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第 4 章 児童・生徒の発達段階における構想設計学習のレディネスとしての初期構想力

2. 学習活動のフレームワークの構成

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第 5 章 小中連携を意図したものづくり学習における学習活動のフレームワー クと題材設定方略の構成

1. 目的

前章までに,児童・生徒のものづくりに対する意欲を高めるには,「道具体験」・「材料 体験」・「工夫体験」が有効である等の学習適時性,ものづくりにおける初期構想力は小 5 では空想型が多く,小 6 ではイメージ先行型と経験依存型が多い等のものづくりに関する 児童の実態を明らかにした。図工科において技術科につながる適切なものづくり学習を構 成するには,これら児童の実態に即しつつ,技術教育として必要な要素を適切に踏まえる ことが重要である。そこで本章では,第 2~4 章で得られた知見に基づき,小中連携を意 図したものづくり学習における学習活動を構成するフレームワークを作成し,図工科にお ける題材設定方略を提案する。そして,提案した方略を小学校教員に提示し,実践化する アクションリサーチに取り組むこととする。

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する内容が詳細に示されていた。その枠組みは,①技術の本質,②技術と社会,③デザイ ン,④技術社会で必要な能力,⑤デザインされた社会,である。一方,我が国の中学校学 習指導要領では,技術科の学習は,技術を理解し,それを評価,活用する能力と態度を育 てることを目標としていた。このカリキュラムには,①生活や産業の中で利用されている 技術の理解,②技術を利用したものづくり,③技術を適切に評価し活用する態度の育成と いう指導項目が設定されていた。これに対して,小学校学習指導要領によると,図工科 は,造形的な創造活動の基礎的な能力と豊かな情操を養うこととされていた。このカリキ ュラムには,①表現や鑑賞の活動を通して,感性を働かせること,②つくりだす喜びを味 わうようにすること,③造形的な創造活動の基礎的な能力を培うこと,④豊かな情操を養 うという指導項目であった。

技術科の目標は,ITEA/ITEEA の技術リテラシーの概念とは,生活や社会を支える技術を 生徒に理解(要素 1)させ,それらの技術を評価し,管理する力を身に付けさせる(要素 2) という点でよく一致している。一方,図工科と技術科との間には,体験的な製作活動を重 視しているという点で共通点がある。特に,図工科の製作活動には,児童が自由な発想の 下,材料の性質や良さを活かしながら,様々な工具や道具を用いて働きかけ,工夫して製 作物を創造する活動が含まれる。このような工夫体験(要素 3),道具体験(要素 4),材料 体験(要素 5)は,技術科においても設計の学習,加工の学習,材料の学習につながる重要 な内容とプロセスを含んでいる。

一方,本研究では,第 2 章において小学生や中学生が技術的な活動に対して動機づけら れるためには,一貫して工夫し創造する体験が重要であることを明らかにしている。これ は,上述した要素 3 と共通している。さらに,小 5 では道具の使用を体験すること,小 6 では様々な材料の使用を体験することが,それぞれ重要な役割を担っていることを明らか にしている。これは,上述した要素 4,要素 5 とよく一致している。したがって,図工科 では,前述した工夫体験の中で,多様な道具や材料を用いた学習活動を取り入れること が,技術教育の観点から重要であると考えられる。

以上を整理すると,図工科に技術教育の要素を取り入れるためには,次の 5 つの要素が 学習活動のフレームワークの上位カテゴリとして必要になると考えられる。

要素 1 児童に生活や社会を支える技術を理解させること。

要素 2 児童に生活や社会を支える技術を評価し,管理する力を身に付けさせること。

要素 3 児童に技術を利用した工夫の体験を行わせること。

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要素 4 児童に様々な道具を使用させる体験を与えること。

要素 5 児童に様々な材料を使用させる体験を与えること。

2.2 下位カテゴリの抽出

次に,これらの要素に対する保・幼・小教員を対象とした意識調査を行い,上位カテゴリを 補完するための下位カテゴリの抽出を試みる。

2.2.1 調査の対象及び内容,方法

調査対象は,H 県下の保育所の保育士 10 名,幼稚園教員 15 名,小学校教員 11 名,計 36 名である。調査対象者は,教員養成系大学大学院に所属する現職教員,研修会に参加し た教員及び保育士である。この調査対象者は,ものづくりの指導に関して対して興味・関 心を持ち,研修会に参加している。調査内容は 1)児童に期待する道具体験の内容,2)児童 に期待する材料体験の内容,3)児童に期待する工夫体験の内容について,それぞれ自由記 述形式により回答を求めた。

2.2.2 調査の結果

調査項目ごとに得られたコメントを集計し,帰納的に分類した。その結果,それぞれの調 査項目のコメントが次のようにそれぞれ 3 つのカテゴリに分類された。

1)児童に期待する道具体験の内容

①道具の科学的な原理に対する知識(回答数 28,全コメントに占める比率 40.6%)

このカテゴリには,児童が道具を使用する際,例えば,ハサミとテコの原理の関係のよう に,道具の原理を科学的に理解することに期待するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「道具は何故このような形をしているのか考えて欲しい。」

・「道具に使いやすい工夫があることを理解して欲しい。」

・「道具の仕組みや成り立ちに興味関心を持ってほしい。」

②道具を安全に使用する技能(回答数 15,全コメントに占める比率 21.7%)

このカテゴリには,児童の道具の使用による事故に対する懸念から派生するコメントが 分類された。

<代表的なコメントの例>

・「便利だけど危険が伴うことがあり,慎重に落ち着いて使って欲しい。」

・「ケガをしないように使って欲しい。」

・「注意が足りないとケガをしたり,他の人を傷つけることを知って欲しい。」

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③道具を正しく使う技能(回答数 14,全コメントに占める比率 20.3%)

このカテゴリには, 児童が使用目的に合った道具の正しい使い方をすることにより,つ まづきを最小限に抑え,その結果,意欲的に作業に取り組むことや,作品の完成度を向上さ せることに期待するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「正しく使うとより美しく効率的につくることができることを知って欲しい。」

・「目的に合わせた道具の使い分けができるようになって欲しい。」

・「どのように使うとうまく作業ができるか体験によって気づいて欲しい。」 2)児童に期待する材料体験の内容

①材料の特徴に対する知識(回答数 17,全コメントに占める比率 35.4%)

このカテゴリには,児童が様々な材料の特徴に興味を持ち,その違いを理解することに期 待するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「木材や金属など,材料の特徴を生かしたものづくりをして欲しい。」

・「普段から身の回りのものが,何でできているか興味を持って欲しい。」

・「紙やプラスチックなどの素材の違いを知って欲しい。」

②材料を選定する能力(回答数 12,全コメントに占める比率 25.0%)

このカテゴリには,児童が様々な材料の特徴を理解した上で,ものづくりに臨むことに期 待するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「材料の臭い,感触,どれだけ準備するかを考えて欲しい。」

・「材料を識別して,分類する力を持って欲しい。」

・「材料によって,どこで使われているかを知って欲しい。」

・「自分の作りたいものに合う材料を選んで欲しい。」

・「どんな場面でどんな材料を使うか考えて欲しい。」

・「用途によって材料を変えると出来が違うことに気づいて欲しい。」

③様々な材料を扱う力(回答数 8,全コメントに占める比率 16.7%)

このカテゴリには,児童がものづくりを行う際,様々な材料を自ら調達し,適材適所に配 置することができる力を身に付けることに期待するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

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・「身の回りにある廃材でも材料になることを知って欲しい。」

・「多くの種類の素材を使ってものづくりをして欲しい。」

・「身の回りには多くの材料があることを知って欲しい。」 3)児童に期待する工夫体験の内容

①自由に発想する力(回答数 16,全コメントに占める比率 27.1%)

このカテゴリには,児童が既成概念に囚われず,自由な発想を生かした作品づくりに期待 するコメントが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「自分のアイデアを大切にし,繰り返し取り組んで欲しい。」

・「個性を大切にして欲しい。」

・「作りたいもののイメージを膨らませてつくって欲しい。」

・「人のまねをしないでつくって欲しい。」

・「枠にとらわれない発想が大切。」

②探究心(回答数 15,全コメントに占める比率 25.4%)

このカテゴリには,児童が深く考えずに単純に構造物を製作するのではなく,目的意識を 持って,その目的へ向けて工夫を重ねながらものづくりに取り組むことへ期待するコメン トが分類された。

<代表的なコメントの例>

・「多面的にいろいろな方向から考えて欲しい。」

・「まずは真似をして,そこから一歩進んだものをつくって欲しい。」

・「いろんな子どもの工夫を取り入れながら,相互に刺激し合いながらつくって欲しい。」

・「試行錯誤を繰り返してつくって欲しい。」

③用途を考える力(回答数 4,全コメントに占める比率 6.8%)

このカテゴリには,児童が目的や用途をよく考え,ものづくりに取り組むことへの期待が 分類された。

<代表的なコメントの例>

・「使いやすいもの(役に立つもの)を目指して欲しい。」

・「空き箱や木材でみんなで遊べるものを考えてつくって欲しい。」

・「普段から材料を見て,何かの材料として使えないか考えて欲しい。」