3.1 緒言
前章では,技能の初期段階の過程について,認知的な側面から調 査した。その結果,パフォーマンス型,認知型,バランス型の各タ
イプの存在と特徴が明らかにされた。前章では未経験の技能につい て取り上げたが,本章では,先行経験にばらつきがあり,系統的な 学習がされていない課題に対して前章同様の調査により類型化をは かった。さらに類型化された各タイプの生徒個別に指導をおこない,
遂行成績と技能の図式の形成度に表われる特徴を調査した。
3.2 技能習得の類別実験
3.2.1 実験方法
実験はH大学附属中学校でおこなわれ,被験:者は木材加工領域を 未履修の中学1年生17名(男子11名,女子6名)及び履修済みの中 学2年生7名(男子5名,女子1名)である。課題は,アルマシが 材(厚さ12㎜,幅100㎜,長さ600㎜)の両端から300㎜の位置にのこ
ぎり引き用にけがき線を一本引いておき,その線にそって両刃のこ ぎり(学校用品基準準拠,刃渡り210㎜)と工作椅子(学校用品基
準準拠)を用いて切断させた。実験は放課後におこなわれた。生徒 を一人ずつ個別に呼び,ラポールをとり,親睦目的と同時に先行経 験の有無,健康状態などの個別の条件も調査した。ラポールの後,
課題に取り組ませた。切断が終わった後,設定した手順に従い切断 の行為時の内観を聞き取り調査した。作業のようすと内観報告はす べてVTRに録画した。図13は実験室の見取図,図14は実験中のよ
うすを示したものである。
被験者
心
国
工作椅子
実験材 [==]
両刃のこぎり〔=〔=コ
工作台
℃)ノ
実験者
VTRカメラ
図13 実験室の見取図
ン:門川
,チ
、拶撒
夢紺
噸
ll鱒
ロ
コ ロ
鎌
ゴ幽」.一垂蝿黶o一A一. t一
図14 実験のようす
3.2.2 実験結果
本研究は,前章と同様に,のこぎり引きに関する技能の習得過程 を技能の図式の形成,及び遂行成績との関係という視点に立って考 察しようとするものである。技能の図式の形成度については,切断 行為のVTR録画視聴からの行動分析と,そのプロトコルを分析す ることにより推測できると考えた。すなわち,行動分析とプロトコ ル分析により次の7項目の有無を判断し,確認された項目が多いも のほど技能の図式が高度なものとみなした。つまり技能の図式の形
成度が向上すると考えた。その7項目を以下に示す。
(1)遂行中に手順や要領について考えているか。
(2)無意識操作は可能か。
(3)感覚的フィードバックの利用は可能か。
以上の3点の結果についてはプロトコル分析から判定した。図15 は被験者No.14のプロトコルの例である。さらに,
(4)協応動作がみられるか。
(5)作業が中断しないか。
(6)操作に一定のリズムがあるか。
(7)視点が安定しているか。
以上(4)〜(7)の4点については行動観察から判定された。図16 は行動観察の例である。なお,判定に関しては客観性を得るために 教職経験10年以上のベテラン技術科教師3名によって別々に判断さ
れたものから平均値を行動観察による技能の図式の形成尺度とした。
以上の7項目について各々の生徒の行為にその項目が認められた か否かの判定をおこない,これを合計した。合計されたものを分子 に,切断行為に費やした時間を自然対数変換(Y=logeX X:素デー
タ,Y:変換デー一一一一タ, e=2.71828)したものを分母にして技能の図式
の形成度とした。
さらに,遂行結果として,切断された実験:材を次の5つの観点か
実験者の発言 被験者の発言
略一一一一
はい。ありがとう。
うまくいきましたか?
今,切りながら考えたことを 言って欲しいのですが。
はい。
まっすぐにたてるとは どういうふうにですか?
なるほど,まっすぐにすると
引っかからないと思ってるんですね?
線に合わせることも考えてたの?
曲がったら修正してたのですか?
ずれてないだろうと思ってたのですね?
あとは?途中は?
修正しましたか?
直らないと思ったのですかそれとも 直らなかったのですか?
結果がそうならなかったのですか?
日 一 一 隔
し つ
日、、一 言た、一 一
・・@ 、つ
こ穎 、 一 つ
鉄 s 一 ・・ 、つ
なるほど手が出てそして思い出したのですか?
角度なんかはどうですか?
さっき,自分でいってたこと…
考えなかった?
あてにしてなかった?
まだわからん。
(切りロを見て)
うまくいったんじゃないですか。
切りながら?
やっぱりまっすぐにのこぎりをたてて…
こういうふうにならないように
(のこぎりの刃の角度を水平に近くして)
引いていくと時々引っかかったりするから…
はい。
できるだけ線に合わせて…
はい。
してません。最初合わせたのが,そのまま…
最初はずれてなかったと思う。
あとで,ちょっとずれたかなと思った。
しょうと思ったけど,切ってる途中に 直らないと思ったので,まあ…
こっちに曲がったので,
こっちによせようとしたのだけれど…
はい。
一一 一
N
N5 hN… ±= {, N±一一 t, N
N 一一 @」評 一た 照
はい。
別に思わなかった。
はっきり言って,記憶がたしかでないので…
はい。
十一…一…
図15 プロトコルの例(被験者No.14)
行 動 の 観 点
被験者 サ定者
No.01 No.02 No.03 No.04 No.05 No.06 No.07 No、08
A × ○ × ○ X O ○ X
B ○ ○ ○ O X ○ ○ ○
協応動作がみられる
C O O O ○ × ○ ○ ○
小計 2 3 2 3 0 3 3 2
A X O × ○ × ○ ○ ×
B × × X ○ x ○ ○ ×
操作が中断しない C × × X ○ X O ○ x
小計 o 1 o 3 o 3 3 o
A X O × ○ × ○ O ×
B × ○ ○ ○ × ○ O ×
操作に一定のリズムがある C X ○ × ○ × O ○ ×
小計 o 3 1 3 o 3 3 0
A ○ ○ O ○ X ○ ○ ×
B ○ ○ ○ 0 × ○ × ○
視線が安定している C ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○
小計 3 3 3 3 0 3 2 2
行 動 観.察 合 計 / 3 1,667 3,333 2 4 0 4 3,667 1,333
No.22 No.23
○ ○
○ O
○ O
3 3
○ ○
X ×
○ ○
1 1
× ×
○ ○
○ ○
2 2
○ O
○ ×
0 ○
3 2
3 2,667
図16 行動観察の例
ら評価した。
(a)切断線からのずれの程度 (b)垂直方向の角度
(c)割れや欠けの程度 (d)引き肌の程度 (e)切り込み数
v
30
20
10
o
注1
;
認知型
口4
; △16 、
ロ22 口6ム2歪 、㌧
掘3
稲会恥
晶晶 血晶晶晶・晶輔 占
囲14口8
@ ㌧
2 …一季…込^2α幽
@ 葦 口11
、
幽占ゐA桑