第 6 章 技術的な視点から図工科の造形作品に改良を加える題材の試行的実践
3. 実践の結果と考察
3.3 実践による児童の意識の変容
実践後に実施した事後調査の結果,「今日の授業は楽しかったですか?」,及び「今日の 授業は,自分の生活の役に立つと思いましたか?」の質問に対し,いずれも 100.0%の児童 が「4.とても」又は「3.少し」と回答し,本実践に対して極めて肯定的な意識を形成して いたことが示された。
図 6-8 児童の作品例(表面) 図 6-9 児童の作品例(裏面)
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次に,質問項目「自分で何かものをつくる時は,つくるものの機能(はたらき)や構造
(しくみ)などを考えることは大切だと思いますか?」等のものづくりに対する意識に関 する質問 4 項目ついて事前・事後調査間の変容を検討した(表 6-2)。その結果,ものづく りに対する意識は授業前の段階から極めて高く,その水準は実践後も維持されていた。
さらに,質問項目「自分で考えて何かものをつくるとしたら,どのようなものがいいで すか?」の自分で作りたいもののイメージ 5 項目について事前・事後調査間の変容を検討 した(表 6-3)。その結果,質問項目「機能(はたらき)や構造(しくみ)などが本格的 で,完成度の高いもの。」,「作ったものが自分の生活に直接,役立てられるもの。」の 2 項 目で有意な伸びが見られた。これらのことから,本実践を通して,機能や構造,実用性を 重視したものづくりに対する意識が向上したのではないかと考えられる。
実践後の自由記述からは,「欠点があれば改善していくように工夫を繰り返すことを学 んだ。」,「少しアイディアを加えるだけでもっと便利になることを知った。」,「消費者目線 でものを作ると問題点が見つかり,それを直すと使いやすくなることが分かった。」等の
表 6-2 ものづくりに対する意識
項目 事前 事後 差 対応のあるt検定
平均 3.67 3.58 S.D. 0.60 0.75 平均 3.73 3.76 S.D. 0.52 0.61 平均 3.33 3.36 S.D. 0.74 0.65 平均 3.85 3.64 S.D. 0.36 0.70 7.何かものをつくる時は,ねばり強く,失敗しても
あきらめない心が大切だと思いますか?
4.何かものをつくる時は,つくるものの機能(はた らき)や構造(しくみ)などを考えることは大切だ と思いますか?
5.何かものをつくる時は,ていねいに正確につくる ことが大切だと思いますか?
6.何かものをつくる時は,材料や道具,加工方法
(つくり方)についての知識や技能を身につけるこ とは大切だと思いますか?
0.09
0.03
0.03
0.21 t(32)=1.88 t(32)=0.25 t(32)=0.27 t(32)=0.65
表 6-3 自分で作りたいもののイメージ
項目 事前 事後 差 対応のあるt検定
平均 3.48 3.52 S.D. 0.80 0.67 平均 3.09 3.42 S.D. 0.91 0.79 平均 3.33 3.67 S.D. 0.89 0.65 平均 3.06 3.36 S.D. 0.79 0.90 平均 2.85 3.06 S.D. 0.97 0.93
**p<0.01 *p<0.05
0.21
t(32)=0.24
t(32)=2.97 **
t(32)=2.24 *
t(32)=1.77
①形や色などを自分の思い通りにつくるもの。
②機能(はたらき)や構造(しくみ)などが本 格的で,完成度の高いもの。
③作ったものが自分の生活に直接,役立てられ るもの。
④作ったものが自分以外の他の人の生活に直 接,役立てられるもの。
0.03
0.33
0.33
0.30
⑤作ることで,身の回りにある技術や製品のし
くみがわかるようになるもの。 t(32)=1.10
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工夫・創造への共感を示す記載が 60.6%見られた。また,「工夫したものを作りたい。」,
「この学習で,家のものを便利にしていきたいと思った。」などの工夫・創造への意欲も 見られた。その他,「のこぎりの正しい使い方を学んで以前よりうまくいった。」,「ねじし めが楽しかったし,その方法がわかってよかった。」,「いろいろな道具の使い方を知るこ とが出来た。」などの記載が 33.3%見られた。これらの感想からは,本実践を通して,も のづくりにおける工夫の大切さや今まであまり意識してこなかった工具の正しい使用法に ついての意識付けができたのではないかと考えられる。
4. まとめ
以上,本章では,第 5 章において検討した題材 Type1 を開発し,試行的実践を行った。
その結果,本実践を通して,製作物の機能や構造,実用性を重視する意識の向上が見ら れ,工夫することの大切さや工具の正しい使い方などに対する関心を高めることができ た。これらのことから本実践には,技術科において重視される製作物に機能を付加する重 要性の認識と,そのために用いる部品(材料)の必要性,それに対応した道具の使用方法 を学習することができ,技術科への接続を意識した小学校段階のものづくり学習の題材と して効果のあることが示唆された。
次章では,第 5 章において検討した題材 Type2 を開発し,試行的実践を行い,効果の検 証を行うこととする。
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