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倍数体タンポポ -ヤマザトタンポポ、クシバタンポポ、オオクシバタンポポ(図 4,5)

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2005- 2005-15年

2) 倍数体タンポポ -ヤマザトタンポポ、クシバタンポポ、オオクシバタンポポ(図 4,5)

ヤマザトタンポポ、クシバタンポポともに、分布の大部分は県北部の但馬である。分布量はヤマザ トタンポポの方が多い。オオクシバタンポポ(仮称)は日本海側の豊岡市(旧竹野町)、香美町(旧香 住町)で

1

ケ所ずつ見つかっているだけである。生育地が少なく、自生でなく持ち込みの可能性も考 えられるが現時点ではなんともいえないのが現状で、京都府の丹後も含めて、もう少し探してみるべ きだろう。

図 3:兵庫県での二倍体タンポポの分布

○:カンサイ ●:トウカイ

:セイタカ

△:シナノ

図 4:兵庫県でのヤマザトタンポポの分布 図 5:兵庫県でのクシバタンポポ等の分布

:クシバ □ :オオクシバ

b.シロバナタンポポ・キビシロタンポポの分布(図6,7)

シロバナタンポポは県内全域 に広く分布しているが、こうし て見ると意外と分布量には偏り がありそうである。姫路市では 姫路城など市街地には多そうで ある。西宮市はやや山沿いの関 西学院大学周辺に分布しており、

これが伊丹市南部などに連続し ていそうである。

少し北に上ると三田市と神戸 市北区の境界周辺ではシロバナ タンポポが多く見つかっている が、それ以外の神戸市北区、三田 市ではシロバナタンポポはほとん ど見つかっていない。原因はよく わからない。最初に持ち込まれたシロバナタンポポが広がりつつある途中の段階をみているのかもし れない。

それ以上に不思議なのは県北部での但馬でのシロバナタンポポの分布である。東部の豊岡市、養父 市ではかなりふつうに見かけるにも関わらず、西部の新温泉町、香美町、播磨北部の宍粟市市内はシ ロバナタンポポがさほど見つかっていない。調査が十分でないのかもしれないが、他のタンポポはあ る程度採集されているので、シロバナタンポポが少なそうだと判断すべきだろう。

またキビシロタンポポは但馬西部でシロバナタンポポの空白域に生育しているように見える。他府 県ではシロバナタンポポとキビシロタンポポが同所に生えていることはあるので、重要な意味はない のかもしれない。なお神戸市六甲アイランドと明石市のキビシロタンポポは道路わきの植え込みと学 校の校庭であり、おそらく移入であろう。

c.セイヨウタンポポ・アカミタンポポの分布(図8,9)

頭花の形やタネの色にも 変異があることは承知の上で、

まとめてセイヨウタンポポの 分布を示したのが図

8

である。

ほぼ県内全域に分布している といえるだろう。

一方アカミタンポポは明ら かに瀬戸内沿いに多産してい る。アカミタンポポはきわめ て乾燥に強く、劣悪な環境で も育つと言われており、都市 化の進んだ阪神間から姫路の 臨海部でも生育しているのだろ う。

図 6:シロバナタンポポの分布 図 7:キビシロタンポポの分布

図 8:セイヨウタンポポの分布 図 9:アカミタンポポの分布

7)奈良県

今西 塩一(奈良県実行委員会)

(1) 調査への取り組み

奈良県におけるタンポポの分布調査は、

1976

1977

年と

1995

年の2回、奈良県生物教育会によっ て、県内の高校生と教師により奈良県北部を中心とする調査が行われた。

2004

2005

年には、一般市 民に参加を呼びかけた初めての市民参加型による調査「タンポポ調査・近畿

2005

」が県内全域で行わ れた。2回目の「タンポポ調査・西日本

2010

」も、今回の「タンポポ調査・西日本

2015

」も実施にあ たり、広く県民に参加を呼びかけて行う市民参加型の調査活動とした。

2013

12

月に有志によるタ ンポポ調査奈良県実行委員会を立ち上げた。県実行委員は前回の調査

に参加した実行委員を中心に構成し、奈良教育大学自然環境教育セン ターの協力を得て調査用紙の集約やデータの処理を行った。

調査への参加呼びかけは主に前回の調査参加者への呼びかけととも に、県内の各小中学校、高校、大学の他、自然環境保全に関わる団体 にも協力を依頼した。地域FM局ならどっとFMはタンポポ調査を取 り上げ詳しく紹介した。

予備調査と本調査には

31

団体

540

名以上の児童生徒や学生や市民が 参加し予備調査

753

、本調査

1218

、合計

1971

の有効なデータが集まっ た(無効を含むサンプル数は予備調査

774

、本調査

1260

、合計

2034

である)。前回調査の有効なデータ

2443

には及ばなかったが、県内全 域から調査票が送られてきており、多くの県民の皆さんの協力により

調査を実施することができ、なお、今回の予備調査と本調査に対しても「市民生活協同組合ならコー

プ」の環境保全活動助成事業からの助成金をいただき実施することができた。

(2) 結果の概要

①タンポポの種類別分布

今回の調査で確認されたタンポポは黄花在来二倍体のカンサイタンポポ、黄花在来倍数体のクシバ タンポポ、白花系のシロバナタンポポとキビシロタンポポ、外来種とその雑種のセイヨウタンポポと アカミタンポポである(表1)。御杖村土屋原の集落内の農道にカンサイタンポポのような総苞外片 のタイプ1で、外片の幅が広い不明のタンポポを発見した。花粉を観察すると大きさが均一でなく、

バラバラであり、野外で一定の個体数があった。タンポポ調査・近畿

2005

の調査やタンポポ調査・西 日本

2010

でも、総苞外片のタイプ1で、花粉がバラバラのタンポポが多数あった。今回の調査ではこ の特徴を持つ頭花のタンポポをニセカントウタンポポ(仮称)とした。

今回も宇陀市室生三本松で見付けたロクアイタンポポ(仮称)はセイヨウタンポポとその雑種に入 れた。

黄花在来種のカンサイタ ンポポの割合は

35.28

%か

26.01

%に減ったが、分布

域は前回とあまり変わらな かった。やはり奈良県南部 の十津川村と川上村以南の 地域では分布が局所的であ

る。本種は奈良県東部と奈良盆地内に広く分布するが、県南部の十津川村や下北山村に分布するもの 図1 奈良県の全調査地点

図2 ニセカントウタンポポの株(左)と頭花(右)

の集落の近くに見られる傾向がある。シロバナタンポポの割合は

7.16

%から

5.36

%に減ったが、分布 域は前回とあまり変わらなかった。県南部の十津川村と下北山村の分布は人家近くであり、聞き取り によると他所からの移入個体であることも判明した。前回の調査で五條市大塔町で見つかったクシバ タンポポは、新たに御杖村や大淀町(櫛歯状の葉ではない個体を含む)で確認できた。キビシロタン ポポの新しい場所での確認はできなかった。

今回も外来種のセイヨウタンポポ、アカミタンポポとそれぞれの雑種は県内の広い範囲に分布し、

タンポポ全体における割合はセイヨウタンポポとその雑種が

36.68

%から

27.43

%に減り、アカミタン ポポとその雑種は

8.15

%から

6.44

%に減ったが、分布域は前回とあまり変わらなかった。県南部での 外来種の分布は国道沿の人家近くやバス停近くに集中している。これは人と物資の移動量を反映して いるように思われる。

今回の調査では、どのタンポポの種類でも割合が減った原因として、全調査サンプルが少ないこと 以外に、頭花は有るが種(痩果)の無いサンプルの割合が

11.62

%から

28.96

%に増加したこともあげ られる。特に外来種のセイヨウ型とアカミ型の判定には種の存在が不可欠である(綿毛がなくても、

花が咲き終わって総苞が膨れた頭花を茎から採集し、封筒に入れておくと熟させることも可能であ る)。

表1 奈良県における種類別サンプル数

調査年

種類

2015 2010

割合(%

)

2005

割合(%) 地点数 割合(%

)

カンサイタンポポ 529

26.01

35.28

28.0 クシバタンポポ

0.34

0.04

0 シロバナタンポポ 109

5.36

7.16

6.6 キビシロタンポポ 11

0.54

0.94

0.3 セイヨウタンポポとその雑種 558

27.43

36.68

37.8 アカミタンポポとその雑種 131

6.44

8.15

9.7 ニセカントウタンポポ(仮称) 37

1.82

0.16

2.5 不明タンポポ

31

1.52

外来種 589

28.96

11.62 15.1 タンポポ以外 27

1.33

無効

0.25

合計 2034 100.00 100.00 100.0

②タンポポの種類と生育環境

タンポポは

A

の林や林のそばなどの山間部よりも人里に多く分布することが分かる(表2)。外来 種のセイヨウタンポポとアカミタンポポとそれらの雑種は、

G

の道路沿い・分離帯などの攪乱された 生育環境に多い。セイヨウタンポポとその雑種は

D

の田畑など農地にも多く見つかっている。クシバ タンポポは

E

の神社・寺の境内や

C

川の堤防や川原、キビシロタンポポは

G

の道路沿い・分離帯な どの明るい場所で見つかっている。クシバタンポポとキビシロタンポポは分布が道路沿いに広がって おり、何らかの理由で外部から持ち込まれた可能性が高い。

今回の調査で見つかったニセカントウタンポポ(仮称)は

D

の田畑など農地や

G

の道路沿い・分離 帯など明るい場所で見つかっている。

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