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図III−7.大阪の各ターミナルからの乗車時間1時間の範囲
(都市交通年報1990年版より作成)
表且一10端末交通手段の利用状況
利用区間 年次 徒歩 二輪車 自家用車 パス その他 平均所要時分
居住地から
@初乗り駅まで 1975
@80
@85
74.1%
U2.8 T8.3
5.7%
P7.5 Q5.3
1.4%
Q.O 戟D9
18.0%
P6.7 P4.2
0.8%
kO
n.3
10.9分
P0.5 X.9
最終降車駅から ホ務・就学地ま
1975
@80
@85
83.8
W4.0 W5.6
0.6 P.7 Q.6
0.8 O.6 O.4
13.7 P2.8 P0.6
1.玉
O.9 O.8
10.0 X.4 X.3
(都市交通年報1990年版より作成)
都心への直通列車が走らない路線や非電化区間では,所要時間60分の範 囲が50km圏に:達しなくなる。その例としては, JR関西線方面があげら れ,そこでは加茂を越えて笠置あたりで60分を要してしまう。
そして,表II−10より端末交通手段の所要時間の合計約20分を足し,
列車の待ち時間などを考慮に入れると,おおむね住居から職場や学校ま での所要時間1時間30分が通勤・通学圏と言える。
またこの表より,通勤・通学者が住居より初乗り駅まで二輪車を利用 する割合が年を追うごとに高くなってきていることも明らかである。都 心・郊外を問わず,各駅に不法駐輪に対応するための駐輪場の設置が強 く望まれるようになってきたこともうなずけるのである。さらに,最終
降車駅より職場や学校などの目的地までのバス利用が減少し,これまた 二輪車利用や徒歩が増加してきていることは,都市内部の道路事情の悪 化を如実に物語っている。
今日においても,さらに都心から遠く離れたところに,都心への通勤・
通学者を対象とした住宅地の開発がすすめられている。京阪神都市圏に おいて,50 km圏をはるかに越えた地域,また50km圏内であってもこれま で時間距離を要することにより開発が取り残されてきた地域にまで,開 発の手が入ってきている。そこで,毎日の通勤・通学に要ナる時聞は,
さらに延びる傾向が見られるようになってきた。この傾向は,都心近く でマイホームを持てない人々がマイホ「ムを求めて,またより良い環境 を求めて郊外を目指すかぎり,後をたつことはないであろう。
なお,首都圏で多く見られるようになった新幹線を使った通勤・通学 が,この京阪神圏でも見られるようになってきたのも,このひとつの例
である。
皿。京阪神都市圏における交通システムの確立
(D交通計画
交通は産業の基盤であるばかりでなく,生活の基盤であるという重要 な役割を担っている。日常ある特定の交通手段を選択する場合,次の3 つの選定条件が考えられる。第一の条件としては,需要に対応できるだ けの輸送力と速度,第二に便利さ・快適さ・正確さ,第三に運賃・事故 率などのマイナス条件の最小があげられる。
今日,通勤・通学輸送が基本的に鉄道に依存しなければならないこと は,鉄道とバス・乗用車との物理的能力差から明らかである。たとえ,
自動車専用道路を整備して大型バスを走らせても,鉄道の乗客輸送能力 にはとうてい及ばない。それゆえ,大都市圏における通勤・通学輸送は 鉄道網の整備から始めなければならない。
そこで,大きな問題となっている朝夕のラッシュ緩和のために,鉄道 各社とも車両の増結・増発を行ってはいるが,これがラッシュの緩和に 直接的に結びついているとは言い難いのである。なぜならば,このよう に増結・増発を行えば,それだけ旅客数が増して乗降に時間を要するよ うになる。つまり,停車時間が増すことにより,輸送能力の低下を招く ことになるのである。また,増発を繰り返して,特急・急行・快速等と 多くの種類を設定すれば,これも待ち時間が増すことにより輸送能力の 低下を招くことになる。
このような現状の中で,鉄道利用者は各社に対して,前に掲げた条件 を満たす鉄道を期待しているのである。しかし,鉄道各社ともたとえ公 共性を有するとは言っても,営利を追求する私企業であるかぎり,利用
者の期待に答える形で設備投資を積極的に行っているとは言い難いので ある。一私企業であるかぎり,採算の合わない投資をできるだけ避けよ うとするのは,ごく自然の姿であると言える。
その一例としてあげられるのが,大阪府北部の近郊住宅地である千里 ニュータウンにおいて通勤・通学の足としての新線建設を行う際に,阪 急電鉄のエリアでありながら,自らの手で新線建設を行わずして,北大 阪急行電鉄という子会社を設立して対応したこと,また同様に大阪府南 部の近郊住宅地である泉北ニュータウンにおいて,南海電鉄が新線建設 を引き受けないがために1大阪府が外郭団体の大阪府都市開発株式会社 を設立して,その建設をはかったことなどである。
それでは都市交通政策として,これまで一体どのような策が講じられ てきたのであろうか。都市と都市交通の問題として,1950年代以降論じ
られてきた項目として,次の(1)〜(3)の各項目があげられる。
(1)交通需要増加への需要量の対策 *土地対策
*ニュータウン
*職住近接のための高層化 *地区再開発
*時差通勤
(2)自動車及び二輪車対策 *高速道路整備
*一般道路整備
*パーク・アンド・ライド *交通規制
(3)公共交通対策 *バス専用レーン *バスターミナル *新交通システム *公共交通企業の一元化 *運賃調整
以上のことから,大都市の機能を周囲に分散・誘導したのは一見成功 したかのように思われたが,これによって都市圏がますます拡大し,そ れにつれて周辺諸都市の地価も高騰した、,昭和30年代の高度成長期には 毎年20%以上の高騰を示し,40年代に入ると都市化現象が顕著となり,
都市への人口集中と持家指向の高まりによる宅地需要の増大によって住 宅地の高騰が続いた。その後,地価は安定的に推移してきたが,昭和58 年頃から再び上昇に転じる地域が拡大し,この京阪神都市圏においても かなりの地価上昇がみられるようになった。このような中で,持家指向 の強いホワイト・カラーの間で通勤1時間30分以上というような極端な 職住分離が起こってきた。そこで,中心都市との交通を一層活発化させ
た点に大きな問題が生じてきており,都心との間の通勤・通学輸送対策 が大きく取り上げられるようになった。その中でひとつの打開策として 表面化してきたのが,職住近接政策のための高層化である。また,ニュ ータウンは千里ニュータウンのように成功した例はあるけれども,一般 にその計画の進行は遅く,わが国では住宅難が著しい時代の計画であっ たがために,住宅都市の色彩の強いものであった。
このように見てくると,需要面の対策は単に交通のためではなく,都 市政策の基本となる項目であると言える。そして,時差通勤は通勤輸送 能力が極端に不足した時期に強調された。しかし,これは家庭生活に負
担がかかるばかりでなく,かつ都市圏内の地区や地区間により事業が異 なるので,普及させるのは困難である。
また,自動車対策と公共輸送対策は,歴史の上では公共交通対策が先 行したけれども,今日の市民の希望はまず自動車の利用を考え,それが 困難なときに公共交通を利用することである。それゆえ,都市交通対策 としても可能なかぎり自動車の能力増強をすすめ,不足分を公共交通で 補うことにせざるをえないのである。
今日でも公共交通が都市交通の本来の姿であり,自動車は抑制排除す べきものとの考えが一部にはあるが,この市民の希望を抑制することは
難しい。
近年においては,資本投資と人件費の大幅な増加が各社の経営を圧迫 する要因となっており,鉄道部門における経営悪化を引き起こしている。
朝夕のわずか1〜2時間のラッシュ時のために彪大な設備投資を余儀な くされているが,一旦ラッシュ時を過ぎるとその施設の稼働率は激減し てしまうのである。その上ラッシュ時の乗客は定期による乗客が大半を 占めており,定期運賃の割引率が高いために実収入がそれほどあがらず,
収入面での寄与は少ない。そのため,各社とも兼業部門や資産の売却に よって穴埋めしているのが現状である。
そして,経済の成長につれて,交通需要は増加の一途をたどっている。
だが,経済成長と交通需要との関係は一一様ではない。そこで将来への交 通計画にとって重要なことは,発展のための交通必要性を測定すること
にあると考えられる。
この交通計画を考えるにあたっては,既存の交通設備の状況や交通シ ステムとパターンを十分に把握しておかねばならない。さもなければ将 来ますます増加するであろう交通需要に,現在の設備を改良することに