2005- 2005-15年
アカミタンポポは全 18 サンプルの内 2 例 が、今回の調査でアカミタンポポのみに有効
③ 調査体制
今回調査にあたり、徳島県では実行委員会を設けず、徳島県立博物館が事務局となって、調査の呼び かけ、調査用紙の配布や回収を行った。事務局の作業は基本的には著者が、調査用紙の入力については非 常勤職員に手伝ってもらった。また、今回は徳島県立博物館の課題調査として、2013年より
3
年計画で調 査を実施できた。調査への参加者については組織化せずに呼びかけるに留め、地域を分担はしなかった。ただ、地域を決めて熱心に調査をしてくれる方が複数おられたので、その動向を見ながら、著者が調査の 少ない地域を回る形をとった。
④
調査の呼びかけ
市民参加型調査であるタンポポ調査ではいかに一般の方の参加を募ることができるかがポイントであ る。タンポポ調査西日本実行委員会で作成した調査用紙兼呼びかけのチラシは
A3
で2つおりとなっており なかなか大量に配布はできない。そこで、徳島県では独自にタンポポ調査の呼びかけチラシ(A4)を 80,000
枚作成した。、表はカラー印刷で、裏側に調査用紙を白黒で印刷したものである。このチラシを、小中学生 の全児童生徒に学校を通じて配布した。配布時期は2014
年3
月と2015
年3
月の2
回である。これに加え て2014
年3
月にはタンポポ調査2010
の参加者に、2015
年3
月には2014
年調査参加者に調査用紙やチラシ を郵送した。他にもチラシを配布してくれそうな図書館や博物館などの機関や団体にも送付した。なお、調査用紙は博物館の印刷機で増刷して
10,000
枚を配布した。専門家向けの呼びかけとしては、四国では、毎年
1
回4
県の植物研究会が集まって四国植物研究会を開 催している。その研究会において、2012
年「タンポポ調査の報告と課題について」、2013
年「四国のタン ポポ調査の課題について」、2014
年「タンポポ調査・西日本2015
について」のタイトルで、著者がタンポ ポ調査について発表した。このような一般市民をまきこんだ調査には博物館の展示や普及行事が有効である(小川
2012)
。タンポ ポ調査2010
の結果は「西日本のタンポポ」という展示会(2011年3月23日~5月15日)を徳島県立博 物館で開催し紹介した。調査結果をきちんと市民に返すということは次回の調査への協力も得られるので 大切なことである。この展示は西日本自然史系博物館ネットワークの協力で巡回展となり、他の博物館で も開催された。今回の調査に関連しては「タンポポ調査が始まります」のミニ展示を2014
年と2015
年の 調査期間である2014
年3
月4
日~6月1
日と2015
年3
月3
日~5月31
日に開催した。新たに見つかった 愛媛県のツクシタンポポや香川県のモウコタンポポを展示するとともに調査への参加を呼びかけ、タンポ ポ調査のニュースレターの展示を行った。2016年 3月23
日から5
月29
日にかけて、「みんなで調べた西 日本のタンポポ」を徳島県立博物館で開催し、その中で今回の調査結果について展示する予定である。博物館で開催した普及行事を通じたよびかけは、調査説明会「タンポポを探して環境を調べよう」を
2014
年3月23日に徳島市の吉野川河川敷で行った。2015
年5
月11
日には「たんぽぽコーヒーでティータイム」という講座を開催し、タンポポを採集してフライパンで炒めてタンポポコーヒーを作って試飲し、タンポ ポに関する関心を高めた。また、
2015
年4
月24
日には渋野小学校(徳島県徳島市)、2015
年5
月1
日には 山城中学校(徳島県三好市)で出前事業を行い、タンポポ調査について説明した。(2) 結果の概要
①
調査データの収集状況
2014
年と2015
年の調査を合わせると徳島県は7410
点の調査データ(調査用紙)が集まった。この数 は19
府県中、大阪府、高知県についでの3
番目に多い数である。タンポポ調査2010
では7371
点のデータが集まっており今回の方が若干多い。頭花がない、地点がわからないなどの理由で無効データとなっ たものを取り除いた有効データ数については、今回は
7366
点で、前回の7287
点よりも多い。また、調査 用紙に書かれた名前から算定したのべ人数は626
名で、前回の500
名あまりを超えている。盛んにタンポ ポ調査がおこなわれたことがうかがえる。調査地点の分布については次のようなことが言える。3次メッシュでは徳島県全体では
4183
あるうち1586
のメッシュでデータが得られており、38%のメッシュでタンポポが記録されている。
②
タンポポの分布状況
今回の調査では徳島県ではカンサイタンポポ(白花を含む)、シロバナタンポポ(キバナシロタンポポ を含む)、クシバタンポポ、セイヨウタンポポ、アカミタンポポの5種が確認された。これはタンポポ調査
2010
と同じ結果である。ただ、三好市東祖谷で頭花の大きい黄色のタンポポが見つかっており、2014
年と2015
年の2
回調査を行ったが、カンサイタンポポとは違うように見えるものがあった。これについては次 の機会に染色体数の調査を含めて、ヤマザトタンポポの可能性を検討する予定である。また神山町では若 干総苞の反り返った黄花の二倍体が見つかっており、一応カンサイタンポポとしたが、継続して調査する 予定である。さらに、海岸部では頭花の大きな二倍体の黄花タンポポが見つかっており、生育条件によっ てたまたま大きな株となったことも含めてトウカイタンポポなど他のタンポポと比較する予定である。こ のように疑問な種が出てきており、検討課題として残っている。徳島県のタンポポの分布を図1に示す。分布図については国土交通省「国土数値情報(行政区域デー タ、平成
27
年、徳島県県)」をもとにタンポポ調査・西日本実行委員会が加工した(以下同じ)。カンサイ タンポポは山間地を除いて全県的に分布している。シロバナタンポポは比較的少なくやや偏りがある。か つては三好市や鳴門市、美馬市などの限られたとろこにしか無かったが、近年分布を広げているようであ る。クシバタンポポは徳島県の絶滅危惧種で那賀川上流や吉野川とその支流である祖谷川上流で見られる。外来種のセイヨウタンポポは広く見られ、アカミタンポポは都市部などに偏って見られる。
③タンポポの割合
タンポポの割合を比較する場合、次の点に注意が必要である。小学校単位などで参加した地域がある とその校区のデータがたくさん集まる場合がある。データ数を単純に比較すると、その地区のデータの割 合が高くなり、たとえば市街地であると外来種が高くなり、全体の割合にも影響を与える。3次メッシュ ごとにいくらたくさんその種が記録されても1点として計算すると地域のデータの偏りを受けにくくなる。
そうして比較したのが図3である。徳島県では在来種のカンサイタンポポが最も多い。
図2.メッシュ数で比較した徳島県のタンポポの割合.
図3.
3
次メッシュごとの徳島県の外来タンポポの割合.④外来タンポポの割合と都市化
外来タンポポの割合が高いほど都市化が進んでいると言われているが、徳島県のメッシュごとの外来 タンポポの割合を図3に示した。徳島市や阿南市などの都市部が外来種の割合が多い。しかし那賀川上流 や祖谷川上流など自然度の高い地域でも外来種の割合が高くなっている。これは在来種の多くを占めるカ ンサイタンポポがこの地域ではほとんど分布していないことが原因である。環境に対するタンポポの指標 については、今後検討が必要である。
(3) 終わりに
タンポポ調査・西日本 2015 も終わったが、さまざまな課題も残った。次回の開催は未定であるが、も しあるとすれば次回の 2020 までにはそのいくつかが解決していることが望ましい。
徳島県のタンポポ調査では様々な方々に協力していただいた。倉敷市立自然史博物館の狩山氏には、
岡山県のモウコタンポポやキビシロタンポポを案内していただいた。また、渋野小学校をはじめとする学 校関係者の方々には調査にご協力いただき、感謝する。
文献
小川 誠.2012.市民参加型調査と博物館 -タンポポ調査・2010 西日本を例に-
http://jcsm.jp/wp-content/uploads/presentation/case19_2.pdf
小川 誠.2014.愛媛県のツクシタンポポ.徳島県立博物館研究報告、(24):87-90.
小川 誠・久米 修.2015.香川県のモウコタンポポ.徳島県立博物館研究報告、(25):41-44.
15)香川県
末広喜代一
(1)
調査への取り組み香川県では香川大学教育学部生物学教室内に「タンポポ調査・西日本
2015
・香川県実行委委員会」の事務局を置き、おもに「香川植物の会」のメンバーが中心になって調査を行った。さらに、高等学 校に勤務している「香川植物の会」のメンバーが、香川県高等学校教育研究会生物・地学部会に参加を 呼びかけ、それに応じた香川県下高等学校の生物教員の指導によって、県内の高等学校でもタンポポ 調査に取り組んだ。また、香川県在住のNTT西日本関係者からの協力も得た。
前回の
2009
年・2010
年の調査では、過去の高松市市街地部での調査結果と比較することを目的に、香川大学教育学部生物学教室の
4
年生が高松市市街地部とその周辺で住宅地図を使った詳しい分布調 査を行った(末広ほか、2011
)。また、香川県東部の東かがわ市三本松周辺でも、住宅地図を使った 詳しい分布調査を行った(野崎、2011
)。今回はそれらの地域では前回のような調査は行うことが出 来なかったが、高松市西南部に位置する綾川町畑田周辺では、前回同様の調査を行うことが出来た。調査の方法の説明は、
2014
年1
月5
日に「香川植物の会」のメンバーを対象に行った。すでに、2009
年・2010
年の前回の調査を経験済みのメンバーがほとんどであるため、前回の調査との相違点、特に
3
次メッシュ番号が世界測地系によるものに変更されることを中心に簡単に説明した。ネット利 用環境にないメンバーに対しては、世界測地系の3次メッシュ地図をプリントアウトして配布した。実行委員会に寄せられた頭花サンプル等の整理や花粉の観察、データの入力はおもに香川大学教育 学部生物学教室で行った。「香川植物の会」のメンバーでも特に多量のサンプルを収集していただいた 方からは、データの入力についても協力を得た。
(2)
調査結果の概要①種類組成と外来種の比率
香川県では
2014
年・2015
年あわせて約330
名の方から5649
件の有効サンプルが寄せられた。前 回の調査の8376
件に比べて大幅に少ないのは、高松市市街地部を中心とした詳しい分布調査を行っ ていないためである。有効サンプルは香川県全体から寄せられているが、5
件未満のメッシュが多く、10
件以上のメッシュは高松市や丸亀市の市街地部に多かった。前回の調査との大きな違いは、高松市 市街地部と近接する南部郊外のサンプルが大幅に減少していることである。有効サンプルの内訳は、表1の通りであった。在来種として、カンサイタンポポとシロバナタンポ ポのほかに、トウカイタンポポ、
クシバタンポポ、モウコタンポポ のサンプルが、それぞれ1件、キ ビシロタンポポのサンプルが
8
件 寄せられた。クシバタンポポは前 回にも報告があったが、トウカイ タンポポ、モウコタンポポ、キビ シロタンポポは、今回に新たに報 告されたタンポポである。香川県の外来種のサンプル数の 割合は
35.31
%で、前回の37.80
% よりわずかに減少した。また前回の調査では、外来種としてはアカミタンポポがセイヨウタンポポより多かったが、今回の調査では、
表1.香川県における種類別サンプル数
種 類 サンプル数 比率(%)
カンサイタンポポ
3481 61.12
トウカイタンポポ1 0.02
クシバタンポポ
1 0.02
モウコタンポポ
1 0.02
シロバナタンポポ