Ⅳ 資料収集・保存管理
Ⅱ. 展示活動
. 展示活動概要
年間の展示活動としては、 常設展示を中心に、 特別展1本、 企画展2本、 大嶺薫コレクション展及び新収蔵品 展を開催することを基本としている。 また、 旧博物館において実施してきた 「移動博物館」 については、 「移動 展」 として2008年度からは美術館と共同で開催している。
海洋性、 島嶼性の地理的要因により、 沖縄には豊かな自然環境が形成されるとともに、 海を介して行われた日 本本土や中国をはじめとするアジア諸国との交流により独自の歴史、 文化が形成されてきた。 常設展示では 「海 と島に生きる─豊かさ、 美しさ、 平和を求めて」 をテーマとし、 沖縄の自然・歴史・文化に係る総合的かつ体系 的な展示を行っている。
2013年度は特別展 「海・山・川のおくりもの 目からウロコの大生き物展!−生物多様性ホットスポット JAP AN−」、 企画展 「サキタリ洞遺跡発掘調査速報展」、 企画展 「三線のチカラ−形の美と音の妙−」 を実施した。
. 常設展
【総合展示】
常設展は、 総合展示と部門展示からなり、 沖縄の自然・歴史・文化を 「海洋性」 と 「島嶼性」 という二つの側 面から読み解いている。 古来より、 沖縄の島々は海によって互いに隔てられると同時に、 海によってアジア、 太 平洋地域と深く結びつけられてきた。 島には固有の自然があり、 人々の営みがあり、 その一つひとつが沖縄県の 特徴ある自然・歴史・文化を形成している。 島に息づく豊かな自然と、 島をとりまく海を媒介とした人々の営み を紹介するとともに、 トー (唐:中国) とヤマト (日本) との間で花開いた琉球王朝文化、 そして目まぐるしい 世替わりを体験してきた沖縄の近代史と戦中・戦後史を射程に入れ、 常設展のメインテーマを 「海と島に生きる−
豊かさ、 美しさ、 平和を求めて−」 とした。
常設展へのアプローチでは、 イノー (ラグーン) に広がる珊瑚礁を足元に見ながら、 あたかも島に上陸するよ うな感覚を体験することができる。 また、 展示室中央に設けられた 「シマの自然とくらし」 のコーナーには、 鹿 児島から台湾まで東西1,000キロ、 南北400キロの海域に散在する琉球列島の大小の島々を壮観できる大型ジオラ マを配置し、 島々の特徴ある自然・歴史・文化を情報端末機を用いて紹介している。 また、 人工衛星によって撮 影された画像を用いて、 島々を観察することができる。
◯海で結ばれた人々〜サークルホールの展示〜
「化石の宝庫」 沖縄から発見された様々な化石を展示している。 クジラやアンモナイトなど、 原始の海に くらした生き物をはじめ、 日本人のルーツとされる1万8,000年前の 「港川人」 や、 その頃に生きていたリュ ウキュウジカ、 ヤンバルクイナなどの化石がステージ上に展開している。 また、 正面のスクリーンでは、 古 生代から現在に至るまでの琉球列島の地史を映像で概観し、 沖縄の自然・歴史・文化の旅へと誘う。
◯貝塚のムラから琉球王国へ
グスク時代、 それぞれの地域に有力者が登場すると、 防御などを目的とした様々なグスクが造られるよう になる。 また、 有力者たちは中国への朝貢を通して文化の移入や交易に努め、 富を築いた。 各地の勢力は、
やがて北山・中山・南山の3つに収斂し、 激しい抗争を繰り広げた。 しかし、 15世紀はじめころに、 これら の3つの勢力は尚巴志によって統一され、 琉球王国が築かれた。 ここからおよそ500年の長きにわたり、 首 里を拠点とする王国の歴史が始まる。
◯王国の繁栄 (古琉球)
尚巴志によって統一された琉球王国は国家として成立したが、 国内の権力基盤は不安定な状態であった。
そのため、 第一尚氏から第二尚氏へ王統の交代が起きた。 一方で、 中国との冊封・進貢貿易によって富を蓄 えた琉球王国は、 中国・日本・東南アジアをつなぐ中継貿易を盛んに行った。 東アジアの大海原の架け橋と して船を操り、 国際色豊かな産物が国中にあふれるさまを謳った旧首里城正殿鐘の銘文は、 往時を偲ぶ貴重 な資料である。 この時代、 琉球は東アジア有数の貿易国家として繁栄し、 より強固な国家体制を造りあげて いった。
◯薩摩の琉球支配と王国 (近世琉球期)
1609年薩摩島津氏による琉球侵攻後、 琉球王国は江戸幕府の影響下に置かれるようになる。 しかし、 中国 との冊封・進貢関係は維持され、 他方で江戸への謝恩・慶賀使の派遣が義務づけられた。
近世琉球期は、 王国の危機を向かえて、 羽地朝秀・蔡温などの強力な政治家による王国の経営が行われ、
琉球独自の文化が花開く時代でもある。 江戸文化の影響をうけ、 組踊などの芸能が確立し、 中山世鑑 球
陽 等の歴史書が編纂され、 首里王府内に多くの役職が確立した。 さらに貝摺奉行所を中心に琉球漆器・紅 型などの様々な工芸品が数多く製作された。
◯王国の衰亡
19世紀頃には、 欧米諸国の船舶がアジア進出を目指して琉球近海に頻繁に来航し、 首里王府にも開国をせ まってきた。 一方で、 中国・日本との関係を保ちながら体制を維持してきた琉球王国だが、 農村の疲弊や災 害などが原因で、 王府の財政難は顕著となっていった。
◯沖縄の近代
江戸幕府が崩壊し、 明治政府が発足すると日本と琉球との関係性も変化した。 1879年に明治政府は琉球藩 を廃し、 沖縄県を設置した。 (琉球処分) 琉球王国は消滅し、 近代日本国家の一部としての沖縄県が誕生した。
政府は旧慣温存政策を実施したが、 その結果沖縄県の土地所有権の確立や国政参加は大きく遅れ、 教育制 度の確立も大正期になってようやく整った。 しかし、 日本は次第に領土拡大と戦争へと突入していき、 沖縄 も戦争体制に組み込まれていった。 1945年、 沖縄では住民を巻き込んだ日米両軍による地上戦が展開され、
24万人余りの尊い命が失われた。 焦土と化した沖縄では、 多くの貴重な文化財も焼失し、 破壊された。
◯戦後の沖縄
沖縄戦によって大きな戦禍をこうむった沖縄。 住民たちの生活はゼロからの出発であった。 沖縄の施政権 は日本からアメリカに移譲され、 27年間のアメリカ統治下に置かれた。 アメリカは東アジアの戦略基地とし て沖縄を重要視し、 基地の機能強化を進めた。 軍事優先の政策は、 住民の生活を侵害し、 米軍関係の事件・
事故が多発したため、 日本への復帰を望む運動が高まっていった。 その結果、 1972年に沖縄の施政権は日本 に返還されたが、 多くの基地が残されるなど未解決の問題が山積したままである。
◯沖縄の今、 そして未来へ
復帰後、 沖縄では大規模な公共事業のほか、 沖縄国際海洋博覧会の開催を契機にリゾート開発が各地で始 まった。 豊かな社会の実現を目指して開発が進められたが、 同時に環境の悪化も問題化した。 2000年には九 州・沖縄サミットが名護市で開催され注目を集めた。 同年には 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」 が世界 遺産に登録されるなど、 沖縄文化の優位性が広く認知されてきている。 今日では観光客や移住者の大幅増加 とともに沖縄は新たな時代を迎えている。
エピローグの 「沖縄の現代生活」 は、 開館時に募集した写真作品で構成され、 まさに 「現代生活」 のドキュ メント資料である。
【部門展示】
総合展示室の周囲には、 自然史、 考古、 美術工芸、 歴史、 民俗の5つの部門展示室を設け、 沖縄の自然・文化・
歴史・民俗の特徴をより深く理解していただくために、 それぞれのテーマをより特化した形での展示している。
部門展示で扱うテーマは可変性を持ち、 頻繁に展示替えを行っている。
◯自然史部門展示 「生物が語る沖縄2億年」
琉球列島の成り立ちや、 島の環境に適応して独自の進化をとげた生き物の世界を展示するとともに、 沖縄 が世界に誇る化石人類である港川人の最新の研究成果を紹介している。 またジオラマ展示では、 ヤンバル (沖縄島北部)、 宮古島、 西表島、 マングローブについて自然の成り立ちを重視した展示を行っている。
◯考古部門展示 「沖縄考古学の世界」
発掘調査によって出土した実物資料を用いて、 人々の暮らしぶりや地域的な特徴、 時代の変化などをわかり やすく紹介している。
◯美術工芸部門展示 「琉球の美」
島々に生きた先人たちは、 自分たちの生活・文化に海外との交流によってもたらされた 「モノ」 や 「文化」
を取り入れることによって、 琉球の美術工芸品を生み出した。 ここでは王国時代の人々の美意識を伝えなが ら、 現代に生きる私たちにとって、 より親しみやすい形で、 1年に数回テーマを決めて展示替えを行いなが ら、 琉球の美を紹介する。
◯歴史部門展示 「モノから読む歴史」
沖縄は、 独立した国家であった琉球王国の歴史に加え、 近代以降、 日本やアメリカなど国際社会の動向の 中で、 何度も世替わりを経験した。 ここでは年に数回のテーマ展示を通して、 沖縄をはじめ各地の様々なモ ノから歴史をひもとき、 歴史の醍醐味や楽しさを紹介する。
◯民俗部門展示 「沖縄の伝統とくらし」
沖縄の島々に伝わる生活文化について紹介している。 村落の成り立ち、 信仰と祭り、 人の一生、 農耕と漁 労、 衣食住、 職人の技、 変容する民俗などのテーマを設けて、 「観る」、 「聴く」、 「触る」、 「調べる」 といっ た体験的な要素を加えた展示を行っている。