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第 4 章 児童・生徒の発達段階における構想設計学習のレディネスとしての初期構想力

3.5 学年別の各タイプの構成比率

これらのタイプの構成比率を図 4-7 に示す。小 5 では「空想型」は 48.0%,「イメージ先 行型」は 52.0%だったものが,小 6 では「空想型」は見られなくなり,「イメージ先行型」

22.0%と「経験依存型」45.3%,「論理的構成型」32.7%の構成となった。履修前・中 1 で は「イメージ先行型」27.4%と「経験依存型」36.9%,「論理的構成型」35.7%となった。

さらに,履修中・中 1-2 では「イメージ先行型」が見られなくなり,「経験依存型」62.9%,

「論理的構成型」37.1%となった。履修後・中 2-3 になると,「経験依存型」は 49.7%と減 少し,「論理的構成型」は 50.3%と増加した。

これらのことから,児童・生徒の初期構想力のタイプは,学年の進行に伴って「空想型」

から「イメージ先行型」,「経験依存型」,「論理的構成型」へと推移していく様相が把握され た。このことから,小学校高学年から中学校に至る発達段階における児童・生徒の初期構想 力は,図 4-8 に示すように,「空想型」から「論理的構成型」へと推移する仮説的なモデル で捉えることができるのではないかと考えられる。

図 4-6 「論理的構成型」の事例(履修後・中 3 女子)

50 4. まとめ

以上,本章では,小 5~中 3 の児童・生徒を対象とした横断的調査を行い,児童・生徒の 発達段階における初期構想力の変容を検討した。その結果,本調査の条件下で,以下の知見

図 4-8 初期構想力の推移モデル

経験依存型

タイプの比率

空想型

論理的構成型

小6

小5 中1 中3

イメージ先行型

図 4-7 各タイプの構成別比率

48.0%

10.6%

52.0%

22.0% 27.4%

19.8%

45.3% 36.9%

62.9%

49.7%

38.7%

32.7% 35.7% 37.1%

50.3%

30.9%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

論理的構成型 経験依存型 イメージ先行型 空想型

51 が得られた。

1)初期構想スケッチ課題に対する自己評価の平均値は,小 5 から履修前・中 1 に向けて減 衰した後,履修後・中 2-3 で回復する V 字傾向を示した。

2) 初期構想スケッチ課題に対する教員による評価の平均値は,「材料」,「加工法」得点にお いて,自己評価と同様の V 字傾向を示した。しかし,「機能」「寸法」「意匠」得点は履修 後・中 2-3 で緩やかに上昇すると共に,「構造」得点が顕著に上昇する傾向を示した。

3) 自己評価,教員による評価の平均値を用いたクラスタ分析の結果,児童・生徒の初期構 想力は「論理的構成型」,「経験依存型」,「イメージ先行型」,「空想型」の 4 タイプに分け られた。学年別にこれらのタイプの児童・生徒の構成比率を検討したところ,学年の進行 に伴って「空想型」から「イメージ先行型」,「経験依存型」,「論理的構成型」へと推移す る様相が推察された。

次章においては,第 2~4 章で得られた知見に基づき,小中連携を意図したものづくり学 習における学習活動を構成するフレームワークを作成し,図工科における題材設定方略を 提案することとする。

52

第 5 章 小中連携を意図したものづくり学習における学習活動のフレームワー クと題材設定方略の構成

1. 目的

前章までに,児童・生徒のものづくりに対する意欲を高めるには,「道具体験」・「材料 体験」・「工夫体験」が有効である等の学習適時性,ものづくりにおける初期構想力は小 5 では空想型が多く,小 6 ではイメージ先行型と経験依存型が多い等のものづくりに関する 児童の実態を明らかにした。図工科において技術科につながる適切なものづくり学習を構 成するには,これら児童の実態に即しつつ,技術教育として必要な要素を適切に踏まえる ことが重要である。そこで本章では,第 2~4 章で得られた知見に基づき,小中連携を意 図したものづくり学習における学習活動を構成するフレームワークを作成し,図工科にお ける題材設定方略を提案する。そして,提案した方略を小学校教員に提示し,実践化する アクションリサーチに取り組むこととする。