180 200 0.080 0.100 1.3 1.6 3.25 4.0 0.070 0.110 200 225 0.090 0.110 1.4 1.7 3.5 4.25 0.080 0.130 225 250 0.100 0.120 1.6 1.9 4.0 4.75 0.090 0.140 250 280 0.110 0.140 1.7 2.2 4.25 5.5 0.100 0.150 280 315 0.120 0.150 1.9 2.4 4.75 6.0 0.110 0.160 315 355 0.140 0.170 2.2 2.7 5.5 6.75 0.120 0.180 355 400 0.150 0.190 2.4 3.0 6.0 7.5 0.130 0.200 400 450 0.170 0.210 2.7 3.3 6.75 8.25 0.140 0.220 450 500 0.190 0.240 3.0 3.7 7.5 9.25 0.160 0.240 500 560 0.210 0.270 3.4 4.3 8.5 11.0 0.170 0.270 560 630 0.230 0.300 3.7 4.8 9.25 12.0 0.200 0.310 630 710 0.260 0.330 4.2 5.3 10.5 13.0 0.220 0.330 710 800 0.280 0.370 4.5 5.9 11.5 15.0 0.240 0.390 800 900 0.310 0.410 5.0 6.6 12.5 16.5 0.280 0.430 900 1 000 0.340 0.460 5.5 7.4 14.0 18.5 0.310 0.470 1 000 1 120 0.370 0.500 5.9 8.0 15.0 20.0 0.360 0.530
軸受の取扱い
軸受温度は,一般には,ハウジングの外面の温度から 推測できるが,油穴などを利用して直接軸受外輪の温度 を測ることができれば,より適切である.
軸受温度は,運転開始のあと徐々に上昇し,通常1〜2 時間で定常状態になる.軸受や取付けなどに不具合があ れば,軸受温度は急激に上昇し,異常な高温となること がある.その原因としては,潤滑剤の過多,軸受すきま の過小,取付不良,密封装置の摩擦過大などが挙げられ
る.高速回転の場合では,軸受形式や潤滑方法の選定の 誤りなども原因となる.
軸受の回転音は聴音器などで調べる.高い金属音や異 常音,不規則音などは異常を示すものであり,その原因 として,潤滑不良,軸・ハウジングの精度不良,軸受の 損傷,異物の侵入などがある.
上記の異常現象に関する推定原因と対策については,
表14.2を参照されたい.
図14. 10 押出し用ねじによる外輪の取外し
図14. 11 取外し用の切欠き
図14. 12
プレスによる内輪の取外し
図14. 13
引抜治具による内輪の取外し(1)
図14. 14
引抜治具による内輪の取外し(2)
ボルト
栓ねじ
14. 4
取 外 し軸受の取外しは,定期点検や軸受の取替えのときなど に行なわれる.取外し後に,その軸受を再使用する場合,
又は軸受の状態を調査する必要がある場合には,取外し も取付けと同様に入念に行ない,軸受及び各部品を損傷 しないように注意する必要がある.特に,しまりばめ をした軸受の取外しは,作業が難しくなるので,軸受周 りの構造については,軸受を容易に取外しできるよう設 計の段階で十分考慮しておく.必要に応じて取外用具を 設計製作しておくことも大切である.
取外しに当っては,図面により取外方法,順序を検討 し,軸受の はめあい条件なども調べて,取外作業の万 全を計らなければならない.
14. 4. 1 外輪の取外し
しまりばめ をした外輪を取外すには,図14.10に示す ように,あらかじめハウジングに,外輪押出しボルト用 の ねじ を円周上数か所に設けておき,ボルトを均等に 締めながら取外す.これらのボルト穴には,ふだんは栓 ねじをしておく.円すいころ軸受などの分離形軸受では,
図14.11のようにハウジングの肩に数か所の切欠きを設 けておき,当て金を用いてプレスで取外すか,軽くたた いて取外す.
14. 4. 2 円筒穴軸受の取外し
内輪の取外しは,プレスによって引抜くことができれ ば最も簡単である.このとき,引抜力を内輪で受けるよ うに注意する(図14.12).
ま た, 図14.13や 図14.14の よ う な 引 抜 治 具 も よ く 使われる.いずれも引抜治具の爪が,内輪の側面に十分
注 (1) 中〜大形の円筒ころ軸受や玉軸受で,グリース潤滑の場合,特に冬場や低温などの環境条件によっては,きしり音が 問題になることがある.一般的には,きしり音が発生しても軸受の温度上昇はなく,疲れ寿命やグリース寿命への影 響はないので,軸受をそのまま使用して差し支えない.あらかじめ,きしり音の発生が懸念されるような場合には,
NSKにご相談ください.
表14.2 軸受にとって異常な運転状態とその原因・対策
運転状態 推定原因 対 策
騒 音
異常な温度上昇
振 動 大
(軸の振れ回り)
潤滑剤の漏れ大 変色大
高い金属音(1)
異 常 荷 重 はめあい の修正,軸受すきま の検討,予圧の調整,ハウジン グ肩の位置の修正など
軸・ハウジングの加工精度,取付精度の改善,取付方法の改善 潤滑剤の補給,適正な潤滑剤の選択
ラビリンスなどの接触部分の修正
軸受交換,関係部品の洗浄,密封装置の改善,きれいな潤滑剤 の使用
軸受交換,取扱いに注意 軸受交換
はめあい 及び軸受すきま の検討,予圧量の修正
軸受交換の検討,関係部品の洗浄,密封装置の改善,きれいな 潤滑剤の使用
軸受交換
潤滑剤を減らし適量化,硬めのグリースの選択 潤滑剤の補給,適正な潤滑剤の選択
はめあい の修正,軸受すきま の検討,予圧の調整,ハウジン グ肩の位置の修正など
軸・ハウジングの加工精度,取付精度の改善,取付方法の改善 軸受交換,はめあい の検討,軸・ハウジングの修正,密封形式の 変更
軸受交換,取扱いに注意 軸受交換
軸・ハウジングの肩の直角度,間座側面の直角度の修正 軸受交換,各部品洗浄,密封装置の改善など
潤滑剤の量の適正化,潤滑剤の取替えと選定の検討,軸受交換 の検討,ハウジングなどの洗浄
取 付 不 良 潤滑剤の不足,不適 回転部品の接触
異物により軌道面に生じた圧こん,
さび,きず ブ リ ネ リ ン グ 軌道面のフレーキング す き ま 過 大 異 物 の 侵 入 玉のきず,フレーキング 潤 滑 剤 の 過 多 潤滑剤の不足,不適 異 常 荷 重
取 付 不 良 はめあい面のクリープ 密封装置の摩擦過大 ブ リ ネ リ ン グ フ レ ー キ ン グ 取 付 不 良 異 物 の 侵 入
潤滑剤の過多,異物の侵入,摩耗粉 の発生・侵入など
規 則 音
不 規 則 音
14. 5
軸受の点検14. 5. 1 軸受の洗浄
軸受を取外して点検する場合には,まず,軸受の外観 を記録に残す.潤滑剤の残存量を確かめ,調査のために 潤滑剤を採取した後,軸受を洗浄する.洗浄剤としては,
普通,軽油や白灯油が使用される.
取外した軸受の洗浄は,粗洗浄と仕上洗浄とに分けて 行なう.それぞれの容器には,金網製の上げ底を設けて おき,軸受が直接容器の ごみ に触れないようにする.
粗洗浄のとき,異物などが付いたまま軸受を回転させる と,転動面に きず を付けることがあるので,注意しな ければならない.粗洗浄の油中ではブラシを使うなどし て潤滑グリースや付着物を落し,おおむね,きれいになっ てから,仕上洗浄に移る.
仕上洗浄は,軸受を洗浄油の中で回転しながら,てい ねいに行なう.なお,洗浄油は常に清浄にしておく配慮 が望ましい.
14. 5. 2 軸受の点検と判定
取外した軸受の再使用が可能かどうかを判定するため に,軸受をよく洗浄した後検査する.軌道面,転動面,
はめあい面の状況,保持器の摩耗状態,軸受の(内部)
すきま の増加,寸法精度の低下などについて損傷・異常 の有無を注意深く点検する.非分離形の小形の玉軸受な どでは,内輪を片手で水平に支持し,外輪を回して ひっ かかり の有無などを確かめる.
円すいころ軸受などの分離形軸受では,転動体や外輪 の軌道面を別個に調べることができる.
大形の軸受では,手回しができないので,転動体,軌 道面,保持器,つば の あたり面など外観を注意して調 べる.軸受の重要度が高くなるほど,一層慎重に検査し なければならない.
再使用が可能かどうかの判定は,軸受の損傷程度や機 械の性能,重要度,運転条件,次回の点検までの期間な どを考慮して決めることになる.しかし,次のような欠 陥があれば,軸受の再使用はできないので,新しい軸受 と取替えなければならない.
(a) 内輪,外輪,転動体,保持器のいずれかに割れ や欠けがある.
(b) 軌道輪,転動体のいずれかにフレーキングがあ る.
(c) 軌道面,つば,転動体に,著しい かじり がある.
(d) 保持器の摩耗が著しいか,リベットゆるみ が甚 だしい.
(e) 軌道面,転動体に,さび,きず がある.
(f) 軌道面,転動体に,甚だしい圧こん や打こん がある.
(g) 内輪内径面又は外輪外径面に,著しいクリープ がある.
(h) 熱による変色が甚だしい.
(i) グリース封入軸受でシール板やシールド板の破 損が著しい.
軸受の取扱い
かかるようにしなければならない.そのため,軸の肩の 寸法を考慮したり,肩のところに引抜治具のための 溝 を加工するなどの工夫が望まれる(図14.14).
大形の軸受の内輪取外しには,油圧法がある.軸に設 けた油穴を通して油圧をかけ,引抜きを容易にする方法 である.幅の広い軸受では,引抜治具を併用して取外作 業を行なう.
また,NU 形,NJ 形円筒ころ軸受の内輪の取外しには,
誘導加熱法が利用できる.この方法は,短時間に局部的 な加熱を行なって内輪を膨張させ,引抜く方法である(図 14.15).
これらの軸受の内輪を数多く取付ける必要のある場合 にも,誘導加熱法が利用されている.
14. 4. 3 テーパ穴軸受の取外し
比較的小形のアダプタ付き軸受の取外しでは,図 14.18のように,軸に締め付けたストッパーで内輪を支 え,ナットを数回戻した後,当て金を使い,スリーブを ハンマーでたたいて取外す.図14.16は,取外しスリー ブを引抜く作業で,ナットの締込みにより行なう.作業 が困難な場合は,図14.17のように,ナットに円周上数 か所ボルト穴を設け,ボルトのねじ込みによりスリーブ を引き抜く.
大形の軸受では,油圧を利用すると取外しは更に容易 となる.図14.19は,テーパ軸に設けた油穴に加圧した 油を送り,内輪を膨張させて,軸受を取外す方法である.
作業中に,急に軸受が抜け出ることがあるので,ストッ パーとしてナットなどを利用するとよい.図14.20は,
油圧ナットを利用したスリーブ引抜法である.
図14. 15 内輪の誘導加熱装置
図14. 16
取外しスリーブの引抜き(1)
図14. 17
取外しスリーブの引抜き(2)
図14. 18 ストッパーを用いたアダプタの取外し 図14. 19 油圧法による取外し 内輪
引抜き用爪
ポンプ油圧
図14. 20 油圧ナットを利用した取外し 油