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第 6 章 サラウンド番組制作時の注意点

解説 2 モニタースピーカの再生レベル調整

2.7 調整方法

2.7.1 RTAによる測定

最初にマイクロフォンの設置位置を決める。マイクロフォンはリスニングポイントに設置するが、

建築設計図面があればそれから位置を割り出すことができる。図面がなければスピーカとの距離を 計測し位置決めを行う。マイクロフォンが作業時のミキサ位置と異なる場合は時間軸補正が必要と

4) 本章は音響測定、スピーカチューニングが目的ではないので詳細は述べない。これらは専門業者に相談するのが 良い。

5) 業務用のスピーカであれば、基準とするバンドレベルに対して多少の“うねり”や再生帯域幅の違いがあっても、

なる6。時間軸補正を行っている場合は補正時間とスピーカ距離の関係が正しいか確認する。

図 2-4 測定用マイクロフォンのセッティング例

(1) マイクロフォンをセンタースピーカに向け45度上向きにセッティングする。L, R, C, LFE,

LS, RSの測定はすべてこの位置で行う7

(2) コンソールのフェーダやモニターボリュームを基準レベルに設定し、測定するスピーカに対 し規定の広帯域ピンクノイズを出力する。レベル調整が必要な場合は2.3項を参考に行う。

VUメータは正しい実効値を指示しないので、0VUに合わせてはならない。他のスピーカは ミュートにする。

LFE チャンネルの場合、120Hz のフィルタ(24dB/oct)を通した信号を使用する。ただ し、サブウーファ側に規定のフィルタが入っている場合は広帯域ピンクノイズをそのまま使 用しても良い8

ベースマネージメントを行っている場合は、メインチャンネル測定時にサブウーファの位 置決めを行う9。このとき、サブウーファとメインスピーカのクロスオーバー周波数付近の位 相を合わせ、ディップを生じないよう注意する。

(3) RTA を見ながら必要なバンドレベルになるように再生アンプのゲインを調整する。パワー ドスピーカの場合は、内蔵アンプのゲインを調整する。現実の測定データは平坦ではないの

6) コンソールを移動してリスニングポイントを調整すると室内の音響特性も変化する。この場合は時間軸補正を行 う方が簡単であろう。

7) 測定方法は他にもある。例えばマイクロフォンをスピーカの音響軸に向ける方法や垂直に立てる方法がある。

8) これはモニター経路に関してのみである。録音機器に送る信号は規定のフィルタを使用する。

9) LFE チャンネルの調整でサブウーファの設置位置を変更すると、メインチャンネルの低域再生特性も変わるの

C L R

LS RS

LFE

1.2m

で“中心値”を読み取ることになる。一般に、全周波数帯域のレベルは設定値±5dBの範囲 に収まればよいとされている。

(4) すべてのメインスピーカについて(2)、(3)の調整を行いRTAの測定データを保存する。

(5) LFEチャンネルは“メインチャンネルのバンドレベル+10dB”になるよう調整する。これ は“メインチャンネルの低域特性+10dB”にすることではない10

2.7.2 騒音計による測定

RTA測定と同じピンクノイズ信号を用い、日常使用する騒音計で各スピーカのレベル測定を行う。

騒音計はC特性/SLOWレンジで使用し、測定したレベル値を記録する。ここで測定した値は2.6

-(3)項で述べたように、日常行うレベル較正のリファレンスとして使用する。

(1) 騒音計による測定は通常手持ちとなる。騒音計はセンタースピーカに向け内蔵マイクロフォ ンが45度上向きになるように持つ。騒音計はRTA測定時のマイクロフォンと同じ位置にす る。

(2) 測定時、測定者の身体の影響ができるだけ少なくなるように配慮する。例えば、騒音計を持 つ手は真すぐに伸ばす、LS, RSの測定では身体(背)を測定するスピーカの反対側の壁に向 ける(騒音計はセンタースピーカに向けたまま)などである。

サラウンドスピーカがフロントより小型の場合、再生レベルを適切に調整しても聴感上の相対レ ベルが小さく感じることがある。これはスピーカの再生帯域幅の違いによるものなので調整ミスで はない。

10) ベースマネージメントを使用した場合、結果的に“メインチャンネルの低域特性+10dB”がLFEチャンネルの

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