第 4 章 新数理モデルのパラメータ推定実験
4.1 実験の目的
4.2.5 計測項目
本実験では、表
4.5
に示すように、モチベーション、作業量、心的負担、知的生産性、疲労、眠気、性格と身体の動きを計測した。以下でその詳細を説明する。
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図
4.5:
実験室の俯瞰図図
4.6:
実験中の様子表
4.5:
実験中の計測項目計測項目 計測方法
モチベーション マグニチュード推定法 作業量
心的負担 日本語版
NASA-TLX
知的生産性 一位加算と伝票分類タスクの成績 主観的疲労 自覚症しらべ
生理的脳疲労 フリッカー値
性格 新性格検査
身体動作
Wii
リモコンの3
軸加速度センサ(I)
モチベーションと作業量モチベーションと作業量の変化を計測するために、マグニチュード推定法
[22]
を用い た。マグニチュード推定法は標準刺激と比較したときの比較刺激の強度を、被験者が 数値の形で推定し回答する方法である。本研究では報酬と教示によりモチベーション を制御するため、制御した通りに変化しているかを確認するためにモチベーションを 計測した。作業量は、モチベーションのみを計測すると、被験者が自身の主観的な作 業量をモチベーションとして答える可能性があるため、作業量の項目を別に設けて区 別できるようにした。これらは1
セット終了毎に一回ずつ計測した。モチベーション と作業量を被験者に尋ねる質問項目は以下のとおりである。(a)
作業量を尋ねる質問項目•
自分の能力を十分に発揮し、自分にとっての全力で作業を行ったときの、作業量 を100
とすると、今終えた作業は、どのくらいの値になるか、数値でお答えくだ さい。(b)
モチベーションを尋ねる質問項目•
今終えた作業は、どのくらいのモチベーションで取り組みましたか。これ以上は ないモチベーションを100
として、数値でお答えください。達成した作業量にか かわらず、作業へのモチベーションを答えてください。(II)
心的負担作業から受ける心的負担を計測するために、日本語版NASA-TLX
[23]
を用いた。NASA-TLX
とは、アメリカのNASA
で開発された精神的負荷を6つの要素に分けて評価する ものである。NASA-TLX
は簡便な主観的ワークロード評価尺度として実験や実作業で 広く使われている。本実験では、1セット終了後に計測した。(III)
知的生産性本研究では作業・非作業間の遷移の変動を調査するため、知的生産性として
1
セット30
分被験者がタスクを行った時の単位時間あたりの解答数および1
問あたりの解答時 間を計測した。(IV)主観的疲労
人間工学の分野でよく用いられる疲労感調査に日本産業衛生協会・産業疲労研究会 が考案した「自覚症状しらべ」がある
[25]
。疲労感をとらえる指標は数多く存在するが、日本国内において最もよく使用されている疲労感の指標は自覚症状しらべである。自 覚症しらべは、ねむけ感、不安定感、不快感、だるさ感、ぼやけ感の
5
項目に関して、各
5
問計25
問の質問項目があり、これに対して1:まったくあてはまらない、2:わず
かにあてはまる、3:少しあてはまる、4:かなりあてはまる、5:非常によくあてはま る、の5
段階で回答した項目での合計点を用いて疲労を評価する。本実験では、照度 の変化による被験者の覚醒度の変化とPC
上で作業を行う時の被験者の眼疲労の変化 を調べるために、表4.6
に示すねむけ感とぼやけ感の2
項目だけを計測した。この自覚 症しらべは、1セット終了毎に計測した。表
4.6:
自覚症しらべの質問項目I
群:ねむけ感 ねむい/
横になりたい/
あくびがでる/
やる気がとぼし い/
全身がだるいV
群:ぼやけ感 目がしょぼつく/
目がつかれる/
目がいたい/
目がかわ く/
ものがぼやける(V
)生理的脳疲労生理的脳疲労計測のためフリッカー値を
1
セット30
分の作業の直後に計測した。フ リッカー値とは高頻度に点滅する光を被験者に見せた時に、光がちらついて見える限 界の頻度値のことである[24]
。人の大脳皮質が疲労した際にフリッカー値が低い水準を 示すことから疲労の指標として利用されており、フリッカー値の変動を通して大脳の 皮質における情報処理能力の状態を推測できる。本実験では、1セット終了毎に連続3
回ずつ計測し、その中央値を用いた。(VI)
性格被験者の恒常的個人特性が知的生産性に影響することを確認するために、新性格検 査を用いて被験者毎に性格を測定した。日本国内では健常人の多面的な性格特性を測 る代表的な性格検査として矢田部・ギルフォード性格検査(以下、
Y-G
検査と略す)が 広く利用されてきた。新性格検査は、Y-G検査の12
尺度の全120
項目に、虚構性尺度 を増やした計130
項目から成る性格検査である[26]
。本実験では新性格検査を実験日1
日目(練習日)の室内待機時間に行った。
(VII)
身体動作被験者のタスク実施中の非作業状態をより正確に判断するためには、キー操作のみ では困難である。被験者が座っている椅子の動きを計測して、被験者の身体動作を計 測し非作業状態を推測する補助データとして用いる。図
4.7
に示すようにWii
リモコン に「Wiiモーションプラス」を追加したものを被験者が座る椅子に固定し、被験者が椅 子に座った状態の初期位置(水平位置)からどれだけ回転したのか、傾いたかを60Hz
で計測した。なおWii
リモコンを直接被験者の体に貼り付けると被験者の負担が大き くなり実験結果に影響する恐れがあるためタスク実施中の椅子の動きを被験者の動き として計測した。図