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を強く示すものとして2名(No.3, No.5)を抽出して,技能指導の 実験の被験者とした。
3.3 類型別の技能指導
3.3.1 実験方法
技能習得の類別実験の実施後,前回と同様,H大学附属中学校で おこなわれた。被験:者は上記のとおり技能習得の類別実験の結果抽 出された者,5名(男子3名,女子2名)である。なお,その間に 技術科の授業では木材加工の学習はおこなわれていない。課題は技 能習得の類別実験と同様であるが,実験手順については,簡単なラ ポールの後,タイプ別にそれぞれ個別の指導をおこない,課題に取 り組ませた。切断終了後の処理も技能習得類別実験:と同様である。
指導については以下の観点から個別におこなわれた。
(1)認知型生徒への指導
認知型の生徒は,宣言的な知識あるいは手続き化された知識26)を 重視し,認知的な活動は得意であるが,それらの認知的活動を随意
的運動制御活動へ変換する行為が不得意なタイプであると考えられ る。そこで,随意的運動制御能力27)に直接働きかける指導として,
感覚的な情報を伝えることに重点を置いた。
①見本を見せる。
②感覚的なことばで操作の方法を教示する。
③手をとって教示する。
以上の3点を重視した指導をおこなった。認知型の被験者,No.
3の生徒に対しておこなった指導の記録を図18に示した。
(2)パフォーマンス型生徒への指導
パフォL・一・一マンス型の生徒は宣言的な知識を手続き化させる等の,
認知的な操作を優先するのではなく,表象されたプラン28)は乏しく とも,自己の随意的運動制御能力をたよりに,行動に移すことので きるタイプであると考えられる。そこで,宣言的知識と一部手続き 的知識と思われる知識を,中学校技術・家庭科の教科書29)30)ののこ
ぎり引きの掲載箇所から次の12項目を抽出した。すなわち,①材 料の固定の方法②刃の選択 ③柄を持つ位置④切り始めの場所
と切る方向 ⑤切り始めに案内をつける⑥切り始めに引き溝を作 る ⑦のこぎりの角度 ⑧姿勢(柄が当たらないように体を少し左 に避ける) ⑨目の位置⑩刃渡り一杯に使う ⑪引くときに力を 入れる ⑫切り終わりに欠けを防ぐ方法,等である。これらを技能 向上に有効な宣言的知識とした。また,被験者の短期記憶31)も考慮 に入れ,事前に個々の被験者の技能習得の類別実験:のVTR録画を観 察して,各項目毎にチェックし,これらの宣言的な知識の中で個々
実験者の発言 被験者の発言
略・一一一一一一一一…一…一…一一一一………一一一一一一一一・
それから,人間は歩くときに手を振りますが そのように,
自然に手が振れるようにしてください。
正面に構えると体がじゃまになりますからs 少し体を避けてください。
そうすると,目の位置がかわって,
斜めから見るようになりますから,
目の位置だけをのこぎりの真上に してください。
のこぎりを真上から見ると 線のように見えますよねえ 以上ですがわかりましたか?
何を云ったか繰り返してもらえますか?
はい。今云ったなかで、一番 なるほどと思ったのは何ですか?
今度はs私が切ってみますので,
よく見ていてください。
(.見本を見ぜる2
どこを見ていましたか?
形ですか?
刃?
感じはわかりましたか?
どうですか自信はありますか?
その理由は?
前は迷いながらやりましたか?
それでは,お願いします。
はい。
はい。
はい。
歩くみたいな感じで手を動かして切るのと,
刃の所が木と垂直になるのと,
刃が線に見えるくらい真上から見る。
手の振り…
はい。
板と手と足。
場所とか…
あと,刃がどうなっているとか…
ここがどういう感じで動いているとか,
音とか。
はい。
前よりは自信がある
やり方を前は詳しく知らなかった。
はい。
略一…………一一一_,..一__.一.一一一一一…一一・
図18 認知型生徒(被験者No.3)への指導のようす
実験者の発言 被験者の発言
一一一一一一一一一一一一一一tt一一一一一一一一一一一一一一一一t一一一一一一一一一一一一一 @ws 一一一一一一一一一一一一一一一一一一p一一一一J一一一一J一一一一一一一一一一一一一
今日はいくつかいいますのでよく聴いて下さい。
最初は,のこぎりを短く持って 左手を添えて
手前の方で,押しながら,
少し溝を作るのですね。
溝が出来たら,のこぎりは横へいきませんから それが一点。それから曲がってしまうのは のこぎりを引くときに
体がじゃまになっているのですね,
だから,じゃまにならないように
体を少し避けてやらなくてはなりませんね,
そうすれば楽に真直ぐ引けます。
それが,二点目ですね。
それから,最後に,最後の所ですが,
折れてしまいましたよねえ,
折れなくするには,最後の所に来たら 切れ落ちるほうを
支えなくてはなりませんね,
だから,左足で踏んで,切れ落ちるほうを 左手で支えて切ってください。
わかりましたか?
それでは,繰り返していってください。
はい。右足では踏めないんだけど 左足で踏んで,左手で支えて 右手で切ってください。
わかりましたか?
それでは,やってもらいましょう。
自信はありますか?
この前より上手に切れるという自信は?
はい。それでは,お願いします。
はい。
はい。
切り始めは左手の親指を添えて溝を付けて
それで,
引いたら,体に当たらないように避ける。
最後は,ちょっとつつ,右足で踏んで切る えっ
はい。
はい。
まあ
守ったら出来ると思う。
………一…一一一一一…一………一…一…一
ェ
図19 パフォーマンス型生徒(被験者No.7)への指導のようす
の生徒の行為から大きく欠けていると認められる2,3項目を口頭
(一部手ぶりを加えて)で説明した。
パフォーマンス型の被験者,No.7の生徒に対しておこなった指 導の記録を図19に示した。指導に要した時間は各被験者5分から 10分程度にとどめ,指導内容を口頭で反復させ,説明について誤っ た理解を示した場合は再び説明を繰り返し訂正した。また,1回目 の試行以降は質問された場合以外,指導はおこなわれなかった。
3.3.2 実験結果
類型別の技能指導の実験では,被験者一人に対して3回ののこぎ り引き試行の記録のそれぞれについて,技能習得の類別実験と同様 に技能の図式の形成度と遂行成績を求めた。図20は図17に認知型 として抽出された被験者No.3および被験者No.5の指導後の遂行の 結果を重ねたものである。被験者No.3の遂行成績はあまり向上し ていないが,技能の図式の形成度が著しく向上している。技能習得 の類別実験では,認知型と区分されたが,技能指導の実験ではむし ろ,パフォーマンス型へ移行している。さらに,指導後に一時,遂 行成績に後退現象がみられた。一方,被験者No.5は認知型の傾向
を残しながら,比較的バランスのとれた拉能の向上のようすを示し
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パフォーマンス型
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技能の図式の形成度数
注2
△ 2年男子
A 2年女子ロ 1年男子
m 1年女子一◆一被験者No.3 一●一被験者No.5
注1 全被験者平均形成度 注2 全被験者平均遂行成績 3
図20 No.3とNo.5の指導後の結果
ている。
パフォーマンス型として抽出された被験者No.7,被験者No.13,
および被験者No.23の指導後の遂行の結果を重ねたものが図21であ る。被験:者No.7は指導直後に遂行成績が向上し,技能の図式の形 成度が退行している。続いて次の試行では遂行成績が後退し,技能 の図式の形成度が向上するという逆の変化を示し,更に次の試行で
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技能の図式の形成度数
△ 2年男子 注2△ 2年女子 □ 1年男子
圃 1年女子→一被験者No.7
+被験者No.13
→←被験者No.23
注1 全被験者平均形成度 注2 全被験者平均遂行成績 3
図21 No.7, No.13,及びNo.23の指導後の結果
はまた指導直後の変化の方向に戻るという複雑な変化を示した。被 験者No.13は,指導直後に著しい遂行成績の向上がみられたが,そ
の後の2回の試行では大きな変化はみられなかった。被験者N・.23 は指導直後,著しく技能の図式の形成度が後退し,次の試行から再 び微増している。その間,遂行成績は向上している。技能習得の類 別実験でパフォーマンス型の傾向を示した被験者は,指導の後の試
行ではいずれも認知型の傾向を示す結果となった。
3.4 考察
3.4.1指導と技能の成績
未履修の1年生グループと履修済みの2年生グループを図17に より比較することができる。技能の図式の形成度および遂行成績の 何れにおいても,2年生の方がよい成績であった。さらに図の上で,
1年生の広がりに対して2年生はバランスのとれた位置近くに属し ている者が多い。このことは履修,未履修という指導による効果が 考えられる。2年生については実験前に,技能に対する知識の聞き 取り調査を行った。結果は履修済みにもかかわらず,のこぎり引き 技能に関する知識を明確に表象できた被験者はほとんどいなかった。
しかし,のこぎり引きの遂行成績と技能の図式の形成度については 1年生と比較してよい成績を示している。つまり,それらの宣言的 な知識はそのまま記憶されずに,行為を制御する表象不可能な知識 と共に融合された技能の図式として,記憶されていたものと推測さ れる。このことは,図15において,被験者自らがおこなった行為 に対するプロトコルの例からも考察することができる。したがって,
技能についての学習の効果に関して調査する場合には,筆記テスト 等の知識のみによる調杢方法では正確に判定できないことがうかが