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調査の概要

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緊急・避難時における不登校児童生徒への対応と役割

4   調査の概要

1  八戸市立湊中学校

2011年 4 月 1 日に赴任された校長は、震災発生時には白銀中学校長であったので、両校の状況を 伺うことができた。

まず、湊中学校と白銀中学校について、震災発生時の生徒数などの基本的な情報を確認しておく。

表 2 .震災発生時の生徒数(白銀中と湊中)

中学校名 生徒数 男子 女子 単式学級数 特別支援学級

白銀中学校 408 207 201 14 2

湊 中 学 校 448 221 227 13 2

次に、不登校の実態である。校長の見方では不登校原因の半数は母親の教育放棄であり、湊中学 校地区に三世代家族が多いこともあり、祖母が親役割を果たしているという。また不登校生徒の大 部分が高校進学を希望していないという。不登校原因の半数が母親の教育放棄であることと不登校 生徒の大部分が高校進学を希望していないことは、八戸地区特有であるかの様な印象がある。した がって、政府統計との比較検討により新しい発見が推測される。また、なかには授業を抜け出した

① ②

り、給食だけ食べに登校する生徒もいるという形態は、家庭に引きこもらず学校との接点がまだあ るので、いわゆる部分登校の一種と言える。

表 3 .不登校生徒数(湊中)   2012年 9 月28日現在 学年 不登校 不登校傾向 教室に入れない

中 1 年 0 4 0

中 2 年 2 4 2

中 3 年 1 2 0

合計 3 10 2

なお、卒業認定は校長の裁量権の範囲内になっていて、出席日数は卒業要件(6)でない。したがっ て、不登校生徒や欠席の多い生徒に対しても、年度末には、いずれの中学校の校長も卒業認定をし ている。湊中学校の場合、卒業を控えた 1 〜 2 月には、「意欲付け」目的の面談を校長自身が指導 した結果、平成23年度は全ての不登校生徒も卒業式に参加し、卒業証書を授与することが出来たと いう。不登校生徒が一人でまた自宅でもなく、学び舎でクラスの仲間と一緒に卒業式に参加する機 会を得たことは、教育者としての校長の責任意識と子どもが学校へ復帰したいという願いの一致と いえる。ただし、義務教育では学校に全く通学しなくても卒業証書を授与している実態は、改善さ れなければならない。社会の一員として社会生活を営むための社会性や基礎学力を身に付けないま ま放置することにならないように、公教育を補完する学校外の教育施設の充実が望まれる。

2  適応指導教室「うみねこ教室」

教職員の研修施設である総合教育センターの一部を使用している適応指導教室では教育相談と不 登校児童生徒の指導・支援が行なわれ、その教育目標は集団生活への適応促進、自信の確立、学 校復帰支援である。担当するスタッフは担当指導主事( 1 名)、主任相談員( 1 名)、教育相談員

( 5 名)、適応指導教室指導( 2 名)の 9 名であり、さらに、臨床心理士が週 1 回、医師(教育相談

―アドバイザー)が月 1 回来所している。施設は個別学習用教室(ステップ 1 )、集団学習用教室

(ホップ)、 2 学期後半から中学 3 年生の受験対策に用いる教室(ステップ 2 )、これら以外に、図 書室、パソコン室などの研修室を活用している。

「うみねこ教室」の一日の流れは 9 時25分までに登校し、退室は12時30分である。このうち週 3 日間は学校の教材を用いて基本的に自習を行ない、学習支援は必要に応じて受けられる。また、週

2 日間はスポーツ、パソコン、調理実習、遠足・見学等多数の体験活動を通して自立心、社会性

(協調性)を育成し、学校復帰支援を行なっている。そのほか、午後は個別相談、来所相談、巡回 教育相談、学校復帰支援、長期不登校に対応している。

次に、教育相談と通所状況を確認しておく。

表 4 .総相談件数と不登校相談件数(2012年 9 月28日現在)

年 度 総相談件数 不登校

平成21年度 1,261 893 平成22年度 1,489 712 平成23年度 1,260 605

教育相談件数の推移は表 4 のとおりである。この表にあるように「うみねこ教室」では不登校に 関する相談が主であるが、最近は発達・行動に関わる相談件数が増加しているという。発達と行動 に関してのこれらの相談には、一般的に知的障害を伴わない高機能自閉症およびアスペルガー症候 群、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や特に LD(学習障害)と呼ばれる発達障害に関わる相談で あることが推測される。北海道大学大学院教育学研究院教育行政学研究グループ(7)によると、不

緊急・避難時における不登校児童生徒への対応と役割

登校児童生徒がフリースクールに在籍する理由として、発達障害が原因で学校生活になじめない ケースが 6 割以上の割合を示しているとある。学校教育でこれら軽度発達障害の一種である学習障 害に対し特別支援教育制度があるが、ディスレクシア(識字障害)等の深い知識と適切な指導をす る専門教員の育成が急がれている現状がある。

また、平成22年度は通室児童も増加しているが、これは不登校が増えているのではなく、小中連 携事業などによって連絡が密になり、先生・病院・家庭に適応指導教室の存在が認知されつつある ことによると考えられる。通常、通室するのは中学 1 年生が多いが、平成24年度は中学 1 年生が 0 名になっている。今年は昨年度の継続が多く、したがって中学 2 年生が多い。一般には、 9 月以降、

進路問題で中学 3 年生が多くなるという。半年後に迫った高校進学に関し学力を考慮し、入学した い学校と入学できる学校(全日制高校、定時制高校、通信制高校、普通科、商業科、工業科、水産 科、国公立、私立等)の選択の時期に当たるためである。震災後の相談件数・通室者数が減少した のは、親が「うみねこ教室」に相談したり、子どもを送迎する時間的余裕がなかったのかもしれな い。しかし、震災復興の困難時に親の頑張る姿を見て、子どもたちも頑張ったのではないかとも考 えられる。

適応指導教室にかかわる児童生徒の分布は、通室の場合、電車で通いやすい等の要因から居住地 による差はあるものの、相談では差は見られない。家庭状況による差はなく、母子・父子家庭だけ が多いわけでもない。

次に関係機関との連携については、学校とは「うみねこ教室」での生活状況等の情報交換をして いる。児童生徒は「うみねこ教室」に通室しているが「うみねこ教室」に転校したわけではない。

あくまでも現籍校の児童生徒である。児童生徒の帰属意識をしっかり持たせるためにも密接に連携 を取り、在籍校の定期試験を「うみねこ教室」で受け、通室した場合に在籍校校長の裁量で出席日 数として認められている。他に市内での情報交換の場として八戸市ひきこもりケース会議、いじめ 不登校関係機関連絡会議(県)等がある。八戸市には民間のフリースクール(8)や NPO は確認して いないので、それらとは連携や情報交換はないが、必要に応じて「不登校児童生徒を抱える親の 会」などの民間施設との連携協力を行なっている。

3  KATEKYO 学院 本八戸駅前校 

株式会社 KATEKYO グループは30年前に創立され、小学生、中学生、高校生、高校中退者を対 象とする学習塾を全国150都市で直営してる。本八戸駅前校は、開設18年後の平成11年現在地へ転 居し現在 6 年目を迎える。2012年 9 月28日現在、在籍者数は自宅生87、教室生140の247名である。

以前は中学 3 年生の在籍が 6 割であったが、現在では中学 3 年生と高校 3 年生で 6 割を占める。こ れは高校生への指導を強化したためで、実際に中学 3 年生の通塾生が高校へ進学しても、その45%

が継続して通塾しているという。「民間教育(学習塾)がないと学力が伸びない。学校と民間で役 割を分担し、顧客満足度を高め、地域社会の教育に貢献していきたい。」という方針の下、学校教 育を幅広く補完する経営が目指されている。

授業形式は、完全個別指導の 1 対 1 で、120分間指導している。他の塾は英語・数学のみの授業 が多数で、他の教科は映像による場合があるが、物理・化学・生物・日本史・漢文・古文の授業も している。特徴的なことは、時間設定も生徒が自由にできるようにし、開始時間が午後10時や11時 になる場合もある点だ。また、すべての教科を一人の担任が合格するまで担当する完全担任制を採 用し、生徒が相談しやすくしている。また、生徒と教師の相性が合わない場合、生徒に合う教師に 変更している。

会社名 KATEKYO から連想される家庭教師はアルバイトの印象があるが、アルバイトも学生も いない。教師数は45名で、平均年齢は42歳(35〜45歳)で55歳の教師や20年勤務の教師もいる。給 与は固定給と時給で月給40〜45万円の教師(社員)もいる。中学から高校入学後の通所継続数等を 基準に教師をランク付けしている。ただし、深夜勤務や長時間労働は労基法の関係から雇用ではな く委託の型をとっている。

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