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第 3 部 . 新環境規制に関する調査結果

9.3 新環境規制の対象となる発電所の現状と対応状況

TATA Power社に加えて主要州電力会社としてMaharashtra州有電力公社であるMAHAGENCO、

主要民間電力会社としてReliance Power社の使用炭性状および排ガス特性、各社の新環境規制対応 状況等をヒアリングにより確認した。そのヒアリング結果を報告する。

9.3.1 石炭性状の調査

各電力会社の使用炭性状を表 9-3に示す。なお、一部性状の特異性を確認するために、旧グレード CからEの標準炭の分析を追加実施した。

表 9-3 各電力会社の使用炭性状一覧

Max. Min. Ave.

Middling MCL SECL,

MCL, WCL G6-8 G8-11 G11-14

Gross air dried Kcal/ kg 4474 3283 4671 5707 3750 4561 3731 3500 3655 3646 5880 5640 4943

Total Moisture % ar 4.05 12.50 7.11 16.72 4.1 5.95 10.8 12 11.65 12 6.1 6.6 5

Moisture % ad 1.06 5.43 5.63 0.97 1.44 4.9 4.3 3.4

Ash Content % ad 41.72 45.15 36.19 49.72 29.52 40.71 33.76 41.2 36.66 33.52 10.6 16.4 25.5

Volatile Matter % ad 19.03 22.87 15.92 23.71 13.56 16.51 26.61 21.56 24.4 21.4 32.2 29.3 28.1

Fixed Carbon % ad 38.19 26.55 40.78 52.51 31.05 41.34 28.83 25.5 27.25 52.2 50 43

Total Carbon Content % daf 47.84 61.4 40.8 48.58 40.34 35.87 40.58 38.3 77.06 78 76.17

Total Hydrogen Content % daf 2.89 3.58 2.81 3.15 2.61 2.66 2.46 3.7 4.6 4.71 4.87

Total Nitrogen Content % daf 1 1.07 0.25 0.61 0.97 0.72 0.85 0.96 1.76 1.68 1.63

Total Sulphur Content % daf 0.39 0.93 0.3 0.52 0.63 0.59 0.31 0.46 0.3 0.38 0.51

Oxygen Content (diff.) % daf 4.58 13.414 3.909 6.07 10.8 12 6.98 16.38 15.3 16.89

Combustible Sulphur % daf

Mercury in coal mg/kg 0.045 0.013 0.049

SiO2 % db 64.45 50.46 59.43 57.2-63.8 59.7 56.26 44.3 52.6 69.04

Al2O3 % db 33.32 22.08 27.13 26.7-31.8 28.35 27.71 26.72 27.31 22.54

Fe2O3 % db 15.44 3.49 6.63 2.0-7.2 4.1 7.14 16.3 13.5 3.11

CaO % db 2.32 0.08 0.82 1.1-1.6 2.05 0.66 5.1 1.56 0.8

MgO % db 1.44 0.32 0.59 0.4-1.0 1.5 0.66 0.81 0.37 0.53

Na2O % db 5.41 0.062 0.79 NA 2.37 0.02 0.03 0.04

K2O % db 2.05 0.946 1.41 NA 1.22 0.46 0.49 1.04

TiO2 % db 2.102 1.46 1.72 1.0-1.5 0.02 2.14 1.8 1.49

Mn3O4 % db

P2O5 % db 0.951 0.241 0.56 0.2-0.8 0.9 0.04 1.89 0.98 0.1

SO3 % db 1.28 0.09 0.27 Traces 0.35 0.2 1.93 0.8 0.49

MnO % db 0.23 0.037 0.08 0.15

V2O5 % db 0.04 0.03 0.03

Li2O % db

Grade Standard

Grade-C Grade-5 Grade-E MAHAGENCO Koradi Reliance

CCL 5esign Actual 5esign Actual

ASH ANALYSIS

Source CCL, .CCL

Actual 5esign Actual

CALORIFIC VALUE CHEMICAL ANALYSIS

ULTIMATE ANALYSIS

Thermal Power Station Items________________

_

TATA Power

Jojobera Maithon Power Limited

Design:設計炭、Actual:実績値、MCL:Mahanadi Coalfield Ltd、CCL:Central Coalfield Ltd、BCCL:Bharat Coking Coal Ltd、SECL:South Eastern Coalfield Ltd、WCL:Western Coalfield Ltd、Middling:選炭品

FORM 1005-2 3

発電所により分析項目が異なるが、傾向として発熱量は3,000~4,500kcal/kg、灰分は30~50%、硫

黄分は0.3~1.0%程度であった。インドでは一般的発電所向け石炭はG12からG14とされているが、

今回はTATA Power Maithon発電所の高位炭、Jojobera発電所選炭品を除いて発電所用グレードで

あることがわかる。これら灰分および硫黄分を図 9-5および図 9-6に示す。なお、全体傾向を見る ための比較として、JCOALが保有しているインド火力発電所から代表的データをリファレンスと して図示している。Maithon発電所の高位のみG6相当で原料炭データと推察されるが、同等グレー ドの標準的な性状(緑プロット)より、灰分、硫黄分ともに高めであった。

0 10 20 30 40 50 60

2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000

Ash (% )

GCV (kcal//kg) Ash Content

References

G12 G14 G13

図 9-5 発電所使用炭の発熱量と灰分の関係

註:リファレンスはインドの他発電所データ(JCOAL調べ、プロットのみ)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000

Sulphur(%)

GCV (kcal//kg) Sulphur

Content References

G12 G14 G13

図 9-6 発電所使用炭の発熱量と硫黄分の関係

註:リファレンスはインドの他発電所データ(JCOAL調べ、プロットのみ)

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揮発分や固定炭素など、基本的性状は瀝青炭質を示しているため、発熱量は灰分と逆比例傾向にあ る。発熱量の幅が広い理由としては、受入れ炭のばらつきがあるため、発熱量調整で高発熱量炭を 使用しているためと予想される。

灰成分に関しては、シリカが多い傾向にある。これらを含む排ガスはボイラーおよびエアヒータ等 で高い磨耗性を持つ懸念があり、灰分総量も高いことから、今後環境装置の対応にはこれらの耐久 性が課題となる懸念がある。また、ボイラー伝熱効率に影響するスラッギングインデックス

(SI)、ファウリングインデックス(FI)を灰分組成から計算したところ、SIで0.02~0.07(標準

試料0.03~0.09)、FIで0~0.34(標準試料0~0.01)であり、どの石炭も付着性の懸念は低いことが

判明した。規制対象である水銀については、インド側での分析値が得られていないので、標準炭の データを参考にしたが、排出規制値の0.03 mg/kgと同等レベルであり、現状の集塵(ESP)でかな り除去されていることを考慮すると、規制内には収まっていると考えるのが妥当である。

9.3.2 排ガス性状の検証

それぞれの石炭性状から算出した排ガス性状を表 9-4および図 9-7に示す。ガス量の計算に必要な 元素分析値まで得られた石炭性状について、酸素過剰率を一律6%として算出した。SPMの値はボ イラー出口濃度としている。NOx は石炭中のN分由来より燃焼条件に依存して生成するので、本計 算には含めていない。

SOx濃度については全ての計算結果が規制値を上回り、脱硫への対応が必要になると推測される。

ESPの性能面では、MPLの場合入り口濃度が20 g/Nm3台であるのに対して50 mg/Nm3以下まで落 ちており、高い性能を示している。

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表 9-4 石炭性状より計算した排ガス性状

Max. Min. Ave.

Middling MCL SECL,

MCL, WCL

Gross air dried Kcal/ kg 4474 3283 4671 5707 3750 4561 3731 3500 3655 3646

Total Moisture % ar 4.05 12.50 7.11 16.72 4.1 5.95 10.8 12 11.65 12

Moisture % ad 1.06 5.43 5.63 0.97 1.44

Ash Content % ad 41.72 45.15 36.19 49.72 29.52 40.71 33.76 41.2 36.66 33.52

Volatile Matter % ad 19.03 22.87 15.92 23.71 13.56 16.51 26.61 21.56 24.4 21.4

Fixed Carbon % ad 38.19 26.55 40.78 52.51 31.05 41.34 28.83 25.5 27.25

Total Carbon Content % daf 47.84 61.4 40.8 48.58 40.34 35.87 40.58 38.3

Total Hydrogen Content % daf 2.89 3.58 2.81 3.15 2.61 2.66 2.46 3.7

Total Nitrogen Content % daf 1 1.07 0.25 0.61 0.97 0.72 0.85 0.96

Total Sulphur Content % daf 0.39 0.93 0.3 0.52 0.63 0.59 0.31 0.46

Oxygen Content (diff.) % daf 4.58 13.41 3.91 6.07 10.8 12 6.98

Combustible Sulphur % daf

Mercury in coal % db

Calculated data

Flue gas (Excess O2 = 6%) Nm3/kg-fuel 0 0 17 21 15 17 14 12 14 15

SOx mg/Nm3 460 890 406 602 917 963 441 604

PM g/Nm3 21 24 20 24 25 34 26 22

5esign Actual

CCL

ULTIMATE ANALYSIS

5esign Actual

Source CCL, .CCL

CALORIFIC VALUE CHEMICAL ANALYSIS

Thermal Power Station Items_________________

TATA Power

Jojobera Maithon Power Limited MAHAGENCO

Koradi Reliance Power

Actual 5esign Actual

0 200 400 600 800 1000 1200

0 10 20 30 40 50

SO 2 ( ca lc .) (mg /N m3 )

PM (calc.) (g/Nm3) Coal data

References

(Calculated)MPL MPL

(Actual)

Jojobera (Actual)

図 9-7 SPM(ESP入口)およびSO2濃度の計算値

表 9-5に各発電所の実排ガスの性状データを示す。各ユニットの排出規制値も示す。緑色で示す値

は規制値以内であり、黄色は規制値上限に近い(規制値の90%以上)、赤色は規制値を超えている ことを示す。SOx濃度の計算値と実測値はほぼ同等の値であり、脱硫への対応が必要であることが わかる。また、同様に脱硝への対応が必要であることがわかる

FORM 1005-2 3

表 9-5 各発電所の実排ガスの性状データ

Reliance Power

Unit-1 Unit-2 Unit-3 Unit-4 Unit-5 Unit-1 Unit-2

Gas Temperature deg C 127 133 138 127 133 136 137 110-135

O2 Concentration % dry 7.2 7.4 7.2 6.8 7 8.8 7.7 5.5-6.5

Exces Air Ratio - 35

H2O Concentration % wet 6.86 7.63

CO2 Concentration % dry 11.4 11.8 11.6 11.8 11.8 10.6 11.6 13 - 15

NOx Concentration mg/Nm3 322.8 334.7 326.2 297.3 290.3 405 446 250-400

SOx Concentration mg/Nm3 563.6 577.2 572.3 524 534.9 827 793 550-800

5ust Concentration mg/Nm3 74.5 74.7 74.6 49.5 49.6 48.9 25.8 40-70

Hg Concentration mg/Nm3 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1 <0.01 <0.01

Load MW 54 120.31 107.46 119.8 119.59

NOx mg/Nm3 600 600 600 600 300 300 300 300

SO2 mg/Nm3 600 600 600 600 600 200 200 600

SPM mg/Nm3 100 100 100 100 50 50 50 50

Hg mg/Nm3 0.03 0.03 0.03 0.03

Thermal Power Station Items________________

TATA Power Jojobera Maithon Power Limited

Criteria

9.3.3 新環境規制への対応状況

新環境規制への対応状況について、各発電所に加え政府および中央電力会社にも状況をヒアリング した。新環境規制への対応状況および取り組みにあたっての諸課題について以下に述べる。

9.3.3.1 新環境規制への対応状況

CEAは地域電力委員会や発電会社と会合を重ね、速やかに環境対応を実施するように働きかけてき た。MoPの指示によりCEAは表 9-6に示すように2018年から2022年までを対象とした段階的な導 入計画を検討している。この計画によると、約66GW(222ユニット)はESPの強化に合意してい る。また約161GW(414ユニット)はFGDの導入に合意している。SCRは実証に至っていない が、NTPCが自社で使用している高灰分炭でのSCR/SNCRのパイロットテストを実施中である。

新環境規制により、FGD設備への莫大な需要が創出されたが、同時に非常に厳しい時間的制約も課 されている中、供給者には既存供給能力とその増強を限られた期間に対応することが求められてい る。特に2021年および2022年では、年間約170ユニットの脱硫設備導入が必要であり、設備メーカ ーの対応能力が懸念される。また、州電力および民間電力各社には環境対応に多くの投資が必要で あり、電力料金への影響が避けられないとしており、この状況にインド政府がどのような政策対応 を取っていくのかは注視が必要である。

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表 9-6CEAによる環境装置段階計画(Phasing Plan)

Year NOx SOx SPM

Capacity (MW) Units Capacity (MW) Units Capacity (MW) Units 2018

Pilot project by NTPC is underway. Phasing Plan for de-NOx will be finalized in 2018

500 1 500 1

2019 4,940 8 1,300 2

2020 27,230 55 10,705 28

2021 64,027.5 172 23,495 97

2022 64,704.5 178 28,525 94

total 161,552 414 65,925 222

Source: CEA

9.3.3.2 規制対象物質ごとの対応状況

浮遊粒子状物質 (SPM)

新環境規制を遵守するために電気集塵機(ESP)の強化が必要とされている発電所のユニット数を 表 9-7に示した。273 ユニット(設備容量にして72,659 MW)の発電所で強化が必要である。この うち、2018年から2022年までの期間中に対応が必要とされているのは全体の85%にあたる231ユニ ット(設備容量にして65,925MW(全体の90%))となっている。

ESP強化にあたっては、既設ESPの改造/交換またはバッグフィルターの導入等の対応が想定され る。発電所の状況により、既設設備のレイアウト変更を伴う可能性もある。

表 9-7 ESP強化が必要な発電所のユニット数

ユニット数 容量(MW)

ESP強化対応の必要なプラント 273 72,659

2018-2022年でESP強化対応検討中のプラント 231 65,925

硫黄酸化物 (SOx)

既設、新設を問わずあらゆるユニットについて、新環境規制を遵守するためには例外なくFGDの導 入が必要となるが、これに伴う主な導入課題と障壁は以下のとおりである。なお、導入課題につい

ては9.4.1章にて詳細を述べる。

 設置スペースの制約

 高品質の石灰石供給および副生石膏の処理

 期限内での技術保有メーカーおよびその供給能力

 FGD導入による所内電力消費率の上昇(コスト増)

500MW以上の新設プラントに関しては計画時に用地内FGDスペースを織り込んでおり、また石灰

石の供給も検討済みである。

また、FGDに必要な石灰石は500MWユニットに対して年間60,000トン必要で、計画中のプラント

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向けも含めた250GWの石炭火力全体では約3,000万トン/年が必要と試算されている。

一方、500MWユニットのFGDでは年間85,000トンの石膏が副生される見込みで、インド全体では

4,200万トン/年の石膏が生産されることになる。FGD導入による所内電力消費率の上昇は、ユニ

ット効率で1.0~1.5%の影響と予想されている。

表 9-8 FGD装置の設置が必要なユニット

ユニット数 容量(MW)

FGD設置が必要なプラント 482 170,931

2018-2022年でFGC設置検討中のプラント 415 161,552

窒素酸化物 (NOx)

新環境規制の規制値のうち600 mg/Nm3については低NOxバーナの利用など燃焼側での対応が可能 である。しかし、燃焼側の対応だけでは300 mg/Nm3および100 mg/Nm3の規制値は達成できず、

SCRやSNCR等の脱硝設備の追設が必要となる。ただし、海外で実用化されているSCRはダストを 多く含むインドの排ガス処理では実証されていない。またSCR導入による発電量の内部消費率上昇 も懸念される。

水銀

世界的に見ても水銀除去の確立された技術はないが、ESP、脱硫設備および脱硝設備において水銀 も除去されているため、新環境規制の基準を満たしている。

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