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5.1ch サラウンド番組の制作事例

第 6 章 サラウンド番組制作時の注意点

参考資料 1 5.1ch サラウンド番組の制作事例

1.2 軽音楽系の音楽番組の事例 1.2.1 事例1

・ ダウンミックスのレベルを目安にしてミキシングしている。アナログ地上波での放送を考慮 して、ダウンミックスした音楽が 0VU 程度となるようにし、一方で各チャンネルのピーク 値がオーバーしないようにミキシングしている。

・ ミキシングにおいてはダウンミックスでのバランスが破綻しないように意識しているが生放 送の本番中はサラウンドでのモニタリングが中心となっている。

・ リアチャンネルは「包まれ感」の表現を最優先に考えて使用している。リアから象徴的な音 を出すことを演出効果として使用する場合も、長時間に渡ってリアに意識が行ってしまうこ とは好ましくないと感じている。リアチャンネル成分が多すぎるとダウンミックスとの差が 大きくなってしまうことは意識している。

・ ダイバージェンスは使用している。センター定位のSn、Kick、Bass、Vocal、MCで使用し ている。-12~-9dB程度のレベルでL, Rにこぼしている。ダウンミックスでの音量感を 補うことと、Cチャンネルのピークレベル管理が目的となっている。特にイントロオフナレ のMCでは0dBで使う場合もある。

1.2.2 事例2

・ ダイバージェンスを使用した楽器の音声や LFE への低音のこぼした音声はダウンミックス とバランスが大きく変わらないよう細かいレベル調整をしている。

・ キーボードなどの楽器はリアに少し定位させることもあるが、こちらもダウンミックスとバ ランスが大きく変わらないよう細かいレベル調整をしている。

・ リバーブはサラウンドリバーブを余り使用せず、フロントとリアそれぞれにステレオのリバ ーブを用意し、時には違う種類のリバーブを使用している。

1.3 スポーツ番組の事例 1.3.1 事例1

・ スポーツの制作手法では実況コメントはハードセンターとしている。

・ 制作時にはサラウンドとダウンミックスを切り替えながら、お互いの両立を考慮して制作し ている。コメントの音色を決める時にもダウンミックスモニターを有効に活用している。こ れにより、これまでのステレオ制作のノウハウを生かすことができ、サラウンドとステレオ との整合性も取る事ができる。

・ 放送時には前後の番組間レベル差が生じることがないように、コメントの音色を聞こえの良 いよう工夫する、ダウンミックス時のVUメータを少し大きめに振らせるなどをし、番組間 のレベル差を少なくするように努めている。

ピークメータでヘッドマージンを管理している。またダウンミックスはVUとピークメータ 双方で監視する方法が好ましいと考えている。ダウンミックスをVU表示することで、ステ レオ制作と同等の感覚でミキシングができている。

・ 制作時におけるモニター系には敢えてダウンミックスのトータル-3dBは挿入しないで、0dB でモニタリングを行っている。モニターをダウンミックスに切り替えた時にコメントレベル が下がりミキシングがし辛くなるのを防ぐためである。視聴者にとってスポーツ中継のコメ ントレベルは受信機のボリュームを決める重要要素であり、現場ミキシング時においても番 組差が生じないようにコメントレベルを重視するモニタリングを行っている。

・ ダイバージェンスは、サラウンドの効果として使用することが第一義であって、ダウンミッ クス時のレベル低下を防ぐための使用はあくまでも一手法と考える。実際にダイバージェン スを使うかどうかは各番組単位での選択と考える。

・ スポーツ番組では、LFEチャンネルは、効果的な表現のために工夫し使用している。

1.3.2 事例2

・ 実況はハードセンターとすることで、サラウンドISの作成を容易にしている。

・ 実況がハードセンターのため、かなりのレベルに上げる必要があるのでヘッドマージンが少 なくなってしまう。このためコンプレッサを二重にかけるなどの工夫をして音質の低下を防 いでいる。

・ 現場の臨場感を強調するためリアは高めのバランスにしている。

・ LFE専用にマイクロフォンを設置している。

・ 会場PAなどの音楽はLFEに低域をこぼしている。

1.4 ドキュメンタリー番組の事例

・ ドキュメンタリー番組では、ほとんどの場合ナレーションのレベルが基準となる。サラウン ド制作でも同様で、ダウンミックス時のナレーションレベルを基準として、サラウンドミキ シング全体のバランスを決めている。

・ レベル監視の方法としては、EVU(Expanded VU)によるピークレベルとVU値で監視を していて、針式のVUは余り意識していない。ダウンミックスが通常のステレオ番組のレベ ルと近しい値となり、かつサラウンドミックスのピーク値を適正に管理している。

・ 全体として地上波アナログ放送に合致するレベル規制を行っている。

・ モニタリングについては、初めにサラウンドミキシングを行ってプレイバックを行い、ダウ ンミックスステレオ、モノ、センターモノの順にプレイバックを行い、すべてにおいて破綻 がないことを確認している。これをパートごとに行いながら仕上げていく。サラウンドとダ ウンミックスのどちらを優先するという考えではなく、両方を満足させるように考えている。

レーションレベルが-4~0VU 程度、サラウンドミックスではダイバージェンスを使用(-

16dB)してCチャンネルが0~+3VU程度の振れとした。一方で、効果音や音楽とのセパレ

ーションを求めるために、ナレーションにはダイバージェンスを使用しないという考え方も ある。使用するシーンにとって適切かどうかの判断が重要と考える。

・ SE 作成時には基本的にサラウンドモニタリングで行い、その都度ダウンミックスにおいて 位相干渉の影響や低音表現のニュアンスなどの変化などをチェックする。

1.5 お笑い演芸等番組の事例

・ リスニングポイントを舞台最前列に設定しているため、アンビエンスマイクロフォンは、ほ ぼリア寄りに定位させている。

・ ダイバージェンスを使用している。

・ 漫才のSEなどではステレオ素材を擬似的に5.1chに変換して使用している。

1.6 ドラマの事例

・ 台詞は基本ハードセンター。場面によってはリアに定位させる場合もある。

・ 実際のロケ時には芝居と同時にサラウンドノイズは収録できないことが多いため、ロケハン 時などに収録する場合が多い。

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