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図 38.アカミタンポポの頭花(左)と分布(右)

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アカミタンポポはセイヨウタンポポと比べ、頭花が小さくタネが赤褐色で小型といった傾向がある。

タネはうすい赤色から黒赤褐色まで変異があり、雑種も含めて、多様なクローンがあると考えられる。

この種は都市部に集中する傾向がある。コンクリートのすき間にはアカミタンポポを見かけること が多く、都市部の乾いた環境に適応しているのかもしれない。

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※ ロクアイタンポポ(仮称)

兵庫県神戸市の人工島六甲アイランドにある市立六甲アイランド高校内で見つかったタンポポで、

時に直径

6cm

を超えるきわめて大きい頭花をつける。総苞外片は幅が広く、先端部にはわずかに角状 突起がある。当初はクシバタンポポかと判断していたが、総苞外片がかなり開出するのが特徴で、種 子ができるころには反曲することもあり、ロクアイタンポポと仮称している。株自体も大きくなるの でかなり目立つタンポポである。

39.ロクアイタンポポ(仮称)の頭花(左)、葉(中)、つぼみから成熟時の頭花(右)

六甲アイランド高校の調査で、葉緑体

DNA

はニホンタンポポ型の四倍体であり、雑種タンポポの可 能性が高い。兵庫のほか、滋賀、奈良、岡山、広島、福岡などでそれらしい頭花が見つかっている。

前回調査よりもかなり増えているようだが、調査者の能力が 上がったのもしれない。

芝池(私信)によれば、福岡県のものは遺伝子型で、ロク アイタンポポとは区別できるとのことである。福岡市などで ケブカタンポポ(仮称)と呼ばれているものであろう。

ニセカントウタンポポと仮称されるタンポポが関東で見つ かっている(岩槻

2014)

。総苞がロクアイタンポポほど大き くなく、総苞片の色が黒っぽいタンポポも見つかっており、

ニセカントウタンポポに相当するのかもしれない。

これらは多様な形態をしており、頭花のみでの区別は難し く、今回の調査では外来種として扱った。

文献

岩槻秀明. 2014. 最新版 街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本

. 543pp., 秀和システム.

北村四郎. 1933. 日本菊科新植物(五

) 植物分類・地理 2(2): 118-129.

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北村四郎 1981.キク科.佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠夫編,日本の野生植物草本Ⅲ合弁花類.

pp.156-235.

平凡社,東京.

北村四郎・村田 源(1984)原色日本植物図鑑 草本編[Ⅰ]合弁花類、

pp. 12-14.保育社、大阪.

小泉秀雄. 1933. 東亜産たんぽぽ属ノ新種. 植物学雑誌47(2): 89-124.

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, 24:87-90.

酒泉満. 1990. 遺伝学的にみたメダカの種と種内変異. 江上信雄・山上健次郎・嶋 昭紘

(編 ) メダカの生物学 pp. 143–161. 東

京大学出版会,東京

.

坂本彰. 2014. 高知・愛媛県境のツクシタンポポ.西日本タンポポ調査ニュース(3):2.

芹沢俊介. 2006. 淡黄色花タンポポの分類.植物地理・分類研究.54:21-26.

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兵庫県のニセカントウタンポポ?

(3) 絶滅危惧タンポポの分布

小川 誠(徳島県立博物館)

福井県から佐賀県にかけての

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府県では、カンサイタンポポ、クシバタンポポ、キビシロタンポポ、

ツクシタンポポ、ヤマザトタンポポが環境省や各府県で絶滅危惧種に指定されている(表1)。その多 くが希少なために図鑑に掲載されておらず、他種と誤認されたり、詳細な調査が行われていないため に分布や生態が明らかになっていなかったりと保護に必要な基礎的な情報が少ないものが多い。以下 に調査で明らかになった絶滅危惧タンポポの分布について記載する。

表1.西日本における絶滅危惧タンポポの指定状況

なお、分布の状況を明らかにするために、分布図を示した。点の粗密には偏りが見られる。これに ついて、より明らかにするために次のような手法を用いて図化を試みた。西日本一帯で見る場合、3 次メッシュを点として扱うことができるので,それぞれの種についてその点の集まり(密度)に着目 してみた。密度推定の方法として、カーネル密度推定法(Kernel density estimation)を用いて外来 種の分布密度を求めた。カーネル密度推定法はアメリカの司法関係で用いられ、専用のフリーソフト も開発され、日本でも科学警察研究所(科警研)で研究されたので、犯罪発生マップや交通事故発生 マップなどの警察関係のデータ処理によく用いられる(中谷,2004 ほか)。カーネル密度推定の計算 は統計解析ソフト

R(カーネル密度推定パッケージ kernel2d)を用いた。

府県 カンサイタンポポ クシバタンポポ ツクシタンポポ ヤマザトタンポポ キビシロタンポポ

 環境省 絶滅危惧Ⅱ類 準絶滅危惧

 福井県 準絶滅危惧 絶滅危惧Ⅰ類

 三重県  滋賀県  京都府  大阪府

 兵庫県 情報不足 準絶滅危惧 準絶滅危惧

 奈良県 絶滅危惧Ⅰ類

 和歌山県

 鳥取県 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧

 島根県 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅰ類

 岡山県  広島県

 山口県 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類

 徳島県 絶滅危惧Ⅰ類

 香川県

 愛媛県 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅危惧Ⅱ類 情報不足

 高知県 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類 絶滅危惧Ⅰ類

 福岡県 絶滅危惧Ⅰ類

 佐賀県 絶滅危惧Ⅱ類 絶滅

(a) カンサイタンポポ

【指定状況】鳥取県:準絶滅危惧、山口県:絶滅危惧Ⅱ類、愛媛県:絶滅危惧Ⅱ類、

高知県:絶滅危惧Ⅰ類、佐賀県:絶滅危惧Ⅱ類

西日本では普通のタンポポと思われていたが、 2010 の調査で分布に偏りがあることが明らかになっ た。今回の調査では 7080 メッシュで記録された。

カンサイタンポポの頭花の写真を図 1B、分布図を図 1A,分布密度を図 1C、標高別の分布を図 1D に 示した。低標高から高標高にかけて、次第にメッシュ数が減少している。分布には偏りがあり、淡路 島を中心とする東瀬戸内海周辺に集中し、西部や日本海側にいくと分布が極端に減ってくる。そうし た分布が少なくなった愛媛や高知県等で絶滅危惧種に指定されている。

図1.カンサイタンポポの分布.A:分布(3次メッシュ)、B:頭花、C:密度、D:標高.

(b) クシバタンポポ

【指定状況】兵庫県:情報不足、鳥取県:準絶滅危惧、島根県:絶滅危惧Ⅱ類、

徳島県:絶滅危惧Ⅰ類、高知県:絶滅危惧Ⅰ類

分布量が少なく各地で絶滅危惧種に指定されているが、分布がはっきりしなかったので指定から漏 れている府県もある。今回の調査では 263 メッシュが確認された。

クシバタンポポの頭花の写真を図 2B、分布図を図 2A,分布密度を図 2C、標高別の分布を図 2D に示 した。低標高は少なく、標高が高くなるにつれてだんだんと増え 500mをピークにして、次第に減少 して、山型の分布をしている。広く分布するものの地点は散在し少ないために希少種となっている。

中国山地と四国中央部に分布が多い。今回香川県で新たに産地が発見された。今後のレッドデータブ ック・リスト策定の際のよい資料となるであろう。

図2.クシバタンポポの分布.A:分布(3次メッシュ)、B:頭花、C:密度、D:標高.

(c) ツクシタンポポ

【指定状況】環境省:絶滅危惧Ⅱ類、愛媛県:絶滅危惧Ⅱ類、高知県:絶滅危惧Ⅰ類、

福岡県:絶滅危惧Ⅰ類、佐賀県:絶滅

福岡県で見つかったのでツクシタンポポの名がついた。環境省のレッドデータブックでも指定され ているが、図鑑に写真等の情報が無く、実態がわからないままであった。そのため別種が誤認されて いたケースも見られた。今回の調査では 10 メッシュが確認された。

ツクシタンポポの頭花の写真を図 3B、分布図を図 3A,分布密度を図 3C、標高別の分布を図 3D に示 した。サンプル数が少ないために詳しくはわからないが、1000m以上の高標高域にも分布している、

四国西部と九州の限られた地点に分布している。

2015 年は高知県と愛媛県が合同でツクシタンポポの分布や生態の精力的な調査を行った。その結果、

他のタンポポとは違った開花時間や生育環境を持っているのがわかってきた。こうした府県を越えた 協力体制を築くきっかけとなった。

図 3.ツクシタンポポの分布.A:分布(3次メッシュ)、B:頭花、C:密度、D:標高.

(d) ヤマザトタンポポ

【指定状況】環境省:準絶滅危惧、福井県:準絶滅危惧、兵庫県:準絶滅危惧 奈良県:絶滅危惧Ⅰ類、鳥取県:準絶滅危惧、島根県:絶滅危惧Ⅱ類 山口県:絶滅危惧Ⅱ類、愛媛県:情報不足、高知県:絶滅危惧Ⅰ類

西日本に比較的広く分布している種であるが、図鑑に載っていないので情報が少ない。今回の調査 では 362 メッシュが確認された。

ヤマザトタンポポの頭花の写真を図 4B、分布図を図 4A,分布密度を図 4C、標高別の分布を図 4D に 示した。低標高から 400mにかけて、多くが分布し、それ以上は減少している。日本海側および四国 の西部に分布が多い。

4.ヤマザトタンポポの分布.A:分布(3次メッシュ)、B:頭花、C:密度、D:標高.

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