4.3 ニューラルネットワークモデル ニューラルネットワークモデル ニューラルネットワークモデル ニューラルネットワークモデル
4.4.2 越波流量に関 する比較 越波流量に関 する比較 越波流量に関 する比較 越波流量に関 する比較
図 4 6,図 4 7 は, 天端被災 および 複合 型 被災モデ ル 2 を対象 と した水理 模型実 験 より得ら れた 越波流 量 の実験結 果と, ニュ ー ラルネッ トワー クを 用 いた評価 システム による越 波流量 の予 測 結果を比 較した もの で ある. 図 4 6 が 天端被 災モデル ,図 4 7 が複合型 被災モ デル 2の比較図 である .また ,数値実 験での 越波流 量に関す る統計 量
を表 4 4, 表 4 5 に 示 す.これ らの図 より , 本研究で 構築さ れた 天 端被災モ デルおよ
び 複 合 型 被 災 モ デ ル 2 に お け る 被 覆 層 の 累 積 損 傷 に 伴 う 越 波 流 量 に 関 す る 評 価 シ ス テムは ,天 端被災 モデ ルの場合 は±50% ,複 合型被災 モデル 2の場 合は±40% の誤差 範囲で予 測され てお り ,バラつ きがか なり 大 きいと言 える.
図4 6 越波流 量に関 す る予測値 と実験 値の 比 較(不規 則波: 天端 被 災モデル )
表4 4 数値 実験で の 統計量( 不規則 波: 天 端被災モ デル)
DL
越波流量(cm3/cm/s) 数値実験
平均値 5 標準偏 差 σ 変動係 数 σ/5
0 0.040 0.025 0.613
1 0.046 0.035 0.777
2 0.043 0.031 0.722
3 0.038 0.026 0.680
4 0.047 0.023 0.488
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0.00
0.05 0.04
0.03 0.02
0.01 0.00
+50%
*50%
実験値(cm3/cm/s) 予測値(cm3/cm/s)
74
しかし ながら , 表 4 4,表 4 5 に示さ れて いる数値 実験で の越 波 流量に関 する統 計 量を見て みると ,変動 係数(= 標準偏 差/平均 値)がそ れぞれ ,天端 被災モデ ルの場 合 は0.488~0.777(平均 値:約 0.65),複合型 被 災モデル 2の場合 は0.420~0.682( 平 均値:約0.55)と なっ ている.こ の越波 流量 における 実験毎 の変 動 係数値を 考慮す る と,評価シ ステ ムにお ける予測 値がそ れぞ れ ,天端被災 モデ ルの場 合が 50%,複合型 被災モデ ル 2 の場 合 が 40%の 誤差範 囲に あ ることは ,予測 精度 と しては妥 当な結果 であると 言えよ う.
図 4 7 越波流 量に関 す る予測値 と実験 値の 比 較(不規 則波: 複合 型 被災モデ ル 2)
表 4 5 数値 実験で の 統計量( 不規則 波: 複 合型被災 モデル 2)
DL
越波流量(cm3/cm/s) 数値実験
平均値 5 標準偏 差 σ 変動係 数 σ/5
0 0.035 0.023 0.656
1 0.076 0.033 0.439
2 0.074 0.050 0.682
3 0.083 0.043 0.515
4 0.105 0.044 0.420
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
0.25 0.20
0.15 0.10
0.05 0.00
+40%
*40%
実験値(cm3/cm/s) 予測値(cm3/cm/s)
75
4.5 4.5 4.5
4.5 結語 結語 結語 結語
本章で は,海 岸保全 施 設の一つ である 消波 工 に,ライフ サイ クルマ ネ ジメント(LCM) の導入を 行う 際に必 要 不可欠と なる累 積損 傷 を伴う消 波工の 消波 性 能に関す る評価シ ステムの 開発 を行っ た .評価シ ステム の構 築 にあたっ ては, デー タ 間の因果 関係が不 明確な情 報処 理の分 析 に有効な ニュー ラル ネ ットワー クを用 いた . その際, ネットワ ークを調 整す るため に 多数の入 力と出 力デ ー タに関す る教師 デー タ が必要と なるが,
本研究で は第3章で 行 った数値 波動水 路を 用 いた数値 実験結 果を 教 師データ として用 いた.本 章で得 られ た 結果を, 以下に 要約 す る.
1. 不 規 則 波 を 対 象 と し た 天 端 被 災 モ デ ル , お よ び 複 合 型 被 災 モ デ ル の 消 波 性 能 に 関 する評価 シス テムの 構 築にあた って は,単 一 のシステ ムで 全てを 網 羅するこ とが困 難であっ たた め,天 端 被災モデ ルの 反射率 , 越波流量 の評 価シス テ ム,複合 型被災 モデルの 反射率,越波 流量の評 価シス テム,計4つの 評価シ ステム をそれぞ れ構築 した.
2. 反 射 率 の 評 価 シ ス テ ム に 関 す る 検 証 と し て 実 験 値 と 予 測 値 の 比 較 検 討 を 行 っ た 結 果, 規 則波 を対 象 とし た複 合 型被 災モ デ ル 1,不 規 則波 を対 象 とし た天 端 被災 モデ ル,およ び複合 型被災 モデル 2に おいて ,開 発された 評価シ ステ ム は実験値 を 10%
程度の誤 差範囲 で予 測 可能であ った.
3. 越 波 流 量 の 評 価 シ ス テ ム に 関 す る 検 証 と し て 実 験 値 と 予 測 値 の 比 較 検 討 を 行 っ た 結果,不 規則波 を対象 とした天 端被災 モデ ル ,および 複合型 被災モ デル 2にお いて,
開発され た評価 シス テ ムは天端 被災モ デル の 場合が最 大 50% 程度の 誤差,複合型 被 災モデル 2の場合 が最 大 40%程 度の誤 差とな った.し かし,数値実 験 での越波 流量 のバラツ キを数 量化 し た変動係 数の値 とし て ,天端 被災 モデル の場 合が約 0.65(平 均値), 複合型 被災モ デ ル 2 の場合 が 約 0.55( 平均値) である こと を 考慮する と,
本研究で 構築し た越 波 流量の評 価シス テム に よる予測 値は妥 当な 結 果と言え よう.
76
<参考文献>
<参考文献>
<参考文献>
<参考文献>
1)中野 馨 監 修:ニ ュ ーロコン ピュー タ, 技 術評論社 ,1989. 2)吉冨 康成: ニュー ラ ルネット ワーク ,朝 倉 書店,2007.
3) 間 瀬 肇 : ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い た 捨 石 防 波 堤 の 安 定 性 評 価 , 海 岸 工 学 論 文集, 第 41巻,pp.761 765,1994.
4) 間 瀬 肇 , 酒 井 哲 郎 : ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い た 消 波 ブ ロ ッ ク 被 覆 工 の 変 形 量評価, 海岸工 学論 文 集,第 42巻,pp.891 895,1995.
5) 間 瀬 肇 , 永 橋 俊 二 ,Terry S.HEDGES: 緩 傾 斜 護 岸 の 越 波 流 量 算 定 に お け る ニ ュ ーラルネ ットワ ーク の 適応性に 関する 研究,海 洋開発論 文集,第 21巻 ,pp.593 598,
2005.
6) 斉 藤 武 久 , 砂 原 啓 人 , 市 川 督 人 , 福 本 正 , 間 瀬 肇 , 石 田 啓 : ニ ュ ー ラ ル ネ ッ ト ワ ー ク を 用 い た 人 工 リ ー フ 周 辺 の 水 理 特 性 評 価 - ト ラ ッ プ 式 ダ ブ ル リ ー フ を 対 象 と して-, 海岸工 学論 文 集,第 55巻(2),pp.971 975,2008.
7) 太 田 隆 夫 , 松 見 吉 晴 , 時 岡 明 範 , 木 村 晃 : 傾 斜 護 岸 の 断 面 変 形 の モ デ ル 化 と 性 能 評価,土 木学会 論文 集 B2(海岸工学 ),Vol.66 No.1,pp.721 725,2010.
8) 加 藤 展 顕 : 傾 斜 護 岸 の 被 災 断 面 形 状 と 性 能 変 化 の 特 性 に 関 す る 研 究 , 鳥 取 大 学 大 学院工学 研究科 社会 基 盤工学専 攻,修 士論 文 ,2011.
77
第 第 第
第 5 5 5 5 章 章 章 章 年齢型予防保全を基礎とした消波施設の 年齢型予防保全を基礎とした消波施設の 年齢型予防保全を基礎とした消波施設の 年齢型予防保全を基礎とした消波施設の 最適保全方策
最適保全方策 最適保全方策 最適保全方策
5 5 5
5.1 .1 .1 .1 緒言 緒言 緒言 緒言
我が国 の海岸 保全 施 設は,1956 年 の海岸 法 の制定や ,1959 年の 伊 勢湾台風 等によ る大災害 を契機 に整 備 されたも のが多 く 1), 現在では 老朽化 が進 行 し,本来 保持すべ き性能が 十分 に発揮 さ れていな い施設 や, 耐 力の低下 が著し い施 設 が増加し ている.
施設が保 持す べき要 求 性能の維 持のた めに は 保全実施 の必要 性が あ るが,無 計画な保 全や突発 的な 事後保 全 は総保全 費用増 大の 要 因となる .そこ で, 国 土交通省 ・農林水 産 省 (2008) に よ り 海 岸 保 全 施 設 の 維 持 管 理 に 対 し , ラ イ フ サ イ ク ル マ ネ ジ メ ン ト
(LCM)と呼ば れる概 念を導入 したマ ニュ ア ル(案 )が作 成され ,適時,適 切な 保全 対策の必 要性が 訴え ら れてい る 1).
ここで ,海 岸保全 施 設の一つ である 消波 工 に目を向 けて見 ると , この消波 工の今ま での保全 方法 は事後 保 全型であ り,消 波工 が 大規模被 災を受 ける 度 に保全を 行ってき た.しか しな がら, 事 後保全は 総保全 費用 増 大の要因 となる だけ で はなく, 多くの人 命・財産 を危 険にさ ら すことに も繋が るた め ,今後は 適時・ 適切 な 予防保全 を行う必 要がある と考え られ る .
本章で は,消 波施設 の保全計 画策定 には,施設の物 理・性 能面の 劣化過程 を把握 し,
施 設 破 壊 へ の 信 頼 性 評 価 が 重 要 で あ る と 考 え , 消 波 施 設 の 破 壊 に 至 る 過 程 と し て ,2 種類の確 率モデ ルを 採 用する.1 つ は衝撃 型 累積損傷 モデル であ り ,衝撃に より発生 し累積さ れた損 傷量 に より,施設 の状態 を定 義するモ デルで ある.もう 1つ は耐力 劣 化モデル であ り,施 設 耐力劣化 と負荷 発生 過 程を別過 程とし て捉 え ,耐力と 負荷の大 小関係に より ,破壊 事 象を表現 するモ デル で ある.両 施設劣 化破 壊 モデルの もと,年 齢型予防 保全 を基礎 と した保全 モデル をい く つか提案 し,総 期待 保 全費用を 最小とす る施設保 全方策 につ い て解析的 および 数値 実 験的な検 討を行 う.
5 5 5
5.2 .2 .2 .2 衝撃型累積損傷モデルを用いた消波施設保全モデル 衝撃型累積損傷モデルを用いた消波施設保全モデル 衝撃型累積損傷モデルを用いた消波施設保全モデル 衝撃型累積損傷モデルを用いた消波施設保全モデル
5 5 5
5.2.1.2.1.2.1.2.1
衝撃型累積損 傷モデル 衝撃型累積損 傷モデル 衝撃型累積損 傷モデル 衝撃型累積損 傷モデル の概 要 の概 要 の概 要 の概 要
消波ブ ロッ クは, 台 風や異常 発達し た低 気 圧等によ って発 生し た 波によっ て移動や 天端高の 沈下 等の損 傷 を被る. このよ うな 波 をここで は,以 後, 異 常波浪と 呼ぶ.損
傷は異常 波浪 によっ て のみ発生 し,累 積さ れ ると仮定 する. 累積 し た損傷は ,何らか の保全を 受け ない限 り 減少する とこは ない . 消波ブロ ックは 施設 全 体に累積 された損 傷量が Kを 超えた 場合 ,要求 性能を 保証で き なくなる .す なわち ,製品とし ては故 障 状態であ ると 見なす . 維持管理 者は施 設の 要 求性能を 満足す るこ と を目的に ,緊急に 事後保全 を実 施する . 一般的に ,事後 保全 は 緊急性を 要する ため に 費用が掛 かる傾向 にある. 異常波 浪襲 来 に伴う消 波施設 事後 保 全実施の 概要図 を図
図
異 常 波 浪 の 襲 来 は , 小 和 田
Poisson Process)に 従 うと仮定 する .ポア ソ ン過程は ランダ ムに 発 生する事 象を表現 するのに 適した 確率 過 程である .関数
を表す計 数過程 とす れ ば,時刻 て表され る.
Pr
{
N( )
t = j}
= F1j確率変数 Zjは,j 回 の 異常波浪 により 累積 さ れた損傷 量であ り, そ の分布関 数は次式 で表され る.
Pr
{
Zj ≤x}
=G( )j(
78
傷は異常 波浪 によっ て のみ発生 し,累 積さ れ ると仮定 する. 累積 し た損傷は ,何らか の保全を 受け ない限 り 減少する とこは ない . 消波ブロ ックは 施設 全 体に累積 された損 を 超えた 場合 ,要求 性能を 保証で き なくなる .す なわち ,製品とし ては故 障 状態であ ると 見なす . 維持管理 者は施 設の 要 求性能を 満足す るこ と を目的に ,緊急に 事後保全 を実 施する . 一般的に ,事後 保全 は 緊急性を 要する ため に 費用が掛 かる傾向 にある. 異常波 浪襲 来 に伴う消 波施設 事後 保 全実施の 概要図 を図 5
図5 1 衝撃型 累積損 傷 モデル概 要図
異 常 波 浪 の 襲 来 は , 小 和 田 2)よ り , 平 均 λ1 の 定 常 ポ ア ソ ン 過 程 (
)に 従 うと仮定 する .ポア ソ ン過程は ランダ ムに 発 生する事 象を表現 するのに 適した 確率 過 程である .関数 N(t)を ,時刻 t まで に発生 す る異常波 浪の回 数 を表す計 数過程 とす れ ば,時刻 t ま でに j 回 の異常波 浪が襲 来す る 確率は, 次式とし
( )
1 exp( 1)! )
( j t
j j
t =
λ
t −λ回 の 異常波浪 により 累積 さ れた損傷 量であ り, そ の分布関 数は次式
( )
x =∫
0xG(
x−y)
dG(j−1)( )
y傷は異常 波浪 によっ て のみ発生 し,累 積さ れ ると仮定 する. 累積 し た損傷は ,何らか の保全を 受け ない限 り 減少する とこは ない . 消波ブロ ックは 施設 全 体に累積 された損 を 超えた 場合 ,要求 性能を 保証で き なくなる .す なわち ,製品とし ては故 障 状態であ ると 見なす . 維持管理 者は施 設の 要 求性能を 満足す るこ と を目的に ,緊急に 事後保全 を実 施する . 一般的に ,事後 保全 は 緊急性を 要する ため に 費用が掛 かる傾向
1に示す .
の 定 常 ポ ア ソ ン 過 程 (homogeneous
)に 従 うと仮定 する .ポア ソ ン過程は ランダ ムに 発 生する事 象を表現 まで に発生 す る異常波 浪の回 数 回 の異常波 浪が襲 来す る 確率は, 次式とし
(5.1)
回 の 異常波浪 により 累積 さ れた損傷 量であ り, そ の分布関 数は次式
(5.2)