第 3 章 材料加工学習の構想設計学習における生徒のレディネスとしての初期構想力の
2.2 調査内容及び手続き
まず,事前調査を行った。調査内容は,ものづくりの意識に関する項目(以下,意識項目) として,第 2 章の調査で用いた質問項目の好嫌意識,得意・不得意意識,上達意欲,材料興 味,工夫志向,構想設計・製作意欲の 6 項目に加え,ものづくりの経験に関する項目(以下,
経験項目)として,「あなたはこれまで,木の板や棒などでものをつくったことがあります か?」(以下,木材加工経験),「あなたはこれまで,つくりたいものの形やつくりかたを自 分で考えてつくったことがありますか?」(以下,創意工夫経験)の 2 項目を設定した。これ らの計 8 項目に対して,「4,とてもそうだ(とてもある)」,「3,少しそうだ(少しある)」,「2,
あまりそうでない(あまりない)」,「1,まったくそうでない(ぜんぜんない)」の 4 件法で回 答させた(図 3-1)。
表 3-1 調査対象
調査対象 有効回答 有効回答率(%)
男子 55 47 85.5
女子 43 37 86.0
全体 98 84 85.7
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2.2.2 初期構想スケッチ課題を用いた調査
次に,初期構想スケッチ課題による調査を行った。初期構想スケッチ課題は,生徒に「お 気に入りの CD を整理する『入れもの』を考えよう! あなたの考えた,CD ラックの材料や 形,大きさやつくりかたをかいてください。」と指示し,文章又は図によって回答させるも のとした。その際,参考として CD の寸法を示した上で,「①机の上において使う,②CD が 10 枚以上入る,③自分で作れる」の 3 点を初期構想の条件とした。この調査の回答時間は 30 分とした。実際に使用した初期構想スケッチ課題を図 3-2 に示す。
回答後,前述した初期構想力の定義に即して,構想した製作品の意匠性と寸法,材料,加 工法,機能,構造(接合方法を含む)等の各設計要素に関する構想の計 6 観点の生徒による 自己評価と技術科担当教員による評価を行なった。生徒による自己評価では,生徒に初期構 想した時に考えたこととして,①「大きさ・サイズ」(以下,寸法),②「かたち・かっこう よさ・おもしろさ」(以下,意匠),③「材料の種類・特徴」(以下,材料),④「材料の切り かた・けずりかた・つなぎかた」(以下,加工法),⑤「CD の入れかた・入る数・使いやす さ」(以下,機能),⑥「強さ・しくみ・じょうぶさ」(以下,構造)の 6 観点にそれぞれ 4 件 法で回答させた(4. とても考えた,3. まあまあ考えた,2. 少し考えた,1. 考えていない)。
教員による評価では,生徒の回答した初期構想スケッチに対して技術科担当教員が,上記の
ものづくりについての調査
中学校 年 性別 : 男・女 名前 :
このアンケートはみなさんが,ものをつくることについてどのように思っているかを調査するものです。成績に は関係ありません。思った通りに答えてください。
次のそれぞれの質問に,あなたの気持の大きさや経験の多さにあてはまる数字に○印を入れてください。
(なお,このアンケートでのものづくりとは,様々な材料や道具を使って,何か生活に役立つものやおもちゃな ど,形のある作品をつくることです。)
4.とてもそうだ(とてもある) 3.少しそうだ(少しある) 2.あまりそうでない(あまりない) 1.まったくそうでない(ぜんぜんない)
①何かものをつくることが好きなほうですか? 4 - 3 - 2 - 1
②何かものをつくることが得意なほうですか? 4 - 3 - 2 - 1
③これから自分でじょうずにものがつくれるようになりたいと思いますか? 4 - 3 - 2 - 1
④ものづくりで使用するいろいろな材料の性質に興味がありますか? 4 - 3 - 2 - 1
⑤何かものをつくる時に,いろいろ工夫することが楽しいと思うほうですか? 4 - 3 - 2 - 1
⑥自分でつくりたいものの形やつくり方を考えてつくってみたいと思いますか? 4 - 3 - 2 - 1
⑦あなたはこれまで,木の板や棒などでものをつくったことがありますか? 4 - 3 - 2 - 1
⑧あなたはこれまで,つくりたいものの形やつくりかたを自分で考えてつくった
ことがありますか? 4 - 3 - 2 - 1
図 3-1 調査票
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6 項目と同じ 6 観点で 4 段階による評価を行った(以下,教員による評価)。
評価は,事前に準備した教員用の評価基準(以下,教員用評価基準)を用い,教職経験 20 年以上の技術科担当歴を有する教員 3 名で協議して行った。教員用評価基準を表 3-2 に示 す。具体的には,まず 3 名の教員がそれぞれ単独に生徒の初期構想スケッチを教員用評価基 準を用いて評価した。その後,3 名の評価結果を照らし合わせ,一致度を確認した。その際,
評価が一致しないものについては,3 名で協議し,評価得点を確定した。2 週間のインター バルの後,3 名で協議しながら,評価得点を見直し,最終的な評価得点を確定した。こうし て採点した教員による評価得点と生徒による自己評価得点を用いたクラスタ分析(Ward 法) を行った。次に,各クラスタの生徒の初期構想スケッチから,その特徴を質的に把握すると 共に,事前調査 8 項目の平均値を比較した。
図 3-2 初期構想スケッチ課題
ものづくりについての調査
中学校 年 性別 : 男・女 名前 :
このアンケートはみなさんが,ものをつくることについてどのように思っているかを調査するものです。成績に は関係ありません。思った通りに答えてください。
1.お気に入りのCDを整理する「入れもの」を考えよう! CDの入れもの→「CDラック」といいます。
あなたの考えた,CDラックの材料や形,大きさやつくりかたをかいて ください。
ただし!
①机の上において使う。 ②CDが10枚以上入る ③自分でつくれる。
の条件で考えてください。
アイデアの下書き,練習 → 消さなくてよい
考えたCDラックのアイデアをできるだけわかりやすくかいてください。
2.今かいたCDラックのアイデアを考えたとき,次のことはどれくらい考えましたか?右にあてはまる数字に○
印を入れて下さい。
(4.とても考えた 3.まあまあ考えた 2.少し考えた 1.考えていない)
大きさ,サイズ 4 - 3 - 2 - 1
かたち,かっこうよさ,おもしろさ 4 - 3 - 2 - 1
材料の種類,特徴 4 - 3 - 2 - 1
材料の切りかた,けずりかた,つなぎかた 4 - 3 - 2 - 1 CDのいれかた,入る数,使いやすさ 4 - 3 - 2 - 1
強さ,しくみ,じょうぶさ 4 - 3 - 2 - 1
14センチ 13センチ あつさ1センチ
CDの大きさ
33 3. 結果と考察