美 術 館
1. 調査研究の概要
調査研究は美術館活動の、 重要な柱の一つである。 これまで本美術館では、 収集作品調査及び、 企画展開催に 伴う調査研究に重点的に取り組んできた。 2013年度は、 本美術館活動のさらなる充実を目指し、 各学芸員が調査 研究に取り組んだ。 調査研究の内容は、 県内外の作家及び作品に関する調査研究、 作品の保存修復に関する調査 研究等で、 成果についてはコレクション展及び企画展等で公開した他、 美術館研究紀要第4号にまとめた。 以下、
2013年度 (平成25年度) に当館及び学芸員が行った調査研究活動の状況を報告する。
【調査研究内容】
① 美術品の収集に関する調査研究
② 美術品の保存科学に関する調査研究
③ 美術品の修復に関する調査研究
④ 展示技術に関する調査研究
⑤ 教育普及に関する調査研究
⑥ 美術情報提供システムの活用に関する調査研究
⑦ ボランティア育成支援に関する調査研究
⑧ 美術館の振興に関する調査研究
【学芸員個人研究】
各学芸員が研究テーマを設定し、 1年をかけて調査研究に取り組み研究紀要にまとめる。
【調査研究体制】
調査研究活動は学芸員及び嘱託員で実施。 画像を含む調査によって得られたデータは研究用データベースに保 存し、 展示企画及び各事業に活用している。
(翁長 直樹)
. 調査・研究・講演・著作論文等
瑞慶山 昇 (美術館副館長)
◯著作論文等
・ 「宮古島の絵画同人 二季会 の誕生と画家、 平野長伴」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研究紀要 第4号 2014年3月
仲里 安広 (主任学芸員)
◯調査研究等
・安次嶺金正に関する調査 (那覇、 名護市、 糸満市、 宜野湾市、 西原町、 本部町) 2013年5月〜8月
・スタンレー・スタインバーグ氏より聞きとり調査 (アメリカ サンフランシスコ) 2013年7月
・デビッド・ダーリン氏より聞き取り調査 (アメリカ イーストモリン) 2013年7月
・藤島武二に関する調査 (那覇) 2013年4月30日
・沖縄の作家・団体展に関する調査 (東京・国会図書館、 東京文化財研究所) 2013年12月4〜6日
・コレクション展へ向けて丸山映の調査 (那覇市) 2014年1月
No. 氏 名 研 究 テ ー マ
1 瑞慶山 昇 宮古の美術同人 「二季会」 誕生と画家、 平野長伴―
2 仲 里 安 広 安次嶺金正の絵画
3 新 里 義 和 森山大道 終わらない旅 北/南 4 大 城 直 也 美術鑑賞プログラムについて
5 豊見山 愛 悲しみと歓びのジェンダー−沖縄女性美術から工芸を考える 6 翁 長 直 樹 前衛活動に見る沖縄戦後美術−70年代まで
7 齋 悠 記 H24年度調査報告 「宮良信成」
◯講演・授業等
・題材 「デッサンの基礎について」
日 時:2013年11月27日 場 所:渡名喜中学校美術室 対 象:渡名喜中学校 1〜3年生
◯著作論文
・ 「安次嶺金正の変遷と美術論」 沖縄県立博物館・美術館 沖縄美術シリーズ4 安次嶺金正展 緑の抒 情 展覧会図録 2013年9月
・ 「安次嶺金正の絵画」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研究紀要 第4号 2014年3月 新里 義和 (主任学芸員)
◯著作・論文等
・ 「森山 大道 終わらない旅 北/南 Didou Moriyama endless works N/S」 沖縄県立博物館・美術館 美 術館研究紀要 第4号 2014年3月
大城 直也 (主任学芸員)
◯著作・論文等
・ 「美術館鑑賞プログラムについて」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研究紀要 第4号 2014年3月 豊見山 愛 (主任学芸員)
◯調査・研究
・企画展関連調査と下記の成果発表を行った (2013年4月9日〜2014年3月28日)
① 沖縄女流美術家協会会員への聞き取り調査【県内】 (久場とよ、 山元文子)
② 収蔵アーティストの展覧会調査【県外】 (石川真生)
③ 企画会議<ゴー・ビトゥイーンズ>【県外】東京・美術館連絡協議会、 森美術館
④ アジア女性アーティスト展調査【県外】 (当館企画展巡回先調査) 調査先:三重県立美術館
⑤ 企画展<ゴー・ビトゥイーンズ>出品予定アーティスト、 照屋勇賢に関する調査
・第二次世界大戦前に活躍した沖縄出身アーティストの調査
當原昌松 (久米島博物館) に関する調査【県内】2013年10月31〜11月1日
◯講演依頼等
・名 称:VOCA 展2014 出品作家推薦委員 期 日:2013年5月〜2014年3月
依頼機関:VOCA 展2014事務局
・名 称:compass ¦ 談 2013 大カメカメ トークディスカッション パネリスト 期 日:2013年12月7日 (土)
依頼機関:compass
・名 称:沖縄県立芸術大学 アートマネージメント概論 特別講義 期 日:2014年1月20日 (月)
依頼機関:沖縄県立芸術大学
◯著作論文等
・ We will continue to form silent voices:Okinawan Women Artists Inter-Asia Cultural Studies, Volume 14, Issue 4, December 2013, pages 564-576, production with Taylor & Francis.
・ 「本土復帰40年記念事業 アジアをつなぐ−境界を生きる女たち1984−2012」 デ アルテ 九州藝術学会 編
・【展評】 「visions ¦ for the world to come」 沖縄タイムス、 2013年7月18日
・【展評】 「多様さと独自性 結実 伝統的技法にとらわれず―沖縄〜現代日本画作家展」 琉球新報、 2013年 5月17日掲載
・ 「悲しみと歓びのジェンダー −沖縄女性美術から工芸を考える」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研 究紀要 第4号 2014年3月
大城 仁美 (主任学芸員)
◯調査・研究
・収集候補作品調査【県内】 (2013年7月1日、 うるま市) 作 品:連鎖劇 「護佐丸誠忠録」 映像フィルム及び関連資料類
・内間安
関係者への聞き取り調査【県外】 (2013年11月5日〜7日、 東京都)調 査 先:岡崎乾二郎、 養清堂画廊、 ストライプハウスギャラリー、 ときの忘れもの (画廊)
・収集候補作品調査【県外】 (2013年11月8日、 名古屋画廊 (愛知県名古屋市)) 作 品:藤田嗣治作《辻美人》
・内間安
作品調査及び出品交渉【海外】 (2014年3月9日〜14日、 米国ニューヨーク州) 調 査 先:内間安樹 (内間安ご遺族) 宅◯講演等
・名 称:第29回東川町国際写真フェスティバル 「東川賞受賞作家フォーラム」
期 日:2013年8月11日
依頼機関:東川町〈写真の町〉実行委員会 翁長 直樹 (主任学芸員)
◯調査・研究等
・安次嶺金正年譜、 関連文献調査
・宮城明作品調査 (名護市) (2013年2月25日)
・与儀達治作品調査 (浦添市) (2013年4月11日)
・佐久本嗣康ききとり調査 (那覇市) (2013年4月15日)
・比嘉景常作品調査 (八重瀬町) (2013年5月2日)
・安谷屋正義・大嶺政寛・大浜佳津子作品調査 (那覇市) (2013年7月4日)
・石川文一作品調査 (石川市) (2013年7月12日)
・大嶺政敏作品調査 (那覇市) (2013年7月19日)
・親泊英繁作品調査 (那覇市) (2013年7月24日)
・山田真山作品調査 (那覇市) (2013年8月8日) (宜野湾市2013年8月23日)
・個我の形象展調査 (那覇市) (2013年8月9日)
・あけみお展・写真シンポジウム展調査 (名護市) (2013年10月30日)
・大城勝作品調査 (那覇市) (2013年11月15日)
・大浜佳津子作品調査 (那覇市) (2013年11月21日)
・柳光観作品調査 (那覇市) (2014年2月28日)
◯著作論文等
・ 「前衛活動に見る沖縄戦後美術−70年代まで」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研究紀要 第4号 2014年3月
齋 悠記 (美術品調査嘱託員)
◯調査・研究等
・安次嶺金正年譜、 関連文献調査
・与儀達治作品調査 (浦添市) (2013年4月11日)
・佐久本嗣康ききとり調査 (那覇市) (2013年4月15日)
・比嘉景常作品調査 (八重瀬町) (2013年5月2日)
・安谷屋正義・大嶺政寛・大浜佳津子作品調査 (那覇市) (2013年7月4日)
・石川文一作品調査 (石川市) (2013年7月12日)
・親泊英繁作品調査 (那覇市) (2013年7月24日)
・山田真山作品調査 (那覇市) (2013年8月8日) (宜野湾市) (2013年8月23日)
・あけみお展・写真シンポジウム展調査 (名護市) (2013年10月30日)
・大城勝作品調査 (那覇市) (2013年11月15日)
・大浜佳津子作品調査 (那覇市) (2013年11月21日)
・柳光観作品調査 (那覇市) (2014年2月28日)
◯著作論文等
・ 「H24年度調査報告 宮良信成 」 沖縄県立博物館・美術館 美術館研究紀要 第4号 2014年3月
. 展示活動概要
コレクション展は、 世界の美術動向を視野に入れた、 沖縄美術のいまを紹介する目的で集めたコレクションで 企画する。 また、 作品保護の観点から、 三期に分けて展示替えを行い、 テーマ展示の形式で紹介している。 当該 年度は、 コレクションギャラリー1で子どもに向けたテーマ展示や、 映像展などの、 初の試みがなされた。 また、
ギャラリー2では前年に亡くなった、 日本写真界の巨匠・東松照明の寄贈作品で構成された展示が、 反響を呼ん だ。 ギャラリー3では、 沖縄の戦後美術を系統的に展示して紹介した。
企画展では、 沖縄の美術シリーズで安次嶺金正展が、 沖縄ゆかりの国内外の優れた写真家として、 森山大道展 が開催されて、 そのどちらも、 沖縄のアートシーンに大きく寄与する内容となった。
. 展 (常設展)
【コレクションギャラリー1】
① 「子ども美術展 アートであーと」 【絵画・他】※コレクションギャラリー1・2を会場に開催 開催期間:2013年5月18日 (土) 〜9月16日 (月)
内 容:本展は、 線・いろ・かたち・大きさを身近に感じてもらうことをコンセプトとした。 幼児画の線、
児童画の色、 形を現代美術で表すとどうなるのだろうか?展示室が子どもの部屋、 あるいは、 おも ちゃ箱の中のような体験が、 本展示空間では楽しむことができるように、 また、 展示方法も子ども の目線で低く設定し、 親子で楽しむことも目的とした。
② 「コレクションで見る 沖縄の映像」 【映像】
開催期間:2013年9月21日 (土) 〜2014年1月26日 (日) 内 容:コレクションで見る沖縄の映像
「蔵出し作品、 勢揃い!!」 と銘打った。 開館以来初となる映像作品展である。 ウルトラマンの生 みの親、 金城哲夫の 吉屋チルー物語 (1962) をはじめ、 高嶺剛の パラダイス・ビュー (1985) や、 新収蔵品の、 日布映画社制作 執念の毒蛇 (1931) は、 大正、 昭和期に活躍した俳優であり、
映画監督の吉野二郎 (1881−1964) が、 那覇市とハワイを舞台に撮影したものなど、 8作品を上映 した。
③ 「丸山映彫刻展 かたちの風景」 【立体】
開催期間:2014年2月1日 (土) 〜5月18日 (日)
内 容:没後10年を迎える丸山映は、 玉那覇正吉の後任として琉球大学に赴任した。 1992年から発足した
「現代彫刻研究会」 や 「街と彫刻展」 の中心の一人として沖縄彫刻界にあらたな風を吹き起こした 彫刻家でもあった。 1995年に沖縄県立芸術大学の彫刻科へ転勤し、 後進の指導に務めた。 本コレク ション展では、 丸山映が制作した石彫等、 10点とドローイングを紹介した。
【コレクションギャラリー2】
① 「東松照明と沖縄の植物」 【写真】
開催期間:2013年5月18日 (土) 〜 9月16日 (月・祝) (7月23日展示替え)
内 容:2010年に那覇に住民票を移し、 日々町歩きしながら身体的なリズムで日常の光景を撮影した東松が 晩年好んで撮影した対象が植物である。 本展覧会では植物を切り口に写真を見直すことにより、 東 松が感じた 「見えないもの」 に接近し、 新たなる発見に出会えることを目的とし、 前期35点、 後期 35点を公開した。
② りゅうせきコレクションより 「新しいローカルを求めて」 【絵画】
開催期間:2012年9月29日 (土) 〜 2013年1月26日 (日)
内 容: 「りゅうせき美術賞」 展は1990年から1999年まで10年間、 賞金付公募展として沖縄の最初の企業メ セナ事業として続けられた。 これは 「株式会社りゅうせき」 創設者の稲嶺一郎の遺志を継ぎ、 文化 振興事業による地域貢献をめざして創設されたものであった。 過去10年で、 のべ2,300人3,050点近 くの応募があり、 大賞作品10人、 受賞者は490人近くにのぼった。 これまで団体展に属さない新人 たちの作品が取り上げられ、 沖縄の内部で考えるローカルの概念とは異なる、 外の眼から見た 「新